不動産の共有名義人の片方が死亡したら相続はどうなる?登記手続など

不動産の共有名義人の片方が死亡したら相続はどうなる?登記手続など

夫婦や親子、兄弟などが共有名義で不動産を持っていた場合、片方が亡くなったら、その不動産はどうなるのでしょうか。多くの方が「残された共有者が自動的にすべてを引き継ぐ」と考えがちですが、実際にはそうではありません。亡くなった方の持分は相続財産となり、法律で定められた相続人が引き継ぐのが原則です。

この記事では、共有名義の不動産で片方が死亡した場合の相続手続きの流れ、単独名義に変更する方法、相続トラブルを防ぐための対策について解説します。

共有名義人の片方が死亡した場合は法定相続人が相続する

共有名義の不動産で名義人の一方が亡くなると、その人の持分は原則として、亡くなった人の法定相続人が相続します。
民法で定められた法定相続人は次のとおりです。

法定相続人

配偶者:常に相続人となり、他の相続人と一緒に相続します。
第1順位:子や孫など
第2順位:親や祖父母など
第3順位:兄弟姉妹や姪・甥など
※順位が高い相続人がいる場合、後順位の者は相続権を持ちません。

遺産分割の割合は、以下の民法で定められた法定相続分を目安にして、相続人全員で話し合って決めるのが通例です。

法定相続分

●配偶者のみ:すべて相続
●配偶者と子:配偶者 1/2、子全員で 1/2
●配偶者と親:配偶者 2/3、親全員で 1/3
●配偶者と兄弟姉妹:配偶者 3/4、兄弟姉妹全員で 1/4

たとえば、夫婦で自宅を共有し夫が亡くなった場合、妻と子2人が法定相続分で分けると、夫の持分1/2は妻が1/4、子供2人がそれぞれ1/8ずつ取得します。

共有名義人が相続するケースとは

共有名義の不動産で一方が亡くなった場合、通常はその持分を法定相続人が引き継ぎます。
しかし、以下のように共有名義人がその持分を取得できるケースもあります。

  • 相続人が誰もいない場合
    民法255条により、共有者が死亡し相続人がいない場合、その持分は他の共有者に帰属します。ただし、すぐではなく、家庭裁判所による相続財産清算人の選任、債権者への支払い、受遺者や特別縁故者への分与などの完了後、残った財産がある場合に他の共有者に移転します。
  • 相続放棄があった場合
    法定相続人がいても、全員が相続放棄をすると相続人不存在となり、最終的に他の共有者に持分が帰属します。この場合も、家庭裁判所での清算手続きが必要です。
  • 遺言で遺贈された場合
    亡くなった共有者が、遺言書でその持分を残りの共有者に遺贈していれば、相続人の有無に関係なく、その共有者に持分が移ります。

不動産の共有名義人の片方が死亡した場合の相続手続き

不動産の共有名義人の一方が亡くなった場合、その方の持分を相続人に移すには相続登記をしなければなりません。手続きの進め方は、遺言書の有無や遺産分割協議の有無によって異なるため、状況に応じた対応が必要です。一般的には、以下のような流れで進めることになります。

  1. 遺言書の有無を確認
  2. 相続人と相続財産の調査
  3. 遺産分割協議
  4. 相続登記
  5. 相続税の申告・納付

①遺言書の有無を確認

不動産の共有名義人が亡くなったとき、まず確認すべきなのは遺言書の有無です。遺言書があれば、その内容に従って相続登記を進めます。遺言書を探すときは、自宅の金庫や貸金庫を確認し、公正証書遺言なら公証役場の検索システム、法務局保管の遺言なら証明書請求で確認可能です。

自筆証書遺言が見つかった場合は、まず家庭裁判所で検認を受けなければなりません。検認とは、遺言書を開封し、相続人立ち会いのもとで内容を確認する手続きで、偽造や改ざんを防ぐために行われます。一方、公正証書遺言や法務局で保管されている自筆証書遺言は検認不要です。

②相続人と相続財産の調査

遺言書がない場合、相続人全員による遺産分割協議が必要になります。その前提として、相続人と相続財産の調査を行わなければなりません。まず、法定相続人を正確に確定するため、亡くなった共有名義人の出生から死亡までの戸籍を収集します。これは、配偶者や子供だけでなく、婚外子や養子縁組の有無なども確認するために必要です。

相続人の確定と並行して、相続財産の調査も行います。不動産の共有持分だけでなく、預貯金、株式、保険、借金などすべてを調べて、財産目録を作成します。これらの調査を怠ると、協議が無効になるおそれがあるため、正確に行いましょう。

③遺産分割協議

相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をどの割合で取得するかを決めます。

法定相続分に従うのが基本ですが、相続人全員の合意があれば異なる割合で分けることもできます。たとえば、共有持分を一人が取得し、他の相続人に代償金を支払う方法や、不動産を売却して現金を分ける方法、共有状態を維持する方法など、柔軟な選択が可能です。

協議がまとまったら、その内容を遺産分割協議書にまとめ、全員が署名・押印します。この書類は相続登記を始めさまざまな相続手続きの際に提出が必要となるので、大切に保管しましょう。
協議が成立しない場合は、家庭裁判所で調停を利用することもできます。

遺産分割協議について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

④相続登記

遺産分割協議が終わったら、その内容にもとづいて法務局で相続登記を行います。
相続登記とは、不動産の所有者の名義を、亡くなった方から相続人に変更する手続きです。

2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく期限を過ぎると、最大10万円の過料が科される可能性があります。さらに、過去に登記をしていない不動産も対象で、2027年3月末までに対応が必要です。

相続登記を放置すると、不動産の売却や担保設定ができなくなるだけでなく、次の相続で相続人が増えると、手続きが複雑になります。共有者同士で管理や修繕を巡るトラブルが起きることも少なくありません。

こうしたリスクを避けるためには、弁護士などの専門家に相談し、できるだけ早く相続登記を済ませることが重要です。

相続登記申請書の書き方

相続登記申請書に専用の用紙はなく、A4用紙に必要事項を記載して自分で作成します。

たとえば、自宅の持分1/2を持っていた夫が亡くなり、妻が相続するときの申請書の記載例は以下のとおりです。共有持分と別の不動産を相続する場合など、ケースによって書き方が異なるため、作成する際は弁護士などの専門家にご相談ください。

登記申請書

登記の目的  山田太郎持分全部移転
原 因    令和7年7月23日相続
相続人    (被相続人 山田太郎)
       東京都〇〇区○○六丁目30番15
       持分2分の1 山田 花子 印
       電話番号 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇  

添付情報  登記原因証明情報 住所証明情報 評価証明書
□登記識別情報の通知を希望しません。
令和7年9月10日申請 〇〇法務局〇〇支局 

課税価格   金〇〇万円
登録免許税  金〇〇円

不動産の表示 
不動産番号 〇〇〇
所  在  東京都〇〇区○○六丁目
地  番  30番15 
地  目  宅地 
地  積  100㎡

所  在  東京都〇〇区○○六丁目30番15 
不動産番号 〇〇〇
家屋番号  30番15 
種  類  居宅 
構  造  木造瓦葺2階建
床面積   1階50㎡ 2階30㎡

⑤相続税の申告・納付

相続税の申告と納付は、亡くなった方の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。この期限を過ぎると加算税や延滞税が発生するため、早めの対応が重要です。

相続税の計算では、まず基礎控除額を確認します。基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人の数」で算出され、相続した財産の合計額がこの金額以下なら相続税はかかりません。共有名義の場合、課税対象となるのは亡くなった方の共有持分のみであり、他の共有者の持分には課税されません。

なお、相続税の負担を軽減できる制度として「小規模宅地等の特例」があります。一定の条件を満たせば、居住用や事業用の宅地の評価額を最大80%減額できるため、相続税を大幅に抑えることが可能です。共有持分でも要件を満たせば適用されるため、必ずご確認ください。

相続税にも強い弁護士豊富な経験と実績あなたをフルサポートいたします

相続に関するご相談

24時間予約受付・年中無休・通話無料

0120-523-019
メール相談受付

来所法律相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

相続の来所法律相談30分無料

タップすると電話できます0120-523-019

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付

※注意事項はこちらをご確認ください

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

共有名義の不動産を単独名義へ変更する方法

共有名義の不動産は、複数人が所有権を持つため、売却や賃貸、リフォームなどの意思決定には全員の同意が必要です。そのため、管理や処分が難しく、将来的な相続でも権利関係が複雑化しやすいというデメリットがあります。

こうした問題を避けるため、できる限り単独名義への変更を検討するのが望ましいでしょう。共有名義を単独名義に変更する方法として、主に以下があげられます。

  • 他の相続人には別の遺産を分ける
  • 他の相続人へ代償金を支払う

他の相続人には別の遺産を分ける

相続人の一人が不動産を単独で取得し、他の相続人には預貯金や株式など別の遺産を分けることで、共有名義を避ける方法があります。この方法は現物分割と呼ばれます。

たとえば、遺産に2000万円の不動産と2000万円の現金がある場合、不動産を長男が相続し、現金を次男が受け取るというのが典型的な現物分割のパターンです。また、複数の不動産がある場合には、それぞれの時価を基準に話し合い、相続人ごとに異なる不動産を取得する方法もあります。

現物分割は、不動産の価値に見合うだけの他の財産が十分にある場合に適しています。相続人間の公平性を保ちながら不動産の共有名義を避けたいときに有効な方法といえるでしょう。

他の相続人へ代償金を支払う

共有名義の不動産を一人の名義にまとめたい場合に有効なのが代償分割です。

代償分割とは、相続人の一人が不動産を単独で相続し、その代わりに他の相続人へ不動産の評価額に応じた現金(代償金)を支払う方法です。不動産を利用したい相続人がいて、かつ代償金を支払える資金力がある場合に適しています。

たとえば、遺産に3500万円の不動産と3000万円の現金があるケースでは、不動産を長男が相続し、現金を次男が受け取ります。そして、不動産と現金の差額である500万円を長男が別途用意して次男に支払う、これが典型的な代償分割の例です。

公平性を保つためには、不動産の評価額を正確に把握し、代償金の金額を適切に設定することが必要です。

共有名義の不動産の相続トラブルへの事前対策

不動産が共有名義になると管理や処分で意見が対立しやすく、次の相続で共有者が増えるとさらに売却や活用が困難になります。こうしたリスクを防ぐには、相続前に以下のような対策を講じておくといいでしょう。

  • 遺言書の作成
    遺言書に「特定の相続人に不動産を単独で相続させる」などと記載すれば共有状態を防げます。ただし、遺留分侵害額請求を受ける可能性があるため、他の相続人には預金など別の財産を割り当て、公平性を確保することが重要です。
  • 生前贈与する
    生きている間に共有持分を特定の相続人に贈与しておけば、相続時に共有名義が発生するのを防げます。ただし、贈与税がかかる場合があるためご注意ください。
  • 家族信託
    家族信託では、遺言と同じく、あらかじめ「自分が亡くなったら妻に相続させる」など、受け継ぐ人を指定できるため、相続後の共有名義化を防げます。

共有名義の不動産対策は複雑な法律・税務が絡むため、弁護士や税理士などの専門家にご相談ください

遺言書の書き方については、こちらの記事をご覧ください。

共有名義人の片方が死亡した場合の相続に関するQ&A

相続した共有不動産について、自分の持分のみを売却することはできますか?

自分の共有持分だけなら、自分の判断のみで第三者に売却できます。他の共有者の同意や通知は不要です。ただし、共有持分だけを購入する一般の買い手はほとんどいないため、共有持分の買取りを専門とする業者に依頼するのが現実的な方法です。通常、共有持分の売却は、一般市場価格の1~3割程度になるとされています。

一方で、共有者全員が合意すれば、不動産全体を売却することも可能です。この場合は通常の不動産取引と同様に市場価格に近い金額で売却でき、代金は持分割合に応じて分配されます。

共有名義の不動産を相続放棄するとどうなりますか?

共有名義の不動産を相続放棄すると、その不動産の持分だけでなく、亡くなった方の遺産すべてを相続できなくなります。預貯金やその他の財産も含め、相続人としての権利は一切失われる点に注意が必要です。

ただし、あなたが相続放棄しても、他に相続人がいればその人たちが不動産の持分を引き継ぎます。
もし相続人全員が相続放棄した場合、亡くなった方の持分は最終的に他の共有者に移ります。ただし、すぐに移転するわけではありません。相続財産清算人の選任など、法律にもとづく手続きを経る必要があります。

相続放棄について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

不動産の共有名義人が死亡した場合の相続については、弁護士にご相談ください

共有名義の不動産は、相続のときに特にトラブルになりやすい財産です。
亡くなった方の持分は相続の対象になるため、誰が相続人なのかを確認したり、遺言書の内容を調べたり、遺産分割について話し合ったりと、複雑な手続きが必要になります。

さらに、共有持分が複数人に分かれると権利関係が複雑になり、手続きはいっそう難しくなります。こうした問題を解決するには、相続に詳しい弁護士への相談が有効です。

弁護士に依頼すれば、相続人や遺産の調査から、遺産分割協議での交渉、相続登記、必要書類の収集や作成まで、専門知識をもとに代理で対応してもらえるため、安心して手続きを進められます。共有不動産の相続でお困りなら、相続に詳しい弁護士にご相談ください。

 

相続税にも強い弁護士豊富な経験と実績あなたをフルサポートいたします

相続に関するご相談

24時間予約受付・年中無休・通話無料

0120-523-019
メール相談受付

来所法律相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

相続の来所法律相談30分無料

タップすると電話できます0120-523-019

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付

※注意事項はこちらをご確認ください

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治
監修 :福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名を擁し()、東京、札幌、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、大阪、神戸、姫路、広島、福岡、タイの13拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。