ニューズレター


2022.Mar vol.88

泣き寝入りしたくない!~滞納家賃編~


不動産業界:2022.3.vol.88掲載

私が賃貸しているアパートで、家賃を1年分以上滞納している入居者がいます。まだアパートに住んでいますが、支払意思が全くないまま、引っ越そうとしているようです。滞納家賃の総額が200万円を超えるので、裁判をすることも考えていますが、引っ越してしまった後でも裁判を起こすことができますか。また、裁判で勝っても、滞納分を回収できないこともあると聞きますが、本当ですか。泣き寝入りしたくないので、教えてください。


入居者が引っ越した後でも引越し先を調査して提訴できますし、もし引越し先が判明しなくても、公示送達という裁判上の制度で裁判を進めることができます。

また、裁判で勝訴判決を得ても、入居者が判決通りに滞納分を支払わない場合は、強制執行という手続きを利用して、入居者の財産を差し押さえる必要があります。入居者に財産がなければ、差押えも奏功しませんが、判決があれば、「本当に財産がないのか」を調べるために、裁判所を通じて銀行等に照会をかける、「第三者からの情報取得手続」を行うことができます。

さらに詳しく

1 所在不明者に対する裁判

裁判は、訴えを起こした人(原告)だけでは進められません。訴えられた人(被告)も出席することを原則とします。原告は、被告住所宛に、裁判所を通じて訴状を送達することになります。

入居者(被告)が現在のアパートから引っ越してしまった場合、家主(原告)が被告の住民票を取得し、現地調査をする等して、入居者(被告)の居場所を調査する必要があります(裁判所は調査をしてくれません。)。

調査の結果、引越し先が分かればよいのですが、住民票を移しておらず、現地調査をしてもどこに引っ越したかが分からない場合、公示送達という制度を利用します。公示送達とは、被告を呼び出す紙を、裁判所の掲示板に2週間掲示することをもって、被告に訴状が届いたものとみなし、裁判を進めることができる制度です。

公示送達が認められた場合、期日に被告が出席してくることはほとんどありません。訴状や証拠に問題がなければ、被告に争われることなく裁判は終了し、勝訴判決を得ることができます。

2 勝訴判決後の差押え、第三者からの情報開示手続

勝訴判決を得た後、原則として、判決文が被告にも送られることになるため、被告が判決通りに、滞納賃料を支払えば何の問題もありません。しかし、勝訴判決を得ただけでは、強制的に被告から滞納家賃を回収することはできないため、被告が判決に従わなければ、判決文は「絵に描いた餅」です。

被告が任意に支払わない場合、判決文をもって、強制的に滞納家賃を回収するのが強制執行です。強制執行の申立てを裁判所に行い、被告の財産から直接滞納分を回収することになります。例えば、従前家賃が引き落とされていた被告の銀行口座の情報が判明していれば、その銀行口座に対して、差押えを行います。

では、被告の預金口座や、その他の財産の有無も分からない場合は、泣き寝入りするしかないのでしょうか。このような場面で、被告の財産調査のために、2019年、民事執行法の改正により新設されたのが、「第三者からの情報取得手続」です。

「第三者からの情報取得手続」を利用することにより、例えば、原告側で被告が口座を持っていそうな銀行を特定したうえで、その銀行に対して、被告が口座を持っているか否か、口座にいくら預金が残っているかを照会することができるのです。照会の結果、被告の預金口座がヒットすれば、そこに改めて差押えをかけることで、滞納家賃の回収が実現することになります。

以上の手続きは、個々の手続きが専門的で煩雑なため、弁護士に依頼して手続きを進めることをお勧めします。

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