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「離婚にかかる費用」はいくら?考えるべきお金の基礎知識

「離婚にかかる費用」はいくら?考えるべきお金の基礎知識

昨今では、3組に1組が離婚する時代といわれています。厚生労働省のデータを見てみると、令和3年の婚姻件数は50万1116組なのに対し、離婚件数は18万4386組となり、確かに3組に1組が離婚していることが分かります。

価値観や社会における評価が変わり、より身近になった「離婚」。離婚を考える際にはどのような費用がかかるのかが分からず不安、また離婚後の生活費がどの程度かかるのか分からず不安という方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、離婚の際に考えなければならない費用について解説していきます。

離婚問題を弁護士に依頼するメリット

離婚するためにかかる「費用」

日本では複数の離婚の方法があります。離婚の方法によってかかる費用は異なり、なかには全く費用がかからない方法を取っている方もいらっしゃいます。
次項からは離婚の方法ごとの費用について解説していきます。

離婚の方法

  • 話し合いによる離婚(協議離婚)
  • 調停による離婚(離婚調停)
  • 裁判による離婚(離婚裁判)

話し合いによる離婚(協議離婚)

夫婦の話し合いで離婚する方法を協議離婚といいます。協議離婚では双方が話し合い、離婚に納得したうえで離婚届を市区町村の窓口に提出し、離婚が成立します。そのため費用はかかりません。
しかし、財産分与や慰謝料、養育費など将来の継続的な金銭の支払いを約束する場合、口約束では後から「言った・言わない」のトラブルになるおそれもあります。

そのため、金銭の約束をする場合は「公正証書」という形で残すことをおすすめしています。
公正証書とは、公証役場で公証人に作成してもらう公文書です。離婚協議書とは違い、改ざんのおそれが無く金銭の約束事が支払われない場合には、強制執行認諾文言付き公正証書にすることで、強制執行の申し立てをすると、直ちに相手の財産を差し押さえることができます。

公正証書の作成費用は支払う金額の総額で異なり、以下の表に沿って費用が定められます。
ただし、慰謝料の支払い、財産分与、養育費の支払いなど法律行為ごとに別々に手数料を計算します。

例)子供2人に1人当たり月額3万円ずつ養育費を10年間支払い、財産分与500万円を支払う
3万円×2人×12ヶ月×10年=720万円 →1万7000円の手数料
財産分与500万円 →1万1000円の手数料
合わせて2万8000円の手数料となります。

目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 1万1000円
500万円を超え1000万円以下 1万7000円
1000万円を超え3000万円以下 2万3000円
3000万円を超え5000万円以下 2万9000円
5000万円を超え1億円以下 4万3000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に5000万円超過ごとに1万3000円加算
3億円を超え10億円以下 9万5000円に5000万円超過ごとに1万1000円加算
10億円を超える場合 24万9000円に5000万円超過ごとに8000円を加算

離婚の公正証書については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。


協議離婚で損をしないために弁護士にご相談ください

調停による離婚(離婚調停)

夫婦の話し合いではまとまらず、離婚できない場合は離婚調停を申し立てます。離婚調停とは家庭裁判所の手続きで、裁判官と調停委員から成る調停委員会を間に入れ、円満な解決策を図る話し合いです。

離婚調停では同時に離婚に関わるほかの調停も申して立てることができます。以下の表では調停を申し立てた際にかかる費用をまとめました。

収入印紙代
調停では1調停に付き収入印紙代1200円が必要です。例えば、離婚調停と婚姻費用の分担請求調停を同時に申し立てる場合は2400円(1200円+1200円)の収入印紙代が必要です。


切手代
申し立てる家庭裁判所によって異なります。家庭裁判所のホームページに記載されていることもありますが、切手の値段と枚数が指定されていますので、購入前に家庭裁判所に確認しましょう。

項目 費用
収入印紙代
・夫婦関係調整調停(離婚) 1200円
・養育費請求調停 1200円(子供1人に付き)
・面会交流調停 1200円(子供1人に付き)
・財産分与請求調停 1200円
・年金分割の割合を定める調停 1200円
・慰謝料請求調停 1200円
・婚姻費用の分担請求調停 1200円
戸籍謄本(全部事項証明書) 発行費用450円(郵送で取得する場合は別途郵送費などが必要)
切手代 1000円程度
その他必要な資料についての取得費用 資料によって異なる
離婚調停は経験豊富な弁護士法人ALGにご依頼ください

訴訟による離婚(離婚裁判)

調停をしても話し合いがまとまらず離婚できない場合は、離婚裁判を提起することになります。離婚裁判では、裁判官が、法律で定められている離婚事由の有無から離婚請求が認められるか否かを判断します。

「裁判」と聞くと大きなお金が動くイメージもあるかと思いますが、離婚裁判に必要な費用は、どういった判断を裁判で求めるかによります。では具体的に離婚裁判ではどのような費用がかかるのでしょうか。
以下の表にまとめました。また、裁判で鑑定や証人が必要となった場合には鑑定費用や証人の日当が必要となってきます。

項目 費用
離婚のみの場合 1万3000円
離婚と合わせて財産分与などを求める場合 各1200円を加算する
例)離婚、財産分与を合わせて請求
1万3000円+1200円(財産分与)=1万4200円
離婚請求と合わせて慰謝料を請求する場合の費用 1万3000円と慰謝料請求に対する収入印紙代を比べて、多額の方に財産分与などの手数料を加算
例)離婚、財産分与、慰謝料300万円を請求
慰謝料300万円の収入印紙は2万円で、離婚のみを求める1万3000円よりも多額なので、2万円+1200円(財産分与)=2万1200円
戸籍謄本(全部事項証明書) 発行費用450円(郵送で取得する場合は別途郵送費などが必要)
切手代 5000~6000円程度(家庭裁判所により異なる)
その他必要な資料についての取得費用 資料によって異なる

弁護士へ依頼する場合の費用

離婚調停や離婚裁判となると家庭裁判所の手続きのため、おひとりでは難しいと感じ、弁護士に依頼される方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、弁護士に依頼するメリットは調停や裁判などの家庭裁判所の手続きだけではありません。

夫婦の話し合いで解決する協議離婚でも弁護士に依頼される方もいらっしゃいます。協議離婚で弁護士が入ることで、夫婦の話がまとまらない場合に代理交渉することや、協議に同席をすることでスムーズに話し合いが進む可能性も高まります。

離婚の費用として弁護士に依頼する際は弁護士費用がかかります。離婚に関する弁護士費用は、離婚だけを請求するのか、親権や慰謝料も請求するのかによって着手金や報酬金が変わります。
弁護士費用は事務所によって異なるため、無料相談などを活用し不明点は事務所に尋ねるようにしましょう。

例として弁護士費用は以下の表のようになります。

項目 費用相場
相談料 30分など一定時間は初回無料~1時間1万円程度
着手金(依頼時に発生する費用) 20万~40万円程度
報酬金  
・基本報酬金 20~40万円  
・成功報酬金 20~40万円
離婚成立 20~50万円
親権獲得 10~20万円
慰謝料や財産分与など 合意金額または回収金額の10~20%
日当(調停・裁判への出頭費用) 0~5万円程度
実費 印紙代、切手代、交通費

離婚に伴うその他の費用

離婚した場合、多くの方は元配偶者とは別の家で暮らすことになります。そのため、引っ越し費用が必要です。必要な費用の目安については以下の表をご覧ください。
引っ越しは離婚にともなう費用のため、元配偶者に引っ越し費用を支払ってほしい、せめて折半してほしいと思う方もいらっしゃるかもしれません。

実は、引っ越し費用は法的に請求できると認められているものではありません。離婚時の請求費目の中にも「引っ越し費用」という費目はありません。
そのため、財産分与や慰謝料、ご自身の独身時代の貯蓄から捻出しなければなりません。
しかし、引っ越し費用は法的には認められていないものの、「任意」の交渉で元配偶者が了承をすれば支払ってもらえることもあります。

必要なもの 相場
引越し費用 数万~30万円
家具家電一式の購入費用 20万円~100万円程度

離婚の際に考えるべき5種類の「お金」

離婚をするとそれぞれ別の人生を歩むことになりますので、以下の5つのお金について考える必要があります。 検討すべきお金の種類は以下の5つです。

  • 離婚までの婚姻費用
  • 2人の財産
  • 子供に必要な費用
  • 離婚の慰謝料
  • 年金

①離婚までの婚姻費用

離婚までの間は、別居中であっても同居中であっても、収入の多い方から収入の少ない方に生活費(婚姻費用)を支払う義務があります。
婚姻費用とは、夫婦と未成熟子が通常の社会生活を維持するための費用です。具体的には、居住費、生活費、子供の教育費などが含まれます。
婚姻費用は原則として婚姻費用の分担請求調停を申し立てた時から起算されるため、過去分は請求できないことに注意しましょう。

②2人の財産

財産分与とは、婚姻中に夫婦で築き上げた財産を離婚時に公平に分配する制度のことです。分配の割合は夫婦で相談して決めることができますが、基本的には夫婦の収入の差に関わらず、専業主婦(夫)であっても均等に半分の財産を受け取ることが可能です。

財産分与の対象となるものには、婚姻期間中に夫婦が2人で協力して形成したすべての財産です。
具体的には不動産、家財道具、車、預貯金、株式などが挙げられます。

財産分与の交渉・早期解決は弁護士にお任せください

③子供に必要な費用

子供に必要な費用の中に養育費があります。
養育費とは、未成年の子供を監護・養育するために必要となる費用のことです。離婚後も子供と暮らしていく親(監護者)は子供と離れて暮らす親(非監護者)に対して毎月一定の金額を養育費として請求することができ、子供の生活費や教育費が含まれます。

養育費は夫婦の話し合いで双方が合意できればいくらになっても構いません。しかし、夫婦で揉めてしまう場合は家庭裁判所が公表している養育費算定表を参考にすると良いでしょう。

④離婚の慰謝料

離婚慰謝料とは、離婚により精神的苦痛を負った場合に請求できるもので、不法行為に基づく損害賠償として位置づけられます。
例えば、配偶者の不法行為、DV、ハラスメント行為を理由に離婚する場合に慰謝料を請求できる可能性があります。

DVが原因で離婚をしたい方は弁護士へご相談ください

⑤年金

離婚時には年金分割も忘れずに行いましょう。年金分割とは、婚姻中に夫婦が納めた厚生年金の「保険料」を離婚時に分け合う制度です。将来受け取る年金の額を均等に分配するわけではありません。
年金分割の請求には期限があるので注意しましょう。年金分割の請求期限は原則として、離婚した翌日から2年間です。

離婚の年金分割については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。


離婚について弁護士へ依頼するメリット

離婚を弁護士に依頼するメリットは多くあります。まず、協議離婚を目指そうと思ってもなかなか相手が離婚に同意してくれない・離婚問題で揉めているなどスムーズに進まないことも多くあります。

そのような場合に弁護士に依頼することで法的に適切な金額で配偶者と交渉したり、協議に同席したりすることができ、話し合いがスムーズに進む可能性が高まります。また、弁護士に依頼することで、配偶者に離婚に対し本気であることを示せます。
離婚後の生活のためにも、金額で不利な離婚を避けることができるでしょう。

離婚のご相談受付

専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

24時間予約受付・年中無休・通話無料

来所法律相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

離婚後に受けられる公的支援制度

お金がないまま離婚をするなど厳しい状況の場合、金銭面でサポートしてくれるさまざまな公的支援があります。以下に一例をあげますが、一度ご自身でお住いの自治体へ度問い合わせてみるのも良いでしょう。

応急小口資金
低所得世帯が病気、給与の盗難・紛失、火災等の被災などで緊急に資金が必要となった場合にその資金を無利子で貸してくれる制度です。

自立支援教育訓練給付金
母子・父子家庭の経済的な自立を支援するため、その能力開発の取り組みを支援するものです。児童扶養手当を受けているか、または同等の所得水準にあり、現に20歳に満たない児童を扶養している方が対象です。

ひとり親への助成制度

母子(父子)家庭には、児童扶養手当や住宅手当など国や自治体が経済的支援する以下のような制度があります。
また、以下の制度はお住いの自治体によって制度の有無が異なる場合もあるため、ご注意ください。

  • 児童扶養手当
  • 児童手当
  • 医療費助成制度
  • 住宅手当
  • 生活保護制度
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付制度
  • 児童育成制度

離婚の費用に関する質問

離婚の際の弁護士費用は誰が支払うのでしょうか?

協議離婚や調停離婚の場合、弁護士費用はご自身で支払うことになります。離婚原因が相手にある場合などは弁護士費用を支払ってもらいたいという気持ちになるかもしれませんが、弁護士を付けるかどうかは自由意思であるため、原則相手方に請求はできません。

離婚裁判になった際、相手に離婚理由がある場合は損害賠償額の10%ほどを弁護士費用として相手に請求できることもありますが、全額ではない点に注意しましょう。

法テラスに離婚相談をした場合の費用はどのくらいかかりますか?

法テラスでは収入が一定以下であるなどの条件を満たせば無料相談を受けられます。対象となった場合は、1回につき30分程度、1つの問題につき3回を上限として無料相談をすることができます。
また、弁護士費用についても収入条件を満たしている場合は、法テラスに所属している弁護士に事件を依頼できる上に費用の立替制度も利用できます。

離婚で揉めているのですが、弁護士費用を払えない場合は妥協して離婚した方が良いですか?

離婚で揉めている場合、弁護士に相談しないと自分に不利益な離婚になることがあります。離婚ではさまざまなお金を分配しますが、法的に正しいかわからない状態で相手の主張をのみ離婚してしまうと離婚後にお金に困ってしまうといった事態が生じかねません。

離婚後の生活のためにもお金がないまま離婚しないように備えておくべきでしょう。
弁護士法人ALGでは無料相談も行っておりますので、一度ご相談ください。

離婚の公正証書を弁護士に依頼した場合の費用相場はいくらですか?

協議離婚に基づく公正証書作成の弁護士費用は、離婚協議書や公正証書原案の作成のみの場合、5万5000円~11万程度が相場です。
作成以外にも弁護士が公証人役場に赴く場合、離婚協議書への署名の際に同席する場合は別途3万3000円~5万5000円程度の費用が必要です。

離婚の方法や理由によって費用は変わります。お困りの方はご相談ください。

離婚は離婚の方法や理由によって費用が変動します。弁護士費用はご相談者様にとってネックとなる部分ですが、離婚をご自身で対応しようとすると順調に進められなかったり、慰謝料や財産分与で納得のいく結果が出なかったりする可能性があります。

離婚を弁護士に依頼することは、費用面だけでなく離婚そのものを成功させるうえで重要となるでしょう。
相手のある離婚だからこそ、弁護士が入ることでスムーズな話し合いができる可能性が高まります。

また弁護士は法律の専門家であるため、ご夫婦の状況に寄り添い、適切な慰謝料や財産分与の金額を算出し、離婚後の生活に不安が無いよう尽力いたします。
私たち弁護士法人ALGは無料相談も行っていますので、ぜひ一度ご相談ください。

 

離婚のご相談受付

専任の受付職員が丁寧にお話を伺います

24時間予約受付・年中無休・通話無料

来所法律相談30分無料

※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。