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問題社員を解雇するときの進め方・手順は?正当な解雇理由などを解説

    解雇

    #懲戒解雇

    #整理解雇

    #普通解雇

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監修 | 弁護士 家永 勲 弁護士法人ALG&Associates 執行役員

解雇は会社が持つ人事権の一つですが、濫用は許されず、正当な理由が必要です。
社員に明らかな非がないのに解雇したり、手続きを間違えたりした場合には、解雇が無効となるおそれがあります。

解雇をめぐるトラブルが生じると、会社にとって大きな負担や損失が生じるため、解雇は慎重に行わなければなりません。

この記事では、解雇の進め方や、解雇の正当な理由などについて解説していきます。

解雇の種類と要件

解雇といっても、問題社員を解雇する手続きには以下の2つの種類があります。
理由や状況によって、選択すべき解雇は変わってきます。

  • 普通解雇
  • 懲戒解雇

解雇を有効に行うためには、種類に応じた解雇要件を満たすことが必要です。
また、就業規則に解雇できる理由を漏れなく記載して、どのような事態にも対応できるようにしておかなければなりません。

解雇するときには、解雇予告をするか、解雇予告手当を支給するといった手続きを行うことが重要です。

普通解雇

普通解雇とは、従業員の勤務態度や能力不良等により、会社がこれ以上労働契約を継続できないと判断した場合に行う解雇です。

普通解雇が認められるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 客観的にみて解雇することに合理的な理由があり、社会通念上においても相当であること

例えば、能力不足を理由とする普通解雇については、単に他の社員よりも成績が悪いというだけでは、正当な解雇理由があると判断されません。

会社側が繰り返し指導や教育を行い、配置転換によって他の業務を行わせるなどしても改善の見込みがない状況でなければ、解雇が認められないことが一般的です。

普通解雇について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

さらに詳しく普通解雇とは?4要件や手続きの流れなどわかりやすく解説!

懲戒解雇

懲戒解雇は、従業員の問題行動に対して行う最も重い懲戒処分です。懲戒解雇を行うには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 就業規則の懲戒事由に該当すること
  • 懲戒処分の種類として、懲戒解雇を定めていること

一般的には、懲戒処分は比較的軽い処分から段階的に行っていくことが求められています。過去に、問題行動によって軽い懲戒処分を受けた者が、再び問題行動を行った場合には、より重い懲戒処分が認められる可能性は高まります。

最初から懲戒解雇を選択することも可能ですが、裁判になった場合には、問題行動に対する処分内容の妥当性・相当性が厳しく判断されることに注意しましょう。

いきなり懲戒解雇をしても認められやすい行為として、業務上横領のような重大なものが挙げられます。

懲戒処分を行うときに注意すべきことを知りたい方は、以下の記事の解説をご覧ください。

さらに詳しく懲戒処分を行う際に注意すべき3つのポイントとは?

従業員の解雇の進め方・手順

解雇を選択することになった場合、段階的に手続きを行うことがトラブル防止につながります。
解雇の進め方は以下の手順が一般的です。

  1. 解雇の要件を満たしているか確認する
  2. 解雇理由を書面にする
  3. 解雇予告または解雇予告手当の支払いを行う
  4. 解雇通知書を送付する
  5. 解雇後の各種手続きを行う

これらの手続きにプラスして、懲戒解雇では本人への弁明の機会の付与や、就業規則等に規定がある場合は懲戒委員会の開催が求められます。

また、整理解雇では、整理解雇以外の経営改善手段を講じることや、社員や労働組合との協議などの手続きも必要となるためご注意ください。

手続きを誤ると、社員に非があっても解雇無効となるリスクがあります。

①解雇の要件を満たしているか確認する

解雇を検討するときには、解雇理由が法的に有効であるかを確認しましょう。

解雇の判断が、解雇権の濫用にあたらないことが必要です。客観的に合理的な解雇の理由がない、社員の行為に対して解雇という処分が不相当などの問題があれば、不当解雇として訴えられるリスクがあります。

解雇できる理由について、就業規則に記載している内容も確認しなければなりません。

解雇する理由の内容や重大性、これまでの改善指導歴、本人が反省しているか、他の社員が受けた処分とのバランスなどを確認して、慎重に検討する必要があります。

また、対象社員が労働基準法上の解雇制限期間にあたらないかどうかの確認も必要です。

業務上の怪我などによる休業期間や、産前産後休業期間といった解雇制限期間中であれば、解雇が禁止されていることに注意しましょう。

②解雇理由を書面にする

解雇理由を整理して書面にまとめておきましょう。

あらかじめ書面にまとめておくことで、解雇予告の際に、従業員へ納得のいく説明ができ、解雇通知書にも具体的な解雇理由を記載することができます。

また、従業員から解雇理由証明書を求められた場合にもスムーズに対応ができます。
もし後から解雇に関するトラブルが発生した場合には、会社が解雇の判断に至った根拠の証明にもなります。

解雇理由証明書について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

さらに詳しく解雇理由証明書は発行すべき?書き方や注意点をわかりやすく解説

③解雇予告または解雇予告手当の支払いを行う

社員を解雇する場合、会社は30日前までに予告する必要があり、予告しない場合は30日分以上の平均賃金を支払う必要があります(労基法20条)。

この予告日数の不足分に対して支払う平均賃金を解雇予告手当といいます。例えば、解雇予告なしの場合は30日分の予告手当を、解雇予告が20日前の場合は10日分の予告手当を支払う必要があります。

もし予告期間もなく解雇予告手当の支払いもせずに解雇が行われた場合は、通知後30日を経過するか、または解雇予告手当を支払った時点で解雇の効力が発生するとされています。

なお、解雇予告してから解雇することを「予告解雇」、解雇予告手当を支払って、解雇を伝えた当日に解雇することを「即日解雇」といいます。

解雇予告の詳細は、以下のページよりご確認ください。

さらに詳しく解雇予告とは?企業が従業員を解雇する際の手続き

予告解雇と即日解雇どちらを選ぶべきか?

予告解雇と即日解雇では、特別の事情がない限りは即日解雇を選ぶべきです。

予告解雇をすると、社員が解雇日まで出勤することになります。解雇を伝えられた社員が熱心に働く可能性は低いだけでなく、会社に対する嫌がらせや、重要情報の持ち出しといったリスクを伴います。

また、本人が有給消化を希望した場合には応じる必要があり、社会保険料の支払いも求められるため、解雇予告手当の支払いよりも金銭的負担が増えるおそれがあります。

解雇予告手当を支払った上で即日解雇をすると、引き継ぎが難しい面があるものの、誠実な引き継ぎが期待できないような社員であればデメリットにはなりません。

ただし、即日解雇をするためには、十分な解雇理由が必要であることに注意しましょう。

社員を即日解雇する条件について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

さらに詳しく従業員を即日解雇する際の条件とは?試用期間中や派遣社員の解雇についても解説

④解雇通知書を送付する

解雇の通知方法は、法律上の決まりがないため、口頭での通知も有効です。
しかし、解雇日や解雇理由等について、労使で認識に差異があれば、トラブルに発展する可能性は高まります。

解雇の通知は書面で行い、会社の解雇の意思と理由を客観的に明確にしておきましょう。
もし、解雇日に従業員が出勤しないなどがあれば、書留郵便や内容証明郵便など、本人の受領の確認を記録できる形式で郵送しましょう。

⑤解雇後の各種手続きを行う

社員を解雇するときには、解雇通知をするだけで手続きが終了するわけではなく、事後手続きを行う必要があります。

解雇後に必要となる手続きとして、以下のようなものが挙げられます。

・離職票の発行

解雇日から11日以内にハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を提出し、離職票が発行されたら、解雇した社員に送付します。離職理由は、基本的には会社都合退職となります。

・社会保険の手続き

解雇日から6日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を年金事務所に提出し、資格喪失証明書を本人に送付します。

・源泉徴収票の送付

解雇日から1ヶ月以内に本人と税務署に源泉徴収票を送付します。

・住民税の特別徴収を止める手続き

解雇月の翌月10日までに「給与所得者異動届出書」を本人の住所地の役所に提出します。

・解雇理由証明書の発行(請求された場合)

・解雇予告手当の支払い、最後の給与、退職金の支払い

従業員の解雇が認められやすい正当な理由

解雇は制限されているため、認められるためには客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。

解雇が認められる可能性の高い正当な理由として、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 能力不足
  • 協調性の欠如
  • 職務怠慢や勤務態度不良
  • 病気や怪我による就業不能
  • 無断欠勤
  • 犯罪行為
  • 会社の経営不振

これらの理由があると考えられる状況であっても、解雇の有効性は個別の事情により総合判断されます。

また、解雇手続きは就業規則で定めたものを守り、解雇予告をするなど適切である必要があります。

能力不足

従業員の能力不足については、普通解雇を選択することが一般的です。普通解雇では、従業員が雇用契約に基づく義務を果たすことができないために、会社がやむを得ず解雇するという流れになります。

ただし、多少の能力不足を原因に、即解雇という対応は、裁判では無効となる可能性が高いと考えられます。

会社には従業員を指導する義務があります。

つまり、会社は十分に指導を行ったけれども、従業員に改善の見込みがみられなかったといったプロセスが重要な判断要素となります。

会社として尽くすべき手を尽くした上で、改善がなかったということが証明できれば正当な解雇理由として認められるでしょう。

指導にあたっての指導票や指導内容の記録、状況に応じて懲戒処分を行い、改善の機会を設けているなど、十分な指導をした経緯を記録に残しておくようにしましょう。

能力不足の社員の解雇については、以下の記事で解説しています。

さらに詳しく能力不足や適格性の欠如を理由にモンスター社員を辞めさせることはできる?

協調性の欠如

協調性の欠如については、就業規則で普通解雇事由として定められているケースも多いでしょう。
しかし、規則に定めがあれば有効というわけではありません。

協調性の欠如についても会社が尽くすべき義務を行っていたかどうかが重要となります。

協調性の欠如によって、周囲の人間とトラブルになることも少なくありません。
社内で行われた問題言動については、都度、記録に残しておきましょう。

また、具体的な言動について、注意・指導を行い、場合によっては配置転換も検討しておくべきです。

会社が改善を促しても効果がなく、周囲の従業員や、業務全体に支障を及ぼしているようであれば、正当な解雇理由となり得るでしょう。

職務怠慢や勤務態度不良

職務怠慢や勤務態度不良も普通解雇事由とされている就業規則は多くあります。

勤務態度不良等が普通解雇の正当な理由となるには、従業員の具体的な態度等についての記録や、会社が行った指導記録などが重要となります。

従業員に改善や反省の機会を与えるためにも、繰り返し注意指導を行うことが必要です。

職務遂行の進捗や、注意指導の内容を記録するために、業務日報を導入するなども有効でしょう。

従業員の態様や職務怠慢の程度によっては、戒告や譴責といった懲戒処分を行うことも検討しましょう。それらの懲戒処分を行っても改められなければ、減給や出勤停止を行うことも検討しましょう。

普通解雇を決断する前に、会社が十分な指導を行っていたことが客観的事実として証明できれば、不当解雇と判断されるリスクを軽減することができます。

勤務態度が悪い社員の解雇については、以下の記事をご覧ください。

さらに詳しく勤務態度が悪い問題社員を解雇できる?判断基準や注意点などを解説

病気や怪我による就業不能

病気などによる就業不能は普通解雇を選択することになります。ただし、まずは休職させて、復職の機会を与えることが一般的です。

休職制度を設けることは法律上の義務ではありません。しかし、病気になった社員をいきなり解雇すると、不当解雇になるリスクが高まってしまいます。

社員の休職では、就業規則に規定されている休職制度に基づいて対応しましょう。休職期間が満了しても私傷病から回復せず、復職できない場合には、普通解雇が認められる傾向があります。

ただし、業務上の病気や怪我の場合には、治療期間とその後の30日間については注意が必要です。

この期間は、法律によって解雇制限期間と定められているため、解雇することができません。

休職期間満了による解雇については、以下の記事をご覧ください。

さらに詳しく休職期間満了を理由に解雇できる?流れや注意点などわかりやすく解説

無断欠勤

無断欠勤は社会人としてあるまじき行為ですが、懲戒解雇するには、まず無断欠勤が懲戒解雇事由として就業規則に規定されている必要があります。

また、懲戒処分は軽い処分から行うことが通例ですので、不当に繰り返しているなどの事情がなければ、懲戒解雇することは難しいでしょう。

普通解雇であっても、数日の無断欠勤では解雇が認められるのは難しいです。2週間以上の無断欠勤で解雇が認められる裁判例が多いため、正当な解雇理由になると考えてよいでしょう。

ただし、解雇するためには欠勤した理由や、これまでの指導履歴も重要となります。欠勤の理由が悪質で、何度も指導や注意を受けている場合には、解雇が有効になる可能性が高まります。

無断欠勤している社員の解雇については、以下の記事の解説を併せてご覧ください。

さらに詳しく無断欠勤が続くモンスター社員への対応とは?解雇手順や注意点

犯罪行為

犯罪行為が原因である場合には、懲戒解雇を検討することになります。

懲戒解雇事由としては「会社の名誉・信用を毀損したとき」などと規定されていることが多いでしょう。
しかし、逮捕されれば、懲戒解雇が有効となるわけではありません。

逮捕の事実があっても、えん罪の可能性や、不起訴となる可能性もあります。
単に逮捕だけを理由とした懲戒解雇は無効となるリスクが高いと考えられます。

実務上は、直ちに解雇するのではなく休職扱いとした上で、有罪が確定すれば懲戒処分を決定するという対応を行うことで、解雇が無効となるリスクを抑えることができるでしょう。

犯罪行為を理由とした解雇では、犯罪の性質や会社の事業への影響の程度、会社の経営方針等の事情も踏まえて、解雇の妥当性が判断されます。
犯罪行為の内容等によって、懲戒解雇もしくは、懲戒解雇よりも軽い処分を検討する必要もあるでしょう。

社員が逮捕されたことを理由とする解雇については、以下の記事で解説しています。

さらに詳しく従業員の逮捕を理由に解雇することはできる?

従業員の解雇を進める上での注意点

従業員の解雇を進めるときには、注意しなければならないことがあります。

解雇が無効になるトラブルを防ぐために、主に以下のような点に注意しましょう。

  • 法律で解雇が認められないケースがある
  • 不当解雇と判断されるリスクがある

法律で解雇が認められないケースがある

解雇を検討するときには、対象の社員が解雇の認められない時期であるケースもあるため、必ず確認する必要があります。

次の期間については、労働基準法19条により、解雇が基本的に禁止されています。

  • 業務上の負傷・疾病(いわゆる労災)で療養のため休業している期間およびその後30日間
  • 産前産後休業の期間(産前6週・産後8週)およびその後30日間

この期間中は、懲戒解雇や整理解雇であっても例外なく制限されるため、理由があるから解雇できるという判断は通用しません。

例外は、打切補償の支払いや天災等による事業継続不能など極めて限定的です。

解雇制限について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

さらに詳しく解雇制限とは?労働基準法の定めや除外されるケースなどを解説

不当解雇と判断されるリスクがある

不当解雇と判断されると、労働審判や訴訟に発展し、紛争が長期化するおそれがあります。その場合、解雇が無効となれば就労していたはずの期間の給与(バックペイ)などを支払わなければならないだけでなく、精神的苦痛を理由として慰謝料請求を受けるケースもあります。

さらに、紛争の公表等により企業の社会的信用が低下するリスクも見逃せません。こうしたリスクを避けるには、事前に弁明の機会を与えて本人の言い分を十分に聴取するなど、慎重に手続きを進めて検討する必要があります。

直ちに解雇するのではなく、まずは退職勧奨を行うなど、段階的な対応を取ることも重要です。

不当解雇と判断されたときの影響などについて知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

さらに詳しく不当解雇と判断されたらどうなる?正当解雇との違いや不当となる7つのケース

解雇の進め方の有効性について争われた裁判例

(令4(ワ)357号、津地方裁判所 令和6年12月12日判決)

【概要】

本件は、大学で非常勤講師として勤務していた原告Xが、労働契約法18条1項により無期雇用契約となった後で、担当する授業がないとされてから、「新たな雇用契約を締結しない」と通告された事案です。

なお、大学は新たに任期のある教員を採用して授業を担当させました。

【裁判所の判断】

非常勤講師の授業がどの程度行われるかについて、大学には裁量の範囲内で決定権があるものの、契約関係を解消したい教員に次年度の授業を担当させないことによって一方的に契約を終了することは、実質的に無期雇用契約への転換後の雇止めだとされました。このような雇止めは、労働契約法18条1項の趣旨に反すると裁判所は指摘しました。

また、無期雇用契約となったXとの労働契約を終了させる方法は解雇しかないと考えられるため、大学による普通解雇が認められるかが検討されました。大学は赤字が継続しており、さらに収支の悪化が見込まれていたことなどから、人員削減の必要性は認められました。

しかし、Xを支援業務に回さず、新たな教員を採用していることなどから、Xの解雇を回避するための努力が十分に行われたとは認められませんでした。

加えて、大学はXなどに対して労働契約の終了事由が普通解雇であることを明確に説明しておらず、手続きが十分に行われていなかったため、普通解雇は無効であると認定されました。

【ポイント】

無期雇用契約に転換した労働者について、実質的な雇止めが認められなかったことがポイントです。

大学の非常勤講師という立場であっても、授業が急激に減る可能性などを事前に説明していなかったため、授業がなくなったことを理由としての契約の終了は容認されませんでした。

大学がXを解雇する意思を明確に示さずに、解雇手続きを十分に行わず、整理解雇の要件を満たそうとしなかったことについても、大学が普通解雇を主張しても認められない理由とされました。

解雇の進め方に関してよくある質問

正社員を簡単にクビにできない理由は何ですか?

正社員を簡単に解雇できない理由は、日本の法律や判例が労働者保護を重視しているためです。

労働契約法16条により、解雇は客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性がなければ無効とされます。

さらに、判例上も解雇権濫用法理が確立しています。能力不足や業績不振でも、すぐに解雇することは認められません。

能力不足であれば、指導や教育、配置転換などの段階的対応が求められます。業績不振であれば、役員報酬の減額や希望退職者の募集といった、コスト削減の努力が必要です。

契約社員やパートの解雇は正社員よりも進めやすいですか?

契約社員やパート従業員は、基本的に契約期間の途中で解雇できないため、正社員の解雇よりもさらにハードルが高くなります。

契約社員やパート従業員のような契約期間のある社員は、期間の途中で解雇するのではなく、期間満了時に契約を更新しない方法で労働契約を終わらせることが望ましいでしょう。

ただし、契約の更新をしない雇止めについても、正当な理由が必要となるケースもあります。

契約社員の解雇について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

さらに詳しく契約社員を途中で解雇することはできる?

解雇が無効になるのはどのようなケースですか?

解雇が無効となる典型的な例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 解雇権を濫用した(経営者の好き嫌いだけで解雇した、ちょっとしたミスを理由として解雇したなど)
  • 解雇手続きを守らなかった(就業規則に定めた手続きを行わなかった、弁明の機会を与えなかったなど)
  • 禁止されている理由で解雇した(外国人だから解雇した、女性だから解雇したなど)
  • 解雇禁止期間の社員を解雇した(労災で休業中の社員を解雇した、産休を取得している女性を解雇したなど)

解雇予告または解雇予告手当の支払いはどのような場合でも必要ですか?

解雇予告または解雇予告手当は、例外的に必要でない場合もあります。

天災などで事業継続が不可能な場合や、横領など労働者の重大な非違行為がある場合に、労働基準監督署の除外認定を受ければ例外的に不要となります。

ただし、除外認定を受けるのは簡単ではありません。また、除外認定を受けたとしても解雇の有効性が保証されるわけではないため、解雇そのものが無効と判断されてしまうリスクは残ります。

解雇予告除外認定について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

さらに詳しく解雇予告除外認定とは?認定基準や申請の流れ、注意点など

解雇通告の言い方や伝え方で気を付けることはありますか?

口頭で解雇を伝えるときには、感情的な表現を避け、事実と理由を具体的かつ冷静に伝えることが重要です。あいまいな説明や、社員を罵倒するような通告は、余計な争いを招きやすいため注意しなければなりません。面談では録音やメモを残すなど、後日のトラブル防止につなげましょう。

書面で解雇を通告する場合には、自宅宛てに内容証明郵便を送りましょう。このとき、配達記録が残るようにしておく必要があります。

メールなどによる通告は、社員が見ないおそれがあることに注意しましょう。

解雇手続きの必要書類を教えてください

解雇手続きでは、主に以下のような書類を対象者に交付する必要があります。

  • 解雇予告通知書または解雇通知書
  • 解雇理由証明書(請求されたら交付する義務がある)
  • 退職証明書
  • 離職票
  • 源泉徴収票

また、社員が退職するときに必要となる、社会保険や雇用保険の資格喪失手続きなども行わなければなりません。会社からの貸与物の回収なども忘れずに行うようにしましょう。

漏れなく手続きを済ませることが、トラブルの防止につながります。

従業員解雇の進め方については、弁護士にご相談ください

解雇には3種類ありますが、いずれも解雇権濫用を防ぐため、それぞれの要件を満たさなければ有効とは認められません。
解雇はトラブルにつながりやすく、会社の対応が不適切であれば、裁判で無効となるおそれがあります。

解雇の方法や状況に少しでも不安があれば、弁護士への相談をご検討ください。
弁護士に任せれば、解雇の有効性や適切な手続きを確認できるだけでなく、トラブル発生後の対応についてもアドバイスが受けられます。

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この記事の監修

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弁護士 家永 勲
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執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

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