電車内の盗撮・のぞきは何罪が成立する?事例や逮捕後の流れなど

電車内の盗撮・のぞきは何罪が成立する?事例や逮捕後の流れなど

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
警察署

電車内での盗撮・のぞきは、当然ながら犯罪行為であるため、逮捕される可能性があります。特に公共交通機関での盗撮・のぞきは、周囲の目が多く、現行犯逮捕されるケースも少なくありません。

電車内での盗撮・のぞき行為が犯罪行為だと分かっていても、何罪に問われるのかまでは分からない方もいらっしゃるでしょう。

本記事では、電車内での盗撮・のぞきにより成立する罪をはじめ、逮捕後の流れや盗撮・のぞきをしてしまった場合の対処法などについて、詳しく解説していきます。

電車内の盗撮・のぞきは何罪が成立する?

電車内での盗撮・のぞき行為は、単なるマナー違反では済まされず、性的姿態等撮影罪(撮影罪)迷惑防止条例違反の処罰の対象となります。

近年では、スマートフォンなどの普及により盗撮行為が容易になり、被害は増加傾向にあります。警察庁によれば、2024年の盗撮検挙件数は過去最多を記録し、約8300件に上るとのことでした。

電車内の盗撮行為で多いのは、「女性のスカートの中や胸元を撮影する」などの行為です。このような行為を、被写体の同意なく行えば、基本的に盗撮とみなされます。

盗撮行為は、2023年の法改正からは基本的に撮影罪として処罰され、場合によっては、迷惑防止条例違反として処罰されます。のぞき行為については、迷惑防止条例違反もしくは軽犯罪法違反として処罰されるケースが多いです。

撮影罪

撮影罪(性的姿態等撮影罪)とは、正当な理由なく他人の性的な姿態を無断で撮影する行為を処罰する罪を指し、2023年7月13日から新たに施行されました。

電車内での盗撮行為は、撮影罪に該当する可能性があり、被写体が衣服を着ている場合でも性的な意図が認められれば成立することがあります。

撮影罪の法定刑は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金と定められており、初犯であっても厳しい処分が科される可能性があります。

特に、撮影した画像を保存・第三者に共有していた場合には、さらに重い罪に問われる可能性があります。また、撮影しようとしたものの、成功しなかった=未遂の場合も未遂罪が成立します。

迷惑防止条例違反

迷惑防止条例違反とは、各都道府県が痴漢や盗撮、騒音といった公共の場で人に迷惑をかける行為を規制するために定めている「迷惑防止条例」に違反する行為を指します。

迷惑防止条例の内容や罰則は、各都道府県によって若干異なりますが、電車内での盗撮行為は、この条例に違反する典型的な違反行為の一つです。

たとえば、東京都の場合だと、以下の盗撮行為が迷惑防止条例で禁止されています。

  • 人の通常衣服で隠されている下着や身体を、写真機などで撮影する行為
  • 撮影する目的でカメラを向ける・設置する行為

罰則は、通常の盗撮行為であれば「1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」、常習性が認められれば「2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。

電車内での盗撮・のぞきの事例

【事例① 駅のホームで女性を盗撮 40代小学校教諭男性を逮捕】

阪神尼崎駅のホームで女性のスカート内をスマートフォンで盗撮したとして、40代の小学校教諭の男性が撮影罪の疑いで逮捕されました。

警察によれば、男性はホームで電車を待っていた女性の後ろに並び、スカートの中にスマートフォンを差し入れて撮影した疑いが持たれています。男性は犯行後、目撃者によって取り押さえられ、現行犯逮捕されました。

男性は、警察の取り調べに対して容疑を認めています。なお、男性のスマートフォンからは、被害に遭った女性の動画が一つ見つかっています。

(MBSニュース 2025年)

【事例② 電車内で座っている女性の胸元を盗撮 44歳男性を逮捕】

電車内で女性の胸元にスマートフォンのカメラを向けたとして、迷惑防止条例違反の疑いで44歳の男性が逮捕されました。男性は、新快速車両内のボックス席の後ろに立ち、付近に座っていた20代女性の背後から胸元にスマートフォンのカメラを向けました。男性は、警察の取り調べに対して容疑を認めています。

警察によれば、車両内にいた別の女性が男性の不審な動きを見て、駅員に通報し、その後目撃者の証言や防犯カメラなどの捜査から、男性を特定しました。

(神戸新聞 2025年)

電車内の盗撮・のぞきは現行犯逮捕が多い

電車内の盗撮・のぞき行為は、その犯罪行為が公共の乗り物で行われる性質上、現行犯逮捕されるケースが圧倒的に多いです。

公共の交通機関である電車は、周囲に多くの乗客がいるため、盗撮行為が目撃されやすく、被害者本人や第三者によってその場で身柄を取り押さえられることがあります。

今まさに犯罪が行われている最中または直後の場合は、逮捕状の請求なしで犯人を逮捕できます。

また、警察官でない一般人でも犯人の身柄を拘束し現行犯逮捕することが可能です。

電車内は人目が多く、盗撮行為が発覚しやすいため、逮捕されるリスクが非常に高いです。

後日逮捕の可能性もある

電車内の盗撮・のぞき行為で現行犯逮捕されなかったとしても、後日逮捕される可能性が高いです。

後日逮捕とは、捜査機関が裁判所に逮捕状を請求してから行う逮捕の方法で、逮捕状をもって被疑者の自宅に訪れ逮捕の手続きを取ります。

後日逮捕に至るのは、以下のような証拠や証言がある場合です。

  • 防犯カメラの映像
  • ICカードの利用履歴
  • 改札の入退場履歴
  • 目撃者からの証言

この他にも、職務質問や別の捜査で盗撮した画像が発見され、盗撮事件が発覚するケースもあります。

後日逮捕は、ある程度の証拠が揃った段階で行われるため、盗撮行為の証拠があれば、数日後でも逮捕される可能性は十分にあります。

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電車内の盗撮・のぞきで逮捕された後の流れ

電車内の盗撮・のぞき行為で逮捕された場合は、主に以下のような流れで手続きが進みます。

  • ①逮捕
  • ②送致
  • ③勾留
  • ④起訴
  • ⑤裁判

以下では、各手続きについて、簡潔に解説していきます。

①逮捕

逮捕された後は、まず警察署に連行され、最大で48時間警察による取り調べを受けます。この間に接見(面会)を許されているのは弁護士のみで、家族や知人とは連絡を取れません。取り調べでは、犯行の動機や経緯などに加え、生い立ちといった身上についても聞かれます。

盗撮行為に悪質性が認められず、被害者が被疑者の処分を望んでいないなどの場合は、「微罪処分」と判断される可能性があります。微罪処分となった場合、事件は終了となり、直ちに釈放されますが、そうでない場合は、逮捕から最大48時間以内に、被疑者の身柄と事件の資料が検察に引き継がれます。

②送致

警察から被疑者の身柄と事件の資料を引き継いだ検察は、資料を基にさらなる取り調べを行います。その後引き継いでから(送致されてから)最大で24時間以内に「勾留するかどうか」を判断します。

勾留するかどうかを決める際、検察官は被疑者の言い分を聞き取る「弁解録取」を行います。行った弁解録取や証拠などを検討し、検察官が勾留すると決めた場合は、裁判官に対して勾留請求がなされます。

そして、裁判官が勾留請求を認めると、勾留が実施されます。被疑者は、ここまでで最大72時間身柄を拘束され、この間の面会は弁護士以外認められません。

③勾留

検察官から勾留請求を受けた裁判官は、勾留の要件を満たしているかどうかを確認し、勾留の必要性を検討します。勾留の要件とされているのは、以下の3つです。

  • 罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があること
  • 勾留の理由があること(住居不定、逃亡のおそれ、証拠隠滅のおそれのいずれかが認められる)
  • 勾留の必要性があること

裁判官が勾留請求を認めた場合、まず10日間の勾留が実施されますが、勾留は必要に応じてさらに10日間の延長が可能です。そのため、最大で20日間の勾留(身柄拘束)が続く可能性があります。

④起訴

検察官は、勾留期間中に被疑者を「起訴するか不起訴にするか」を判断します。起訴とは、検察官が裁判所に対して、刑事裁判を開いて被疑者の処分を審理するように求める訴えを指します。

一方不起訴は、起訴の反対で、検察官が被疑者を起訴しないと判断した際に下される処分です。起訴となった場合は、刑事裁判に進むことになり、裁判を経て有罪・無罪の判決が下されます。

日本の有罪率は99.9%と高く、起訴されれば100%に近い確率で有罪判決が下される傾向にあります。

盗撮・のぞき行為は、比較的軽微な犯罪であるため、犯行態様に悪質性が認められず、被害程度も小さいような場合には、起訴されても「略式起訴」となる可能性があります。

略式起訴とは、刑事裁判を開かずに書面のみの審査で「100万円以下の罰金刑または科料」を科す簡易的な裁判手続きです。

⑤裁判

通常起訴された場合は、公開の刑事裁判が開始し、裁判官によって「有罪・無罪」の判決が下されます。裁判官から下される判決には、以下のような種類があります。

・無罪判決

・有罪判決

  • 実刑判決
  • 刑の全部の執行猶予付き判決
  • 刑の一部の執行猶予付き判決
  • 刑の免除判決 など

前科がつかないのは、無罪判決が下された場合のみです。有罪判決が下された場合は、たとえ簡易的な裁判の手続きである略式起訴であったとしても、前科がつくため注意が必要です。

正式裁判となった場合は、執行猶予付き判決や実刑判決が言い渡される可能性があります。

電車内で盗撮・のぞきをしてしまった場合の対処法

電車内で盗撮・のぞきをしてしまった場合は、以下の方法で対処する必要があります。

  • 弁護士に相談する
  • 自首する
  • 被害者と示談交渉する

盗撮事件にかかわらず、刑事事件で受ける不利益を軽減するためには、弁護士の力が不可欠です。特に身柄拘束が伴う場合は、自由に行動できなくなるため、より一人で対処できなくなります。

弁護士に相談する

電車内で盗撮・のぞきをしてしまった場合は、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。弁護士であれば、自首の同行や被害者との示談交渉、不起訴獲得に向けた弁護活動など、あらゆる場面で法的サポートを提供できます。

特に、逮捕による身柄拘束を伴う場合は身動きがまったく取れず、逮捕直後から3日間は、弁護士しか面会が許されません。そのため、その間に行われる捜査機関からの取り調べへの対応を誤れば、不利な供述調書が作成され、不起訴や減刑が遠ざかってしまいます。

この点、弁護士がいれば、逮捕直後から面会できるため、早期段階から弁護方針を構築でき、取り調べに対する対応についてアドバイスをもらえます。

刑事事件は、想像以上に早いスピードで手続きが進むため、弁護士活動の時間は限られています。充実した法的サポートを受けるためにも、弁護士への相談はできるだけ早めに行いましょう。

自首する

現行犯逮捕されていない場合、自首することで処分が軽くなる可能性があります。自首は、「反省の意思」を示す行動として評価されるため、逮捕や勾留の回避に大きくつながります。

しかし、ただ単に警察に罪を申告しただけでは、自首として成立しない場合もあります。自首を成立させるためには、以下の要件を満たさなければなりません。

<自首の要件>

  • 捜査機関に犯罪事実や犯人が発覚する前の申告であること
  • 自らの犯罪行為を自発的に申告していること
  • 捜査機関に対して申告していること
  • 自身への刑事処分を求めていること

自首の際には、弁護士に同行や事前相談をお願いすると、手続きがスムーズに進み、余計なトラブルを避けられます。

被害者と示談交渉する

盗撮事件は、被害者との示談成立が刑事処分の結果に大きく影響します。具体的には、逮捕や勾留の回避につながる可能性が高まり、不起訴処分の獲得に近づけます。

また、起訴されたとしても、減軽される可能性が高いです。示談成立は、事件の当事者同士の「和解」を示す重要な証拠であり、被害者が加害者に抱いている処罰感情が消滅したことを意味するからです。

被害者との示談交渉では、加害者からの謝罪に加え、示談金の支払いについて話し合うのが一般的です。場合によっては、示談金の支払いだけでなく、「利用路線や乗車する時間帯、車両を変更する」などの条件も示談内容に組み込まれることがあります。

被害者との示談成立は、決して容易ではないため、弁護士の力が不可欠です。弁護士であれば、被害者の心情を配慮しながら、適切な示談交渉が可能です。

電車内の盗撮・のぞき事件を起こしたら、なるべく早めに弁護士法人ALGにご相談ください

電車内の盗撮・のぞき行為は、逮捕や勾留、裁判といった重大な刑事手続きに発展する可能性のある犯罪行為です。現行犯逮捕されなくても、証拠が揃えば後日逮捕される可能性があります。

盗撮・のぞき行為をしてしまった場合は、捜査機関に犯罪事実が発覚していなくても、早急な対応が求められます。特に、犯行態様が悪質な場合や行為を繰り返し行っている場合は、より重い処分を下される可能性が高いです。

長期間の勾留や実刑判決を回避するには、刑事事件に精通した弁護士から法的サポートを受ける必要があります。

弁護士法人ALGでは、刑事事件に精通した弁護士による充実した法的サポートを提供しています。お困りの方はぜひお気軽にご相談ください。

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保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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