誤認逮捕されたらどうする?5つの対処法や影響、賠償金などを解説
身に覚えのない事件で突然逮捕されてしまう「誤認逮捕」は、本来あってはならない重大な問題です。
しかし、現実には発生しており、逮捕されると仕事や日常生活に深刻な影響が及びます。誤認逮捕された場合、どのように対処すればよいのかと不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、誤認逮捕で受ける影響や誤認逮捕された場合の対処法、誤認逮捕が認められた場合の補償の有無などについて、詳しく解説していきます。
誤認逮捕とは
誤認逮捕とは、罪を犯していないにもかかわらず、警察や検察などの捜査機関が誤って犯人と判断し、逮捕してしまうことをいいます。
逮捕されると身柄を拘束され、行動が制限されるため、仕事や学校に行けなくなるなどの影響が生じます。
誤認逮捕は本来あってはならないことですが、証拠の見誤りなどにより一定数発生しているのが実情です。
誤認逮捕が認められた場合には、社会的関心の高い事件として報道されることも少なくありません。
逮捕の種類について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
逮捕にはどんな種類がある?誤認逮捕と冤罪の違い
誤認逮捕は、冤罪の原因の一つになり得ますが、同じ意味ではありません。
冤罪とは、無実であるにもかかわらず犯罪の疑いをかけられ、最終的に有罪判決が確定することです。
つまり、冤罪は最後まで誤りが正されない状態であるのに対し、誤認逮捕は逮捕の段階で誤って犯人と判断された状態を指します。
刑事事件では、逮捕後に起訴されてから裁判が行われるため、誤認逮捕の段階では一般的に冤罪とはいいません。
ただし、誤認逮捕も含めて広い意味で「冤罪」と表現されることもあります。
誤認逮捕が起こる原因
誤認逮捕は、捜査機関による裏付け捜査が不十分なまま、早い段階で犯人と決めつけてしまうことが主な原因とされています。
本来、逮捕には「罪を犯したと疑うに足りる相当な理由」が必要ですが、証拠の精査が不十分だと、誤った判断に至るおそれがあります。
また、一つ一つの証拠だけでなく、それらをどのように総合して評価するのかも重要です。限られた情報だけをもとに急いで結論を出した結果、判断を誤ってしまうこともあります。
例えば、目撃者の記憶違いや、防犯カメラ映像の分析ミス、さらに先入観や思い込みなどが重なることで、誤認逮捕は起こりやすいです。
見た目が似ている人を犯人だと勘違いしたり、一度疑った人を「やはり犯人に違いない」と思い込んでしまったりすることも、誤認逮捕の原因の一つといえるでしょう。
誤認逮捕された場合の対処法
誤認逮捕された場合の対処法には、以下のようなことが挙げられます。
- すぐに弁護士を呼ぶ
- 黙秘権を行使する
- 誤った内容の供述調書に署名・押印しない
- 安易に事件について話さない
- 自分が犯人ではない証拠を探す
初動対応を誤ると不利な状況に陥るおそれがあるため、冷静かつ適切に行動することが大切です。
①すぐに弁護士を呼ぶ
誤認逮捕された場合は、できるだけ早く弁護士を呼ぶことが重要です。
逮捕直後は「当番弁護士制度」により、一回であれば無料で弁護士の接見を受けることができます。
ただし、当番弁護士は継続的な弁護活動には向かないため、費用はかかりますが、その後は私選弁護人への依頼も検討すべきです。
私選弁護人とは、自身で弁護士費用を支払い、直接委任契約を結ぶ弁護人のことです。私選弁護人であれば、早期段階から弁護活動を開始できるため、証拠の収集や取り調べでの対応についてアドバイスしてもらえます。
また、刑事事件では、国が費用を負担して選任する「国選弁護人」もいます。
国選弁護人と私選弁護人の違いは、以下のページをご覧ください。
私選弁護人と国選弁護人の違いは?②黙秘権を行使する
黙秘権とは、取り調べや裁判で自分に不利な供述を拒否し、沈黙することができる権利です。
憲法や刑事訴訟法で保障されており、簡単にいうと、「話したくないことは無理に答える必要はない」という権利をいいます。
刑事事件では、安易に曖昧な供述をすると、かえって疑いを強めてしまうおそれがあるため、状況に応じて黙秘権を行使することが重要です。
一方で、自分に有利となる事実は積極的に主張した方がよい場合もあるため、弁護士のサポートを受けながら行動することをおすすめします。
黙秘権の詳細は、以下のページをご覧ください。
黙秘権とは?③誤った内容の供述調書に署名・押印しない
警察が作成した供述調書に、実際に話した内容と異なる記載がある場合、署名・押印してはいけません。
取り調べで作成される供述調書は、その後の捜査や裁判で重要な証拠として扱われます。
一度署名してしまうと、後から訂正することは容易ではありません。
そのため、内容に少しでも違和感がある場合には、「その場で訂正を求める」または「署名を拒否する」ことが大切です。
訂正に応じてもらえない場合は、理由を明確にしたうえで署名を控えるべきでしょう。
特に、誤認逮捕のケースでは、不利な供述を残さないことが、早期釈放や起訴の回避に大きくつながる重要なポイントとなります。
④安易に事件について話さない
取り調べや警察官との会話の中で、事件について知っていることがあっても、安易に話すべきではありません。
たとえ無実でも、詳細に説明することで、「犯人しか知り得ない情報を知っている」と判断されてしまい、かえって疑いが強まるおそれがあります。
そのため、自分に不利となり得る内容については、無理に話す必要はありません。
また、強い緊張やプレッシャーの中で対応すると、本来の認識とは異なる供述をしてしまう場合もあるため、落ち着いて対応することが大切です。
供述するかどうかは慎重に判断し、取り調べの対応方法については、必ず弁護士と相談するようにしましょう。
⑤自分が犯人ではない証拠を探す
誤認逮捕された場合は、目撃者の証言や防犯カメラの映像、自分のアリバイなど、犯人ではないことを裏付ける証拠をできる限り集め、捜査機関に示すことが重要です。
無実を証明する義務はありませんが、身柄拘束が続く中では、積極的に証拠を示すことで早期釈放につながる可能性があります。
ただし、逮捕された後は行動が制限されるため、自力で証拠を集めることは容易ではありません。
家族や関係者に協力を仰ぐ方もいらっしゃいますが、適切に進めるためには法的な判断が不可欠です。
そのため、弁護士に依頼し、速やかに証拠の収集や必要な対応を進めてもらうことが大切です。初動が遅れると、証拠の確保が困難になるおそれもあります。
逮捕後72時間以内の弁護活動が運命を左右します
刑事弁護に強い弁護士が迅速に対応いたします。
逮捕直後から勾留決定までは弁護士のみが面会・接見できます。ご家族でも面会できません。
誤認逮捕されたらどうなる?逮捕後に受ける影響
誤認逮捕された場合でも、通常の逮捕と同様に手続きが進むため、さまざまな不利益を受ける可能性があります。
具体的には、長期間の身柄拘束や面会制限、社会生活へのダメージなどが生じるおそれがあります。
身体拘束を受ける
誤認逮捕であっても、逮捕されると身柄拘束を受けるため、一定期間は自由に行動できなくなります。
逮捕後は警察署内で生活することになり、食事や睡眠は確保されるものの、外出や帰宅はできず、家族や知人との自由な連絡も制限されます。
ただし、弁護士との接見(面会)は可能です。
検察に送致された後、検察官が勾留請求を行い、裁判官が認めると、逮捕から最長23日間の身柄拘束が続く可能性があります。
勾留期間中は、仕事や学校に行けないだけでなく、家族や職場との関係にも影響が及ぶおそれがあります。
たとえ誤認逮捕でも、日常生活や社会生活に広くダメージが及ぶ可能性があるため、早い段階で適切な対応を取ることが重要です。
接見禁止の可能性がある
弁護士以外との面会は、基本的に勾留決定後に可能となります。
しかし、裁判官から接見禁止命令が出された場合には、解除されるまで家族や知人と面会することはできません。
被疑者が容疑を否認している事件(否認事件)では、証拠隠滅や口裏合わせを防ぐため、接見禁止となるケースも多いです。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
接見禁止とは?前科はつかないが前歴(逮捕歴)が残る
誤認逮捕であると認められた場合は賠償請求が可能
誤認逮捕が認められた場合は、一定条件のもとで補償や賠償を請求することができます。具体的には、以下のような制度が用意されています。
- 被疑者補償規程による補償
- 刑事補償法による補償
- 国家賠償法による賠償
被疑者補償規程による補償
被疑者補償規程とは、逮捕や勾留で身柄拘束を受けた被疑者が不起訴となった場合に、一定の条件のもとで金銭的補償を受けられる制度です。
対象となるのは、「罪とならず」または「嫌疑なし」といった理由による不起訴です。
補償額は、身柄拘束を受けた日数に応じて、1日あたり1000円以上1万2500円以下の範囲で決まります。
実際の支給額は、身柄拘束の内容や精神的苦痛の程度などを考慮して総合的に判断されるため、必ずしも上限額が適用されるわけではありません。
また、補償は自動的に受けられるわけではなく、不起訴決定後、検察庁へ「補償申出書」を提出して申請する必要があります。
加えて、「嫌疑不十分」や「起訴猶予」といった理由での不起訴は対象外とされているため、すべてのケースで補償が受けられるわけではない点に注意が必要です。
刑事補償法による補償
刑事補償法とは、刑事裁判で無罪判決が確定した者に対して、身柄拘束によって受けた不利益を国が金銭で補償するための法律です。
逮捕・勾留された後に無罪判決を得た場合は、刑事補償法に基づく補償を請求することができます。
補償額は、被疑者補償規程と同様に、身柄拘束を受けた日数に応じて、1日あたり1000円以上1万2500円以下の範囲で決まります。
ただし、この制度は「身柄拘束に対する補償」を目的としているため、身柄拘束を伴わない在宅事件(在宅で捜査を受けていた場合)は、補償の対象外です。
また、補償は無罪判決の確定後、自動的に受けられるものではなく、裁判所に「刑事補償請求書」を提出する必要があります。
請求期限は、判決が確定した日から3年以内です。
国家賠償法による賠償
国家賠償法とは、公務員の違法な行政行為によって損害を受けた場合に、国や地方公共団体に対して賠償を求めることができる法律です。
被疑者補償規程や刑事補償法では補償を受けられない、または補償が不十分な場合は、国家賠償法に基づく損害賠償を検討することになります。
ただし、請求が認められるためには、公務員の行為に「違法性」や「過失」があったことを被害者側が立証する必要があり、ハードルは高いといえます。
加えて、違法性や過失の有無は、個別の事案ごとに慎重に判断されるため、必ずしも請求が認められるとは限りません。
実際に請求する際には、証拠の収集や適切な主張が重要となるため、法律の専門家である弁護士によるサポートが不可欠です。
誤認逮捕された後の流れ
誤認逮捕された後は、通常の刑事事件と同様に、次のような流れで手続きが進みます。
- ① 警察による取り調べ
- ② 検察へ送致
- ③ 起訴・不起訴の判断
- ④ 刑事裁判
各段階において、適切な対応を取ることが重要です。
警察による取り調べ
逮捕後は、誤認逮捕であっても、警察による取り調べを受けることになります。
被疑者には、取り調べに応じる義務(受忍義務)があるためです。
ただし、警察の質問に対して、すべて答える必要はありません。憲法上は黙秘権が保障されているため、話したくない内容については供述を拒否することができます。
検察へ送致
逮捕された場合、警察は原則として逮捕から48時間以内に、被疑者の身柄と事件の資料を検察へ送致します。
送致後、検察官は24時間以内に勾留請求するかどうかを検討し、身柄拘束を継続する必要があると判断した場合は、裁判官に対して勾留請求を行います。
誤認逮捕で無実を主張している場合であっても、この段階で嫌疑が十分に晴れなければ、勾留請求が行われる可能性があるため注意が必要です。
起訴・不起訴の判断
勾留請求が認められると、原則として10日間、延長されるとさらに10日間(合計20日間)の身柄拘束が続く可能性があります。
検察官は、勾留期間中に証拠や取り調べの内容を精査し、被疑者を起訴するか、不起訴とするかを判断します。
たとえ誤認逮捕であっても、無実であることを適切に証明できなければ、起訴される可能性があるため注意しましょう。
起訴について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
起訴とは?刑事裁判
起訴された場合は、最終的に刑事裁判で裁判官から判決が言い渡されます。
日本の刑事裁判は、有罪率が“99%以上”と高く、誤認逮捕であっても起訴されると有罪となるおそれがあります。
そのため、起訴前の段階で、不起訴処分の獲得に向けた対応を取ることが重要です。
誤認逮捕された場合に弁護士に相談するメリット
逮捕直後から接見が可能
弁護士には、「接見交通権」という権利があり、逮捕直後から被疑者と自由に接見(面会)することができます。
逮捕直後は外部との連絡が制限されますので、早期に面会し、状況を正確に把握できる弁護士は重要な存在です。
特に逮捕後は、容疑を認めるか否認するかといった初期対応が、その後の処分に大きく影響します。
弁護士であれば、誤認逮捕の場合でも、不利な供述を避けるための具体的なアドバイスや対応が可能です。
接見については、以下のページをご覧ください。
接見とは?早期釈放の可能性が高まる
弁護士は、証拠や情状を踏まえた適切な主張と立証を行えるため、早期釈放の可能性を高めることができます。
誤認逮捕による身柄拘束の場合、被疑者は容疑を否認するケースが多く、長期化する傾向にあります。仕事や家庭に大きな影響を及ぼすおそれがあるため、早期釈放を目指すことが重要です。
弁護士が入り、勾留の必要がないことや無実であることを具体的に示せれば、誤認逮捕の解消につながる場合があります。
特に、刑事事件に詳しい弁護士であれば、客観的な証拠に基づく適切な対応により、勾留の阻止や早期釈放の実現が期待できます。
誤認逮捕を証明するためのサポートができる
弁護士に依頼すれば、証拠の収集や事件関係者への聞き取りなどを適切に進め、誤認逮捕を証明できる可能性があります。
自身が無実であると示すためには、事件当時のアリバイや客観的証拠の確保が不可欠ですが、身柄拘束を受けながら自力で行うのは難しいのが実情です。
刑事事件に精通した弁護士であれば、捜査機関の着眼点を踏まえたうえで、効果的な証拠の収集や整理を行うことができ、誤認逮捕の立証につながる可能性があります。
誤認逮捕に関するよくある質問
誤認逮捕したことへのお詫びや謝罪はありますか?
捜査機関に法的な謝罪義務はないため、必ずしもお詫びや謝罪が行われるわけではありません。
謝罪がある場合も、非公開で行われるケースが多いです。
そのため、逮捕された事実が報道などで広く知られてしまい、社会的評価が低下した場合も、名誉が完全に回復するとは限らない点に注意が必要です。
誤認逮捕した警察官は処分されますか?
いいえ、誤認逮捕を行った警察官が直ちに処分されるとは限りません。
捜査は一定の根拠に基づいて行われるものであり、結果に誤りがあった場合でも、職務として適切に行動していたと評価されることが多いためです。
ただし、証拠の捏造や意図的な虚偽捜査など、重大な違反行為が認められる場合には、懲戒処分や刑事責任が問われる可能性があります。
誤認逮捕で会社をクビになることはありますか?
はい、誤認逮捕であっても、逮捕の事実のみを理由に会社から解雇される可能性はあります。
特に、長期間の身柄拘束により出社できない状態が続くと、会社側が解雇を決定することもあります。
ただし、後に誤認逮捕と認められた場合には、不当解雇として処分は無効になる可能性があるでしょう。
仮に復職が難しくても、解雇無効の主張や損害賠償請求といった法的対応が可能なため、早めに弁護士へ相談することが重要です。
誤認逮捕されたら早急に刑事事件に強い弁護士へご相談ください
誤認逮捕されてしまうと、長期間の身柄拘束を受ける可能性があり、仕事や家庭に深刻な影響を及ぼします。
初動対応を適切に行わなければ、そのまま起訴され、有罪となるおそれもあります。
不利益を最小限に抑えるためには、できるだけ早い段階で刑事事件に強い弁護士に相談することが不可欠です。
弁護士法人ALGでは、刑事事件の経験豊富な弁護士が迅速に対応し、早い段階からご依頼者の不利益を最小限に抑える弁護活動を行っています。
誤認逮捕の可能性がある場合も、証拠の収集や的確な主張により、早期釈放や不起訴処分の獲得を目指します。
決してお一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。
