飲酒後の迷惑行為は逮捕される?責任能力や成立する罪名、対処法など
飲酒による迷惑行為といえば、主に「暴力」や「わいせつ行為」「器物損壊」などが挙げられます。
これらの行為は、お酒に酔っていて記憶が曖昧な状態で行われたとしても、逮捕されて罪に問われる可能性があります。そのため、逮捕の回避や不起訴処分を獲得するには、迅速かつ適切な対応が必要です。
本記事では、飲酒後の迷惑行為で成立する罪名や罰則をはじめ、逮捕後の流れや早急に取るべき対処法などについて、詳しく解説していきます。
目次
飲酒による迷惑行為で成立する可能性がある罪名・罰則
飲酒による迷惑行為で成立する可能性があるのは、主に以下のような罪名です。
- 迷惑防止条例違反
- 傷害罪
- 暴行罪
- その他の罪
上記の罪名で罪に問われた場合、それぞれにはどのような罰則が科せられるのでしょうか。
以下では、上記の罪名とその罰則について、さらに詳しく解説していきます。
迷惑防止条例違反
迷惑防止条例違反とは、各都道府県が定める迷惑防止条例(公共の場で他人に不快感や危険を与える行為を規制するための条例)に違反する行為を指します。
飲酒後に起こりやすい代表的な違反行為としては、以下のようなものがあります。
これらの行為は、たとえ酔っていて記憶が曖昧であったとしても、責任能力があると判断されれば、処罰の対象となります。罰則の内容は、都道府県によって若干異なりますが、ほとんどのところが東京都の条例内容を参考にしています。
罰則(東京都の場合)
- 痴漢行為、のぞき行為:6ヶ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
- 盗撮:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
迷惑防止条例違反について、さらに詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
迷惑防止条例違反とは?該当する行為や罰則、逮捕された場合について傷害罪
傷害罪とは、他人にケガをさせた場合に成立する犯罪です。たとえば、飲酒後に暴力を振るって相手が怪我をした場合には、傷害罪に問われる可能性があります。
この傷害罪には、殴る・蹴るなどの直接的な暴力だけでなく、無理やりお酒を飲ませる「アルコールハラスメント(アルハラ)」も含まれます。酔っていたとしても、責任能力があると判断されれば、傷害罪として処罰されることになります。
なお、傷害罪が成立するには、基本的に「暴行しよう」という意思(故意)が必要です。ただし、「殴るつもりはなかった」としても、不注意で相手にケガをさせてしまった場合には、過失致傷罪が適用される可能性があります。
傷害罪の罰則は、刑法第204条により以下のように定められています。
傷害罪の罰則
15年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
傷害罪の成立要件や暴行罪との違いについて知りたい方は、以下のページをご覧ください。
傷害罪とは?成立要件や罰則、暴行罪との違いなど暴行罪
暴行罪とは、他人に対して殴る・蹴る・押し倒すなどの「有形力」を行使した結果、相手に怪我を負わせるには至らなかった場合に成立する犯罪です。
暴行罪は、有形力の行使が法律上正当ではない、つまり「不法」であるかどうかが成立を判断するうえで重要となります。
飲酒による不法な有形力の行使には、以下のような行為が挙げられます。
- 他人に酒や水をかける
- 他人を怒鳴る、突き飛ばす、殴る
- 他人が恐怖や不快に感じるような身体的接触を行う など
暴行罪の罰則は、刑法第208条にて以下のように定められています。
暴行罪の罰則
2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金あるいは拘留・科料
暴行罪の罰則は比較的軽微とされていますが、逮捕・勾留される可能性は十分にあります。なお、暴行によって相手に怪我を負わせた場合には、より重い「傷害罪」に罪名が切り替わります。
暴行罪に該当する行為や傷害罪との違いについての詳細は、以下のページをご覧ください。
暴行罪とは?該当する行為や罰則、傷害罪との違いについてその他の罪
| 罪名 | 内容 | 罰則 |
|---|---|---|
| 不同意わいせつ罪 | 相手の同意がない状態でわいせつ行為をする | 6ヶ月以上10年以下の拘禁刑 |
| 不同意性交等罪 | 相手の同意または同意する能力がない状態で性交等を行う | 5年以上の有期拘禁刑 |
| 住居・建造物侵入罪 | 正当な理由なく無断で他人の住居や看守された建造物に侵入する行為 | 3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金 |
| 器物損壊罪 | 器物を損壊または傷つける行為 | 3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料 |
| 軽犯罪法違反 | 公共の場での立ち小便、不当なつきまとい行為等 | 拘留または科料 |
| 道路交通法違反 | 酒気帯び運転、酒酔い運転等 | 酒気帯び運転:3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 酒酔い運転:5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
酒に酔っていて記憶がない場合でも責任能力は問われる?
たとえお酒に酔っていて記憶がなかったとしても、責任能力があると判断されれば、刑事責任を問われる可能性があります。
刑事事件における「責任能力」とは、自分の行動が良いことか悪いことかを判断し、その判断に基づいて行動をコントロールできる力のことです。この責任能力があるかどうかは、犯罪が成立するかどうかを決める重要なポイントになります。
刑法第39条では、次のように定められています。
(心神喪失及び心神耗弱)
第三十九条 心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
飲酒による事件では、酔っていたとしても多くの場合、責任能力があるとされ、通常どおり処罰されます。ただし、酔いの程度によっては、責任能力がないと判断されて処罰されなかったり、刑が軽くなる可能性もあります。
酔いの状態は、以下の3つに分けられます。
- 単純酩酊
- 複雑酩酊
- 病的酩酊
次の項目では、それぞれの酩酊状態について詳しく解説していきます。
単純酩酊
単純酩酊(たんじゅんめいてい)とは、通常の飲酒による一般的な酔いの状態を指します。アルコール血中濃度によって、酔いの段階が以下の6つに分けられます。
- 爽快期
- ほろ酔い期
- 酩酊初期
- 泥酔期
- 昏睡期
単純酩酊の場合は、善悪の判断や行為を制御する能力は保たれていると考えられているため、酔っていないときと同様に、完全責任能力が認められます。そのため、「記憶がない」という理由で刑事責任を免れることは基本的にできません。
飲酒による迷惑行為のほとんどは、この単純酩酊にあたるため、「酔っていて記憶がないから責任能力はない」と無罪を主張しても、基本的には認められません。
複雑酩酊
複雑酩酊(ふくざつめいてい)とは、飲酒により異常な精神状態や攻撃性が現れる状態を指し、「酒乱」などと呼ばれます。
単純酩酊よりも症状が重く、幻覚や妄想、突発的な暴力行為などがみられますが、善悪の判断や行為を制御する能力は完全に失っていないと考えられています。
理由は、アルコール血中濃度が高いとしても、一般的に酩酊時には、断片的に記憶が残っている場合が多いからです。そのため、「限定的な責任能力があった」と判断されるのが一般的です。
なお、酩酊は、単純酩酊と異常酩酊に大別されており、複雑酩酊は異常酩酊の一種に該当します。
病的酩酊
病的酩酊(びょうてきめいてい)とは、少量のお酒でも急に意識が混乱したり、幻覚や妄想が現れたりする状態のことです。
特徴として、翌日になってもそのときの記憶がまったく残っていないことが多く、アルコールの量に関係なく症状が出るのがポイントです。
このような状態になると、自分の行動が良いか悪いかを判断したり、行動をコントロールすることがほとんどできなくなります。
病的酩酊は、脳に何らかの異常がある人に多く見られる傾向があり、一般的な「酒乱」とは異なるタイプの酔い方です。
そのため、病的酩酊の場合には「心神喪失」と判断されて、刑事責任を問われない可能性もあります。ただし、それを認めてもらうには医学的な証明が必要であり、実際に認められるケースは非常に少ないのが現状です。
なお、病的酩酊は「異常酩酊」の一種であり、複雑酩酊と同じ分類に含まれます。
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飲酒時の迷惑行為で逮捕される可能性はある?
飲酒時の迷惑行為は、以下の対象となる可能性があります。
- 現行犯逮捕
- 後日逮捕
たとえ酔っていて記憶がなかったとしても、完全に責任能力がなかったと認められない限り、逮捕は回避できない可能性が高いです。
以下で現行犯逮捕と後日逮捕の詳細を解説していきます。
なお、逮捕の種類については、以下のページもご参考になさってください。
逮捕されるのはどんな時?逮捕の種類について現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、犯人が犯罪を行っている最中または直後に逮捕する手続きで、警察官だけでなく一般人でも行えるのが特徴です。通常の逮捕には、裁判官が発布した逮捕状が必要となりますが、現行犯逮捕に逮捕状は不要です。
飲酒後の迷惑行為では、暴力や痴漢、器物損壊等が挙げられますが、これらの犯罪行為は現行犯逮捕の対象となります。現行犯逮捕されると、その場で身柄を拘束され、警察署に連行されます。
なお、現行犯逮捕の要件は逮捕される人が「現に罪を行い、または現に罪を行い終わった者」であることです。
そのため、酔っていて記憶がなくても、現行犯逮捕の場合は即座に逮捕される可能性が高いため、早急な弁護士対応が必要です。
後日逮捕
後日逮捕とは、事件発生日以降に逮捕状を得て行われる逮捕の手続きで、「通常逮捕」とも呼ばれます。お酒に酔って犯罪行為を行った場合は、現行犯逮捕でなくても後日逮捕される可能性があります。
後日逮捕は、被害者から被害届が提出され、警察が防犯カメラや目撃者からの証言を収集して犯人を特定した後に行われます。
犯行後に、逮捕状を持った警察官が犯人の自宅や職場に来て身柄を拘束します。なお、訪れる時間帯は、在宅している可能性が高いとされる早朝が多く、基本的には平日に行われます。飲酒による迷惑行為で現行犯逮捕されなくても、後日逮捕の対象となる可能性があるため、事件後に大丈夫と油断するのは危険です。
逮捕後は警察などの捜査機関による取り調べが行われ、場合によっては長期間にわたって身柄を拘束されることもあります。
飲酒後の迷惑行為で逮捕された後の流れ
飲酒後の迷惑行為で逮捕されると、主に以下のような流れで手続きが進みます。
- 1.逮捕
警察官から取り調べを受け、逮捕から48時間以内に検察へ事件と身柄が引き継がれます(送致)。 - 2.勾留請求の判断
送致後は検察官から取り調べを受け、送致から24時間以内に検a官は、身柄拘束を継続するかどうかの判断を下します(勾留請求)。 - 3.勾留
検察官が裁判所に対して勾留請求を行い、認められると、まず10日間の勾留が実施されます。勾留は捜査状況に応じて、さらに10日間の延長が可能です(最大20日間の勾留が可能)。 - 4.起訴・不起訴の判断
検察官は、勾留満了日までに起訴・不起訴の判断を下します。 - 5.刑事裁判
検察官が起訴すると、刑事裁判が開かれ、裁判官によって有罪・無罪の判決が下されます。
飲酒後の迷惑行為で逮捕されたら前科はつく?
飲酒後の迷惑行為で逮捕された場合、必ずしも前科がつくわけではありませんが、刑事裁判で有罪判決が下されれば前科がつきます。これは、罰金刑であっても同様です。
前科がつくと、就職や転職活動、資格の取得などに影響を及ぼす可能性があるため、不起訴処分の獲得を目指す必要があります。
また、職場や学校の規則次第では、有罪判決が下され前科がついたことで、解雇や退学になる可能性があります。前科による不利益は想像以上に多く、「罰金刑で済んだから大丈夫」と安心するのは危険です。後から後悔しても前科の事実は消えないため、迅速かつ適切な弁護活動が必要です。
前科をつけたくない場合の対処法については、以下のページをご覧ください。
前科がつくとどうなる?前科をつけたくない場合の対処法とは飲酒後に迷惑行為をしてしまった場合の対処法
飲酒後に迷惑行為をしてしまった場合は、以下の対処法を行い、迅速に対応する必要があります。
- 早急に弁護士に依頼する
- 被害者と示談交渉する
早期段階から上記の対処法をきちんと押さえれば、逮捕を回避し、不起訴処分の獲得を目指すことができます。
以下では、加害者として取るべき具体的な対処法について、詳しく解説していきます。
ぜひご参考になさってください。
早急に弁護士に依頼する
飲酒後に迷惑行為をしてしまった場合は、逮捕の回避や不起訴処分の獲得を目指すために、早急に弁護士に依頼することが大切です。
刑事事件を起こして逮捕や捜査を受ける場合、初動対応のスピードが結果を大きく左右します。弁護士に依頼すると、主に以下のような法的サポートを受けられます。
- 自首に同行してもらえる
- 逮捕直後から接見(面会)できるため、早期段階から弁護方針を構築できる
- 捜査機関の取り調べに対する対応について、アドバイスをもらえる
- 責任能力や情状を証明する証拠を収集してもらえる
- 被害者との示談交渉を進めてもらえる
- 保釈請求の手続きを行ってもらえる など
飲酒による迷惑行為の場合は、酩酊状態が責任能力の有無を判断するうえで重要となり、医学的な証拠や専門家の意見を収集しなければなりません。
これらの対応は、弁護士のサポートなしでは難しく、初動が遅れるほど不利になる可能性があります。この点、早急に弁護士に依頼すれば、逮捕の回避や不起訴処分獲得の可能性を高めることができます。
被害者と示談交渉する
飲酒による迷惑行為には、暴行や傷害、器物損壊などが挙げられますが、これらはすべて被害者が存在する刑事事件であるため、被害者との示談成立が重要となります。
被害者との示談成立は、事件の当事者間での和解を意味するものですので、刑事処分の判断に大きく影響します。
しかし、加害者に対して強い恨みや恐怖などを抱いている被害者との示談交渉は容易ではありません。暴行や傷害など、事件次第では示談金が相場よりも高額になる可能性があります。
個人での交渉はトラブルの原因となりやすいため、刑事事件に精通した弁護士に示談交渉を依頼するのが得策です。弁護士は、適正な示談金額の提示だけでなく、被害者の心情に配慮した交渉を行えます。
感情的な対立を避け、法的に適切な条件で示談を進めるためにも、弁護士への依頼をおすすめします。
飲酒による迷惑行為で逮捕された・逮捕されそうな場合は、早急に弁護士法人ALGにご相談ください
飲酒による迷惑行為は、たとえ一時的な過ちであっても、刑事事件として扱われる可能性があります。酔って記憶がない場合でも、現行犯逮捕や後日逮捕の可能性があり、有罪判決が下されれば罰金刑であっても前科がつきます。
そうなれば、社会的信用を失うだけでなく、日常生活にも大きな影響が及びます。そこで重要となるのは、早期に弁護士に依頼して示談成立や不起訴処分の獲得を目指すことです。
弁護士法人ALGでは、刑事事件に詳しい弁護士が迅速に対応し、最良の結果を目指します。被害者との示談交渉はもちろんのこと、証拠の収集や裁判の対応まで一貫したサポートが可能です。
「酔っていて覚えていない」「どう対応すれば良いのか分からない」とお悩みの方は、お気軽に弁護士にご相談ください。早期の対応が、今後の人生を守る第一歩となります。
