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退職勧奨の退職金とは?相場や交渉のポイントなどを弁護士が解説!

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監修 | 弁護士 家永 勲 弁護士法人ALG&Associates 執行役員

退職勧奨は解雇とは異なります。
解雇は、会社からの一方的な雇用契約の解消ですが、退職勧奨は、契約解消に向けた会社からの提案にすぎません。

そのため、従業員が合意してはじめて契約の解消が実現します。
退職勧奨では、従業員が退職に合意してもよいと思える条件を提示することが重要です。

その条件の1つとして従業員に有利な退職金を提示することも多いでしょう。
本稿では、退職勧奨における退職金の相場や交渉のポイントについて解説していきます。

退職勧奨における退職金(解決金)とは

退職勧奨における退職金は、社内に退職金制度があるかどうかによって、その名目が異なることがあります。
そもそも、退職金制度がない会社であれば、解決金という名目で提示されることが一般的でしょう。

それに対し、退職金制度がある会社では、規定の退職金はあるものの、退職勧奨に応じてもらうには額が少ないことが多々あります。
そのため、退職金の上乗せや特別退職金といった名目で、退職金を増額して提示することが多いと考えられます。
退職勧奨における退職金と解決金は名目の差はあれ、その目的は退職勧奨に応じてもらうためのインセンティブという点で同じといえます。

詳しくは以下のページをご覧ください。

さらに詳しく退職勧奨とは

退職勧奨の退職金の相場は?

退職勧奨時の退職金は、法律や制度で決まるものではないため、社内事情や従業員の意向などを踏まえて決定することになります。
一般的には、給与の1ヶ月~6ヶ月分の範囲に収まる傾向にありますが、あくまでも目安でしかありません。事案によってはもっと高額になることもあります。

退職勧奨時の退職金は、従業員の属性(役職や勤続年数、従業員の交渉力など)や退職勧奨の理由などによっても左右されるため、一律に適切とされる金額はありません。
相場を調べるには過去の事例や弁護士へ相談するとよいでしょう。

しかし、相場にとらわれすぎず、従業員の個別事情や交渉の余地なども踏まえて検討することが大切です。

退職勧奨の退職金の額を決める3つの要素

退職勧奨で提示する退職金額は、以下のような要因によって変動すると考えられます。

  • 企業の経営規模
  • 再就職までの期間や必要となる金額
  • 退職勧奨前の対応経緯

各項目について詳しく解説していきます。

企業の経営規模

企業規模が大企業であるか中小企業であるかによって給与水準は異なります。
また、業種によっても差があるでしょう。
一般的に、対象従業員に高額な給与を支払っているのであれば、退職勧奨に応じてもらうための提示額も高額になると考えられます。

特に、業績が好調なタイミングでの退職勧奨は、比較的高額になる傾向があるでしょう。
退職金制度があっても、規定通りの金額では納得してもらうことは難しいと考えられます。
その場合の上乗せ額は、従業員の役職の高さや勤続年数、貢献度といった要素も踏まえて検討が必要となります。

再就職までの期間や必要となる金額

失業は従業員の生活に直結する重要な問題です。
そのため、従業員の視点で考えれば、再就職できるまでの生活費は確保できるのか等が、退職を決断する上で大きなポイントとなります。

会社はそのような従業員の事情を考慮して、再就職までに必要と考えられる生活費を踏まえた提示額を検討することも重要です。
必要になる生活費は従業員の家族構成によっても異なります。

独身者と扶養家族のいる従業員では、生活費として十分と考えられる金額は異なります。
従業員の家族構成も踏まえて検討しなければ合意が難しくなる可能性が高まります。

退職勧奨までの対応経緯

対象従業員に問題行動や非があり、やむを得ず退職勧奨に至ったのであれば、退職金の上乗せ額を低額に抑えられる可能性があります。
従業員の職務怠慢や勤怠不良などに対して、企業が従業員に対して十分な指導を行っているのであれば、低額の退職金であっても納得感が得られやすくなります。

しかし、このような従業員の非に対して、会社が指導や注意を行っていないのであれば、従業員にとっては青天の霹靂であり、納得しにくいかもしれません。
また、ハラスメントなど会社側に非がある状況下で退職勧奨を行うことになれば、高額な上乗せ額が必要になるおそれがあります。

退職勧奨時に退職金を交渉する際のポイント

退職勧奨では、金額を提示するだけでは足りません。
退職勧奨に至る経緯や理由を説明し、従業員からの質問に答えるなど誠実な姿勢が求められます。
退職金を交渉するポイントには以下のようなものが挙げられます。

  • 弁護士に交渉を依頼する
  • 条件提示のタイミング
  • 有給休暇の残日数の確認

各ポイントについて詳しく解説していきます。

弁護士に交渉を依頼する

退職勧奨を円滑に進めるためには、事前準備や面談対応が胆となります。
しかし、退職勧奨の準備等は決して簡単とはいえません。

また、会社に反感をもつ従業員の場合には、社内の人間による面談では冷静な話し合いにならない可能性もあります。
また、その逆も然りといえます。
従業員に悪印象をもっている担当者が面談を行うと、無意識のうちに威圧的な態度になることがあります。
そのような面談を繰り返せば、退職強要とみなされるおそれもあります。

弁護士に交渉を依頼することで、必要な事前準備や伝え方などを相談することができることはもちろん、面談のサポートなども可能となります。
外部の第三者が同席することで、お互いに冷静な話し合いが期待できます。

また、万が一退職勧奨後にトラブルが起こったとしても、弁護士へ依頼していれば、迅速な対応が可能となります。

条件提示のタイミング

条件提示のタイミングは事案によって異なります。
しかし、どのような事案であっても、従業員の検討時間や交渉の余地は確保するように努めるべきでしょう。
また、提示する条件の検討は、退職勧奨を行う前に社内で協議し、確定させておきましょう。

退職勧奨が始まってから条件を検討することは避けるべきです。
あとから検討することになれば二度手間になり、その間に従業員の考えが変わってしまう可能性もあります。
退職勧奨の開始のタイミングで、退職に応じた場合の退職金を提示してもよいでしょう。

最初から条件を提示することで、従業員の検討も具体的となり、スムーズに退職手続きが進められるケースもあります。
どのような条件であっても、その内容や理由を丁寧に説明することが大切です。

有給休暇の残日数の確認

退職勧奨では、有給休暇の買い取りも重要な交渉ポイントになります。
退職金額がまとまっていても、有給休暇の残日数の取扱いを曖昧にしてしまうと、あとから有給休暇を買い取って欲しいといわれる可能性があります。
買い取り日数によっては、退職勧奨の予算を超えてしまうこともあり得ます。

そのため、有給休暇の残日数については、面談前、少なくとも退職金の上乗せ額などを提示する前までには確認しておかなければなりません。
残日数を確認した上で、有給休暇の買い取り額を含めるかどうかを明示して、退職金の上乗せ額等を提示するようにしましょう。

退職金なしの退職勧奨は違法?リスクは?

退職勧奨では、退職金の支払いを提示するケースが多くなっていますが、決して必須条件ではありません。
退職金の支払いに法的義務はないからです。
退職金なしであっても、従業員が納得して退職に応じるのであれば問題になることはないでしょう。

しかし、退職金の支払いを予定せずに退職勧奨を進めるとリスクを伴います。
以降で、具体的なリスクについて解説していきます。

退職の合意を得るのが難しくなる

退職金や解決金を得ることができなければ、従業員は退職後の生活が不安定になります。
再就職が難しいなどの場合には、深刻な状況になりかねないため、退職を受入れることは難しくなる可能性が高いでしょう。

退職金を提示することは、従業員の今までの貢献への報酬という意味合いだけでなく、退職後の経済的不安を解消する重要な側面があります。
退職金の提示がなければ、解雇によって予告手当を支給された方がよいと考える従業員もいるでしょう。
退職金の支払いを行わない場合には、交渉が難航する可能性も踏まえて検討が必要です。

トラブルや裁判に発展する可能性がある

退職金なしで退職勧奨を行うと、経済的条件が低くなりますので、従業員の合意を得ることは難しくなります。
従業員の納得を得られないまま退職勧奨を継続すれば、強引な退職勧奨となり、退職強要にあたる可能性もあります。

また、退職勧奨による合意が得られなければ、従業員を解雇することにもなるでしょう。
退職強要を行っていたとなれば、解雇後に不当解雇として訴えられるおそれもあります。

もし、裁判で不当解雇と判断されれば、解雇は無効となり未払い賃金や慰謝料等、金銭的負担が会社に生じます。
その場合には、退職勧奨で提示する退職金よりも高額な支払いになる可能性もあります。

退職の合意の効力が否定される可能性がある

退職勧奨は会社からの一方通行ではなく、従業員の合意に基づいて行われます。
つまり、従業員の合意が従業員の自由な意思によるものでなければなりません。
退職勧奨によって退職が成立すれば、退職合意書を作成し、会社と従業員の双方が署名等を行います。

しかし、退職金の支給がない場合、従業員にとっては解雇よりも不利な条件で合意したことになります。
裁判になった場合、このような不利な条件で退職に合意したことについて、従業員の本意とするには筋が通らないと判断される可能性があります。
合意の効力の判定はケースバイケースですが、もし、合意の効力が否定されれば、退職の事実はその時点に遡って無かったことになり、未払い賃金の支払いなどが必要になります。

退職勧奨における退職金の税金について

退職勧奨によって受け取る退職金は、通常の給与所得と比べて税率が優遇された退職所得に該当します。
退職所得は、税率が低く設定されているだけでなく、退職所得控除や社会保険料算定の対象外になるといった特徴があります。

退職所得控除は、勤続年数20年以下の従業員であっても、勤続年数×40万円までの控除が受けられます。
退職所得控除を受けるためには、退職所得の受給に関する申告書を提出する必要があります。
退職所得控除を超える退職金を支給することになった場合は、その超過額に対する源泉所得税や住民税の控除を行うようにしましょう。

退職勧奨時の退職金支払いについて不安なことがあれば弁護士にご相談ください

退職勧奨において、退職金や解決金の支払いは従業員の決断を左右する大きな要素です。
しかし、一律に適用できる相場がなく、社内事情などの考慮も必要となるため、従業員を納得させられる額であるかは事案によるでしょう。

退職勧奨には、退職金額の検討を含めた事前準備と、面談での伝え方が重要なポイントとなります。
しかし、これらを万全に行うことは簡単ではありません。

退職勧奨時の退職金支払いや面談対応について、少しでも不安があれば弁護士へ相談しましょう。
弁護士法人ALGでは、労務分野に精通した弁護士が多数在籍し、日々、様々な業種の事案に取り組んでいます。

全国展開で対応していますので、お困り事があれば、まずはお気軽にご相談下さい。
事前準備からトラブル発生時の対応まで、幅広いサポートをご提案致します。

この記事の監修

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弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員

保有資格
弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

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