刑事告訴されたら逮捕される?受理後の流れや期間、対応方法など

刑事告訴されたら逮捕される?受理後の流れや期間、対応方法など

監修
監修福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

刑事告訴された場合、「すぐに逮捕されるのではないか」と不安に感じる方は少なくありません。

実際には、任意同行や事情聴取にとどまるケースもあれば、状況次第で逮捕されるケースもあります。

ご自身やご家族が刑事告訴されるおそれがある場合には、逮捕の回避や減軽に向けた早期の対応が重要です。

この記事では、刑事告訴の基本から逮捕されるケース・されないケースをはじめ、告訴後の流れなどについても詳しく解説していきます。

刑事告訴とは

刑事告訴とは、犯罪の被害者(個人や会社など)が、警察や検察といった捜査機関に対して犯罪の事実を申告し、加害者の処罰を求める意思表示をする手続きです。

刑事告訴が行えるのは原則として被害者本人ですが、被害者が未成年の場合は法定代理人、被害者が亡くなった場合は配偶者や親族などが行うことも認められています。

刑事告訴は、時効が成立するまでであればいつでも行うことができます。

ただし、名誉毀損や不同意性交等罪といった「親告罪」では、犯人を知った日から6ヶ月以内という期限があるため注意が必要です。

親告罪とは? 犯罪の被害者からの告訴がなければ、検察が起訴できない犯罪のことをいいます。

刑事告訴と被害届との違い

刑事告訴と被害届は、加害者の処罰を求める意思表示の有無に違いがあります。

被害届 被害者が警察に対して犯罪の被害事実を申告するための書類です。基本的に「被害に遭った」という報告にとどまるため、加害者の処罰を求める意思表示は含まれません。

刑事告訴 単なる被害申告ではなく、加害者の処罰を求める明確な意思表示を含みます。特に、「親告罪」は被害届の提出だけでは起訴できないため、加害者の処罰を求める場合は刑事告訴を行う必要があります。

被害届の詳細については、以下のページをご覧ください。

被害届を出されたらどうなる?

刑事告訴と告発の違い

刑事告訴と告発は、手続きを行える人物に違いがあります。

刑事告訴は、被害者や法定代理人など法律で定められた「告訴権者」のみが行える手続きですが、告発は被害者に限らず、第三者でも行えます。

告発とは、犯罪の事実を知った第三者(告訴権者や犯人以外の者)が、捜査機関に対して処罰の意思を示す手続きです。つまり、第三者であっても加害者の処罰を求めることが可能です。

ただし、親告罪の場合は、被害届と同じく告発だけで加害者を処罰することはできません。加害者の起訴や刑罰を求める場合は、刑事告訴が必要になります。

刑事告訴されたら逮捕される?

刑事告訴されると、警察や検察による捜査が開始されますが、必ず逮捕されるわけではありません。

事件の内容や証拠、逃亡や証拠隠滅のおそれの有無などによって、逮捕されるケースと逮捕されないケースに分かれます。

逮捕されるケース

逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合は、逮捕されて取り調べを受けることになります(いわゆる身柄事件)。また、任意同行の要請に応じない状態が続くと、同様の理由から警察が逮捕に踏み切る可能性もあります。

逮捕後に検察官が勾留請求を行い、裁判官が認めると、最大で23日間身柄の拘束が続くため、仕事や日常生活に大きな支障が生じる可能性が高いです。

勾留請求とは?
検察官が裁判官に対して、被疑者の身柄を引き続き拘束するように求める手続きです。

逮捕の種類については、以下のページをご覧ください。

逮捕にはどんな種類がある?

逮捕されないケース

逮捕の必要性がない場合は、身柄拘束を受けずに捜査が進められます(いわゆる在宅事件)。

在宅事件の場合、通常どおり日常生活を送りながら、警察や検察からの呼び出しがあれば都度出頭し、取り調べを受けることになります。身柄事件とは異なり、仕事や日常生活に影響が出にくいのが特徴です。

ただし、事件の捜査に明確な期限がないため、捜査が数ヶ月~場合によっては1年以上続くなど、長期化する可能性もある点に注意が必要です。

在宅事件の詳細は、以下のページをご覧ください。

在宅事件とは?流れや不起訴を獲得する方法など

刑事告訴で逮捕された場合の流れ

刑事告訴をきっかけに逮捕された場合は、主に以下のような流れで手続きが進んでいきます。

  1. ①警察が告訴を受理
  2. ②捜査の開始
  3. ③逮捕・検察へ送致
  4. ④勾留請求・勾留決定
  5. ⑤起訴・不起訴の決定
  6. ⑥刑事裁判

それぞれの段階で処分の方向性が大きく変わるため、なるべく早めに対応することが重要です。

①警察が告訴を受理

刑事告訴は、被害者が作成した「告訴状」を警察に提出することで行われます。

ただし、提出すれば必ず受理されるわけではありません。警察が告訴状の内容を精査し、「時効が成立している」「犯罪事実が不明確」「証拠が不十分」などと判断した場合は、受理されないこともあります。

刑事告訴を受理すると、警察は迅速に捜査を開始しなければならないため、受理するかどうかは慎重に判断される傾向があります。

②捜査の開始

告訴状が受理されると、警察による本格的な捜査が開始されます。主に”事件関係者からの事情聴取”や”証拠の収集”を行い、事件の全貌を明らかにしていきます。

また、告訴を受理した場合、警察は捜査結果を速やかに取りまとめ、証拠とともに検察官へ引き継がなければなりません。

告訴は被害届とは異なり、加害者の処罰を求める意思が明確であるため、積極的な捜査が行われる可能性が高いです。

③逮捕・検察へ送致

捜査の結果、警察が「逃亡や証拠隠滅のおそれがある」と判断した場合は、原則として裁判官の発付する令状に基づき逮捕され、身柄拘束を受けます。

一方、比較的軽微な犯罪で逮捕の必要性が認められない場合は、逮捕されずに在宅のまま捜査が進むこともあります。

逮捕後は警察署で取り調べが行われ、48時間以内に検察官へ送致するかどうかが判断されるため、今後の処分に大きく影響する重要な局面といえるでしょう。

④勾留請求・勾留決定

検察に送致された後は、検察官が「勾留請求」を行うかどうか判断します。検察が「引き続き身柄拘束を行う必要がある」と判断すれば、裁判官に対して勾留請求を行います。

裁判官が請求を認めると、原則として10日間の勾留が実施され、延長は必要に応じてプラス10日間可能です。延長を含めると、勾留期間は最大で20日間に及ぶため、外部との連絡や行動が大きく制限されます。

勾留の基礎を知りたい方は、以下のページをご覧ください。

勾留とは?拘留との違いや要件、期間など

⑤起訴・不起訴の決定

検察官は、勾留期間が終了するまでに、被疑者を起訴するか、不起訴とするかを判断します。不起訴になった場合は、身柄の拘束が解かれ日常生活に戻ることができます。

一方、起訴されると刑事裁判に進み、有罪判決を受ける可能性が高まるため、不起訴を目指した対応が重要です。

起訴と不起訴の違いや、それぞれが及ぼす生活への影響については、以下のページをご覧ください。

起訴と不起訴、それぞれの違いや生活への影響について

⑥刑事裁判

起訴されると、通常1~2ヶ月後に「刑事裁判」が開かれます。身柄事件の場合は、保釈が認められない限り、被告人として身柄を拘束されたまま裁判に臨むことになります(起訴後勾留)。

裁判では、原告側と被告側の主張や証拠を基に審理が行われ、判決が言い渡されるまでには概ね2~3ヶ月程度かかるのが一般的です。

判決の内容によっては、刑事罰や前科が付くことになるため、裁判に至る前段階での準備や対応が重要となります。

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刑事告訴されてから逮捕までの期間

刑事告訴されてから逮捕に至るまでの期間は、事件の内容や証拠の状況などによって大きく異なります。

警察は、告訴状の内容を慎重に確認したうえで受理するかどうかを判断するため、受理自体に時間がかかるケースも多いです。中には、告訴状が受理されるまでに数ヶ月~1年以上を要するケースも少なくありません。

また、受理後も直ちに捜査が始まるとは限らず、早期に動く場合もあれば、一定期間を経てから本格化することもあります。

「刑事告訴後すぐに逮捕される」とは限りませんが、ある日突然逮捕される可能性もあるため、注意が必要です。

刑事告訴される可能性がある場合にすべきこと

自首を検討する

刑事告訴される可能性がある場合は、早期に自首することも有力な選択肢の一つです。

刑法では、「自首による刑罰の減軽」が規定されているため、自首することで逮捕や起訴の回避につながる可能性があります。

ただし、自首には成立要件が定められているため、「ただ自ら警察に行って罪を申告すればよい」というわけではありません。

自己判断で自首を行うと、思わぬ不利益を受けるおそれがあるため、自首が認められるかどうかは、事前に弁護士に相談するのが得策です。

弁護士であれば、自首の適切なタイミングや方法についてアドバイスできるだけでなく、自首に同行することもできます。

被害者と示談交渉する

刑事告訴される可能性がある場合は、被害者に謝罪して示談交渉を進めることが重要です。

示談が成立すると、被害弁償や反省の意思が評価され、処分が軽くなる可能性があります。

特に「親告罪」では、刑事告訴がないと検察は被疑者を起訴できません。そのため、起訴前に示談が成立して告訴が取り下げられれば、「不起訴」を獲得することができます。

ただし、加害者への怒りや恐怖を抱いている被害者との示談交渉は、容易ではありません。

感情的な対立を招くおそれがあるため、示談交渉は弁護士を通じて適切に進めることが望ましいです。

刑事告訴で逮捕された場合に弁護士に相談するメリット

示談交渉を任せられる

刑事告訴に発展している場合、被害者は加害者に強い処罰感情を抱いていることが多いため、直接連絡したくても取り合ってもらえないケースが少なくありません。

弁護士であれば、被害者から連絡先を教えてもらい、交渉の場を設けられる可能性があります。交渉を進める際も、弁護士が介入することで感情的な対立を避け、冷静かつ現実的な条件で示談成立を目指すことが可能です。

示談交渉を適切かつ円滑に進めたい場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

詳しくは、以下のページをご覧ください。

刑事事件における示談とは?

早期釈放の可能性が高まる

刑事告訴後に逮捕された場合は、弁護士のサポートによって早期釈放を実現できる可能性があります。

弁護士は、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを具体的な事情に基づいて主張し、「勾留する必要はない」と検察官に意見書を提出することも可能です。

特に、家族の監督体制や安定した住居・職場があることを示せれば、勾留の回避に大きくつながります。

不起訴獲得に向けてサポートしてもらえる

弁護士は、被害者との示談交渉や有利な事情の整理・主張を行うなど、不起訴獲得に向けたサポートの提供が可能です。

起訴されると、刑事裁判で有罪となる可能性が高く、罰金刑や拘禁刑が科されるだけでなく、前科も付くおそれがあります。

前科は日常生活に大きな支障を来すおそれがあるため、早い段階から不起訴処分を目指して対応することが重要です。

特に、刑事事件に詳しい弁護士であれば、事件の内容や状況に応じた適切な対応を取れるため、不利益を最小限に抑えることができるでしょう。

詳しくは、以下のページをご覧ください。

不起訴処分とは?無罪との違いや理由一覧・不起訴獲得のポイント

刑事告訴に関するよくある質問

告訴されたかどうか知ることはできますか?

加害者が「自分が刑事告訴されているかどうか」を直接確認する方法は、基本的にありません。

警察に問い合わせても、被害者側の動きや告訴の有無を開示してもらえることはほとんどないためです。

ただし、警察からの出頭要請や事情聴取の連絡、または被害者側の弁護士から連絡があった場合には、既に告訴されている可能性が高いといえます。

そのため、「刑事告訴されたかもしれない」と少しでも不安がある場合は、早めに弁護士へ相談することが大切です。

刑事告訴すると言われたが、その後連絡がない場合はどうなっていますか?

「刑事告訴する」と言われたにもかかわらず、その後警察などから連絡がない場合は、以下のような状況が考えられます。

  • 捜査の優先度の関係で対応が後回しになっている
  • 事件の重大性が低いと判断され、処理が遅れている
  • 証拠不十分などの理由で告訴自体が受理されていない

連絡がなくても、ある日突然捜査が進展することもあるため、放置せず早めに弁護士へ相談して対応を検討することが重要です。弁護士に相談していれば、適切な初動対応を行うことができます。

刑事告訴が取り下げられたらどうなりますか?

刑事告訴が取り下げられると、親告罪であれば検察が起訴できなくなり、逮捕・勾留されていれば不起訴処分となる可能性が高いです。

親告罪ではない犯罪の場合は、告訴がなくても検察官は起訴することが可能です。

ただし、刑事告訴の取り下げは、被害者の処罰感情が弱まったと評価されるため、起訴・不起訴の判断に大きな影響を与えます。

「初犯である」「悪質性が認められない」といった事情があれば、不起訴処分や軽い処分となる可能性が高いでしょう。

刑事告訴されるおそれがある場合は、逮捕回避のため早急に弁護士へご相談ください

刑事告訴されると、逮捕や勾留により長期間身柄を拘束され、仕事や日常生活に大きな影響が及ぶおそれがあります。長期間の身柄拘束による不利益を最小限に抑えるためには、告訴前後の早い段階で刑事事件に詳しい弁護士に相談することが重要です。

刑事事件に詳しい弁護士であれば、被害者との示談交渉や自首のサポート、勾留回避を目指した意見書の提出など、状況に応じた対応を適切に行えます。逮捕後すぐに行われる取り調べでの対応についても、アドバイスが可能です。

弁護士法人ALGに在籍する弁護士は、刑事事件の豊富な実績を基に、逮捕回避や不起訴処分の獲得に向けたサポートを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

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