強盗予備罪とは?準備で罪に問われる?構成要件や刑罰などを解説
「強盗の準備をしただけであれば、罪に問われないのでは?」と思われる方は、少なくないでしょう。
確かに、罪を犯す前の準備段階であれば、まだ犯罪行為はしていないのだから大丈夫だろうと思ってしまいます。
しかし、重大犯罪の中には、罪を犯す前の準備段階であっても、刑法で処罰対象とされているものがあるため、注意が必要です。
この記事では、強盗予備罪の構成要件や刑罰などについて、詳しく解説していきます。
目次
強盗予備罪とは
強盗予備罪は、強盗を行うための準備行為をした場合に成立する犯罪です(刑法第237条)。
刑法では、強盗罪の危険性や重大性を踏まえて、実際に強盗を行っていなくても、準備行為自体が処罰対象とされています。
例えば、「コンビニ強盗を行うためにカッターナイフを持参し、店に向かう」など、強盗に向けた具体的な準備をしていると、強盗予備罪に問われる可能性があります。
強盗の準備段階でも、罪に問われる可能性があることに注意が必要です。
強盗罪とは
強盗罪は、暴行や脅迫などの手段で他人の財物または財産上の利益を奪う犯罪です(刑法第236条)。
「暴行や脅迫」とは、相手の反抗を抑えつける程度の強さを持つ行為を指します。例えば、「ナイフを突きつけて脅す」「長時間にわたり殴る」などが強盗罪における暴行や脅迫です。
強盗罪の刑罰は、刑法で5年以上の有期拘禁刑と定められています。
暴力や脅迫を伴う強盗罪は、被害者に大きな身体的・精神的被害を与えるため、社会的な非難も多いです。
そのため、財産犯(他人の財産権を侵害する犯罪の総称)の中でも、強盗罪は重大犯罪として位置づけられており、厳しい刑罰が定められています。
強盗未遂との違い
強盗予備罪と強盗未遂罪の違いは、実際に強盗を行ったかどうかです。
強盗未遂罪は、「強盗を行おうと試みた結果、財物を奪う目的を達成できなかった」、いわゆる未遂の場合に成立します。
一方、強盗予備罪は、「強盗を行うために準備した」段階で成立するため、実際の強盗行為にはまだ着手していません。
つまり、強盗予備罪は、実行行為の前に成立するのに対し、強盗未遂罪は、実行行為の後に成立するということです。
実行行為前・後では、当然刑罰も異なります。
実行行為後である強盗未遂罪は、強盗罪と同じく5年以上の有期拘禁刑が刑罰として定められていますが、実行行為前である強盗予備罪は2年以下の拘禁刑です。
実行行為後である強盗未遂罪の方が、強盗予備罪よりも重い刑罰が定められています。
強盗予備罪の構成要件
強盗予備罪が成立するためには、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 強盗の罪を犯す目的がある
- 予備行為を行う
強盗の罪を犯す目的がある
強盗予備罪の成立には、強盗の罪を犯すという明確な意思が必要です。
「強盗するかもしれない…」「強盗した方がいいかな…」などの曖昧な意思ではなく、「強盗する!」という確定的な意思がなければ成立しません。
自ら強盗の罪を犯す目的があったかどうかについては、実際の行動や準備の具体性などから、総合的に判断されます。
予備行為を行う
強盗予備罪は、予備行為を行っていないと成立しません。
予備行為とは、犯罪を実行する前の準備段階で行われた行為です。例えば、以下のような予備行為を行っていた場合は、強盗予備罪の成立が認められる可能性があります。
- 強盗に使うナイフを携帯して被害者宅周辺を徘徊する
- 強盗先の家や店舗の下見に行く
- 防犯状況や人の出入りを調べる
- 逃走経路を確保する
- 凶器や金品を入れる鞄を購入する など
単なる思案や計画書の作成だけでは、強盗予備罪の成立は認められないため、客観的な予備行為が必要となります。
強盗予備罪の刑罰
強盗予備罪の刑罰は、刑法第237条で「2年以下の拘禁刑」と規定されています。
強盗予備
第二百三十七条 強盗の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の拘禁刑に処する。
強盗予備罪は、強盗の前段階で成立する犯罪なので、強盗罪と比較すると刑罰は軽いです。しかし、準備をしただけでも実刑の可能性があるため注意が必要です。
窃盗から強盗予備罪に発展するケース
当初は窃盗目的だったが、途中から強盗を行う意思が新たに生じた場合は、窃盗から強盗予備罪に発展する可能性があります。例えば、以下のようなケースです。
- 当初は誰もいない家に侵入して窃盗する予定だったが、被害者が在宅していたため、凶器を準備して「暴行や脅迫で奪う」方針に切り替えた
- 窃盗後の逮捕を免れるために凶器を用意した(事後強盗)
- 窃盗の下見中に「店員を脅して金品を奪う方が確実」と判断し、ナイフや覆面を購入した など
事後強盗とは、「窃盗後の逮捕を免れる」「盗んだ物を保持する」などのために、暴行や脅迫を用いることをいいます。事後強盗では、窃盗と強盗予備の境界が問題となるため、注意が必要です。
強盗予備罪と中止犯・幇助・事後強盗の関係
強盗予備罪に中止犯は成立する?
過去の判例(最高裁 昭和29年1月20日判決)では、強盗予備罪に中止犯は成立しないと判断されています。中止犯(中止未遂)とは、罪を犯そうとしたが自発的に中止した場合は、刑が減軽または免除される制度のことです。
刑法第43条
未遂減免
第四十三条 犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
判例では、予備段階での中止犯の成立は認められていませんが、学説上は予備行為の中止にも減免を認めるべきとの意見があります。
しかし、現在の法解釈では、「予備段階で中止しても刑の軽減は期待しにくい」とされているため、強盗予備罪で中止犯は成立しないと考えておくべきでしょう。
幇助したら強盗予備罪になる?
強盗予備罪は、幇助(他人の強盗予備を手助けすること)しても成立しません。強盗予備罪は、あくまで「自分」が強盗する目的で予備行為をした場合に成立する犯罪だからです。
ただし、手助けした相手が実際に強盗を実行した場合は、強盗の幇助罪(幇助犯)に問われる可能性があります。
刑法第62条
幇助
第六十二条 正犯を幇助した者は、従犯とする。
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
例えば、知人が強盗を企てている際に、「凶器の購入を代わりに行う」「犯行場所の下見を手伝う」といった手助けを行うと、強盗罪の幇助罪に問われます。
幇助罪は、主たる強盗罪の従犯(犯罪を幇助した者)として、減軽されるのが特徴です。
事後強盗から強盗予備罪は成立する?
「事後強盗からの強盗予備罪は成立する」と認められた判例があります(最高裁 昭和54年11月19日決定)。この裁判では、強盗予備罪の構成要件である「強盗の罪を犯す目的」には、事後強盗も含まれると判断されました。
例えば、窃盗する目的で店舗に忍び込もうと徘徊しているときに、巡回中の警察官に職務質問され、もしもの時用で準備していた凶器などが見つかった場合です。この場合は、事後強盗予備罪に問われる可能性が高いでしょう。
学説上では否定する見解もありますが、成立が認められた判例があるため、現時点では事後強盗からの強盗予備罪は成立すると考えられます。
事後強盗とは?
窃盗後の逮捕や追跡を免れるために、暴行や脅迫を用いること
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強盗予備罪で逮捕された場合の流れ
強盗予備罪に問われた場合に弁護士へ相談するメリット
法的観点から強盗予備罪に該当するか検討できる
弁護士は、強盗予備罪が成立するかどうかを法的観点から検討できます。
少しでも該当しない可能性があれば、それを証明する証拠を収集し、主張や立証を行って不起訴の獲得を目指します。弁護士にしかできない専門的な判断は、早期釈放や不起訴の獲得に大きくつながるでしょう。
早期釈放・不起訴が期待できる
逮捕による身柄拘束が長引くと、仕事や家庭に悪影響が及ぶ可能性が高いです。解雇や退学、離婚といった最悪の事態を回避するためには、身柄拘束を早めに解く必要があります。
弁護士であれば、逮捕直後から接見(面会)できるため、早期段階から弁護方針を構築でき、釈放に向けた弁護活動を行えます。
逮捕後すぐに行われる捜査機関からの取り調べについても、弁護士から事前にアドバイスをもらえれば、適切な対応が可能です。特に刑事事件に詳しい弁護士であれば、取り調べでの対応方法を具体的に教えてもらえるため、早期釈放・不起訴の獲得が期待できるでしょう。
「不起訴の獲得」や「前科の回避」を目指したい方は、以下のページもご覧ください。
不起訴処分とは?執行猶予が付く可能性が高まる
強盗予備罪は、強盗を行う前に成立する犯罪行為なので、法定刑が「2年以下の拘禁刑」と比較的軽く、起訴されても執行猶予が付く可能性があります。
弁護士は、被疑者・被告人にとって有利な事情の主張・立証を行い、執行猶予付き判決獲得の可能性を高めることが可能です。
特に刑事事件の知識や経験が豊富な弁護士であれば、より戦略的な弁護活動を行えます。
執行猶予について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
執行猶予とは?違いや注意点を解説強盗予備罪を疑われた場合は、早急に弁護士へご相談ください
強盗罪は重大犯罪に位置づけられているため、準備をしただけでも「強盗予備罪」に問われる可能性があります。
強盗予備罪の容疑で逮捕されれば、長期間の身柄拘束や起訴による前科など、取り返しのつかない事態を招きかねません。
ただし、強盗予備罪は“強盗罪の前段階”で成立する犯罪であるため、予備行為の内容や目的によっては成立しないケースもあります。
弁護士であれば、強盗予備罪の成立可否を判断し、早期釈放や不起訴の獲得を目指した弁護活動が行えます。
弁護士への相談は、早ければ早いほど弁護活動の幅が広がり、充実した法的サポートを受けられるため、お悩みの場合はぜひ弁護士法人ALGへご相談ください。
