※会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

TEL.0120-686-041 お問い合わせ

休職期間満了を理由に解雇できる?流れや注意点などわかりやすく解説

    解雇

    #休職期間満了

    #注意点

    #流れ

担当弁護士の写真

監修 | 弁護士 家永 勲 弁護士法人ALG&Associates 執行役員

休職制度は業務外の傷病等によって労務提供できない従業員の解雇を一定期間猶予するものですが、休職期間が満了すれば容易に解雇できるというわけではありません。

休職期間満了といった状況であっても、解雇は従業員にとって不利益の大きい処分であり、法的要件や必要な措置がとられていなければ訴訟リスク等を抱えてしまいます。

適切な手続きの流れを理解し、不当解雇とみなされないための注意点を踏まえて実施するようにしましょう。

休職期間満了したら解雇はできる?

休職とは、業務外の病気等を理由として働けなくなった従業員の就労を一定期間免除する制度ですが、法律に定められた制度ではありません。そのため、休職制度を導入するには就業規則に休職に関する詳細を規定しておく必要があります。

休職期間満了とは、就業規則に定めた休職できる期間が終了することを指しています。期間満了時に、病気等が治癒していれば復職になりますが、期間満了後も治癒しない場合は離職となることが多いでしょう。

復職できない場合には解雇を選択するケースもありますが、法的手続きを踏む必要があります。休職期間満了に伴う解雇が就業規則や労働契約に記載されているなど、法的根拠も必要ですので必ず確認しましょう。解雇である以上、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性が求められるため、慎重に対応しなければなりません。

休職期間満了時の解雇が不当と判断されるケース

休職期間満了時の解雇が不当と判断されるケースには以下のようなものがあります。

  • セクハラやパワハラ、長時間労働等を理由とした精神疾患によって復職できない場合
  • 担当医等の復職可能という判断に対し、会社が復職を認めず休職期間満了となった場合

休職の理由が労災(業務上の負傷や疾病)の場合は、療養休業中とその後30日間について解雇制限があります。精神疾患の発症や悪化の原因が会社にあれば、期間満了時に復職できなかったとしても解雇は無効と判断されるため、休職に至った原因は必ず確認しておきましょう。

医師が復職可能と判断している場合も注意が必要です。会社は医師の診断を踏まえて、復職の可否を検討しなければなりません。診断に明確な疑義がある等の事実がないにも関わらず、会社が復職を認めず解雇した場合は、不当解雇と判断される可能性が高いでしょう。

休職期間満了後の解雇の有効性について争われた判例

事件の概要

(令和2年(ワ)17568号・令和5年1月25日判決・東京地方裁判所・第一審)

Y大学に教授として勤務していたXは、脳出血を発症し、後遺症により休職していました。担当医からは復職可能との診断書が作成されましたが、Xには高次脳機能障害等があり、産業医はXの職務が高度教育の授業であることを踏まえ、休職の延長を要すると診断しました。

また、復職の可否を判断するため、Y大学側が模擬授業を実施する提案を行ったところ、Xはこれを拒否しました。Xが日程調整にも回答しなかったため、Y大学は模擬授業を実施できませんでした。このような経緯から、Y大学はXを期間満了に伴い解雇としましたが、Xは解雇を不当であるとしてY大学を訴えました。

裁判所の判断

裁判所は、休職期間満了時にXが大学教授としての職務を通常の程度行える健康状態にあったか否かについて、産業医の意見書や担当医の診断書等によって回復していたと認めることはできないと判断しています。

また、当初軽易な作業から復職し、ほどなく従前通りの職務を行える健康状態にあったとも認められないとしました。復職の可否を判断するためにY大学が提案した模擬授業についても合理性があるとして、Y大学側の配慮は相当であり、解雇は有効であるとされました。

ポイント・解説

私傷病による休職は、解雇を猶予させる制度であり、復職にあたっては休職理由が消滅している必要があります。つまり、原則として、従前の職務を通常と同程度に行える健康状態に回復していることが復職の要件といえるでしょう。

ただし、通常と同程度でなくとも、しばらく業務を軽減すれば、ほどなく休職前と同様に働ける程度に回復していれば復職を認めなければならないとされています。

本事案では、Xの回復の程度を複数の医師が判断し、かつY大学が従前の職務をどの程度行えるか模擬授業の実施を試みています。1人の医師による復職可能という意見書があれば、ただちに復職の要件を満たすというわけではありません。リハビリ勤務や面談等を経て、会社が復職の最終判断を行いますが、このプロセスが適切であれば解雇が有効となる可能性は高まるでしょう。

休職期間満了で解雇する流れ

休職期間が満了すれば、解雇しても構わないというわけではありません。会社が従業員の復職を十分に検討しなければ、不当解雇とみなされるおそれもあるでしょう。

また、解雇という決断に至ったとしても、解雇手続きに法的不備があれば不当解雇となる可能性もあります。休職期間満了で解雇する場合には、以下のポイントを踏まえて手続きしましょう。

  • 復職の可能性を確認する
  • 解雇の判断をする(解雇予告または解雇予告手当の支払い)
  • 解雇通知書の交付と退職日を設定する
  • 解雇理由証明書の発行と対応の記録を残す

①復職の可能性を確認する

休職期間満了時には、復職の可能性を確認しましょう。復職可否は、元の業務を通常程度に行えるか否かによって、会社が最終判断します。

従業員の健康状態を正確に把握する必要があるため、復職面談の前には主治医の診断書を提出してもらい、場合によっては医師へ確認しておくとスムーズです。試し出勤等で回復の状態を確認するのも復職を判断するために有効な手段といえます。

従業員が従前の業務ではなく、軽易な業務での復職を希望するケースも考えられます。会社の配慮として可能であれば、配置転換も検討しましょう。

②解雇の判断をする(解雇予告または解雇予告手当の支払い)

休職期間満了後も復職が不可能な場合、就業規則に基づき解雇を判断します。休職に伴う解雇であっても通常と同様、解雇の30日前までに解雇を予告しなければなりません。また、解雇まで30日に満たないのであれば、不足日数分の解雇予告手当の支払が必要です。

休職期間満了の通知は義務ではありませんが、実務上は、休職期間満了通知書を交付することが多いでしょう。この書面に解雇となる旨を記載し、解雇予告通知を兼ねます。具体的には、「休職期間満了の〇年〇月〇日までに復職できない場合、解雇となります」といった文言が一般的です。

③解雇通知書の交付と退職日を設定する

解雇する場合、退職日は期間満了日と同日にすることが一般的です。解雇予告を記載した休職期間満了通知書は、解雇(休職期間満了日)の30日前までに従業員に届くようにしましょう。書面を郵送で交付する場合、普通郵便等で送付してしまうと、いつ従業員が受け取ったのかを明らかにできません。

受取日が不明の場合、解雇の30日前の予告という原則を満たしている証明ができず、解雇予告手当の支払が必要になる可能性もあります。通知を郵送する場合には、書留や内容証明郵便等を活用して、受取日を記録できるようにしておきましょう。

④解雇理由証明書の発行と対応の記録を残す

従業員から解雇理由証明書を要求された場合、会社には発行し交付する義務が生じます。この際、解雇理由証明書は請求されたら「遅滞なく」交付する必要があるため、対応を先送りにしないよう注意しましょう。解雇理由証明書には主に、以下の2点を記載します。

  • 解雇を予告したこと
  • 解雇理由

解雇理由については、就業規則の規定に照らして具体的な事実を記載します。
解雇理由証明書を希望する背景として、会社の対応に不満をもっている可能性も考えられます。トラブルに発展するリスクを踏まえ、会社の対応は記録に残しておきましょう。

休職期間満了後の解雇が不当とみなされないための注意点

法律に基づいた手続きを踏む

休職期間満了後の解雇が不当解雇とならないためには、法律に基づいた手続きを踏むことが重要です。具体的には、以下の2点に注意しましょう。

  • 解雇予告もしくは解雇予告手当の支払いを適切に実施する(労働基準法20条)
  • 客観的に合理的な理由があり、かつ社会通念上相当である(労働契約法16条)

手続きに不備があれば不当解雇のリスクは高くなります。対応すべき内容を整理し、解雇原因の事実や根拠となる就業規則等は適切に保管しておきましょう。

就業規則を整備する

休職期間満了に伴う解雇は、その根拠を就業規則に規定しておく必要があります。また、就業規則は従業員への周知によって法的効力を有するため、従業員が見たいときに見られる状態にしておきましょう。

解雇に至る休職期間に法的な定めはないため、会社が自由に設定できます。勤続年数によって期間を設定する等もありますが、最長でも2年程度が一般的でしょう。

<休職期間の規定例>

  • 従業員が業務外の傷病等により、1ヶ月以上連続して欠勤し、さらに療養が必要な場合には会社は「休職」を命じることができる。
  • 休職期間は以下の通りとする。
    • 勤続1年未満:30日
    • 勤続1年以上3年未満:90日
    • 勤続3年以上:180日
  • 休職期間満了時までに休職事由が消滅しない場合は、解雇とする。

解雇以外の方法も検討する

解雇は法的にリスクの高い処分といえます。場合によっては解雇以外の方法も検討する等、柔軟に対応すべきでしょう。会社が一方的に解雇を推し進めるのではなく、従業員に復職の意思があるのであれば、まずは可能な限り復職の道を探ります。具体的な対応としては、配置転換やリハビリ出勤等が挙げられます。

配置転換とは、休職前の業務を通常程度に行えないとしても、ほかに軽易な業務があれば、まずは軽易な業務で復職する配慮をいいます。

また、試験的に通勤を試みるリハビリ出勤は、復職の可能性を労使双方で確認でき、解雇以外の対応を検討する有効な手段といえるでしょう。会社として合理的な配慮の範囲で、従業員も納得できる方法を模索することがトラブル防止に繋がります。

休職期間満了後の解雇に関するQ&A

休職期間満了による解雇は会社都合退職と自己都合退職のどちらになりますか?

休職期間満了を理由として解雇する場合、体調不良が原因であったとしても、会社都合として処理することが一般的です。
離職証明書の「4.会社都合」を選択し、休職期間満了である旨を記載しましょう。会社都合の場合、従業員は給付制限を受けることなく雇用保険から失業給付を受けることができます。
また、特定受給資格者に該当するため、給付日数についても自己都合退職に比べると手厚い内容になります。

休職期間満了時に自動的に契約終了することはできますか?

就業規則に「休職期間が満了しても、なお休職事由が消滅しないときは退職扱いとする」等と規定していた場合、理論上は、休職期間満了をもって従業員との雇用関係は自動的に終了となります。
自己都合退職とは異なるため、原則として退職届は必要ありません。ただし、休職期間満了に伴う自動退職であることを明確にしておくため、休職期間満了通知書は発行しておくべきでしょう。

就業規則に休職期間満了後の解雇に関する規定がない場合でも解雇できますか?

休職期間満了後の解雇に関する規定が明確に定められていなくても、労務の提供が不可能な状態が継続し、改善の見込みがなければ普通解雇が可能と考えられます。
ただし、職種等が限定されていない従業員であれば配置転換を検討する等のプロセスも必要です。
解雇である以上、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であるかどうかについては慎重に検討しましょう。判断に迷う場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

休職期間満了後の解雇については弁護士にご相談ください

休職期間満了後の解雇は、復職できなければ有効という単純なものではありません。法的要件を満たしていなければ、不当解雇と判断される可能性もあります。解雇が無効となれば、多額のバックペイ(未払い賃金)や慰謝料などの金銭的負担が発生するおそれもあり、適切な判断が求められるでしょう。

就業規則の規定や、復職可否の判断プロセスを定期的に見直すことが大切ですが、専門知識が必要となるため容易ではありません。

弁護士法人ALGでは、労働法に専門性をもつ弁護士が在籍しており、予防法務として就業規則整備への対応はもちろん、個別案件に即したアドバイスも行っております。休職期間満了後の解雇について少しでも不安があれば、まずはお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修

担当弁護士の写真

弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

保有資格
弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

プロフィールを見る

企業の様々な労務問題 弁護士へお任せください

企業側労務に関するご相談 初回1時間 来所・ zoom相談無料

会社・経営者側専門となりますので、労働者側のご相談は受付けておりません

※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。


受付時間平日 09:00~19:00 / 土日祝 09:00~18:00
  • ※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円)
  • ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。
  • ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。
  • ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。
初回1時間 来所・zoom相談無料
TEL.0120-686-041

※会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません
※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

※会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません