執行猶予なら前科はつかない?初犯なら執行猶予がつく?前科との関係を解説!

執行猶予なら前科はつかない?初犯なら執行猶予がつく?前科との関係を解説!

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
執行猶予なら前科はつかない?初犯なら執行猶予がつく?前科との関係を解説!

ニュース等で「懲役1年、執行猶予3年」といった言葉を見聞きすることもあるでしょう。

執行猶予がつくと、刑務所に入らなくて済むという点については、なんとなく認識している方も多いかもしれません。
しかし、詳細を問われるとどうでしょう?

ここでは、執行猶予とはどのような制度か、執行猶予がつくとどうなるのか、どうすれば執行猶予がつくのか等について解説します。

なお、刑の一部の執行を猶予する制度もありますが、この記事においては、特に断りがない場合には刑の全部執行猶予についてのみ扱います。

執行猶予とは

執行猶予とは、刑罰を執行するのを一定期間猶予して、その猶予期間が無事に経過すれば、刑の言い渡しの効力を失わせる制度です。

例えば、判決内容が「懲役1年、執行猶予3年」だとすると、刑務所に入らずに一般社会での生活を送ることになります。

そして、そのまま3年が経過すると刑の言い渡しは効力が失われるため、結果的に刑務所に入ることはなくなります。

ただし、期間中に再犯した等の理由により執行猶予を取り消されると、前回の刑も併せて受けることになってしまいます。

執行猶予でも前科はつく

執行猶予がついたとしても、有罪判決が下されたことに変わりはないため前科はつきます。

これは、執行猶予期間が無事に経過し、刑の言い渡しの効力が失われても変わりません。

ですが、刑務所に収監されて自由を奪われるのと、社会生活を送りながら更生するのとでは大きな違いがあります。

刑務所に収監されて履歴書に空白期間が生じると、就職活動において説明を求められる等のリスクがあるからです。

なお、懲役刑等を受けたことが欠格事由とされている国家資格等について、執行猶予期間が経過して刑の言い渡しの効力が失われれば、その資格等を取得する権利が復活するため、就職するには有利になるでしょう。

なぜ執行猶予という制度ができたのか

執行猶予は、短期間の懲役刑等の執行を猶予して、被告人が社会生活を送りながら更生できるように作られた制度です。

一般的に、犯罪者には少しでも長く刑務所に入っていてほしいと思う方も少なくないため、どうして執行猶予をつけるのかがわからないかもしれません。

しかし、犯罪が比較的軽微で、現実に刑を執行する必要性がそれほど大きくない場合もあり、また、刑務所に収監することによって弊害が生じるおそれがあるため、全ての犯罪者を収監した方が良いわけではないのです。

例えば、更生の意欲がある犯罪者を刑務所に入れてしまうと、出所しても就職しにくくなる等の影響が生じることにより、更生の意欲が失われてしまうおそれがあります。

「初犯だから執行猶予がつく」は正しいか

初犯であっても、執行猶予がつくとは限りません。
後述のように、言い渡しを行う刑罰の重さによっては執行猶予をつけることができません。

また、執行猶予をつけるか否かは、犯行の態様や計画性、被告人の反省の度合い、被害者の処罰感情等を考慮して決められます。

そのため、例えば組織的な詐欺のように、犯行が悪質で被害額も大きくなりがちな犯罪では、初犯であっても執行猶予がつかないことも珍しくありません。

執行猶予がつく犯罪とは

執行猶予がつけられるのは、言い渡すべき宣告刑が3年以下の懲役刑または禁錮刑、もしくは50万円以下の罰金刑であった場合のみです。

ただし、罰金刑に執行猶予がつくことは実務上ほとんどありません。

執行猶予がつきやすい犯罪としては、以下が挙げられます。

  • 少額の窃盗
  • 突発的な暴行
  • 交通犯罪等

とはいえ、これらの犯罪であっても、様々な事情を考慮した結果として、執行猶予がつけられないこともあるので注意が必要です。

執行猶予がつかない、一発で実刑になる犯罪にはどんなものがある?

基本的に、法定刑の下限が懲役3年を上回っている罪を犯した場合には、実刑になるリスクが高いです。

そのような罪には、殺人罪、強盗罪、強制性交等罪、現住建造物等放火罪などが該当します。

しかし、これらの罪を犯すと必ず実刑になるわけではありません。

犯行が未遂に終わったケースや犯人が自首したケース、情状酌量が認められたケース、心神耗弱が認められたケース等では刑が減軽されて3年以下の懲役刑になることもあり、執行猶予がつけられることがあります。

逮捕後72時間以内弁護活動が運命を左右します

刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。

前科があると執行猶予がつかないのか

前科があると、執行猶予がつく可能性が低くなることは確かです。

なぜなら、反省していること等を考慮されて執行猶予をつけてもらった者が再び罪を犯したことにより、十分に反省していなかったと考えられたり、再び罪を犯すのではないかと考えられたりするからです。

また、前科があると、執行猶予をつけることが認められないケースがあります。
それは、実刑を受けて刑務所に収監され、刑の執行が終わった日から5年が経過していないケース等です。

しかし、前科があったとしても、その前科が罰金刑であった場合や、前科が懲役刑であっても執行猶予がつけられており、その期間が経過していた場合等では、執行猶予をつけてもらうことが可能です。

ただし、前科があると執行猶予を認めてもらいにくくなるため、悪質な犯行ではなかったこと、今度こそ深く反省して更生を誓っていること、親族や勤務先が本人の監督をきちんと行うことなどを、刑事裁判において裁判所にきちんと伝える必要があります。

また、被害者がいるケースでは、謝罪することや示談を成立させることが重要となります。

前科があっても執行猶予が認められるケース

前科があっても執行猶予がつく条件として、以下のものが挙げられます。

  • 前科が罰金、拘留、科料である場合
  • 前科に全部執行猶予がつけられており、その執行猶予期間が経過している場合
  • 実刑判決を受けて、刑の執行が終わった日から5年以上経過していた場合
  • 保護観察付ではない執行猶予期間中に、1年以下の懲役刑または禁錮刑の言い渡しを受け、情状に特に酌量すべきものがある場合

なお、これらの条件に該当しても、執行猶予をつけてもらうのは前科がないときよりも難しくなります。

執行猶予期間を終えても前科は前科

初犯である場合や、重大犯罪ではないために執行猶予がつくことを期待できる場合であっても、執行猶予をつけてもらえる可能性を高めるために、弁護士に相談することをおすすめします。

短期間の懲役刑であっても、必ず執行猶予がつくわけではありません。
また、執行猶予がついたとしても有罪であることに変わりはないので、前科がついてしまいます。

起訴される前に弁護士にご依頼いただければ、被害者がいる事件では示談を成立させるために交渉し、被害者がいない事件であっても贖罪寄付等の手立てによって、なるべく起訴されないように活動します。

できることを全てやっておけば、仮に起訴されてしまったとしても、執行猶予の獲得についても有利に働きます。

今後の人生への影響を軽くするためにも、まずは弁護士にご相談ください。

逮捕後72時間以内弁護活動が運命を左右します

刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。

監修

監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

プロフィールを見る

緊急で無料法律相談受付

60分無料法律相談(24時間予約受付)