暴行罪とは?傷害罪との違いや成立要件・刑罰・時効などを解説

暴行罪とは?傷害罪との違いや成立要件・刑罰・時効などを解説

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

暴行罪は、暴行を加えたものの、相手が怪我をしなかった場合に成立する罪です。
被害者のいる刑事事件であるため、暴行事件を起こしてしまったら、弁護士に示談交渉してもらうことが重要です。

被害者と示談成立できれば、早期釈放や不起訴処分の獲得、減軽が期待できるでしょう。

この記事では、暴行罪と傷害罪の違いや暴行罪の成立要件・刑罰などについて、詳しく解説していきます。

暴行罪とは

暴行罪は、殴る・押すなどの暴行行為をしたものの、相手に怪我を負わせるまでは至らなかった場合に成立する犯罪です(刑法208条)。

暴行罪における「暴行」とは、人の身体に対する有形力(物理的な力)の行使を指します。単に殴る・蹴るといった行為のみが暴行罪に該当するわけではありません。

暴行罪に該当する行為

  • 身体に触れる行為:殴る・蹴る・胸ぐらをつかむ・髪を引っ張るなど
  • 身体に触れない行為:相手に向けて物を投げる・水や塩をかける・大音量の音を出すなど

相手の身体に直接触れていなくても、身体に危険や影響を及ぼし得る行為であれば、暴行に該当する可能性があります。

法律では身体への接触を要件としていないため、多少距離が空いた状態でも、行為の危険性によっては暴行罪が成立することに注意が必要です。

暴行罪と傷害罪の違い

暴行罪と傷害罪の違いは、簡単にいうと、傷害(怪我)が生じたかどうかです。

暴行と因果関係のある傷害が生じれば「傷害罪」、生じなければ「暴行罪」が成立します。最初は暴行罪の疑いで手続きが進んでいても、後から怪我が判明し、傷害罪に切り替わるケースは少なくありません。

傷害罪の法定刑は、15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金であり、暴行罪よりも重い刑罰が科せられます。

また、暴行によって被害者が死亡してしまった場合は、より重い傷害致死罪に問われるおそれがあり、法定刑は3年以上20年以下の拘禁刑となります。
初犯であっても、実刑を覚悟する必要があるでしょう。

傷害罪については、以下のページもご覧ください。

傷害罪とは?

暴行罪の成立要件と刑罰

暴行罪の成立要件は、「暴行(有)」「傷害(無)」「故意(有)」の3つです。

  • 暴行があること
    身体に直接触れない間接的な行為も含まれます(間接暴行)。
  • 傷害の結果が生じていないこと
    傷害が生じた場合、暴行罪ではなく傷害罪(刑法204条)が成立します。
  • 故意があること
    わざと暴行を加える意思(故意)が必要で、偶然身体に当たった=過失による行為は暴行罪に該当しません。

暴行罪の刑罰は、「2年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。もっとも、実務上は拘禁刑か罰金刑に処されるケースがほとんどです。

暴行罪にならないケース

暴行罪が成立しないのは、「故意がない」「正当防衛が成立する」「暴行ではない」などのケースです。

  • 故意がない
    人混みで押されてぶつかるなど、偶然の接触や不注意による行為は、暴行罪が成立しません。
  • 正当防衛
    襲われた際、身を守るために相手を突き飛ばすなどの行為は、正当防衛と判断されます。
  • 物理的接触や威嚇がない
    暴言のみなど、身体への物理的接触や力が加わっていない行為は、暴行罪が成立しません。

暴行罪で逮捕される可能性は?

暴行罪で逮捕される可能性は、十分にあります。

暴行罪は、相手が怪我を負わなかった場合に成立する罪ですので、傷害罪に比べると刑罰は軽いです。

しかし、通報を受けて駆け付けた警察官によって身柄を確保されれば、その場で現行犯逮捕となります。

現行犯逮捕に至らなくても、後日被害届が提出され、捜査によって事件当日から数日後に通常逮捕されるケースも少なくありません。

一方、「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」「常習性や悪質性が認められない」など逮捕の必要性がない場合は、身柄拘束を受けずに済む可能性が高いでしょう。

すべての暴行事件で必ず逮捕されるわけではありませんが、実務上では、事案の態様や証拠関係、被疑者の状況などによって、逮捕するかどうかが総合的に判断されます。

暴行罪で逮捕された場合の流れ

暴行罪で逮捕されると、主に以下のような流れで手続きが進みます。

  1. ① 逮捕後は48時間以内に、事件資料と被疑者の身柄が警察から検察に送致される
  2. ② 送致後は24時間以内に、検察官が勾留請求を行うかどうか判断する
  3. ③ 検察官が勾留請求し、裁判官が認めると勾留が実施される(最長20日間)
  4. ④ 勾留満了日までに、検察官が起訴・不起訴の判断を下す
  5. ⑤ 起訴されると、刑事裁判が開かれる

詳しくは、以下のページをご覧ください。

逮捕された後の流れは?

暴行罪の起訴率と前科の影響

2024年版検察統計表によると、暴行罪の起訴率は約28%不起訴率は約72%でした。

統計表だけをみると、暴行罪は比較的起訴されにくいようですが、日本の有罪率は99%以上といわれているため、起訴後は有罪判決となる可能性が高いです。

有罪となれば、前科がつくことになります。前科は日常生活にさまざまな悪影響を及ぼすため、逮捕後は不起訴処分を獲得することが大切です。

前科が及ぼす影響については、以下のページをご覧ください。

前科がつく影響は?

初犯の場合はどうなる?

初犯の暴行罪は、不起訴で終わる可能性があり、仮に起訴されても罰金刑に処されることが多いです。

初犯は「改善更生する可能性が高い」と判断されやすく、被疑者・被告人にとって有利な事情となるからです。
特に、被害者との示談が成立していれば、不起訴となる可能性がさらに高まります。

初犯で起訴された場合に科される罰金は、10万~30万円程度が一般的でしょう。

暴行罪の時効は何年?

刑事手続きにおける時効は「公訴時効」といいます。
公訴時効とは、定められた公訴時効の期間が経過すると、検察官が被疑者を起訴できなくなる制度です。

公訴時効の期間は、法定刑の重さによって異なり、暴行罪の場合は3年となります。

一方、暴行をした場合の「民事上の時効」は、被害者が損害と加害者を知った時から5年です。

加害者が不明の場合も、暴行の時から20年が経過すると、被害者は損害賠償請求ができなくなります。

暴行罪で警察は動かない?

「暴行罪で警察は動かない」というのは、誤った情報です。

警察は、暴行事件の通報があれば動きますし、場合によっては逮捕も行います。
暴行罪は親告罪ではないため、被害者からの告訴がなくても起訴できる犯罪類型であり、警察が認知すれば捜査が行われます。

警察が動かないといわれるのは、注意指導のみで終わるケースが多いからでしょう。

「押しただけ」「胸ぐらをつかんだだけ」など、暴行が軽微なケースは、事件として立件する必要がないと判断される傾向があります。

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暴行事件の加害者になってしまった場合の対処法

刑事事件に強い弁護士に相談する

暴行事件を起こしてしまった場合は、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談することで、状況に応じた適切なアドバイスを受けられます。

被害者の怪我の有無によっては、傷害罪よりも軽い暴行罪として処理されるよう、捜査機関へ働きかけてもらえます。

暴行罪は、被害者が存在する刑事事件です。被害者との示談成立は、早期釈放や不起訴処分を獲得するための重要なカギとなります。

弁護士に依頼すれば、被害者との示談交渉を一任できるだけなく、適切な示談金額も判断してもらえます。

被害者は、加害者に対して怒りや恐怖心を抱いている可能性が高いです。
示談交渉を円滑かつ適切に進めるためには、弁護士の力が必要不可欠でしょう。

弁護士費用の相場

弁護士費用は、弁護士事務所によって異なりますが、総額60万~100万円程度が相場です。

内訳

  • 着手金  30万~50万円程度
  • 成功報酬 30万~50万円程度

逮捕の有無や犯行の認否によって、弁護士費用は変動する可能性があります。
具体的な費用を知りたい場合は、弁護士事務所に問い合わせて確認してみましょう。

被害者との示談成立を目指す

暴行罪で逮捕・起訴されないためには、被害者との示談を成立させることが大切です。

刑事事件における示談は、当事者同士の「和解」を示すため、被疑者・被告人にとって有利な事情として扱われます。
一般的には、被害者に謝罪と示談金を支払い、和解を求めることが多いです。

示談は、被害者の加害者に対する“処罰感情(処罰を求める意思)“の緩和も示すため、逮捕前に成立できれば、被害届を出されず逮捕も回避できる可能性があります。

逮捕後であっても、有利な事情と評価され、不起訴処分の可能性が高まるでしょう。
また、起訴後に示談が成立した場合も、量刑の判断に大きく影響する可能性があります。

被害者のいる暴行事件では、早期段階から示談交渉を進めることが大切です。

ただし、被害者の処罰感情が強いと、示談交渉の場を設けることすら難しい場合があります。

示談の流れやタイミングなどについては、以下のページをご覧ください。

刑事事件では示談成立を目指すべき!

暴行罪の示談金相場

怪我がない暴行罪の示談金相場は10万~30万円程度とされていますが、個別事情により100万円以上になるケースもあります。

暴行罪の示談金は、被害者が受けた精神的な苦痛(恐怖や不快感)に対するお詫びとして支払われるもので、性質としては「慰謝料」に近いです。

そのため、暴行事件では、相手に怪我がなくても、不起訴獲得や早期解決のために示談金を支払うケースが多く見られます。

暴行罪に関するよくある質問

暴行罪で示談なしで不起訴になる可能性はありますか?

はい、可能性は十分にあります。
例えば、「暴行の程度が軽微」「被害者にも落ち度がある」などの場合は、示談なしでも不起訴になる可能性があるでしょう。

検察官が、刑罰を科さなくても十分に更生が可能だと判断すれば、不起訴処分が下されます。
また、有罪の立証が困難な場合も不起訴となります。

ただし、示談が成立している場合と比べると、不起訴になる可能性は低いです。

示談成立がまだだと、検察官が「被害者が加害者を許しておらず、処罰感情が強い」と判断し、起訴を検討する可能性が高いからです。

暴行罪で警察から呼び出しを受けることはありますか?

はい、警察から暴行罪で呼び出しを受けることは、実務上よくあります。

例えば、暴行事件の被害者から被害届が提出された場合、警察が事実確認のために出頭要請を行うことがあります。
要請の多くは任意出頭であり、強制ではありません。

ただし、正当な理由もなく出頭要請に応じない状態が続くと、捜査に非協力的と判断され、結果として厳しい対応が取られる可能性があります。

呼び出しを受けた際は、無視するのではなく、弁護士に相談したうえで適切に対応することが重要です。

詳しくは、以下のページをご覧ください。

警察から呼び出しを受けたら?

暴行事件を起こしてしまったら弁護士法人ALGへご相談ください

暴行事件を起こしてしまい、「警察から連絡が来るのではないか」「今後どのような処分を受けるのか」と不安を感じている方も多いでしょう。

刑事事件は、初動対応の違いで逮捕や起訴、前科の有無といった結果が大きく左右される可能性があります。

早期段階で被害者と示談できれば、逮捕や前科を回避できる可能性が高まるため、弁護士に示談交渉を任せるのが有効です。

弁護士法人ALGでは、刑事事件に精通した弁護士が状況を丁寧に確認したうえで、適切な弁護方針をご提案します。

豊富な経験と知識を活かし、ご依頼者の状況に応じた対応を取り、よりよい解決を目指して尽力します。

暴行事件で不安を抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

逮捕後72時間以内弁護活動が運命を左右します

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保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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