盗撮は住居侵入罪・建造物侵入罪に問われる?逮捕された場合の対処法
盗撮するために、許可なく他人の住居や建造物に侵入すると、住居・建造物侵入罪に問われる可能性があります。
侵入に正当な理由が認められる場合は問題ありませんが、盗撮目的の侵入は正当な理由とはいえません。住居侵入罪や建造物侵入罪は、侵入が未遂に終わった場合でも未遂罪で処罰されます。
そのため、盗撮の余罪として問われやすく、成立した場合には、刑が重くなる可能性が高いです。
本記事では、盗撮で成立する住居・建造物侵入罪に着目し、逮捕された後の流れや対処法などについて、詳しく解説していきます。
目次
盗撮では住居侵入罪・建造物侵入罪が成立する
他人を密かに撮影する盗撮は、計画的に行われることが多いです。
他人の住居やビル内のトイレにカメラを設置して盗撮を行うケースは少なくありません。
カメラを設置するには、当然盗撮目的の場所に侵入する必要があるため、盗撮と住居・建造物侵入罪には密接な関係があるといえます。
- 住居侵入罪とは?
正当な理由なく、他人の住居に許可なく侵入した場合に成立する犯罪 - 建造物侵入罪とは?
正当な理由なく、他人の建造物や艦船に許可なく侵入した場合に成立する犯罪
なお、両罪の刑罰は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金と定められています。また、両罪とも刑法で未遂規定があるため、侵入が未遂に終わっても処罰対象とされます。
未遂の線引きは、犯罪の着手の有無にあります。
つまり、「侵入しよう」と考えるだけでは未遂は成立しませんが、侵入するために壁をよじ登ったり、鍵を壊したりした場合には、未遂が成立します。
住居侵入罪と建造物侵入罪の違い
住居侵入罪と建造物侵入罪は、侵入した場所に違いがあります。
簡単にいうと、「人の家やマンション」に侵入した場合は住居侵入罪が、「人が看守する店舗や建物」に侵入した場合は建造物侵入罪が成立するということです。
人が日常生活を送る場所は、主に住居と判断されます。
一方で、人が出入りする場所である駅や商業施設などは、建造物と判断されます。建造物の方が、住居よりも多くの場所を含んでいる点も両罪における違いといえるでしょう。
盗撮ではその他の刑罰を受ける可能性もある
令和5年7月の法改正以降、盗撮は主に撮影罪として処罰されることになりました。
撮影罪は、盗撮をより厳罰化するために施行された新しい法律(性的姿態撮影等処罰法)で、従前適用されていた軽犯罪法や迷惑防止条例よりも重い刑罰が定められています。
撮影罪の刑罰「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」
撮影罪が施行された令和5年7月13日以降の盗撮行為については、撮影罪が適用されることになりますが、犯行態様次第では、軽犯罪法違反や迷惑防止条例違反として刑罰を受ける場合もあります。
また、盗撮したデータが未成年者の裸や半裸などであった場合には、余罪として児童ポルノ禁止法違反に問われる可能性があります。
児童ポルノとは、18歳未満の未成年者の裸や半裸といった、児童に対するわいせつ行為が記録された写真や動画のことで、児童ポルノの行為態様によって異なる刑罰が定められています。
児童ポルノ禁止法違反の刑罰所持・保管:「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」
製造:「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」
陳列:「 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金または併科」 など
住居侵入罪・建造物侵入罪は緊急逮捕が認められている
盗撮の余罪で多い住居侵入罪・建造物侵入罪は、緊急逮捕が認められています。
緊急逮捕とは、一定の重大犯罪の場合に逮捕状なしで逮捕できる方法であり、逮捕状の発布を待てない緊急を要する場合に行われます。
逮捕状なしで犯人を逮捕できる現行犯逮捕との違いは、次のような点にあります。
緊急逮捕と現行犯逮捕の違い
| 現行犯逮捕 | 緊急逮捕 | |
|---|---|---|
| 実施できる犯罪の種類 | すべて | 死刑・無期・長期3年以上の懲役・禁錮の犯罪 |
| 逮捕できる人物 | 警察官、私人(一般人) | 警察官のみ |
| 逮捕状の要否 | 不要 | 逮捕後に必要 |
盗撮だけでなく、住居・建造物侵入罪にも問われてしまう場合は、より重い刑罰が科せられる可能性があります。
そのため、なるべく早めに弁護士に相談し、減軽を目指した弁護活動を進める必要があります。
弁護活動に着手する時間が早ければ早いほど活動の範囲が広がり、減軽となる可能性が高まるでしょう。
盗撮で住居侵入罪・建造物侵入罪で逮捕された後の流れ
盗撮に加えて、住居侵入罪・建造物侵入罪で逮捕された後は、基本的に次のような流れで手続きが進んでいきます。
- 逮捕後72時間は面会禁止
- 勾留10日間(最大20日間)
- 起訴・不起訴の決定
- 略式起訴
次項では、各手続きについて、もう少し詳しく解説していきます。
①逮捕後72時間は面会禁止
警察に逮捕された後の72時間(3日間)は、たとえ家族であっても被疑者とは面会禁止です。
逮捕直後の面会は、被疑者の弁護士に限り認められています。
逮捕されている間は、当然家族や会社に連絡できないため、今後の対応の仕方などのアドバイスを受けるためにも、接見を通して弁護士と話し合い、今後に備えることが大切です。
なお、逮捕後72時間の間に、警察と検察それぞれから取り調べを受けます。
取り調べの内容次第では、72時間経過した後にさらなる身柄拘束を求める勾留請求がなされる可能性があるため、適切な対応で取り調べを受ける必要があります。
②勾留10日間(最大20日間)
検察が裁判所に対して勾留請求を行い、認められた場合には、10日間(最大20日間)の勾留が実施されます。
まず、逮捕されてから48時間の間は、警察による取り調べを受け、その後検察に事件と身柄が送致されます。その後、今度は検察からの取り調べを受け、24時間以内に検察から勾留請求の可否が下されます。
「被疑者の身柄拘束を継続するべき」と検察が判断した場合は、裁判所に対して勾留請求が行われます。裁判所から勾留請求が認められると、はじめに10日間の勾留が実施されます。
勾留は、10日間の延長が認められているため、最大で20日間の勾留が実施される可能性があります。
逮捕後の捜査が長引くと、勾留が延長され、身柄拘束の期間が長引くおそれがあるため、早期釈放に向けた弁護活動が重要となります。
③起訴・不起訴の決定
最大20日間の勾留が終わるまでに、検察は起訴・不起訴の決定を下します。
被疑者を起訴すると判断した場合には、刑事裁判が開かれ、犯罪事実について裁判所の審判を受けます。
一方で、不起訴と判断されると、直ちに身柄拘束が解かれて逮捕される前の日常に戻れます。
日本における有罪率は99.9%と非常に高く、起訴されれば100%の確率で有罪判決が下るとされています。
起訴され有罪判決が下されれば、経歴に前科が付き、さまざまな方面に大きな影響が及びます。
仕事であれば、解雇・懲戒処分のおそれが、家庭であれば、離婚のおそれが生じるでしょう。有罪判決を回避するためには、早期段階から不起訴処分の獲得に向けた弁護活動を行う必要があります。
④略式起訴
住居・建造物侵入罪は、略式起訴されるケースも多いです。
起訴には、通常の起訴である正式起訴と簡易的な手続きによる起訴の略式起訴があります。
正式起訴は、公開の法廷で裁判を求めるため公判請求とも呼ばれており、一般的にイメージする裁判のかたちです。一方で略式起訴は、公開の法廷を開かずに書面だけで審理する裁判です。
そのため、正式起訴よりも早く事件が終了します。ただし、略式起訴が行えるのは、比較的軽微な犯罪(100万円以下の罰金・科料に相当する事件)に限られます。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
住居侵入罪・建造物侵入罪で逮捕された場合の対処法
盗撮と併せて住居侵入罪・建造物侵入罪で逮捕された場合には、早期釈放や不起訴処分の獲得を目指した弁護活動を直ちに進める必要があります。
特に両罪は、被害者のいる犯罪であるため、まずは被害者との示談交渉を進めるべきといえます。
理由については、次項で詳しく解説していきます。
被害者と示談する
盗撮が目的で他人の住居や看守する建造物に侵入した場合は、被害者に謝罪し、示談交渉を行うことが大切です。
被害者との示談は、「事件の当事者同士が和解したこと」を意味します。
そのため、刑事処分の判断を行う際に、有利な事情として考慮されやすく、早期釈放や不起訴処分の獲得に大きく近づきます。
ただし、被害者の多くは、加害者側との接触を拒み、示談交渉に応じてくれません。
被害者が話し合いを拒否する場合には、弁護士への依頼が必要不可欠になるでしょう。弁護士であれば、感情的にならず冷静に示談交渉を進められます。
被害者も「弁護士であれば‥」と話し合いに応じてくれやすくなるため、円滑に交渉を進められます。
住居侵入罪・建造物侵入罪の被害者とは?
住居侵入罪・建造物侵入罪の被害者と考えらえる人物は、侵入した場所によって若干異なります。
「侵入したことによって、誰が被害を受けたのか」という点を慎重に判断したうえで、示談交渉を行う必要があります。
| 戸建て住宅の場合 |
|
|---|---|
| 集合住宅の場合 |
|
| コンビニや会社の事務所などの場合 |
|
たとえば、侵入した場所が戸建て住宅の場合は、居住者が被害者となります。
ただし、複数人が同居している場合は、代表となる世帯主と連絡を取り、示談交渉を進めることになるでしょう。
弁護士に相談する
少しでも有利な条件で事件を終了するには、弁護士への相談が不可欠です。
住居・建造物侵入罪は、“何らかの目的”で侵入を図るケースが多く、同時に余罪が発覚しやすい犯罪といえます。
盗撮目的で侵入した場合は、盗撮の罪と侵入の罪に問われ、より重い刑罰が科せられます。
そのため、状況に応じて適切な対応を行える弁護士の力が必要です。
弁護士であれば、以下のようなメリットを得られるでしょう。
- 逮捕直後から面会できる
- 被害者との示談交渉を任せられる
- 早期釈放や不起訴獲得が期待できる
- 刑罰や刑事処分を軽減できる可能性が高まる
- 取り調べや今後の対応について、適宜アドバイスを受けられる など
逮捕直後の取り調べを適切に対応し、量刑の判断に有利な事情となる要素の主張・立証が行えれば、早期釈放や不起訴獲得の可能性をより高められます。
実現するには、刑事事件や法律の専門的知識が必要となるため、特に刑事事件に精通した弁護士を選ぶようにしましょう。
盗撮で住居侵入罪にあたる可能性がある場合はすぐに弁護士法人ALGにご相談ください
盗撮を目的とし、他人の住居や看守する建造物に侵入すると、余罪として住居・建造物侵入罪に問われる可能性があります。
両罪が成立した場合、より重い刑罰が科せられるため、まずは被害者との示談交渉を進めることが重要です。
弁護士であれば、逮捕され身柄拘束を受けている状況であっても、代わりに弁護活動を進められます。適切かつ効率的に動けるため、有利な条件で解決できる可能性をより高められます。
また、どれだけ早く弁護活動に着手できるかどうかも結果に大きく繋がります。弁護活動に早く着手できれば、時間をかけて幅広くサポートできます。
盗撮を行い、住居・建造物侵入罪に問われてお困りの方は、なるべく早めに弁護士にご相談ください。
