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ハラスメントで労働審判を申し立てられた!会社側の反論ポイントと答弁書

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監修 | 弁護士 家永 勲 弁護士法人ALG&Associates 執行役員

従業員からのハラスメントの訴えが社内相談窓口ではなく、労働審判の申立てという形で行われるケースもあります。

労働審判は裁判制度の1つです。
もし、労働審判で、ハラスメントが会社の安全配慮義務違反によるものだとされれば、損害賠償の対象となるおそれがあります。

労働審判は簡易迅速な解決を目的とした制度ですので、申立てがあれば会社は早急に適切な反論を行わなければなりません。

本稿では、労働審判における、会社が主張すべき反論のポイントや答弁書の作成について解説していきます。

ハラスメントで労働審判を申し立てられたら

労働審判とは、個々の労働者と会社との間で発生した労働問題を、簡易迅速に解決を図るという目的で平成18年から始まった制度です。

労働審判は原則として3回以内の期日で審理し、結論を出すことになっています。

労働審判で最も困るのは、この準備期間の短さでしょう。
タイトなスケジュールではありますが、対応を怠ったり、熟考せずに反論してしまうと会社が不利な立場となったまま終結してしまう可能性もあります。

ハラスメントの労働審判を申し立てられたら、まずは従業員の主張内容を正確に把握し、ハラスメントの事実関係を調査した上で、適切に反論していかなければなりません。

ハラスメントの労働審判における会社側の反論ポイント

ハラスメントの労働審判で会社側が行う反論としては、以下のような反論があります。

  • ハラスメントの事実が存在しない
  • ハラスメントが不法行為には該当しない
  • 業務とは無関係に行われた行為

以降で1つずつ解説していきます。

①ハラスメントの事実が存在しない

まずは、申立書で主張されているハラスメントの内容を確認し、会社側でも事実調査を行います。

ハラスメントの存否を調査した結果、ハラスメントの事実が確認できなかったのであれば、その調査結果をもって反論を行います。

事実調査は、加害者だけでなく関係者や目撃者へ聞き取りし、時系列にまとめておきましょう。

労働審判を申し立てた従業員の、社内の相談窓口の利用履歴や、上司に相談していたかなども確認しておきます。

事実認定には証拠が重要

事実認定には証拠の有無が重要なポイントとなります。
そのため、会社が行った事実確認の調査についても内容を記録化し、証拠として提出できるようにしておきましょう。

また、従業員側が主張する事実に関する証拠が不十分な場合もあります。

例えば以下のような場合には、証拠が不十分でハラスメントの事実が認められないと反論していくことになります。

  • 従業員が主張するハラスメントの証拠が、客観的事実と明らかに矛盾する場合
  • 目撃者や関係者などの証言内容と、従業員側の主張内容がかみ合わない場合
  • 主張しているハラスメントの事実と明らかに矛盾する証拠が会社側にある場合

従業員の主張する内容が真実とは限りません。会社側は先入観をもたずに事実関係を調査し、矛盾する点については根拠を示して反論しましょう。

②ハラスメントが不法行為には該当しない

ハラスメントに該当する事実があれば、そのすべてが不法行為として賠償の対象になるわけではありません。

ハラスメントの要件に合致すれば即不法行為となるのではなく、①故意または過失があったか②他人の権利や利益を侵害しているか③実際に損害が発生しているのか④損害と因果関係があるのかなどを勘案して不法行為の判断をします。

非常に軽微なハラスメントであったり、ハラスメントと直接関係しない損害が含まれているなどがあれば、否認するなど反論しましょう。

不法行為に該当しないと主張できる例には以下のようなものがあります。

  • 従業員からの相談がなく、会社がハラスメントを知り得ない状況にあった
  • 会社はハラスメントの存在を知ったあと、すぐに再発防止措置をとっている

パワハラではなく指導であるという反論

指導をパワハラとして主張する例は非常に多く見られます。
しかしパワハラとは、業務の適正な範囲を逸脱して、精神的もしくは肉体的苦痛を与えたり、職場環境を害する行為です。

つまり、たとえ上司から厳しい注意があったとしても、必要な指導であり、業務の適正な範囲を超えない内容であればパワハラではなく、指導であるとして反論できます。

特に以下のような状況では、ある程度厳しい指導もやむを得ないと判断される可能性があります。

  • 従業員のミスの内容が業務に大きな支障を与える場合
  • 再三の注意にもかかわらず、同じミスを繰り返している場合

適切に指導していたという事実認定にも証拠が必要です。日頃から、指導票などを用いて記録化しておくようにしましょう。

③業務とは無関係に行われた行為である

もし、ハラスメントと主張される行為が、業務とは関係なく、プライベートの問題として起こったのであれば、会社に安全配慮義務は発生しません。

この場合には、当事者間の個人的トラブルであり、会社は責任を負わないと反論することが可能です。

業務との関連性は、会社の敷地内、就業時間中、といった場所や時間という基準だけで判断されるわけではありません。

たとえ業務時間外であったとしても、会社での立場等を利用した行為であれば、会社に安全配慮義務が発生するおそれがあります。

従業員が主張するハラスメントが、業務に関連して行われたものであるのか慎重に検討しましょう。

会社側の反論を記載した答弁書の作成

従業員が労働審判を申し立てる際に提出する申立書に対し、会社は、事案に対する会社の立場や申立書への反論内容などを答弁書にまとめて提出します。

答弁書には提出期限がありますので、必ず期限を守りましょう。
もし、提出が遅れたり、未提出となれば裁判所は事前に会社の主張を確認できません。

当日の口述だけでは、会社側の言い分を正しく理解してもらえない可能性もあり、不利な状況となるおそれがあります。

もし、主張内容をまとめきれていないといった事情があっても、提出しないという事態だけは避けるようにしましょう。

ハラスメントの答弁書を作成する際のポイント

まずは申立書でなにが請求されているのか把握した上で、答弁書を作成します。
記載事項としては、申立ての趣旨に対する答弁、申立書記載の事実に対する認否、答弁を理由づける具体的な事実などが一般的です。

労働審判で争点になると予想される事実につき重要な証拠等があれば、あわせて主張します。
もし、事前に従業員と交渉していたなどの経緯があれば、その点についても記載しておくとよいでしょう。

ハラスメントの場合、慰謝料だけでなく精神疾患発症による治療費や、ハラスメントを発端といた休職などによる逸失利益を請求されることがあります。

この場合には、ハラスメントの内容が精神疾患を発症させたり、休職が必要になったりする程の強度であったかについても主張していく必要があるでしょう。

従業員の主張・請求に対して、過不足ない答弁書を作ることは簡単ではありませんので、答弁書作成は弁護士へ依頼することも視野に入れた方がよいでしょう。

ハラスメント問題を起こさないために会社がすべき対策

労働審判となれば、損害賠償の有無にかかわらず、調査や出廷など会社側の負担が必ず発生します。
労働審判リスクを回避するためにも、日頃よりハラスメントを起こさない職場作りを実践しましょう。

ハラスメント防止には、以下のような対策が挙げられます。

  • ハラスメントに関する就業規則の整備
  • 相談窓口の設置
  • 社内研修の実施

相談窓口の設置は法律によって義務化されています。

しかし、設置だけでなく定期的に周知を行い、利用を促しましょう。
ハラスメント問題が深刻化する前に社内で対処できる体制を目指しましょう。

また、社内研修の実施は管理職だけでなく全従業員を対象とするべきです。
近年では部下から上司へのハラスメントも問題となっていますので、従業員全体に正しい知識を身につけてもらうべきでしょう。

ハラスメント対策について詳しく知りたい場合は、下記ページをご確認下さい。

さらに詳しくハラスメントに関する8つの防止策について解説

ハラスメントで労働審判を申し立てられた際には、なるべく早い段階で弁護士にご相談下さい。

ハラスメントで労働審判を申し立てられたら、会社は迅速に対処する必要があります。
また、時間が限られる中で適切に反論していかなければなりません。

もし、労働審判で中途半端な対応をすれば、損害賠償等、会社へダメージが発生する可能性もあります。
労働審判は時間との勝負です。申し立てられたら早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。
労働審判の経験が豊富な弁護士であれば、適切な答弁書を迅速に作成することができます。

弁護士法人ALGでは、労務問題に精通した弁護士が多数在籍し、全国の拠点で対応が可能です。
労働審判の申立てが発覚したら、まずはお気軽にご相談下さい。

この記事の監修

担当弁護士の写真

弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

保有資格
弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

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