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監修 | 弁護士 家永 勲 弁護士法人ALG&Associates 執行役員
昨今では、モンスター社員と呼ばれる会社にとって大きなマイナスとなる社員の存在が問題となっています。
今すぐ退職して欲しいというのが会社側の本心かと思いますが、解雇には高いハードルがあり、よほどの事情がない限り認められません。一足飛びに解雇を行うと、不当解雇として社員から労働審判や裁判、団体交渉を申し立てられるなどのリスクがあります。
そのため、問題社員の解雇に踏み切る前に、まずは弁護士に依頼し、正しい対応についてアドバイスを受けながら進めることが大切です。
このページでは、解雇について弁護士に相談するメリットや、弁護士の選び方・費用について解説していきます。
目次 [開く]
従業員を解雇する前に弁護士に相談すべき理由
能力不足や頻繁な遅刻など問題社員のタイプは様々ですが、周囲の社員にも悪影響を与えるため、直ちに解雇したいと考えるのは当然です。
ただし、解雇が認められるための難易度は高く、解雇が有効となるには、以下の要件を満たす必要があります(労契法16条)。
- 客観的に合理的な理由
- 社会通念上の相当性
①は能力不足や業務命令違反、度重なる遅刻や欠勤などが該当します。また、②は、解雇することが世間一般の感覚からして相当であると認められることを意味します。指導や研修、人事異動など改善措置を講じずにいきなり解雇した場合は、この要件をクリアしない可能性があります。
不当解雇・無効となると、復職やバックペイ、慰謝料などの支払いが命じられるおそれがあります。
そのため、解雇を検討する場合は弁護士に相談し、有効に解雇できるか判断してもらうことが重要です。
従業員の解雇について弁護士へ相談する5つのメリット
社員の解雇について弁護士に相談するメリットとして、以下が挙げられます。
- 事前に解雇リスクを確認してもらえる
- 必要な証拠収集についてアドバイスしてもらえる
- 適正な解雇手続きを進めることができる
- 労働審判・訴訟・団体交渉にも対応してもらえる
- 解雇以外の解決方法も提案してくれる
以下で順を追って見ていきましょう。
事前に解雇リスクを確認してもらえる
解雇が紛争化したときの会社側のリスクは重大です。そのため、リスクマネジメント上、事前に解雇リスクを確認することが重要です。
解雇に潜むリスクは、問題行為の内容や会社側の指導歴、企業規模、雇用契約書の内容、過去の同様事案への処分との均衡などを考慮し、個別具体的に判断することが求められます。
労働問題に詳しい弁護士であれば、会社ごとの事情をヒアリングした上で、労働法や裁判例の動向などを踏まえて、解雇リスクの調査と、リスクを最小限に抑えるための対策を講じることが可能です。
解雇が有効となるには、どのような事実を積み上げるべきか(注意指導や研修、人事異動、懲戒処分等)、どのような証拠を集める必要があるか、行っておくべく解雇手続きについてご提案できるため、解雇無効とされるリスクを低減することが可能です。
必要な証拠収集についてアドバイスしてもらえる
解雇を巡って争いとなった場合、会社側に解雇理由を証明する証拠が十分に確保されているかどうかが、勝負の分かれ目となります。たとえ解雇の法的要件や手続きをクリアしていたとしても、その証拠がなければ社員から不当解雇で訴えられたときに反論できません。
例えば、遅刻や無断欠勤などの問題行動がある場合は、その都度上司などが本人に注意し、本人の反省を促したり、懲戒処分を下したりすることが必要です。そして、会社側が改善指導を行ったことを指導記録として残すという地道な対応を積み重ねることが求められます。
解雇の有効性を証明するためにどのような証拠が求められるかは、事案ごとに異なります。弁護士であれば、法的・経験的知識をもとに、この点について的確にアドバイスすることが可能です。
適正な解雇手続きを進めることができる
解雇の要件をクリアし、十分な証拠を確保していたとしても、適切な手続きを経なければ、不当解雇になる可能性があります。そして、適切な解雇手続きは解雇の種類によって異なります。
例えば、懲戒解雇する場合は、就業規則の定めに従い、処分理由の告知や弁明の機会の付与などが求められ、整理解雇については、あらかじめ労働者側と協議し説明することが求められることが通例です。
また、いずれの解雇でも、30日前までに予告することや、即時解雇の場合は30日分の平均賃金(解雇予告手当)の支払い、解雇通知書の作成なども必要となります。
弁護士に相談することでサポートを受けながら、正しく解雇の手続きを進められるため、手続きの誤りや抜け落ちをなくすことができ、不当解雇となるリスクを回避することができます。
労働審判・訴訟・団体交渉にも対応してもらえる
不当解雇として労働審判や裁判、団体交渉を申し立てられる場合があります。
労働審判や裁判は裁判所による手続きであるため、単に反論すればよいわけでなく、証拠をもとに法的主張を展開する必要があります。
弁護士は裁判のプロであり、裁判所の事実認定の仕方を理解しているため、労働審判や裁判に的確に対応することができます。会社側と打ち合わせした上で、答弁書や準備書面の作成、事情聴取、証拠の収集、期日への対応準備などを行い、解雇の正当性を主張・立証することが可能です。
また、解決金をいくら支払うかなど和解の落としどころについてもアドバイスすることができます。
さらに、団体交渉では、労働組合の権利を侵害しないという高度な交渉テクニックが求められます。弁護士であれば対応方法をご提示できるため、不当労働行為リスクを回避することが可能です。
解雇以外の解決方法も提案してくれる
解雇はトラブルになりやすく、不当解雇とされた場合に会社が受けるダメージは甚大です。
そのため、解雇に先立ち、退職勧奨による解決を図ることが望ましいといえます。
退職勧奨とは、会社が社員に対して行う合意退職の申し込みをいいます。応じるか否かの決定権は社員にあり、本人が退職に応じた場合は、退職合意書を作成することになります。
退職勧奨は本人の同意を得て退職してもらうため、解雇に比べて紛争リスクが低いです。
ただし、無理やり退職を迫ったり、退職勧奨を理由に不利益な取扱いを行ったりすると、違法な退職強要となり、退職の無効や損害賠償請求に発展するおそれがあります。
弁護士であれば、退職勧奨のタイミングや伝え方などについてご提案できるため、退職勧奨を適法に進めることが可能です。
解雇を相談する際の弁護士の選び方
弁護士であるからといって、すべての分野に精通しているわけではありません。
企業法務を専門に扱う弁護士や、交通事故や離婚などを専門に扱う弁護士など、そのタイプは千差万別です。
解雇問題への対応には、解雇が正当となるための要件や手続きについての理解、裁判例の動向、解雇の正当性を裏付ける証拠の集め方など、専門的な知識と経験が必須です。解雇トラブルをほとんど扱ったことのない弁護士に相談しても、会社側に有利な結果を得ることは期待できません。
まずはネット検索などにより、解雇トラブルを得意とする弁護士を見つけ出し、直接相談してみることをお勧めします。
弁護士選びのポイントとしては、解雇を扱った経験が豊富であること、信頼できること、難しい話を分かりやすく説明してくれること、弁護士費用について事前に説明してくれることなどが挙げられます。
従業員の解雇を弁護士に相談した場合の費用
解雇問題を弁護士に依頼する場合、弁護士費用が気がかりだと思われます。
弁護士費用は法律事務所ごとに異なるため、一般的な目安を示すことは困難です。
そのため、以下では弁護士法人ALGにおける費用の目安をご紹介します。
【法律相談】
- 相談料:初回1時間来所・ZOOM相談無料
1時間以降は30分ごとに5,000円(税別)
※電話相談の場合は1時間10,000円(税別)
※相談内容によって有料相談となる場合あり【内容証明】
- 着手金:95,000円(税別)
- 成功報酬:経済的利益の33%
- 諸経費:15,000円(税別)
【交渉(期間3ヶ月)】
- 着手金:350,000円(税別)又はタイムチャージ30,000円(税別)/1時間
- 成功報酬:経済的利益の33%(最低成功報酬があり着手金の1.5倍)
- 諸経費:30,000円(税別)、実費、日当など
※労働審判や裁判では料金体系が異なるため別途ご相談ください。
従業員の解雇で労使トラブルとならないためにも弁護士にご相談ください!
安易な解雇は不当解雇につながりやすく、会社として重大なダメージを受けることにもなりかねません。
解雇したいと考えたときは、解雇の要件をクリアしているかを慎重に検討し、適正な手続きを踏むことが大切です。
弁護士法人ALGは企業側の労働法務に注力しており、数多くの解雇トラブルを解決した実績を有します。
ご相談いただければ、解雇に潜むリスクを調査し、そのリスクを最小限にとどめるための対策についてご提案することが可能です。また、労働審判や裁判、団体交渉を申し立てられた場合も適切に対応できるため、会社側に有利な結果を得られる可能性が高まります。
基本的に直接の来所やZOOMによる相談であれば初回1時間無料にて受付けております。また、顧問契約を締結していただければ、割安の費用でご利用いただけます。ぜひお気軽にお問合せください。
この記事の監修

弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員
- 保有資格
- 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)
執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。
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※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
受付時間:平日 09:00~19:00 / 土日祝 09:00~18:00
- ※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円)
- ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。
- ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。
- ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。