株式の相続税はいくらになる?計算方法や節税対策をわかりやすく解説
この記事でわかること
株式を相続すると、相続税がかかる場合があります。しかし、株式の価格は日々変わるため、どのように相続税を計算するかがわかりにくいかもしれません。
株価が上がってしまうと、相続税が高額になるのか等、気になる方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、株式の相続税の計算方法や、相続税がかからない場合、相続税を節税する対策、相続税を払えない場合の対策等について解説します。
目次
株式の相続税の計算方法
株式にかかる相続税は、以下のような流れで計算することができます。
- 株式の種類を確認する
- 株式を評価する
- 税率を調べる
- 相続税を算出する
相続手続きについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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①株式の種類を確認する
株式には次のような種類があります。
- 上場株式
- 非上場株式
金額の評価方法が異なるので、どちらであるかを確認しなければなりません。
相続財産である上場株式は、証券保管振替機構(通称「ほふり」)へ開示請求を行うことにより調べることが可能です。
一方で、相続財産である非上場株式は、ほふりに開示請求しても判明しません。株主総会の招集通知などから調べる必要があります。
相続財産調査について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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②株式を評価する
相続財産に含まれる株式が判明したら、上場株式と非上場株式の評価額を調べます。
それぞれの場合について、次項より解説します。
上場株式の場合
相続税を課税するときの、上場株式の評価額は、以下のうち最も低い金額です。
- 相続開始日の終値
- 相続開始日の含まれる月の取引日ごとの終値の平均額
- 相続開始日の含まれる月の前月の取引日ごとの終値の平均額
- 相続開始日の含まれる月の前々月の取引日ごとの終値の平均額
なお、終値とは、取引があった日の最後につけられた価格です。
つまり、相続開始日が6月10日であれば、評価額は以下のうち最も低い金額となります。
- 6月10日の終値
- 6月の取引日ごとの終値の平均額
- 5月の取引日ごとの終値の平均額
- 4月の取引日ごとの終値の平均額
非上場株式の場合
非上場株式の評価額の算出には、取引価格を使うことが困難なので、原則的評価方式または配当還元方式の2種類のいずれかによって評価額を算出します。
原則的評価方式とは、会社の株式の50%超を保有している一族など、同族株主のための評価方法です。同族株主は会社の支配権を有しており、解散させること等もできるので、比較的高額に算出される方法が用いられます。
原則的評価方式は、大きく分けて3種類あります。表にまとめたのでご覧ください。
| 規模 | 評価方法 |
|---|---|
| 大会社 | 類似業種比準方式:会社の利益水準・資産額水準・配当水準を上場会社と比較して、株価を算出する方式 |
| 中会社 | 併用方式:類似業種比準方式と純資産価額方式を、会社の規模に応じた割合で併用する方式 |
| 小会社 | 純資産価額方式:会社を解散した場合に、株主に返ってくる金額によって株価を算出する方式 |
配当還元方式とは、会社の支配権を有していない少数株主のための評価方法です。会社を解散させる権限等を有していないため、今後10年間で貰える配当金の総額をもって、株式の評価額とします。
原則的評価方式と比べて、とても低い評価額になることが多い方式です。
③税率を調べる
相続税の税率は、相続財産の評価額に応じて、以下のように定められています。
| 評価額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1000万円以下 | 10% | - |
| 1000万円超から3000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3000万円超から5000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7200万円 |
相続財産の評価額は、株式だけでなく全財産を算出します。相続財産の総額から基礎控除額を差し引いて、法定相続分に従って分配した金額について、1人ずつ計算しなければなりません。
この時点では、実際の相続分で計算するわけではないことに注意しましょう。なお、基礎控除額を差し引いた金額が0円以下になるケースでは、相続税は発生せず、申告も不要となります。
④相続税を算出する
相続財産の総額から基礎控除額を差し引いて、法定相続分に従って分配した金額に対する相続税額を計算したら、全員分の税額を合算して、相続税の総額を算出します。その総額を、実際の相続分や、遺贈で受け取った金額に比例して負担します。
ただし、配偶者は配偶者控除を受けることができます。また、未成年者は未成年者控除を受けることができる等、控除によって相続税額が減額されたり、かからなくなったりします。控除によって相続税がかからなくなるときには、相続税の申告は必要となるので注意しましょう。
なお、被相続人の配偶者と子、両親等ではない者が相続財産を受け取った場合には、計算された相続税額に2割加算されます。
株式に相続税がかからないことはある?
株式を相続しても、相続税がかからないことはあります。株式も含めた相続財産の総額が基礎控除の範囲内であれば、相続税はかかりません。
基礎控除は、次のような式によって計算します。
基礎控除額=3000万円+(600万円×法定相続人の数)
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株式の相続税を節税する4つの対策
株式の相続で有用な、相続税の節税対策として、主に次のようなものが挙げられます。
- 生前贈与する
- 相続時精算課税制度を利用する
- 株式の評価額を下げる
- 特例を利用する
生前贈与する
相続税の節税対策として、株式を生前贈与することが挙げられます。株式の生前贈与は、他の財産の生前贈与よりも節税になる可能性が高いです。
株式の生前贈与が節税になる理由として、主に次のようなものが挙げられます。
- 配当金が生前贈与を受けた者の収入になる
- 株価が下がっているときに生前贈与すれば、贈与税が抑えられる
- 不動産等よりも細かく分けやすいので、毎年のように生前贈与できるため、贈与税の非課税枠を活用できる
相続時精算課税制度を利用する
相続税の節税対策として、相続時精算課税制度による株式の生前贈与が挙げられます。相続時精算課税制度とは、累計2500万円までの生前贈与について贈与税を免除し、相続時に贈与額を相続財産に加えて相続税をかける制度です。
この制度でかかる相続税は、贈与時の金額等を基準として計算されます。将来的に値上がりが期待される株式を生前贈与すれば、相続税を抑えられる可能性があります。
ただし、制度を利用して生前贈与すると、株式が値下がりしても贈与時の金額等で課税されます。そのため、値下がりして税負担が重くなるリスクを考慮して、贈与された株式の一部は値上がりしたときに売却する等の対策が必要です。
株式の評価額を下げる
相続税の節税対策として、株式の評価額を下げる方法があります。評価額を下げる方法として、主に以下のようなものが挙げられます。
- 通常の配当金を減らして、特別配当金を導入する
- 役員退職金を導入する
- 合併等により会社の規模を大きくする
- 従業員持株会などに対して、第三者割当増資を行う
ただし、むやみな対策をすると、会社の経営等に悪影響が生じるおそれがあるので注意しましょう。
特例を利用する
株式の相続については、特例を利用すると相続税を抑えることができます。
主な特例として、以下のようなものが挙げられます。
- 取得費加算の特例
相続税の申告期限から3年以内に株式を売却すれば、相続税の一部を株式の取得費用に加算して、譲渡所得税を抑えることができます。 - みなし配当課税の特例
相続した非上場株式を発行会社に買い取ってもらうときに、本来であれば発生するみなし配当課税が免除されて、譲渡所得税がかかります。 - 非上場株式の納税猶予および免除の特例
相続した非上場株式について、一定の議決権割合に達するまで、課税価格の80%が納税猶予されます。そして、後継者が亡くなった等の事情があれば、猶予された税額の全額または一部の額が免除されます。
株式の相続税を払えない場合はどうする?
株式を含む相続財産にかかる相続税を払えない場合には、現金を用意するために、株式の売却を検討する必要があります。上場している株式については、売却は難しくないでしょう。
しかし、非上場株式の売却は難しくなります。評価額を算出しにくいだけでなく、譲渡する場合に会社の承認が必要となる場合もあるからです。
非上場株式が家業に関するものであった場合には、経営権が他人に渡ってしまうおそれもあります。
そのため、非上場株式については、生前に相続対策を検討しておきましょう。相続税を支払うための預貯金を用意しておくことや、家業を継ぐ者を決めておくこと等が考えられます。
株式相続の相続税に関するQ&A
株式のまま相続するのと現金化して相続するとでは、どちらが節税になりますか?
株式の金額が変動しなければ、現金で相続しても株式で相続しても、相続税は変わりません。しかし、被相続人が亡くなるタイミングで株価が上がってしまうと、相続税が高くなってしまうおそれがあります。
被相続人が亡くなるときに、株価が下落していれば、相続税は抑えられます。ただし、株式の相続人が決まらないうちに、株価がさらに下落するリスクもあります。
株式は、相続が発生しても、すぐに売れるとは限りません。相続税を支払うための預貯金等も考慮しながら、保有と売却について判断しましょう。
株式の取得価格は相続税の計算に関わりますか?
相続税を計算するときに、株式の取得価格を差し引く等の制度はありません。なぜなら、株式の取得費用を支払った後に残っているのが相続財産なので、改めて費用を差し引く必要がないからです。
しかし、相続によって取得した株式を、相続税の申告期限から3年以内に売却すると、相続税額のうちの一定金額を取得費に加えることができます。そのため、相続後の売却によって、所得税を抑えられる可能性があります。
NISA口座の株でも相続できますか?相続税はかかりますか?
被相続人が作ったNISA口座の株式であっても相続できます。相続税の評価額は、相続発生時の時価となります。
相続した株式は、相続人のNISA口座に入れることができません。通常の株式として相続しますが、相続発生時までの含み益については、所得税や住民税が免除されます。
相続放棄をすれば株式の相続税はかかりませんか?
相続放棄した者は、株式を含む相続財産を相続できないので、基本的には相続税がかかりません。
相続放棄とは、相続人としての立場を放棄して、株式を含むすべての相続財産を受け取らないための手続きです。相続財産に高額な借金などが含まれるケース等で申し立てることが多いです。
相続放棄を申し立てる期限は、自己のために相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内です。
相続放棄していると、死亡保険金や死亡退職金の非課税枠が使えないため、相続税の負担が重くなるおそれがあります。非課税枠は、「500万円×法定相続人の数」によって計算することができます。
相続放棄について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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株式の相続について不明点があれば弁護士にご相談ください。
株式を相続する場合にも相続税はかかりますが、他の相続財産と合わせて計算するので、株式だけに相続税がかかるわけではありません。
そのため、株式が高額になってしまう場合であっても、他の相続財産について工夫すれば節税できるケースもあります。
相続税を節税したい方は、弁護士にご相談ください。弁護士であれば、相続全般に詳しいので、節税の方法の提案だけでなく、節税トラブルを引き起こさないための対策等についてもアドバイスできます。
相続税のことだけを考えて様々なことをしてしまうと、親族等の反発を受けるおそれがあるので、弁護士とともに不安を解消しましょう。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)






