ニューズレター


2016.Jan Vol.14

騒音を発生させる入居者さん


不動産業界:2016.1.vol.14掲載

今貸しているアパートに、2週間前からAさんっていう若い男性の入居者さんが入ったんだけど、毎日のように夜中に友達を連れ込んで騒いでいるみたいなの。
隣の部屋に住んでるBさんから「うるさい」って苦情があったから、「夜中に騒音を出さないようにして下さい。」って書いた貼り紙をアパートの入り口に貼ったり、同じ内容を手紙にしてAさんのポストに入れたりしてるんだけど、全然おさまらなかったみたい。私、Bさんに迷惑かけるわけにもいかないと思って、Aさんに直接注意しに行ったのよ。
そしたら、Aさんは、「自分が出した音じゃない」って。本人が違うって言う以上、私も強く追及できなくて……。
でも、昨日、Bさんからは、「この部屋じゃうるさくて全く眠れない。引越すから引越代をよこせ。」なんて言われちゃったわ。
私が騒音を発生させたわけでもないのに、私が引越代を払わなきゃいけないの?
もうどうしていいかわからない!


それは大変でしたね。
共同住宅において騒音を生じさせている入居者がいるにも関わらず、賃貸人がこれを放置しているような場合には、賃貸人が損害賠償義務を負う可能性があります。
しかし、今回は貼り紙を貼ったり、直接注意しに行ったりと、真摯に対応しておられますので、賃貸人に落ち度は認められず、現時点では引越代等を支払う義務は発生しない可能性が高いと考えられます。
しかし、今後も騒音が継続する場合、貼り紙や手紙等で注意を続けることのみではなく、積極的に騒音の発生元を調査すること等が必要となる可能性があります。
一方、Aさんが本当に騒音を発生させていた場合は、Aさんに対する建物明渡し請求が認められる可能性があります。Aさんが受忍限度を超える騒音を生じさせていることについて証拠を得られた場合には、Aさんに対して法的手続により建物の明渡しを求めることも検討すべきでしょう。

さらに詳しく

賃貸人は賃借人に対して、目的物を使用収益させる義務(民法601条)を負っています。居室の賃貸借契約において、受忍限度を超える騒音が生じている居室は使用収益ができない状態になっていると考えられますので、賃貸人の義務違反が認められるおそれがあります。

しかし、本件では、貼り紙や手紙にて、騒音を防止するような注意を促し、また、A宅にも訪問して話を聞いています。また、Aさんが入居してから2週間しか経過していない現段階では、詳細な調査等をすることも困難であると考えられます。したがって、賃貸人として尽くすべき注意義務は尽くされているといえるものと考えられ、賃貸人の債務不履行はなく損害賠償義務は生じない可能性が高いと考えられます。

しかしながら、今後、このアパートで騒音が継続していたにもかかわらず、適切な対応を取らなかった場合には、賃貸人の債務不履行が認められ、損害賠償義務を負うことになる可能性はあります。

今後の対応としては、他の入居者さんに対して、騒音が発生しているのか、発生しているとしたらどこからなのかを聴取すること、実際に騒音が生じた時に連絡をもらい、自ら音量、発生元を調査すること及び、Aさんが騒音を発生させていることが判明した場合は直接注意をすること、場合によってはAさんに対し部屋からの退去を求めること等が考えられます。

また、賃貸人から、騒音を生じさせている入居者に対しては、賃貸借契約解除による建物の明渡請求が認められる可能性があります。

賃借人は賃貸人に対し、近隣の迷惑となる行為をしてはならない義務を負っており、かかる義務の違反によって契約当事者間の信頼関係が破壊されているといえる場合には、契約の解除が認められるものとされています。

信頼関係が破壊されているか否かは個別の事案において具体的に判断されることになり、一般的な基準がある訳ではないため、判断が困難です。

本件のような場合では、Bさんが受忍限度を超える騒音を継続して生じさせ、何度注意を促しても長期間これが改善されないような場合には、信頼関係が破壊されていると認められる可能性があると考えられます。

なお、騒音が受忍限度を超えているか否かについては、自治体にて音量の基準を定めていることがあり、その音量を超えているかが基準の一つになります。

騒音問題は、賃貸経営においてよく発生する問題の一つですが、賃貸人が責任を負わないようにするには、騒音防止のための適切な対応をして いくことが必要です。騒音を発生させる賃借人に対する契約解除が認められるか否かについては判断が困難ですので、弁護士に相談することをお勧めします。

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