売れない土地を相続したらどうする?対処法や相続放棄など解説
相続財産に土地が含まれている場合があります。
都心の土地等、高額で売買される土地であれば経済的なメリットが大きいですが、立地が悪い等の理由で売れない土地も少なくありません。
売れない土地を相続してしまうと、固定資産税や修繕管理費用の負担等の損害が発生するおそれもあります。
この記事では、売れない土地を相続するリスクや、売れない土地の特徴、土地の相続放棄、売れない土地を相続した場合の対処法等について解説します。
目次
売れない土地を相続するリスクとは?放置したらどうなる?
売れない土地を相続すると、主に次のようなリスクが発生します。
- 固定資産税を払い続けなければならない
- 土地の保存義務が発生する
- 損害賠償責任が発生する可能性がある
- 次の世代に迷惑をかける
また、相続登記が義務化されたので、必ず登記申請を行わなければなりません。相続登記では、登録免許税として、不動産の固定資産税評価額の0.4%が課税されます。
土地を売却する場合であっても、その前に、相続登記は行う必要があります。
固定資産税を払い続けなければならない
売れない土地を相続すると、固定資産税を支払わなければなりません。土地を所有していると、永遠に課税されると考えるべきでしょう。
土地に建物があると、小規模住宅用地の特例により、土地の固定資産税が1/6に軽減される可能性があります。
しかし、売れないために放置し、建物が老朽化してしまって自治体から特定空き家に指定されると、特例による固定資産税の軽減はなくなってしまいます。
土地の保存義務が発生する
売れない土地を相続した場合は、利用していなくても手入れをする義務があります。
たとえ相続放棄しても、相続開始時にその土地を占有していた場合には保存義務が発生します。
必要な手入れを行わないままでいると、害虫の発生や不法投棄の横行などによって、周辺住民とのトラブルに発展するおそれがあります。
大量の廃棄物などを自身の負担で処分させられると、大きな損害を被ることになるでしょう。
損害賠償責任が発生する可能性がある
相続した土地を放置したことが原因となって損害を与えてしまった相手から、損害賠償を請求されるリスクがあります。
放置した土地が荒れてしまい、土砂災害が発生する等、被害が生じれば責任を追及されるおそれがあります。
次の世代に迷惑をかける
売れない土地を相続したままで放置しておくと、自身が亡くなったときに、相続人に迷惑をかけてしまうおそれがあります。
放置していた土地は荒れてしまい、不法投棄が行われる場合もある等、さらに売りにくくなってしまうケースが多いからです。
自身の相続人が2人以上いると、どちらも相続したくないと考えて、土地を押しつけ合うことになりかねません。
相続しても売れない土地の特徴
相続しても売れない土地の特徴として、主に以下のようなものが挙げられます。
- 立地が悪い
- 法律上の制限がある
- 土地の形状が悪い
- 土地の地盤がよくない
- 生産緑地に指定されている
これらの特徴について、次項より解説します。
立地が悪い
立地が悪く、利用しづらい土地はなかなか売れません。例えば、以下のような土地が挙げられます。
- 過疎化した地域にある
- 駅から遠い
- 道路に面していない
- 大雨により水没するおそれがある
- 高い建物に囲まれていて日当たりが悪い
- 治安が悪いエリアにある
法律上の制限がある
法律上の利用制限がある土地は、なかなか売れません。例えば、再築不可能とされている土地です。
再築不可能とは、すでに存在している建物を解体してしまうと、新しい建物を建てることができないということです。建て替えができないため、需要が低くなります。
土地の形状が悪い
土地が広すぎても狭すぎても、売りにくくなります。また、極端に細長い土地や曲がりくねった土地等も、家屋を建てる等の利用が難しいため売りにくいです。
他にも、傾いてしまっている土地や、道路と接している部分が狭いために出入りの難しい土地等についても、なかなか売れません。
なお、土地の境界が未確定である場合や不明になってしまった場合等についても、トラブルのリスクがあるため売るのはむずかしいでしょう。
土地の地盤がよくない
土地そのものの状態が良くないと、売りにくくなります。
盛土したばかりの土地や、液状化のリスクが高い埋め立て地、崖の上や崖の下の土地等、土地が災害のリスクに晒されていると売りにくいです。
また、土壌汚染が深刻な土地や、巨大な埋設物があって地下を利用できない土地等についても売るのが難しいでしょう。
生産緑地に指定されている
土地が生産緑地に指定されていると、売りにくくなります。生産緑地とは、市街化区域内で指定される、都市の緑地空間の保全などを目的とした農地です。
生産緑地に指定されると、固定資産税は抑えることができます。
その代わりに、土地の所有者であっても指定解除の申立てには制限があり、指定されている期間内には農業と関係のない家屋を建てる等の利用は禁止されます。
ただし、指定から30年経つと、市区町村長に買い取りを申し出ることができます。買い取ってもらえなければ、生産緑地の指定は解除されます。
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売れない土地を相続放棄することはできる?
相続財産に売れない土地がある場合には、相続放棄すれば相続せずに済みます。
ただし、売れない土地を相続しないために相続放棄する場合には、主に次のような点に注意しなければなりません。
- 相続財産のすべてを相続できなくなる
- 死亡保険金や死亡退職金を受け取ったときに、相続税の非課税枠を利用できなくなる
- 自己のために相続が開始されたことを知ってから3ヶ月以内に申し立てなければならない
- 相続財産の一部を処分する等してしまうと、相続放棄が無効となるおそれがある
- 相続放棄したときに占有していた土地については保存義務が発生する
相続放棄について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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売れない土地を相続した場合の対処法
売れない土地が相続財産に含まれており、相続放棄をしない場合には、相続税の申告期限までに相続人の1人が土地を相続してから対処するべきでしょう。
考えられる対処法として、以下のようなものが挙げられます。
- 土地を売れやすい状態にする
- 不動産会社を変える
- 土地を寄付する
- 相続土地国庫帰属制度を利用する
これらの対処法について、次項より解説します。
①土地を売れやすい状態にする
土地が売りにくい状態になっている場合には、売りやすい土地にできないかを検討しましょう。
例えば、以下のような対策により、土地を売りやすくなる可能性があります。
- 土地が大きすぎる:分筆して小さな土地を複数にする
- 土地が汚染されている:汚染の状況を調査して、汚染度を除去する
- 境界が未確定である:土地家屋調査士に依頼して境界を確定させる
②不動産会社を変える
依頼してからしばらく経っても土地が売れない場合には、不動産会社を変えることを検討しましょう。
会社によって、客層や宣伝方法などが違うため、売れなかった土地を売却できる可能性があります。
ただし、不動産会社との契約によっては、一定の期間は他の会社への変更ができないこともあるので、前もって契約を確認しましょう。
③土地を寄付する
どうしても買い手が見つからない場合には、寄付することも検討しましょう。
寄付すると売却代金を受け取ることはできませんが、固定資産税や手入れの負担をなくすことができるため、ずっと売れない土地を持っているよりも良いケースもあります。
寄付する相手として、隣人や自治体等が考えられます。隣人であれば、無料で土地が広がることにメリットを感じてもらえる可能性があります。
また、自治体であれば、地元の土地を有効に使える可能性があります。
ただし、トラブルを抱えている土地や、あまりにも利便性が低い土地であれば、寄付することすら断られるおそれもあります。
また、汚染された土地等を、その事実を告げずに寄付するとトラブルの原因となるため、そのような行為をしてはいけません。
④相続土地国庫帰属制度を利用する
相続した土地が不要である場合には、相続土地国庫帰属制度により、土地を国に引き渡すことができる可能性があります。
相続土地国庫帰属制度とは、10年分の標準的な管理費用を納めれば、相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる制度です。
ただし、この制度は、建物がある土地や汚染されている土地、所有権について争いのある土地等については利用できません。
また、管理が大変すぎる土地や埋設物がある土地、他の土地に移動することが難しい土地等については、承認されないことになっています。
制度を利用したい場合には、土地を管轄する法務局または地方法務局に承認申請を行いましょう。
売れない土地の相続でお困りの際はALG法律事務所までご相談ください
相続財産に含まれている土地が売れにくい場合、相続したくない方がいらっしゃるでしょう。しかし、相続放棄してしまうと、全ての財産が相続できなくなってしまいます。
売れない土地の相続で困っている方は、弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、土地による負担をなるべく抑えながら相続するための対策についてアドバイスできます。
また、相続が発生する前に、不要な財産を処分しておくための相談についてもお待ちしております。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)




