家族が覚醒剤で逮捕された場合の刑罰や流れ、対応できることなど
ある日突然、家族が覚醒剤の所持や使用により逮捕されてしまった場合、身内としてどのように対応するのが正しいのかと悩まれる方は少なくありません。急な逮捕は、不安を大きくさせ、家族にどのような刑罰が下されるのかと気が気でないはずです。
覚醒剤を含む薬物事犯は、使用や所持、譲渡、譲受などの行為が幅広く取り締まられています。また、覚醒剤事件は証拠隠滅が容易なため、逮捕による身柄拘束を避けられない可能性が高いです。
本記事では、家族が覚醒剤で逮捕された場合の刑罰や逮捕後の流れなどについて、詳しく解説していきます。
目次
家族が覚醒剤で逮捕された場合の刑罰
| 使用・所持・製造・譲渡 | 10年以下の拘禁刑 |
|---|---|
| 所持・譲渡(営利目的) | 1年以上の有期拘禁刑又は情状により1年以上の有期拘禁刑及び500万円以下の罰金 |
| 製造・輸入・輸出(営利目的) | 無期もしくは3年以上の拘禁刑又は情状により3年以上の拘禁刑及び1000万円以下の罰金 |
家族が覚醒剤で逮捕された場合の刑罰は、上表のとおり、行為別・営利目的の有無で異なります。
一般的には、自分や第三者の財産上の利益を得るために覚醒剤を所持・譲渡、製造・輸出入する行為は、「営利目的」と判断されます。営利目的での使用は、そうでない場合よりもさらに厳しい刑罰が科せられます。
法律で規制されている覚醒剤は、主に次のとおりです。
規制対象
覚醒剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、及び各その塩類)、覚醒剤原料
違反態様
使用、所持、譲渡、譲受、輸出入、製造
覚醒剤は、白色の粉末または透明の結晶でできており、無臭であるのが特徴です。精神を刺激する薬であるため、使用すると脳が刺激されて心身の動きが一時的に活性化し、頭が冴えたような感覚を引き起こします。
家族が覚醒剤で逮捕された後の流れ
家族が覚醒剤で逮捕された場合は、主に以下のような流れで手続きが進められます。
- ①逮捕による身柄拘束
- ②逮捕から48時間以内に検察へ送致される
- ③送致から24時間以内に勾留請求の判断が下される
- ④勾留請求がなされると、はじめに10日間の勾留が実施される
- ⑤勾留満了日までに起訴か不起訴かの判断が下される
- ⑥起訴されると、刑事裁判が開かれる
検察官が勾留請求(被疑者の身柄拘束を継続する請求)を行うと、はじめに10日間の勾留が実施され、捜査状況次第でさらに10日間延長されます。逮捕されてから最大23日間の身柄拘束を受ける可能性があるため、早期釈放を目指すには、早めの段階で弁護士に相談する必要があります。
家族はいつ面会できる?
家族が被疑者に面会できるのは、通常、逮捕の4日目以降です。
逮捕直後は、証拠隠滅や逃亡防止のため、被疑者の家族や恋人であっても面会は認められません。また、逮捕後は警察から取り調べを受け、48時間以内に検察に事件の資料と被疑者の身柄が引き継がれます。
その後は、検察から取り調べを受け、24時間以内に勾留請求を行うかどうかの判断が下されます。この、72時間(3日間)の間は被疑者と面会できないのが基本です。
ただし、被疑者の弁護人であれば、逮捕直後からいつでも接見(面会)できます。弁護人には、被疑者といつでも面会できる「接見交通権」が認められているからです。接見では、弁護士から捜査機関の取り調べをどのように対応すればよいのかアドバイスをもらえるため、不利な供述調書の作成を防げます。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
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逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
覚醒剤で逮捕された場合の家族への影響
覚醒剤による逮捕が家族に及ぼす影響には、以下のような点が挙げられます。
- 日常生活への影響
長期間の身柄拘束は、失業や退学となる可能性を高めます。その結果、生活水準を保てなくなり、転居を余儀なくされるなど、日常生活に大きな影響を与えかねません。 - 家族関係の悪化
生活水準の低下や周囲からの批判などにより、円満であった家族関係に亀裂が入る可能性があります。また、覚醒剤から離れても、薬物依存の禁断症状がさらに家族を苦しめる可能性があります。 - 自己叱責の可能性
「被疑者が覚醒剤に手を出した原因は自分にあるのではないか」と責める両親や家族は少なくありません。精神的に追い詰められ、長い間苦しみから抜け出せない状況に陥る可能性があります。
覚醒剤事件を家族が知るタイミング
被疑者が覚醒剤で逮捕されたと家族が知るタイミングは、主に次のときです。
- 現行犯逮捕されたとき
- 家宅捜索が行われたとき
覚醒剤を含む薬物事犯は、「現行犯逮捕」と「後日逮捕」による逮捕がほとんどで、特に職務質問で覚醒剤の所持が発覚するケースが多くあります。そのため、家族が被疑者の逮捕を知るタイミングは、いずれかのタイミングとなるでしょう。
①現行犯逮捕されたとき
警察の判断で、現行犯逮捕時に逮捕した旨が被疑者の家族に知らされる場合があります。ただし、必ずしも連絡をもらえるわけではなく、逮捕されてから勾留決定まで何も知らされない場合もあります。
逮捕されると、警察は48時間以内に取り調べを行い、事件の資料や被疑者の身柄を検察に引き継ぎます。その後は、検察から取り調べを受けて24時間以内に勾留請求の判断が下されます。その間の72時間は、被疑者の弁護人以外の面会が禁じられているため、弁護人が選任されていない限りは、家族は被疑者の逮捕を知ることができません。
警察から連絡をもらえなければ、勾留が決定したタイミングで被疑者が家族への連絡を希望すると、裁判所から連絡をもらえます。そのため、ニュースや新聞の実名報道で被疑者の逮捕を知るケースも少なくありません。
②家宅捜索が行われたとき
家宅捜索が行われた際に、同居している家族がいる場合には、その時点で被疑者の逮捕を知れます。
薬物事件では、「他の薬物を所持していないか」「他の行為(製造、譲渡など)に及んでいないか」などを証明する証拠を押さえるために、家宅捜索を行う場合があります。家宅捜索は、在宅している可能性が高い早朝に予告なく行われるため、同居している家族も被疑者の逮捕を知るでしょう。
家宅捜索は、予め裁判所に対して令状を請求したうえで行われるため、家宅捜索される時点で捜査機関が何かしらの証拠を掴んでいる可能性が高いです。そのため、家宅捜索を回避するのは困難です。
覚醒剤事件で家族ができる対応は?
覚醒剤事件で逮捕された被疑者のために家族ができるのは、主に以下のような対応です。
- 弁護士に依頼する
- 保釈請求する
- 再発防止活動を促す
これらは、被疑者が不当な取り調べを受けたり、扱われるのを防ぐことにつながります。また、逮捕によって被疑者が受ける不利益を最小限に抑えられる可能性があります。
弁護士に依頼する
弁護士への依頼は、逮捕された被疑者に家族ができる対応としてとても有効です。
被疑者の逮捕を知った家族は、今後どのように対応すればよいのか分からず、ショックのあまり通常は呆然と立ち尽くしてしまいます。このときに弁護士がいれば、逮捕直後に被疑者と面会して今後の方針を打ち合わせられます。被疑者の状況がどのようなものなのかも弁護士を通して知ることができるため、不安の軽減にもつながるでしょう。
具体的な方針を立てたら、被疑者にとって有利な事情を検察官や裁判官に主張するための弁護活動に着手します。有効な証拠の収集もしてくれるため、円滑かつ適切にさまざまな手続きを進めてもらえます。
特に刑事事件に精通した弁護士であれば、これまでに培ったノウハウを活かした弁護活動が可能です。不利な供述調書を作成されないように、捜査機関からの取り調べに対する適切な対応の仕方についても、助言をもらえます。弁護士への依頼は、早ければ早いほど着手できる弁護活動の幅が広がります。
保釈請求する
保釈請求は、被疑者が起訴された際に一時的に身柄の拘束を解くための手段で、長期の勾留を回避できます。保釈請求が認められるには、ある一定の条件を満たさなければなりませんが、保釈されれば日常生活に戻れます。
被告人は、自由な社会生活を送りながら裁判に出頭するため、家族と一緒に過ごせたり、弁護士と今後の防御活動の準備を行ったりすることができます。
保釈請求が認められると、裁判所から保釈保証金についての案内を受けます。覚醒剤事件の保釈保証金は、150万~200万円程度が相場とされており、具体的な金額については裁判官が被告人のさまざまな事情を踏まえて最終的に判断します。
なお、保釈にあたり裁判所が出した条件をすべて守り、無事に裁判が終了した場合は、収めた保釈保証金は全額返還されます。
再発防止活動を促す
覚醒剤を含む薬物は依存性が強く、再犯率が高いため、再発防止活動を促す行動が重要となります。たとえば、更生施設の利用や家族向けの支援プログラムへの参加など、薬物に再び手を出さないようにするための活動が挙げられます。再発防止活動の実施は、裁判所から情状酌量を認めてもらえる可能性を高めます。
被疑者または被告人が罪を認め、深く反省し、「もう二度と覚醒剤に手を出さない」と強い気持ちをもって再発防止活動に取り組む姿は、裁判官の心証をよくさせます。また、被疑者や被告人の家族にも協力体制があることを証明できれば、有利な事情として考慮してもらえます。
依存性の強い薬物から離れるには、周りの協力が必要不可欠です。被疑者・被告人の依存性の程度や精神面を考慮しながら、再犯防止活動を進めるとよいでしょう。
家族が覚醒剤事件で逮捕された・逮捕されそうな場合は弁護士法人ALGにご相談ください
覚醒剤を含む薬物は、証拠隠滅のおそれがあると疑われやすく、捜査対象となれば逮捕を免れるのは難しいでしょう。捜査状況次第では、長期に渡り身柄を拘束される可能性もあります。
大切な家族が突然逮捕されて冷静に対応できる人はまずいません。誰もが、驚きと悲しみで頭がいっぱいになり、どう対応すればよいのか分からなくなります。そのようなときには、弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、状況を瞬時に把握し、今後どのように対応していくかの方針を立てて適切に動けます。捜査機関による不当な取り調べや身柄拘束も防げるため、被疑者・被告人だけでなく、そのご家族にとって大きな支えとなってくれます。
ご家族が覚醒剤事件で逮捕された・逮捕されそうな場合には、お気軽に弁護士法人ALGにご相談ください。
