相続放棄の手続きの流れ|必要書類や費用、注意点などわかりやすく解説

この記事でわかること
相続放棄とは、相続人としての立場を放棄して、相続財産を一切相続しないための手続きです。
相続財産に高額な借金等が含まれており、返済するのが困難なケース等では相続放棄する必要があります。
この記事では、相続放棄の手続きの流れや必要書類、手続きにかかる費用、手続きを行う際の注意点等について解説します。
目次
相続放棄の手続きの流れ
相続放棄の手続きは、主に以下のような流れで進めます。
- 被相続人の財産を調べる
- 家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
- 家庭裁判所から届く照会書に回答し返送する
- 相続放棄申述受理書が届く
この流れについて、次項より解説します。
①被相続人の財産を調べる
相続放棄する前に、被相続人が遺した相続財産を調べます。
相続放棄してしまうと、撤回することは基本的にできないので、見落としがないように調査しなければなりません。
相続財産調査で、プラスの財産とマイナスの財産を明らかにして、相続放棄するべきかを慎重に検討する必要があります。
マイナスの財産が多いために、借金等を肩代わりしなければならないのであれば、相続放棄するべきケースが多いでしょう。
相続財産調査のやり方について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
②家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
相続放棄するべきだと判断したら、費用を把握して、必要書類を揃えます。
揃ったら、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。
相続放棄は単独で可能であり、他の相続人や、被相続人の債権者などの許可は必要ありません。
しかし、借金等を押しつけられたと思われないように、他の相続人や親族には伝えておくことが望ましいでしょう。
管轄の家庭裁判所が遠いケースや、平日の日中は多忙であるケース等であっても、郵送によって手続きすることが可能です。
③家庭裁判所から届く照会書に回答し返送する
相続放棄を申し立てると、家庭裁判所から相続放棄照会書が送られてきます。
照会書が届いたら、同封されている相続放棄回答書に必要事項を記入して、速やかに返送しなければなりません。
相続放棄を申し立てて安心してしまい、照会書が届いたことに気づかないままで放置してしまうと、相続放棄を却下されてしまうおそれがあるため注意しましょう。
回答書には、被相続人が亡くなったことを知った日付や相続放棄する理由、処分してしまった遺産の内容等を正直に記載します。
虚偽の記載をすると、相続放棄を無効とされてしまうおそれがあります。
④相続放棄申述受理書が届く
相続放棄が認められると、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。
通知書が届くことにより、正式に相続放棄が認められたことになります。
通知書は、相続放棄が受理されると自動的に送付されます。そのため、発行の手続きは必要ありませんが、再発行されることはありません。
通知書を紛失してしまった場合には、相続放棄申述受理証明書を家庭裁判所に発行してもらうことによって、相続放棄したことを証明できます。
証明書を発行してもらうためには、1通あたり150円の手数料がかかります。
相続放棄の手続きに必要な書類
相続放棄するために必要な書類は、被相続人と相続放棄する者との関係によって異なります。
申述人 | 必要書類 |
---|---|
全てに共通 |
|
配偶者 |
|
子どもまたはその代襲相続人 |
|
父母・祖父母 |
|
兄弟姉妹またはその代襲相続人 |
|
なお、相続放棄申述書は、裁判所のサイトから書式をダウンロードして利用することができます。
相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポートいたします
相続に関するご相談
24時間予約受付・年中無休・通話無料
0120-523-019来所法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
相続の来所法律相談30分無料
24時間予約受付・年中無休・通話無料
※注意事項はこちらをご確認ください
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
相続放棄の手続きにかかる費用
相続放棄の手続きには、主に次のような費用がかかります。
- 相続放棄申述書に添付する手数料:800円分の収入印紙
- 連絡用の郵便切手代:裁判所によって異なる
- 相続放棄を申し立てる者の戸籍謄本の取得費用:450円
- 被相続人の住民票の除票の取得費用:300円程度
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本の取得費用:750円
弁護士に依頼する場合には、追加で次のような費用がかかります。
- 相談料:1時間につき1万円程度(初回無料の場合等がある)
- 着手金:10万円程度
- 諸経費:3万円程度
- 緊急の場合における追加費用:数十万円程度(状況によって異なる)
相続放棄の手続きを自分ですることはできる?
相続放棄の手続きは、自分で行うことが可能です。しかし、相続財産調査が不十分だと、必要ないのに相続放棄してしまうおそれがあります。
また、被相続人が相続人の兄弟姉妹だと、必要書類が多くなるので収集するだけでも大変です。
必要書類の収集や相続放棄の申立ては平日の日中に行わなければならず、手続きの負担が重くなるおそれがあります。
相続放棄が却下されないようにするためにも、なるべく専門家のサポートを受けることをおすすめします。
相続放棄の手続きを弁護士に依頼すべきケース
相続放棄の手続きを弁護士に依頼する必要性が特に高いケースとして、以下のようなものが挙げられます。
- 相続放棄の期限が迫っている
- 相続財産の種類が多いなど相続内容が複雑である
- 相続人が多い、または疎遠で調整が難しい
- 仕事や育児などで多忙であり、手続きに時間を割くことができない
- 相続財産に含まれるプラスの財産は高額だが、マイナスの財産の調査が進まない
- 自分が相続放棄すると、親族に迷惑をかけてしまうことを心配している
これらのケースでは、弁護士に依頼することによって、手続きをスムーズに進めること等ができる可能性が高いです。
相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポートいたします
相続に関するご相談
24時間予約受付・年中無休・通話無料
0120-523-019来所法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
相続の来所法律相談30分無料
24時間予約受付・年中無休・通話無料
※注意事項はこちらをご確認ください
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
相続放棄の手続きを行う際の注意点
相続放棄の期限(熟慮期間)に気を付ける
相続放棄を申し立てることができるのは、自己のために相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内です。
この期間を熟慮期間といいます。
熟慮期間のうちに相続放棄または限定承認をしないと、単純承認したとみなされるため、すべての相続財産を相続することになります。
相続財産に高額な借金等が含まれていることを理由として相続放棄したかった場合には、単純承認すると借金等を肩代わりすることになり、相続人の生活に悪影響を及ぼすおそれがあります。
熟慮期間のうちに相続財産調査が終わらない等、手続きが間に合わない事情があるケースでは、期間の伸長を申し立てることが可能です。
相続放棄の期限について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
財産の全てまたは一部を処分すると相続放棄できない
相続財産を一部でも処分してしまうと、相続放棄は基本的に認められなくなります。
そのため、相続財産に含まれる不動産の名義を自分に移転することや、預貯金を勝手に解約すること等はリスクが高いといえます。
また、遺産分割協議に参加することや、相続財産に含まれている家屋を解体すること等もリスクが高いです。
どのような言動をすると相続放棄できなくなるのかが分からず不安な方は、専門家に相談することをおすすめします。
生前に相続放棄することはできない
被相続人の生前には、家庭裁判所が相続放棄を受け付けていないため、申し立てることは認められません。
被相続人に浪費癖があり、高額な借金等を抱えているケース等であっても、亡くなる前に相続放棄する方法はありません。
他の相続人に相続分を引き受けてもらったとしても、借金等は法定相続分によって分配されて、相続人の間で決めたことを債権者に主張することはできません。
相続が発生したら、裁判所で手続きする必要があることに注意しましょう。
相続人全員が相続放棄すると財産は国のものになる
法定相続人の全員が相続放棄すると、相続財産は最終的に国庫へ帰属します。
法定相続人であることが明らかな者がいなくなると、利害関係者などの申立てによって相続財産清算人が選任されます。
相続財産清算人が選任されると、選任された旨の公告と、相続人の申し出を求める旨の公告が併せて6ヶ月以上の期間で行われます。
その期間内に、相続財産清算人は、債権者や受遺者の申し出を求める旨の公告を行います。
公告期間が終了したら、3ヶ月以内に特別縁故者は申し出る必要があります。
特別縁故者がいなければ、相続財産のうち共有財産が共有者のものとなり、残った財産が国庫に帰属します。
全員が相続放棄した場合について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
相続放棄の手続きについてわからないことは弁護士にご相談ください
相続放棄は期限内に手続きを行わなければなりません。
しかし、熟慮期間は、相続財産をすべて調査するためには十分な長さではありません。
安易に相続放棄すると、次順位の法定相続人などに相続権が移り、迷惑をかけてしまうおそれもあります。
事情を説明したくても、疎遠であるケースや関係が悪いケース等、顔を合わせたくない場合もあるでしょう。
相続放棄するために、ぜひ私たちにご相談ください。
弁護士であれば、手続きをサポートできるだけでなく、依頼を受ければ代理人として活動することも可能です。
相続放棄は、手続きさえできれば問題が起こらないわけではありません。
相続放棄に伴う問題に対応するために、まずはお気軽にご相談ください。
相続税にも強い弁護士が豊富な経験と実績であなたをフルサポートいたします
相続に関するご相談
24時間予約受付・年中無休・通話無料
0120-523-019来所法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
相続の来所法律相談30分無料
24時間予約受付・年中無休・通話無料
※注意事項はこちらをご確認ください
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)