覚醒剤で逮捕されたらどうなる?流れや刑罰、弁護活動について
神経を興奮させる作用がある覚醒剤の使用は、覚醒剤取締法で厳しく取り締まられています。
覚醒剤は、乱用者の精神や健康を害するだけでなく、交通事故や殺人などの重大犯罪を引き起こすおそれのある違法薬物です。また、覚醒剤は、軽微な犯罪類型ではないため、立件されればほとんどのケースで逮捕されるでしょう。
そこで本記事では、覚醒剤で逮捕された後の流れや覚醒剤で逮捕された場合の刑罰などについて、詳しく解説していきます。
目次
覚醒剤で逮捕される主なケース
覚醒剤で逮捕される主なケースは、次のとおりです。
- 職務質問や家宅捜索で現行犯逮捕
- 売人とのやり取りから後日逮捕
覚醒剤事件は、覚醒剤の密売人逮捕後に密売人と顧客のやり取りが捜査され、そこで特定された顧客が逮捕される、いわば芋づる式に摘発されていくケースが多いです。
覚醒剤を密造し、自ら使用する人は大きなリスクを背負うため、そう多くありません。覚醒剤乱用者の大半は、密売人から覚醒剤を購入して使用しています。
職務質問や家宅捜索で現行犯逮捕
警察による職務質問の際に、所持品を検査して覚醒剤が見つかるケースは多いです。そこで覚醒剤を所持していた場合には、その場で薬物の簡易検査が行われ、陽性反応が出れば現行犯逮捕されます。逮捕された後は、警察署に連行され、今度は尿検査にて薬物を使用していたかどうかが確認されます。
また、覚醒剤事件やその他の事件で家宅捜索を行った際に、自宅から覚醒剤が見つかるケースも多いです。この場合には、その場で覚醒剤所持の疑いとして現行犯逮捕されるでしょう。
なお、覚醒剤事件で家宅捜索が実施される場合は、嫌疑が濃厚で覚醒剤購入者がある程度特定されているケースが大半です。家宅捜索は、逃亡や証拠隠滅のおそれを防ぐために、早朝に行われます。
売人とのやり取りから後日逮捕
覚醒剤の売人や薬物仲間が逮捕された際の供述や、覚醒剤使用者のネットワークから後日逮捕に至るケースも多くあります。やり取りの履歴を捜査し、購入者を特定してから家宅捜索を実施するため、突然逮捕状を持った警察が来る可能性があります。
覚醒剤事件は、直接的な被害者は存在しないものの、芋づる式に逮捕されやすい犯罪です。薬物を使用したから逮捕されるかもしれない‥と不安を抱えている方は、弁護士に相談・依頼して自首されることをおすすめします。
捜査機関に自らの罪を申告する自首は、刑事処分を判断する際に有利な情状となります。その結果、減軽される可能性が高まるため、社会的制裁が軽減されます。
覚醒剤で逮捕された後の流れ
覚醒剤事件を含む刑事事件では、捜査機関に逮捕された後、主に次のような流れで手続きが進みます。
- 1.逮捕
逮捕後は、警察官による取り調べを受けて48時間以内に事件と被疑者の身柄が検察へ引き継がれます(=送致)。 - 2.送致
送致後は、検察官による取り調べを受けて24時間以内に引き続き被疑者の身柄を拘束する勾留請求を行うかどうかが検察官によって判断されます。 - 3.勾留
勾留請求がなされ、裁判所が請求を認めた場合は、はじめに10日間の勾留(身柄拘束)が実施されます。※勾留は、捜査状況に応じてさらに10日間延長可能。 - 4.起訴・不起訴
勾留中に検察官は、被疑者を公開の刑事裁判にかけて犯した罪の審判を裁判官に求める起訴を行うかどうかを判断します。 - 5.刑事裁判
検察官によって起訴されると、刑事裁判が開始されます。
起訴・不起訴の判断で不起訴となれば、被疑者は直ちに釈放されます。逮捕直後の48時間は、弁護士の接見(面会)のみ認められているため、なるべく早めに弁護士に相談し、接見を通して不起訴獲得に向けた活動を進めることが大切です。
令和5年における覚醒剤取締法違反での起訴率は70.5%です(令和6年犯罪白書参照)。
覚醒剤は、小さいものが多く、「トイレに流す」「川に捨てる」といった方法で証拠隠滅を簡単に行えます。
そのため、捜査機関は証拠隠滅を防ぐために、覚醒剤の疑いで逮捕した被疑者の身柄を拘束する(=勾留)傾向にあります。また、起訴率も70.5%と高く、覚醒剤で起訴される可能性は、きわめて高いといえます。
なお、日本の有罪率は99.9%であるため、起訴されれば100%に近い確率で有罪判決が下されるでしょう。被疑者が覚醒剤を認識しておらず、使用していない事情が認められない限り、多くのケースで勾留・起訴されます。
勾留後起訴されれば、刑事裁判で判決が下されるまでの間、保釈請求が認められない限り、長期間の身柄拘束を受けます。
起訴された場合は保釈請求が可能
保釈とは、「裁判所に保釈保証金を納付して一時的に身柄拘束を解く制度」です。
保釈は、被告人本人の他、弁護人や親族等に限り請求でき、保釈が認められると一時的に釈放されます。
起訴後被告人は、刑事裁判で判決が下されるまでの間、身柄拘束を受け続けます。保釈制度は身柄拘束から被告人を開放し、被告人が社会生活を送りながら環境を整えるための制度であるため、保釈は、起訴後でなければ請求できません。
裁判所に納める保釈保証金の金額は、被告人の所得により変動します。被告人の資力(年収や財産)を考慮し、裁判所が金額を決定します。
保釈保証金で印象に残るのは、やはり金融商品取引法違反などの罪で逮捕された元日産自動車会長のカルロス・ゴーン氏の事件でしょう。このとき納めた保釈保証金は、10億円相当とされています。
「即決裁判制度」について
自己の犯罪事実を認めている自白事件で、かつ初犯で覚醒剤を所持・使用した場合は、即決裁判となる可能性があります。
「即決裁判制度」とは?
罰金または執行猶予が見込まれる争いのない簡明な事件について、裁判所が即日判決を下す裁判手続きです。なお、即決裁判制度を検察官が申し立てる際には、被疑者の同意が必要です。
即決裁判は、被告人にとって裁判をスピーディーに結審できる大きなメリットがあります。
また、懲役または禁錮刑が下される場合は、かならず執行猶予がつきます。これらのメリットは、被告人の負担軽減につながるでしょう。しかしその一方で、「かならず有罪判決が下される」「事実誤認で控訴できない」といったデメリットもあります。
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覚醒剤で逮捕された場合の刑罰
| 使用・所持・製造・譲渡 | 10年以下の懲役 |
|---|---|
| 所持・譲渡(営利目的) | 1年以上の有期懲役または情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金 |
| 輸入・輸出(営利目的) | 無期もしくは3年以上の懲役または情状により無期もしくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金 |
覚醒剤で逮捕された場合は、覚醒剤をどのような目的で・どのように扱ったのか=態様によって刑罰の内容が異なります。
覚醒剤のほとんどは、複数もの流通過程を経て乱用者に供給されています。そのため、覚醒剤の流通過程のすべてが覚醒剤取締法の規制対象とされています。
なお、覚醒剤取締法では、次のものを覚醒剤として規制すると定められています。
覚醒剤取締法 第一章第二条
この法律で「覚醒剤」とは、次に掲げる物をいう。
一 フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
二 前号に掲げる物と同種の覚醒作用を有する物であって政令で指定するもの
三 前二号に掲げる物のいずれかを含有する物
初犯の場合は執行猶予がつく?再犯の場合は?
覚醒剤事件が初犯の場合は、再犯よりも執行猶予がつく可能性が高いです。
特に、単純に所持していた場合や営利目的でなく量も少量である場合などには、執行猶予がつく可能性がより高くなるでしょう。なぜなら、これらの事情は、被告人にとって有利な情状となるからです。
一方で覚醒剤事件が再犯である場合は、当然ながら執行猶予がつく可能性は低くなります。たとえば、再犯かつ悪質性が認められる覚醒剤事件(営利目的で覚醒剤を輸出入していた等)の場合には、実刑判決が下されやすいです。これらの事情は、被告人にとって不利な情状となります。
量刑で考慮される要素には、初犯か再犯かどうかという点も含まれます。その他にも、「覚醒剤の量や依存性」「営利目的かどうか」など、さまざまな要素が考慮され、総合的に判断されます。
覚醒剤の再犯について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
覚醒剤の再犯で逮捕されたら?刑罰や実刑の可能性、弁護活動など覚醒剤事件で弁護士は何をしてくれる?
覚醒剤事件で弁護士は、執行猶予付き判決を目指します。
被害者が存在する刑事事件では、まず先に被害者との示談成立を試み、不起訴の獲得を目指します。被害者との示談成立は、事件の当事者同士の和解を意味するため、刑事処分の判断に有利に働くからです。
しかし、被害者の存在しない覚醒剤事件では、示談による不起訴を目指せません。そのため、執行猶予付き判決獲得に向けた弁護活動を行います。
具体的には、次のような弁護活動で被告人に有利な情状となる事情の主張および立証を行います
覚醒剤事件における主な弁護活動
- 接見を通して弁護方針を構築させる
- 取り調べで不利な供述をしないようにアドバイスする
- 即決裁判、保釈などで早期の身柄釈放を試みる
- 覚醒剤の再犯防止に向けた取り組みの準備を整える
- 被告人にとって有利となる証拠を収集する など
こうした弁護活動は、裁判官の心証を良くするために必要です。
被告人本人が罪を認め、深く反省している姿勢を示すことも大切ですが、量刑の判断で考慮される要素はそれだけではありません。薬物の使用を繰り返さないための環境を整えるなど、その他の事情の主張・立証も重要です。
覚醒剤で逮捕された・逮捕されそうな場合は弁護士法人ALGにご相談ください
覚醒剤は、粉末状や錠剤などの小さいものが多く、捨てたり隠したりしやすいです。そのため、証拠隠滅のおそれが大きく、逮捕による勾留を受けやすい刑事事件といえます。逮捕後起訴されれば、刑事事件が終わるまでの間身柄の拘束が続き、生活に大きな悪影響を及ぼすでしょう。
また、被害者の存在しない覚醒剤事件では、被害弁償ができません。被害弁償以外の有利な情状を主張・立証するためにも、事件発生後はすぐに弁護士に相談し、執行猶予付き判決獲得に向けた弁護活動を開始することが大切です。
特に覚醒剤事件に精通した弁護士であれば、状況に応じて適切な弁護活動が行え、執行猶予付き判決獲得に大きく近づけます。
覚醒剤で逮捕された・逮捕されそうでご不安な方は、お気軽に弁護士にご相談ください。
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