ニューズレター


2020.Jul vol.68

信頼関係の破壊者 -breaker-


不動産業界:2020.7.vol.68掲載

当社は、アパートの賃貸と管理を行っています。当社が賃貸している物件の賃借人から、すぐにブレーカーが落ちて電気が使えないとのクレームが入りました。そこで、当社は、ブレーカーの修繕を行ったのですが、しばらくすると、また同じクレームが入りました。
このような場合、賃料減額についてどう考えればよいですか。また賃借人による賃貸借契約の解除は認められてしまいますか。


本件で問題となっている物件(以下「本件建物」といいます。)は、すぐにブレーカーが落ちて電気が使えないとのことですので、賃貸目的物の使用が十分にできない状態になっているといえ、賃料減額が認められる可能性があります。
また、本件建物は、すぐにブレーカーが落ちてしまうとのことですが、貴社が修繕をすることによってこの状態が改善されればよいのですが、貴社が修繕をしない、または修繕を試みても電気が使えないままということになると、解除が認められる可能性があります。

さらに詳しく

1 賃料減額について
建物賃貸借契約を結んだ賃貸人は、単に目的物を賃借人に貸せばよいというわけではなく、目的物が賃借人において十分に使用することができるような状態で貸す義務も負っています。そして、賃貸人が、目的物を十分に使用することができる状態で賃借人に貸すことの対価が「賃料」となります。そのため、賃貸借契約の中で合意した賃料の金額は、目的物を十分に使用できる状態であることが前提となっていますので、例えば居住を目的とした物件のガスが使えないであるとか、水が使えないであるとか、そういった目的物を十分に使用することができない状態に陥ってしまうと、賃料の減額が生じると考えられています。

なお、この賃料の減額については、つい先日、令和2年4月1日から施行された新しい民法の中で、制度の変更があった部分ですので、変更内容について併せて確認してみましょう。

まず、これまでの民法では、賃貸目的物の一部が災害や人の行為などなんらかの理由によってなくなってしまった(以下「滅失」といいます。)場合に、賃借人に賃料減額請求を認めていました。しかし、賃借人が賃貸目的物を十分に使用することができない状態になるのは、必ずしもその一部が滅失した場合に限られないですよね。そのため、賃料減額を請求することができるのは、より広く目的物を十分に使用することができない場合一般に認められるべきと解釈されていました。

また、これまでの民法では、賃貸目的物の一部が十分に使用することができない状態になったとしても、賃借人が「請求」しなければ賃料の減額はされませんでした。しかし、先にご説明したように、賃料は賃借人が賃貸目的物を十分に使用することができることの対価であるため、十分に使用することができない以上は、当然に賃料が減額されるものとするのが合理的です。

そこで、これからの民法は、賃料が減額される場面の表現を「賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合」と改め、賃貸目的物の一部が十分に使用することができなくなった場合には、賃料は、当然に減額されるものとされます。

本件で問題となっている建物( 以下「本件建物」といいます。) は、すぐにブレーカーが落ちてしまうことにより、電気が使えないとのことですので、賃借人が本件建物を十分に使用することができない状態となっていますね。そのため、賃料減額が認められる可能性があります。

なお、賃貸目的物の一部が十分に使用することができない状態となっている場合に、どのくらい賃料減額が発生するのかという点については、民法に規定があるわけではありませんが、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会が作成した『貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン』によれば、例えば本件のように電気が使えない場合には、賃料減額割合の目安は40%とされていますので参考となります。

2 解除について
では、本件で賃貸人が修繕を行っているにもかかわらず、ブレーカーが落ちてしまう状態が改善されない場合に、賃借人による賃貸借契約の解除は認められてしまうでしょうか。

賃貸人側としては、修繕を実施して手を尽くしているのに、解除が認められてしまうのはあんまりだ、という意見もあるかもしれません。しかしながら、やはり賃貸借契約というのは、目的物を十分に使用することができる状態で貸すというのが前提になっていますので、本件のように建物の電気が使えない状態が改善されないとなると、解除が認められる可能性があると考えられます。

不具合等によって賃貸目的物が十分に使えない状態となると、これからの民法では賃借人からの請求の有無にかかわらず賃料が減額されますし、そのような状態が改善されなければ、解除が認められることもありますので、賃貸人としては、賃貸目的物に不具合があるということが分かれば、速やかに適切な対応をしましょう。

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