窃盗罪とは?構成要件や刑事処分について


以下では、窃盗罪の要件、窃盗罪の様々な類型、窃盗罪で予想される処分、窃盗罪の弁護のポイント等について解説します。
目次
窃盗罪とは
窃盗罪は、比較的身近な犯罪といえ、出来心からの店舗での食品等の万引き、転売目的の計画的な万引き、他人の住居に侵入した上での窃盗、仮睡盗、置き引き等、様々な態様があります。
窃盗罪は、未遂でも処罰されますので、盗みが成功していなくとも、処罰される可能性があります。
窃盗罪の刑罰
窃盗罪は、事件の内容、被害金額、前科の有無、被害弁償や示談成立の有無によって起訴されるか否か、起訴された場合に刑の重さが異なります。
例えば、転売目的の無い店舗で万引きせあった場合、初犯であれば、不起訴または罰金刑となる可能性が高いでしょう。
親族間の場合の特例
窃盗罪は、刑法244条に親族間の特例が定められており、配偶者、直系血族又は同居の親族に対して、窃盗罪を犯しても刑が免除されます。
例えば、夫が妻の財布からお金を盗んでも処罰されません。
また、「配偶者、直系血族又は同居の親族」以外の親族に対する窃盗罪については、親告罪となっており、被害者の告訴がなければ、処罰されません。
このような特例が規定されている理由は、窃盗罪については、捜査機関や裁判所といった国家機関が関与するより、家庭内での解決に任せるべきという考えに基づきます。
窃盗罪の構成要件
他人の占有する財物
他人の占有する財物について、「占有」とは、占有意思に基づき、財物を事実状支配している状態をいいます。
占有が認められるには、所有権の有無は問いませんので、他人に貸したものを無断で取り返す行為も「他人の占有する財物」に当たりうることになり、窃盗罪になる可能性があります。
不法領得の意思
「不法領得の意思」とは、最高裁判所の判例によれば、権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い、これを利用もしくは処分する意思と定義されます。
不法領得の意思の有無は、不可罰である使用窃盗との区別等のために必要とされています。
窃取
「窃取」とは、他人が占有する財物をその意思に反して、自己または第三者の占有に移転させることを言います。
窃盗というと、万引きやスリのように、見つからないようにこっそり盗むというイメージがあるかもしれませんが、ひったくり等、公然と盗む場合も窃盗罪となりえます。
窃盗罪に問われる可能性のある行為
窃盗罪で、一番に思い浮かぶのは万引きでしょう。その他、スリ、車上荒らし、置き引き等が窃盗罪には多種多様な類型があります。
高齢者を対象とする特殊詐欺においても窃盗罪となる場合があります。
例えば、高齢者がキャッシュカードから目を離した隙にキャッシュカードを他のカードとしてすり替える方法で高齢者からキャッシュカードを奪うのは、窃盗罪とされます。
また、高齢者から奪ったキャッシュカードを用いてATMで現金を引き出す行為も窃盗罪となります。
万引きなどの常習犯の刑事処分
何度も窃盗を繰り返していると、常習累犯窃盗罪となり、通常の窃盗罪よりも重く処罰されてしまう可能性があります。
常習累犯窃盗罪は、①常習として②今回の犯行から10年以内に窃盗罪で6月以上の懲役刑を3回以上受けていた場合に成立します。
常習累犯窃盗は、3年以上20年以下の懲役刑であり、窃盗罪が10年以下の懲役刑となっているのに比べ、格段に重い法定刑となっています。
もっとも、裁判実務において、法定刑どおりの重い刑が課せられているかというと、そうでない場合も多々あります。詳しくは、ご相談ください。
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窃盗罪の時効
刑事訴訟法250条に公訴時効についての定めがあり、窃盗罪の公訴時効は、犯罪行為を終えてから7年です。
例えば、万引きしてから7年経過すると、公訴時効が完成し、検察官が起訴することができなくなり、起訴できないということは、処罰されることも無くなります。
逮捕後の流れ
窃盗罪でも、店舗での万引きで、身元がしっかりしている場合等、逮捕されない可能性はあります。
窃盗罪でも、スリ、車上荒らし、店舗荒らし、侵入盗といった態様が悪質な類型では、逮捕・勾留される可能性が高いでしょう。
窃盗罪の場合、転売目的のない店舗での万引き以外の多くの類型では、例え、初犯であっても公判請求される可能性が高いです。
勾留中で公判請求が避けることができない場合、起訴後、速やかに保釈請求ができるように、保釈の準備をしておくことが重要です。
窃盗罪に問われた場合の対応について
窃盗罪は多くの犯罪類型がありますが、前述のように、犯行態様によっては、初犯であっても公判請求される可能性高いと言えます。
そのため、不起訴処分を獲得するため、または、執行猶予判決を獲得するため、被害者との示談の有無が重要となるでしょう。被害者によっては、被害弁償を受け入れないということも考えられます。
その場合、供託という手続を取ることによって、被害弁償と同等の効果を得ることが可能である場合もあります。
窃盗罪に問われた場合は、弁護士へ相談を
先ほど、被害弁償の代わりに供託という手段があると述べました。
供託は、相談・依頼する弁護士によっては、刑事手続きの中で、供託という手段を思いつかない、経験がないということもあるでしょう。
供託の有無が、実刑と執行猶予を分けた事例もありますので、刑事事件に詳しい弁護士に依頼することが重要です。