ニューズレター


2018.May vol.42

改正民法における契約不適合責任の概要


不動産業界:2018.5.vol.42掲載

私は、不動産会社を営んでおり、不動産売買に携わっています。売買対象となった不動産の品質・性能に問題があった場合、売主には瑕疵担保責任が発生すると理解しているのですが、改正民法は、瑕疵担保責任に関する規定を維持しているのでしょうか。また、何らかの変更がなされているのであれば、その概要を教えていただけますか。


改正民法(2020年4月1日施行)では、新たに「契約不適合責任」という法律上の責任が定められ、その代わりに瑕疵担保責任という概念は削除されました。
売買対象となった不動産の品質・性能に問題があった場合、現行民法における瑕疵担保責任は、契約解除又は損害賠償請求のみを認めていますが、改正民法における契約不適合責任は、契約解除又は損害賠償請求のみならず、追完請求及び代金減額請求を認めていますので、民法改正によって買主の救済方法が多様化されることが明文化されます。また、契約不適合責任では、品質・性能に問題があった場合における契約解除の要件が緩和されましたので、その意味においても買主の救済が手厚くなったといえます。

さらに詳しく

1 現行民法における瑕疵担保責任

現行民法における瑕疵担保責任では、売買の目的物に「隠れた瑕疵」(通常有すべき品質・性能を欠いており、それが取引上一般に要求される注意を払っても知り得ない状態)があった場合、買主から売主に対する損害賠償請求を認めていますが、瑕疵の修補請求などは認めていません。ただし、売買対象が新築住宅である場合には品確法(=住宅の品質確保の促進等に関する法律)が適用され、同法に基づき瑕疵の修補請求をすることが可能です。また、瑕疵担保責任の場合、その瑕疵によって契約をした目的を達することができないときに限り、買主は、契約の解除をすることができます。

2 改正民法における契約不適合責任

改正民法における契約不適合責任では、売買の目的物が「契約の内容に適合しない」場合、買主から売主に対する追完請求(修補請求、代物請求など)を原則としたうえで、売主が追完に応じないとき、追完が不能であるときなどは代金減額請求を認めており、これらとは別に損害賠償請求をすることも認めています。また、買主に不相当な負担を課さない限り、買主が請求した方法とは異なる方法によって追完することを売主に認めています。さらに、契約不適合責任の場合、契約不適合の内容が軽微であるときを除き、買主は、契約の解除をすることができます。

3 契約不適合責任の新設が不動産売買に与える影響

売買の目的物が契約の内容に適合しなかった場合、買主の本来的な要求は「目的物を契約の内容に適合した状態にして欲しい」というものでしょうから、第一次的な買主救済の手段として追完請求が認められたことには大きな意味があると考えられます。しかしながら、売主が追完請求に基づいて修繕工事などを実施しても、売主と買主とは利害が対立する立場にありますので、その工事内容に買主が満足するとは限りませんし、売主が買主から請求された方法とは異なる方法による追完をすることができるか否かに関して売主と買主との間で意見が食い違うことも生じるでしょうから、不動産売買の現場において、「追完」の内容・方法に関する紛争が多発する可能性があると考えられます。

また、契約解除の要件が緩和されたため、売買対象となった不動産に何らかの問題があった場合、買主からは積極的に契約解除が主張されることになると予想されます。しかし、売主としては安易に契約解除を受け入れることはできないでしょうから、今後は、契約解除の有効性を巡っての紛争も増加すると考えられます。

改正民法における契約不適合責任は、瑕疵担保責任の延長線上にあるものではなく、完全に新しい概念です。そのため、不動産売買に携わる者は、改正民法の施行に先立ち、その概要を理解し、契約内容を見直すなど、トラブルの発生を未然に防ぐことが必要となります。

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