前科がつく影響は?仕事や生活、再犯時へのデメリットと対処法

前科がつく影響は?仕事や生活、再犯時へのデメリットと対処法

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
手錠をかけられた男性

刑事裁判で有罪判決を受けると、経歴に前科がつきます。
前科による悪影響は、就職や仕事だけでなく、家庭や日常生活にまで及ぶ可能性が高いです。

前科がつく可能性がある場合には、なるべく早めの段階で弁護士に相談し、弁護方針を構築させなければなりません。

この記事では、前科がつくことによる仕事や私生活への影響、前科を回避するための対処法などについて、詳しく解説していきます。

前科がつく影響は?

前科による影響は、主に以下のとおりです。

  • 就職制限や解雇
  • 資格取得の制限
  • 海外渡航時の制限
  • 再犯時の刑罰加重
  • 社会的信用や対人関係の悪化 など

前科がつくと、社会生活でさまざまなデメリットが生じ、不利益を受ける可能性があります。

ただし、前科は戸籍や住民票には一切記載されないため、生活保護やローン審査、結婚などに直接影響する可能性は低いです。

【前科の影響】就職・仕事におけるデメリット

前科が就職・仕事に与える主なデメリットは、以下のようなものです。

  • 履歴書の記載や面接で申告を求められる場合がある
  • 就職が制限される・資格を取り消される職業がある
  • 解雇のおそれがある

資格の取得が制限されるのは、国家公務員や警備員など特定の職業です。

また、前科が就業規則上の“懲戒事由”に該当する場合、勤め先から解雇や停職などの処分を受ける可能性もあります。

履歴書の記載や面接で申告を求められる場合がある

履歴書に「賞罰欄」がある場合は、経歴詐称とならないよう、前科について正直に記載する必要があります。

賞罰欄のない履歴書であれば、必ずしも前科を記載する必要はありませんが、面接で質問されたら正直に答えましょう。

経歴詐称と判断されると、懲戒解雇などの厳しい処分を受ける可能性があります。

「前科持ちだとバレたら採用されないだろう」と思われるかもしれませんが、記載しないことで生じるリスクも高いです。

場合によっては、経歴詐称を理由に会社から損害賠償請求される可能性もあります。
前科を自発的に申告する義務はありませんが、賞罰欄や面接で有無を問われた際は注意が必要です。

就職が制限される・資格を取り消される職業がある

前科がつくと、一部の国家公務員への就職が制限されたり、取得済の国家資格が取り消されたりすることがあります。

前科によって制限される職業・資格は、刑罰の内容によって下表のように異なるため、一律ではない点に注意が必要です。

罰金刑以上で制限される職業
資格・職業 制限される期間
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師 【罰金の場合】刑の執行または執行免除までとその後5年間
執行猶予の場合】執行猶予中
【実刑の場合】実刑期間の満了から10年間
拘禁刑以上で制限される職業
資格・職業 制限される期間
国家公務員、地方公務員、自衛隊員 刑の執行終了または執行猶予期間が満了するまで
保育士、旅客自動車運送事業者、社会福祉士・介護福祉士 刑の執行終了または執行猶予期間の満了から2年間
質屋、公認会計士・公認会計士補、行政書士、司法書士、不動産鑑定士 刑の執行終了または執行猶予期間の満了から3年間
警備業者・警備員、宅地建物取引士、貸金業者、建設業者、建築士(一級、二級、木造建築士) 刑の執行終了または執行猶予期間の満了から5年間
学校の校長・教員、裁判官、検察官、弁護士、保護司、調停委員、教育委員会の委員 刑の執行終了または執行猶予期間の満了から10年間

解雇のおそれがある

一般企業の社員であれば、前科がついたからといって必ず解雇されるわけではありません。

ただし、会社のお金を横領したケースなど、仕事に関連する犯罪であれば、懲戒解雇が有効となる可能性が高いでしょう。

仕事と関係のない前科でも、就業規則に「前科がついた場合は停職処分や降格処分をすることがある」といった規定があれば、処分が有効になる可能性があります。

逮捕や前科の事実は社内で噂になりやすいため、周囲から白い目で見られるなど、処分以外の影響も大きいと考えられます。

【前科の影響】家庭や日常生活におけるデメリット

前科が家庭や日常生活に与える主なデメリットは、以下のようなものです。

  • 裁判で離婚が認められてしまう可能性がある
  • 親権争いにおいて不利になるケースがある
  • 海外旅行の制限・ビザが必要になる場合がある

前科は、離婚や親権問題に悪影響を与えるだけでなく、海外旅行を制限される可能性もあります。

裁判で離婚が認められてしまう可能性がある

前科の内容によっては、法定離婚事由の一つである婚姻を継続し難い重大な事由に該当し、裁判で離婚が認められてしまう可能性があります。

必ずしも離婚が認められるわけではありませんが、犯罪内容が重大(殺人や性犯罪など)である場合は、婚姻への影響も大きいと判断されやすいです。

裁判では、犯罪内容が配偶者に身体的・精神的・経済的な負担を与え、「夫婦関係が破綻した」と認められるかどうかがポイントとなるでしょう。

親権争いにおいて不利になるケースがある

前科がつくと、親権争いで不利になる可能性があります。

家庭裁判所は、親権者を選ぶ際に「子供の幸せ(利益)」を最優先に考えます。
例えば、殺人や性犯罪を行った前科があると、「子供の養育にふさわしくない」と判断されやすいでしょう。

前科を理由に解雇され、無収入の場合は、「子供を養育する経済基盤がない」と判断される可能性もあります。

家庭裁判所が前科者について「子供の幸せ(利益)を害する」と判断すれば、親権争いは著しく不利になります。

親権を獲得したい場合は、再犯防止策や育児実績などを正しく主張し、証拠をもって立証することが重要です。

海外旅行の制限・ビザが必要になる場合がある

入国管理の厳しい国では、前科がある人に対してはパスポートだけでなくビザを要求することがあります。グループで海外に行く場合、前科のある一人だけがビザを要求される可能性もあります。

例えば、アメリカ、カナダ、オーストラリアは犯罪歴のある人に対して厳しい態度をとっているため注意が必要です。

特にアメリカは入国審査が厳しく、前科ではなく“逮捕歴”だけの場合も、ビザを申請して審査を受けなければなりません。

海外旅行に行く際は、ビザの取得が必要かどうかなど、手続きを事前に確認しておきましょう。

【前科の影響】再犯時の刑罰におけるデメリット

前科の有無は、再犯時の情状面で考慮されるため、再犯の裁判では不利に働く可能性が高いです。

再犯の場合、「10年以下だった拘禁刑の長期が20年になる」など、拘禁刑の長期が2倍になります(再犯加重)。

【例】傷害罪で有罪判決が下された場合

法定刑:15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
➡ 再犯加重されると、「30年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」に引き上げられる。

前科と再犯の犯罪類型が全く異なる場合は、常習性や再犯性が重く評価されにくいため、影響は比較的小さいです。

また、過去に拘禁刑(禁錮・懲役)以上の刑に処せられたことがある場合、その刑の執行が終了または免除された日から5年以内は、執行猶予がつきにくくなります。

執行猶予と前科との関係については、以下のページをご覧ください。

執行猶予でも前科はつく?

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前科持ちであることはバレるのか?

前科持ちであることは、自ら話さない限りバレる可能性は低いでしょう。

ただし、実名報道されると、インターネット上に情報が半永久的に残るため、バレる可能性が高まります。

前科情報は、戸籍や住民票に記載されないため、公的機関を通して発覚するおそれはありません。

本籍地の市区町村では、資格制限や選挙権の確認のため前科情報が「犯罪人名簿」に記載されますが、プライバシー性の高さから厳重に保管されています。

一方、会社で犯罪を行った場合は、関係者への事情聴取などによって犯罪事実が明るみになる可能性が高いです。

詳しくは、以下のページをご覧ください。

前科の調べ方は?

前科が消えることはあるのか?

前科は、一度つくと死ぬまで消えることはありません。

ただし、以下のケースでは、一定期間が経過すると刑の言い渡しが効力を失い、就職や資格取得の制限といった前科による影響を受けなくなります。

  • 刑の全部の執行猶予を取り消されることなく、その執行猶予期間を経過したとき
  • 拘禁刑以上の刑の執行が終わる、または罰金以上の刑を受けることなく10年を経過したとき
  • 罰金以下の刑の執行が終わる、または罰金以上の刑を受けることなく5年を経過したとき

刑の言い渡しが効力を失えば、履歴書の賞罰欄に前科を記載する必要がなく、海外旅行の制限もなくなります。

前科自体が消えることはありませんが、社会生活は以前よりも送りやすくなるでしょう。

警察・検察の記録は残る

前科の情報は、警察や検察といった捜査機関のデータベース上に残り続けます。
前科者が死亡しても、刑の言い渡しの効力が消滅しても、記録が消えることはありません。

前科の情報は捜査資料の一つであり、将来の事件捜査のために保存されています。
そのため、一般公開されることはなく、捜査機関から前科の情報が漏れる可能性は低いです。

前科を回避するための対処法

前科を回避するための対処法は、以下のとおりです。

  • 早急に弁護士に依頼する
  • 不起訴処分の獲得を目指す
  • 被害者と示談交渉する

刑事事件の手続きは、想像しているよりも早く進んでいくため、迅速な対応が不可欠です。

特に、被害者のいる事件の場合は、被害者との示談成立が刑事処分・量刑判断に大きく影響します。

早急に弁護士に依頼する

前科を回避するには、早急に弁護士に依頼し、弁護活動を行ってもらうことが大切です。弁護士であれば、以下のようなサポートが可能です。

  • 自首に同行できる
  • 逮捕直後から接見(面会)が可能なため、早期段階から弁護方針を構築できる
  • 捜査機関による取り調べの対応について、アドバイスできる
  • 検察官に意見書や情状資料を提出できる
  • 被害者との示談交渉を進められる など

逮捕を伴う刑事事件の手続きは、制限時間が厳格に定められているため、初動とスピード感をもった対応が重要となります。

早い段階から弁護士に依頼できれば、逮捕や前科の回避につながりやすくなるでしょう。

検察官から起訴されると、刑事裁判で有罪判決を受け、前科がつく可能性が高いです。

弁護士が味方となれば、早期釈放や執行猶予付き判決を目指した活動を行ってもらえるため、不安やストレスといった心理的負担も軽減しやすいでしょう。

不起訴処分の獲得を目指す

有罪判決を受けると前科がつくため、不起訴処分を目指すのがポイントです。

「どうせ不起訴処分になるだろう」と安易に考える方もいらっしゃいますが、日本の有罪率は100%に近いため、起訴されれば高確率で有罪判決を受けてしまいます。

できるだけ早めに弁護士のサポートを受け、起訴を回避するための弁護活動を行ってもらうのが重要です。

不起訴処分獲得のポイントについては、以下のページをご覧ください。

不起訴処分とは?

被害者と示談交渉する

被害者がいる事件では、被害者との示談成立が被疑者・被告人にとって有利な情状とされるため、前科を回避できる可能性が高まります。

示談の成立によって被害届が取り下げられることもあり、不起訴の判断に有利に働きやすいといえます。

ただし、被害者が加害者に対して強い処罰感情をもっている場合、示談成立は決して容易ではありません。

示談交渉をスムーズに進めるためにも、刑事事件に精通した弁護士に依頼するのが得策でしょう。

詳しくは、以下のページをご覧ください。

刑事事件では示談成立を目指すべき!

前科の影響に関するよくある質問

前科がつくと借入やローンの審査に通りづらくなりますか?

前科がついても、借入やローンの審査が通りにくくなることは基本的にありません。

通常、金融機関は信用情報機関(CICやJICC)に登録された情報を基に審査を行いますが、前科の有無は登録されていないため、審査に反映されることもありません。

ただし、審査では収入状況が重視されるため、前科によって解雇・減給となれば間接的に影響を受ける可能性はあるでしょう。

前科があると生活保護は受けられないですか?

前科がついても、生活保護の受給は可能です。

日本の生活保護制度は、「生活に困窮するすべての国民」を対象としているため、資産や収入不足など一定の要件を満たしていれば受給できます。

ただし、刑務所に入っている間は、生活に必要な衣食住が国費で支払われるため、生活保護の対象外となります。

前科がつくと選挙権を失ってしまいますか?

前科で永久的に選挙権を失うことはありませんが、一定の刑罰を受けた場合に限り、選挙権が一時的に停止されます。

例えば、「拘禁刑以上の実刑判決を受けた」「政治資金規正法や公職選挙法等違反の前科がある」場合は、選挙権が停止されます。

選挙権は、憲法により日本に住むすべての成年者に保障された権利です。前科者であっても、刑の執行が終われば、選挙権は自動的に回復します。

政治資金規正法違反の具体例 収支報告書の虚偽記載や不記載(裏金)、寄付受領 など

公職選挙法違反の具体例 買収、事前運動、戸別訪問 など

自分に前科がついた場合、家族の就職や結婚に影響はありますか?

前科がついても、家族の就職や結婚に直接的な影響を与えることはありませんが、心理的かつ社会的な影響が生じる可能性はあります。

例えば、家族が警察官や自衛官になりたい場合、身辺調査が行われ、結果に影響を及ぼす可能性があるでしょう。
結婚についても、相手の家族や親族が前科を理由に反対する場合もあります。

前科持ちの事実を隠して結婚しても、後でバレれば信頼関係が失われるのは明白です。

必ず不利益を受けるわけではありませんが、悪影響が及ぶ可能性は少なからずあるでしょう。

前科が及ぼす影響は大きいため、早急に弁護士へご相談ください

前科が及ぼす影響は、決して小さくありません。

状況を少しでも良くするには、初動の対応が重要となるため、なるべく早い段階で弁護士に相談するのが有効です。
弁護士であれば、前科の回避を目指した弁護活動を速やかに開始することができます。

弁護士法人ALGには、刑事事件の知識や経験が豊かな弁護士が複数名在籍しているため、適切な初動対応を行うことが可能です。
状況に応じて臨機応変に対応することで、手間や不安も大きく軽減できるでしょう。

前科を回避するためにも、お一人で抱え込まず、ぜひ私たちにご相談ください。

専門家が適切な対応を取ることで、前科による将来への影響を最小限に抑えられる可能性があります。

逮捕後72時間以内弁護活動が運命を左右します

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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