任意同行とは?拒否できる?求められた場合の対処法などを解説

任意同行とは?拒否できる?求められた場合の対処法などを解説

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
机といす

警察からいきなり任意同行を求められれば、戸惑ってしまうのも当然です。
「任意同行に応じると悪いことが起こるのではないか」、「そのまま逮捕されてしまうのではないか」といった不安が生じる方もいるでしょう。

任意同行を拒否することは可能ですが、対応を誤るとかえって疑いが深まったり、逮捕されたりするリスクもあるため注意が必要です。

この記事では、任意同行に着目し、任意同行は拒否できるのか、任意同行を求められた場合の対処法などについて、詳しく解説していきます。

任意同行とは

任意同行とは、犯罪の捜査などのために、警察官等が被疑者に対して任意に出頭を求め、捜査機関へ同行させることです。

任意とは、本人の自由な意思に任せるという意味なので、逮捕のように手錠をかけたり、逃げられないように押さえつけたりするといった行為は基本的に認められません。

ただし、現行犯逮捕が可能になった場合は、手錠の使用や拘束も認められます。

逮捕との違い

任意同行と逮捕の違いは、強制力と身柄拘束の有無です。
あくまで“任意”である任意同行は、本人の意思で拒否できますが、逮捕は拒否することができません。

任意同行は、警察が事件の捜査や職務質問を行い、本人に警察署等への同行をお願いする手続きなので、同意しても身柄を拘束されないのが基本です。
一方、逮捕は裁判官が発付した逮捕状に基づいて身柄を強制的に拘束する手続きなので、任意同行とは大きく異なります。

日本国憲法で人権が保障されている以上、人の身体的自由を奪う逮捕は、法律で厳格に定められた要件を満たす場合に限り行われます。「罪を犯した可能性が高い」からといって、いつでも逮捕されるわけではありません。

逮捕されるタイミングや逮捕の種類についてさらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

逮捕にはどんな種類がある?弁護士が詳しく解説

任意同行の種類と法的根拠

任意同行は、主に以下の2種類に分けられており、法的根拠がそれぞれ異なります。

  • 犯罪の嫌疑がある人物に対する任意同行
  • 職務質問からの任意同行

犯罪の嫌疑がある人物に対する任意同行

「犯罪の嫌疑がある人物に対する任意同行」とは、刑事訴訟法第198条に基づく任意同行を指します。

刑事訴訟法第198条 「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。」

捜査機関は、捜査目的で犯罪の嫌疑がある人物の出頭を求め、取り調べることが法律上認められています。そのため、捜査機関から犯罪の嫌疑をかけられれば、容疑者や重要参考人として任意同行を求められる可能性があります。

職務質問からの任意同行

「職務質問からの任意同行」とは、警察官職務執行法第2条2項に基づく任意同行を指します。

警察官職務執行法第2条2項 「その場で質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。」

捜査機関は、職務質問の延長として、場所を移して質問するための同行を求めることが法律上認められています。

例えば、不審者に声をかけたところ、覚せい剤の使用事件への関与が疑われた場合、警察官は職務質問目的で任意同行を求める可能性があります。

任意同行は拒否できる?

警察官等から任意同行を求められた場合、拒否することはできるのでしょうか。拒否した場合のリスクを含め、事前に確認しておきましょう。

「任意」なので拒否できる

任意同行は、「任意」という言葉のとおり、法的に拒否することができます。

応じるか応じないかは、同行を求められた者が自由に決定でき、捜査機関は同行を強制できません。応じない意思を示している者を強制的に連れていけば、逮捕と何ら変わらない手段になってしまいます。

任意同行は、捜査機関からの強い圧力や説得などにより、断りづらいのが実情です。

法的に拒否が認められていても、正当な理由もなく同行を断り続ければ、かえって不利になる場合もあります。疑われている内容に心当たりがある場合は、慎重に対応を検討する必要があるでしょう。

拒否することで逮捕される可能性もある

任意同行を拒否したことで、捜査機関が逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断すれば、逮捕状が請求され、逮捕される可能性があります。

逮捕(現行犯逮捕を除く)では、裁判官が発付した逮捕状が必要になるため、同行を拒否したからといって即逮捕されるわけではありません。

しかし、任意同行を求められた時点である程度の証拠が揃っており、嫌疑が強い場合には、「拒否=逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と判断されやすくなります。

また、拒否の仕方にも注意が必要です。拒否する際に暴行や強引な行動を取ると、公務執行妨害罪で現行犯逮捕される可能性があります。

任意同行を求められた場合の対処法

任意同行の理由を確認する

任意同行の理由を確認することは、自分の立場やリスクを把握し、適切な対応を行うために重要です。

例えば、自分が被疑者として同行を求められているのか、それとも参考人として呼ばれているのかによって、対応方針は変わります。嫌疑の内容を明確にできれば、より有効な対策を検討することも可能です。

「確認方法が分からない」「上手く確認できるか自信がない」といった不安がある場合は、弁護士への相談を検討するとよいでしょう。弁護士であれば、任意同行の理由や詳細を警察に直接確認してくれるため、適切な対応方法についてアドバイスを受けられます。

弁護士を同行させる

弁護士に依頼すれば、任意同行に付き添ってもらうことも可能です。

日本では、弁護士が事情聴取に立ち会う権利は認められていないため、取調室の中まで同行することは基本的にできません。

しかし、任意同行による取り調べは自由に退室できるので、取調室の外で弁護士に待機してもらい、適宜アドバイスをもらうのが一般的です。

任意同行されたその後の流れ

任意同行に応じた場合、以下のような流れで手続きが進みます。

  1. 警察署へ移動する
    任意同行に応じる場合、近くの警察署などへ移動します。移動手段は基本的に自由で、手錠がかけられることもありません。
  2. 捜査機関から取り調べを受ける
    移動先で事情聴取・所持品検査・薬物検査などが行われます。取り調べは“任意”なので、途中退室も可能です。
  3. 供述調書が作成される
    取り調べでのやり取りは、すべて「供述調書」として記録されます。署名・押印する前に、記載内容に誤りや不備がないか必ず確認しましょう。
  4. 解放・帰宅
    取り調べと供述調書の作成が終わり、容疑が晴れれば、解放されて帰宅できます。場合によっては、そのまま逮捕される可能性もあります。

取り調べにかかる時間は?

警察の取り調べは、原則「1日8時間以内」とされています。

疑われる犯罪が比較的軽微な場合や、被疑者が素直に罪を認めている場合であれば、1日2時間以内で終わるケースもあるようです。

一方、被疑者が否認しているケースでは、上限時間ギリギリまで取り調べが行われる可能性があります。

逮捕時の取り調べには一定の時間制限(48時間以内に検察官送致を行うなど)がありますが、任意同行にはそのような時間制限がないため、取り調べに長時間かかるおそれがあります。

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任意同行された家族が帰ってこない場合はどうする?

任意同行に応じた家族が帰ってこないときは、逮捕や長時間の事情聴取が行われている可能性があるため、警察署に連絡して状況を確認する必要があります。

「取り調べ中なのか」「逮捕されたのか」などを確認しますが、家族が直接警察へ連絡しても、詳細は教えてもらえないことが多いです。そのまま逮捕されていれば、最長72時間は家族でも面会が禁じられます。

弁護士であれば、逮捕直後から接見(面会)できるため、ご家族の代わりに本人の様子を確認できます。取り調べの対応に関するアドバイスや家族への情報共有も行ってもらえるため、安心でしょう。

接見について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

接見とは?ご家族の方の不安を弁護士が取り除きます

任意同行に関するよくある質問

任意同行されやすい時間帯はありますか?

被疑者として任意同行を求められやすいのは、朝の時間帯とされています。警察官等は、任意同行を求める対象が在宅中の時間(出勤前や通学前)を狙って家を訪問する傾向があるためです。

被疑者が朝に在宅していなかった場合は、後日改めて任意同行を求められる可能性が高いです。

一方、職務質問から任意同行を求められるケースは、突発的なものが多いため、時間帯は決まっていません。

任意同行されて取り調べのときに録音はできますか?

任意同行後の取り調べを録音することは、法律上可能です。

任意同行や任意の取り調べは、あくまで「任意捜査」なので、録音すること自体は違法ではありません。
しかし、警察は録音されるのを嫌がる傾向にあるため、録音することを告げた場合、削除を求められる可能性が高いでしょう。録音するのであれば、告げずに行うのが現実的です。

また、録音が発覚したときは取り調べが打ち切られる可能性もあるため、注意が必要です。

任意同行を求められたらすぐに弁護士へご相談ください

任意同行を求められたら、適切に対応するため、できるだけ早めに弁護士へ相談することが大切です。

任意同行はあくまで“任意”ですが、取り調べの雰囲気に呑まれてしまい、自身に不利な供述をしてしまうおそれもあります。

弁護士に相談できれば、取り調べでの適切な対応についてアドバイスをもらえます。任意同行後の対応も任せられるため、先が分からない不安を解消できるでしょう。

刑事事件に詳しい弁護士であれば、豊富な経験を活かした法的サポートの提供が可能です。

弁護士法人ALGには、豊富な経験と知識を兼ね備えた弁護士が複数在籍しているため、任意同行を求められてお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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