ニューズレター


2019.Feb vol.51

防犯カメラ設置してもいいですか?


不動産業界:2019.2.vol.51掲載

私は、建物1階の部屋を借りているのですが、以前から、玄関ドアを傷つけられたり、壁に落書きをされたりして、とても困っています。管理会社へ連絡しましたが、犯人が分からないため、手をこまねいている様子です。

そこで、私は、犯人が悪戯をしている現場を押さえて、警察に被害を訴えようと考えました。犯人がいつ悪戯をするか分からないので、防犯カメラを設置しようと思うのですが、問題はないでしょうか。


賃借人が建物を傷つけないように防犯カメラを設置しても、私道や個人の自宅出入口付近を撮影対象とする屋外設置カメラについて、プライバシーが侵害されたことを理由に、損害賠償を求められる可能性があります(東京地方裁判所平成27年11月5日)。

東京地方裁判所平成27年11月5日判決は、カメラの設置及び撮影により原告のプライバシーが侵害されているとした上で、プライバシーの権利に基づく妨害排除請求としてカメラの撤去を求めることができるとするとともに、原告のプライバシー侵害に伴う慰謝料の金額を認定しました。

さらに詳しく

(1)原告のプライバシー侵害について

まず、東京地方裁判所平成27年11月5日判決は、「人は、みだりに自分の容姿などを撮影されないことについて法律上保護されるべき人格的利益をもっているけれども、容姿などを承諾なく撮影することが不法行為法上の違法になるかどうかは、撮影の場所、撮影の範囲、撮影の態様、撮影の目的、撮影の必要性、撮影された画像の管理方法等の事情を考慮して、撮影される人の人格的利益の侵害が社会生活上受忍すべき限度を超えるかどうかを判断して、決定する」旨を示しました。

次に、カメラが、道路だけでなく、宅玄関入口や玄関付近や通用口付近などを撮影していたこと(撮影場所)、原告が日常生活で使っている道路を撮影していたこと(撮影対象)、カメラの設置目的に、防犯目的が含まれているが、監視目的は含まれていないこと(撮影目的)、カメラで撮影された映像の保存期間は約2週間であり、自動的に上書きされること(撮影された画像の管理方法)を認定しました。

原告が日常生活でこういった場所を利用する際に常に撮影され、原告の外出や帰宅等という生活状況を把握されてしまうと、原告のプライバシーが大きく侵害されるといえます。また、窓の防犯対策として、二重鍵を設置するなど代わりとなる方法があること等も考慮され、固定カメラの設置と常時撮影に伴う原告のプライバシーの侵害は、社会生活上受忍すべき限度を超えているとして、カメラの設置及びカメラによる撮影は、原告らのプライバシーを違法に侵害すると結論付けました。

(2)原告に対する損害賠償請求について

カメラの撮影範囲が原告のプライバシーを保護すべき場所に及んでいるけれども、これらの場所は屋外であるため全くの私的空間ではなく、カメラの設置目的が防犯目的であったとしても、代わりとなる方法がある以上、たとえカメラで撮影された映像が約2週間後に自動的に上書き消去され、映像が永続的に保存・管理されないとしても、各原告のプライバシー侵害に伴う慰謝料額としては10万円が妥当と判断され、その支払いを命じました。

たとえ防犯目的で賃貸物件にカメラを設置するとしても、どこを撮影するのかや何が撮影されるのかなどによっては、防犯カメラの設置および撮影が不法行為と判断され、損害賠償請求等が認められる可能性がありますので、カメラの設置には細心の注意が必要となります。

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