罰金でも前科がつく!前科をつけたくない場合はどうしたらいい?

罰金でも前科がつく!前科をつけたくない場合はどうしたらいい?

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates
罰金でも前科がつく!前科をつけたくない場合はどうしたらいい?

罰金刑であれば、基本的に刑務所に入らずに済むということは、なんとなくイメージできるでしょう。

同じ流れで、罰金刑ならば前科は付かないと思っていらっしゃるかもしれませんが、それは誤りです。

ここでは、罰金刑の前科に関連して、どのような犯罪を行うと罰金刑を受けてしまうのか、また、罰金刑の前科が付くことによるデメリット等について解説します。

罰金刑を受ければ前科が付く

罰金刑は、懲役刑や禁固刑と比べて軽い刑とされています。
罰金刑が相当であると考えられた場合には、正式裁判が行われず、書面によって審査する略式手続によって終わることも多いです。

しかし、罰金刑を受けたということは有罪であり、有罪判決が確定すれば前科が付きます。

これは、略式手続によって受けた罰金刑であったとしても同じです。罰金を払えば前科が付かないわけではありませんし、付いてしまった前科が消えるわけでもありません。

罰金 (略式起訴)になる可能性のある犯罪

罰金刑になる可能性のある犯罪は、法定刑に罰金刑があるものです。
代表的なものとしては窃盗罪や暴行罪、脅迫罪、公務執行妨害罪、器物損壊罪、過失運転致死傷罪、各都道府県の迷惑防止条例違反(軽度の痴漢や盗撮等)などが該当します。

ただし、これらの罪であっても、被害が大きかった場合や計画性が高い場合、集団による犯行である場合、前科がある場合等には、より重い罪である懲役刑や禁固刑になるリスクが高まります。

なお、過失致死罪のように、法定刑が罰金刑のみである罪もあります。
また、過失傷害罪や単純賭博罪のように、法定の最高刑が罰金刑である罪もあります。

罰金による前科のデメリット

罰金刑を受けてしまっても、その罰金を支払うことができれば、刑務所に収容されることはありません。

そのため、罰金刑の前科は、付いてもあまり困らないように思われるかもしれません。

しかし、罰金刑とはいえ前科であるため、再び罪を犯したときには量刑が重くなるおそれがあります。

また、外国に行く際に、前科があるとビザの取得を求められることがあり、誰かと共に海外旅行する場合や海外出張する場合に支障をきたすかもしれません。

他にも、警察官や検察官、裁判官等になることを目指すときに、前科があると不利に扱われるおそれがあることは否定できません。

なお、罰金刑であっても前科が付いたことが知られると、周囲から白い目で見られるおそれもあるでしょう。

略式手続によって受けた罰金刑であれば、公開の場で裁判が行われないため、周囲に前科が付いたことを知られずに済む可能性が高くなります。

資格取得のデメリット

前科が付くと、資格を取得することが制限されることがあります。
しかし、多くの資格については、欠格事由として禁固刑以上の刑を受けたことを要件としています。

罰金刑の前科が付くと、資格の取得を制限されるおそれがあるのは、医師や歯科医師、看護師、薬剤師、助産師等です。

ただし、これらの資格であっても、罰金刑を受けると「免許を与えないことがある」とされており、必ず制限されるわけではありません。

なお、税理士が税理士法違反により罰金刑を受けたケースのように、特定の資格について、特定の犯罪による罰金の前科によって資格が制限されることもあります。

前科の影響について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

就職のデメリット

罰金刑の前科がある人が就職しようとする場合には、賞罰欄がある履歴書については、前科があることを記載しなければなりません。

履歴書に賞罰欄がなければ、あえて前科を記載する必要はありませんが、面接で前科があるかについて質問された場合には、正直に申告する必要があります。

もしも、虚偽を述べて就職すると、経歴詐称として懲戒処分の対象になるおそれがあるからです。

なお、罰金刑を受けてから、罰金刑以上の刑を受けずに5年が経過していれば、刑の言い渡しの効力が失われるため、前科を申告する義務もなくなります。

勤務している人のデメリット

罰金刑を受けて前科が付いた場合には、就業規則等に基づいて懲戒処分を受けるおそれがあります。

しかしながら、私生活における言動によって受けた罰金刑であれば、解雇することまでは認められないケースが多いと考えられます。

ただし、逮捕されて勾留されると、本人の責任によって欠勤が続くことになるため、それによって解雇されてしまうリスクが高くなります。

解雇されないようにするためには、逮捕・勾留を防ぐために自首する等の対応が必要になります。

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交通事故でも罰金刑になることがある

交通事故を起こしてしまうと、反則金の支払いを求められることが多いです。
この反則金は罰金ではなく、支払うことによって刑事処分を免除されるため、前科は付かずに済みます。

しかし、反則金の支払いをしないままでいると、逮捕・起訴されるリスクがあります。

これは、最初に指定された期間内に納付しなければ逮捕・起訴されるというわけではなく、督促されても無視を続けると、最終的には逮捕・起訴されてしまうということです。

なお、交通事故を起こしてしまったことにより、すぐに罰金刑を受けてしまうケースもあります。

比較的軽微な人身事故の場合等に、略式手続によって罰金刑を受けることが多いです。
ただし、飲酒運転や危険運転であった場合等には、罰金刑では済まずに懲役刑や禁固刑を受けるおそれがあります。

道路交通法違反や交通事故で罰金刑が科せられるケース

一般道路で時速30km以上の速度超過、あるいは高速道路で時速40km以上の速度超過をすると、反則金では済まされず罰金刑を科せられます。

また、交通事故では、治療期間が3ヶ月未満の人身事故を起こした場合には罰金刑が科せられるおそれがあります。

なお、治療期間が3ヶ月以上であったり、死亡事故であったりした場合には、懲役刑や禁固刑を科せられるおそれがあります。

しかし、被害者にも落ち度がある等の事情が考慮されれば罰金刑となる可能性があります。

罰金刑が科せられる前に弁護士にご相談ください

以上のように、罰金刑であっても有罪判決を受けてしまうと前科が付きます。
それは、略式手続であった場合や罰金を支払った場合であっても変わりません。

罰金刑の前科であれば、お金を支払えば刑務所に収監されず、欠格事由となる資格が少ないため、深刻な影響を及ぼすわけではないかもしれません。

しかし、前科が付くことを軽視せず、なるべく早く弁護士に相談することをおすすめします。
起訴される前であれば、前科が付くことを避けられるかもしれないからです。

今後の見通しを知りたい場合にも、まずは弁護士にご相談ください。

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監修 : 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

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