不倫により離婚する前に必ず知っておくべき7つのコト
配偶者に不倫をされた。自分が不倫をしてしまった。不倫をきっかけに今まで円満だった夫婦関係に亀裂が生じ、離婚を考えている方、この先のことを考えると不安になってらっしゃる方がいらっしゃるかと思います。
不倫は、想像しがたい精神的ダメージを受け、感情的になりやすいことですが、今一度、冷静になって、今後のことを考えるためにも本記事をぜひ、ご参照ください。
不倫をされた方、不倫をした方、どちらにも参考になる内容です。本記事は、不倫の慰謝料のことや不倫での離婚についてなど詳しく解説していきます。
目次
そもそも不倫とは?浮気とは違う?
不倫とは、貞操義務に違反して、既婚者が配偶者以外の方と肉体関係(性交渉)をもつ行為をいいます。法律上は不貞行為となります。
浮気は人により定義が異なりますが、肉体関係を持つだけではなく、気持ち(心が)が浮ついている場合、配偶者や恋人がいるにも関わらず、ほかの人に好意をもったり食事に行ったりする場合、など浮気の範囲は広いのではないでしょうか。また、結婚せずお付き合いをしている段階で、他の女性と付き合ったり肉体関係を持ったりした場合に、「浮気」というケースは多いのではないかと思います。
「不倫」は、結婚している人が配偶者とは別の人と肉体関係(性交渉)をもつことで、「浮気」の定義は人それぞれですが、結婚しているか否かや肉体関係(性交渉)の有無も関係ありません。
不倫と離婚の関係
配偶者が不倫をした場合、民法第770条第1項に定める法定離婚事由として「配偶者が不貞な行為があったとき」に該当します。ですので、そのことを理由として離婚することが可能です。しかし、不倫した側からの離婚の申し出は、不倫した側は有責配偶者となりますので、基本的には、相手方が合意してくれなければ離婚することができません。
離婚する方法としては、下記表のとおり、主に3種類の方法があります。
有責配偶者とは何か、下記ページに詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
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離婚の種類 | 解説 |
---|---|
協議離婚 | 夫婦当事者間で話し合って離婚をすること |
離婚調停 | 家庭裁判所に調停を申し立てして、裁判所で話し合って離婚を成立させること |
離婚裁判 | 家庭裁判所に裁判を提訴して、判決で離婚を成立させること |
不倫された側
不倫された側が、離婚したい場合は、夫婦当事者間での話し合いで離婚の合意ができれば、離婚することができます。配偶者が、不倫を認めて、慰謝料も支払うとなれば、証拠がなくても慰謝料の支払いも可能となります。
話し合い(離婚協議)をしたにもかかわらず、一方の配偶者が離婚を拒んだ場合は、離婚調停をすることになります。多くの場合不倫の証拠があれば、相手方も離婚を認めることが多いですが、調停が不成立になったときは、裁判を提訴することになります。裁判では、不倫の立証をしなければならないため、相手方が不倫をしていた証拠が特に重要となります。
相手の不貞行為が裁判所に認定され、こちらの請求が認められれば、判決で離婚が言い渡されます。
一方、離婚したくない場合は、不倫をした相手方から離婚請求されたとしても拒むことができます。相手方からの離婚要求に安易に答えるのではなく、今までのように夫婦円満な関係を維持するのか、条件を付けて離婚するのかなど、こちら側で主導権をもって方針を決めていくと良いでしょう。
不倫した側
不倫した側は、夫婦当事者間での話し合いで離婚の合意ができれば、有責配偶者であっても離婚することは可能ですので、離婚を完全にあきらめる必要まではありません。
しかし、配偶者が離婚を拒んでいて、話し合いでの離婚(協議離婚)ができない場合は、離婚調停や離婚裁判を進める必要があります。しかし、有責配偶者からの離婚の申し出は基本的に離婚できない可能性が高いです。
そのため、相手方が合意してくれるように金銭的な負担をするなど、様々な戦略を立てて離婚協議をしていく必要があります。
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離婚する際の手順は?
不倫された側が離婚したい場合
協議離婚 | 当事者間で話し合って離婚を目指します。配偶者の不倫が離婚事由であれば、慰謝料はもちろんですが、財産分与、親権、養育費、面会交流などをしっかり取り決めて、書面に残しておきましょう。できれば養育費の不払いが生じたときに、相手の財産の差し押さえができるように強制執行認諾付公正証書を作成しておくことをお勧めします。 |
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離婚調停 | 協議離婚が難しい場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てして、裁判所内で裁判官や調停委員を交えて話し合いを重ねて離婚の成立を目指します。離婚条件が整って、調停が成立すれば、調停成立日が離婚成立日となります。調停が成立した日から10日以内に役所に調停証書謄本(夫婦の本籍地以外の役所で提出するときは夫婦の戸籍謄本)を持参して離婚届を提出して離婚することになります。 |
離婚裁判 | 調停が不成立になった場合は、裁判を提訴します。一方で配偶者が不倫をしていた確固たる証拠を集めておきます。集めた証拠を裁判所に提出をして、裁判所が離婚するか否かを決定します。離婚する判決が出た場合、判決が確定した日から10日以内に判決謄本、確定証明書(夫婦の本籍地以外の役所で提出するときは夫婦の戸籍謄本)を持参して離婚届を提出して離婚します。 |
不倫した側が離婚したい場合
協議離婚 | 調停離婚や裁判離婚では、配偶者が離婚を拒否したときに離婚が認められる可能性は低いです。出来る限り当事者間で話し合いをして相手に納得してもらい、離婚に応じてもらう必要があります。相手に応じてもらうために、慰謝料を多めに支払うか、財産分与を多めにすることも検討する必要があります。 |
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離婚調停 | 協議離婚が難しい場合は、別居をして家庭裁判所に調停を申し立てして、調停での話し合いで離婚の成立を目指します。調停で相手が離婚を了承してくれれば、調停で離婚が可能となります。協議離婚と同様、相手に有利な離婚条件になることも覚悟しておく必要があります。そのほかにも別居中もきちんと婚姻費用は払うようにしましょう。 |
離婚裁判 | 調停が不成立になった場合は、裁判を提訴するか検討します。有責配偶者であれば、判決では請求棄却になる可能性があるので、訴訟上の和解を目指すのもひとつの方法です。そのほかにも①夫婦の関係がすでに破綻している場合(長期間の別居)➁未成熟の子供がいない場合③配偶者が離婚によって過酷な状況におかれない場合、など特別な事情があれば、裁判でも離婚ができる可能性はあります。 |
不倫慰謝料の相場と請求方法
不倫の慰謝料の相場は、不倫がきっかけに婚姻関係が破綻して離婚した場合は、一般的には200万~300万円程度であり、離婚しなかった場合は、50万~100万円程度が相場となります。離婚した場合のほうが相場は高くなる傾向にあります。あくまでも相場ですので、婚姻関係の影響度や婚姻期間や不倫の継続期間など、それぞれの夫婦の事情によって金額は前後します。
請求方法は、協議離婚の場合は、口頭でも構いませんが、内容証明郵便で通知書を送付することをお勧めします。
慰謝料を請求するか悩まれている方もいらっしゃると思いますが、配偶者に対して慰謝料請求できるのは離婚した場合は「離婚が成立した日から3年」、離婚しない場合は「不倫を知った日から3年」と時効がありますのでご注意ください。
「不倫慰謝料」について、下記ページに詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
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不倫相手にも慰謝料請求が可能
離婚していなくても、不倫相手に慰謝料請求は可能です。離婚をせずに不倫相手に慰謝料請求した場合の相場は、50万~100万円程度です。
特に注意しないといけないことは、配偶者と不倫相手は連帯して慰謝料を全額支払う義務を負っていることです。例えば、不貞行為による慰謝料は100万円と判断された場合、配偶者が100万円、不倫相手に100万円請求することは可能ですが、合計200万円受け取ることはできません。配偶者が100万円支払った場合は不倫相手に慰謝料請求できないことになります。
原則として不倫相手と配偶者双方の二重取りはできませんのでご注意ください。
離婚の際に重要な不倫の証拠
不倫が理由で、離婚する場合も、慰謝料請求する場合も、不倫をしていた事実がわかる証拠が必要となります。証拠がなく、相手に「不倫はしていません」と言われれば、為す術がありません。話し合いで解決できず、裁判になった場合は、不倫の証拠が、不貞行為を認定する材料となりますので、証拠はとても重要となります。
ただ、単独では証拠として不十分だったとしても、他の証拠と併せると有力な証拠となりえる場合もあります。弁護士に相談する場合は、証拠を取捨選別せず、全部見せて弁護士に判断してもらうことをお勧めします。
下記の表のとおり、証拠となる具体例をまとめていますのでぜひ参考にしてください。
証拠として使えるもの
- ラブホテルに出入りする写真や動画
- 肉体関係(性交渉)をしているときの写真や動画
- 不倫を認める自認書(メールやSNSでも可)や録音データ
- 肉体関係があったと推測できるメールやSNS
- ラブホテルの領収書やポイントカード
- 興信所や探偵事務所の調査報告書
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離婚する際に決めるべきこと
配偶者の不倫がきっかけで離婚する場合、慰謝料以外にも財産分与、親権、養育費、面会交流などを取り決める必要があります。
それぞれ、離婚後も自分自身と子供が安定した生活を送るために大事な決めごとです。下記のとおり、ひとつずつ詳しく解説します。
財産分与について
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産を分け合うことをいいます。
慰謝料とは異なり、有責配偶者からでも財産分与の請求はできます。離婚原因がどちらにあるかは問わず、夫婦が一緒に築き上げた財産は平等に2分の1ずつ分け合うことが一般的です。どちらの名義かは関係ありませんので婚姻期間中に夫婦で築き上げた預貯金、不動産、保険、株などをしっかり把握して分け合う必要があります。
「財産分与」については下記ページに詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
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別居した場合の婚姻費用について
婚姻費用とは、まだ離婚が成立しておらず、別居している期間にかかる配偶者の生活費や子供の生活費(養育費相当分)をいいます。収入のある一方の配偶者が他方に婚姻費用を払うことになります。
話し合いで婚姻費用を定める場合は、自由に決めることができますが、調停や審判で婚姻費用を決める場合は、有責配偶者が婚姻費用を請求したケースでは、不倫が認定されれば、有責配偶者の生活費分については認めず、子供の生活費分のみに支払うようになるケースが多いです。
有責配偶者の生活費は信義則違反、権利濫用の見地から認められませんが、子供の生活費は夫婦の争いに関係ないという考えからです。
婚姻費用については、以下のページに詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
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親権について
離婚をするときに子供がいる場合は、親権はどちらにするか決めて、必ず離婚届に記入して提出しないといけません。
不倫をすると親権を取れないと思われている方は多数ですが、不倫をしていたこと親権は基本的に別に考えるようにとされています。不倫した母親であっても父親であっても離婚前の生活状況として、子供たちの監護を十分に行っていれば、親権を取得するのは可能です。それは、離婚原因は夫婦の問題であって、親権は親子の問題であり別問題とされているからです。親権を決めるときに重視されるのは、これまでの子供への養育実績や子供の現状や子供と一緒に過ごせる時間があるかどうかなどで判断されます。
しかし、子供たちより不倫を優先し、不倫相手に夢中で育児をしていなかったり、子供を置いて不倫相手と一緒に暮らしていたり、子供を虐待しているケースでは親権を獲得できない可能性は高いです。
親権については、以下のページに詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
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養育費について
養育費は未成年の子供を育てていくための養育に要する費用のことをいいます。具体的には、子供の衣食住に必要な費用、教育費、医療費などです。子供を監護する親(監護親)は子供を監護していない親(非監護親)に養育費を請求することができます。
養育費は、不倫が原因で離婚をして、有責配偶者が監護親となっても養育費は発生します。不倫が離婚事由であっても養育費の金額に影響することもありません。子供が健全に成長していくための費用ですので、夫婦の離婚原因とは無関係に、監護親は養育費をもらう権利があり、非監護親は養育費を支払う義務があります。
養育費については、以下のページに詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
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不倫による離婚で後悔する可能性のあるポイント
不倫による離婚で後悔しがちなポイントを3つ紹介します。
自分が不倫をしたのが理由で離婚したので、引け目を感じて、親権が欲しかったが主張もできず、面会交流の取り決めもしなかったので、離婚後、子供に会えない。
自分が有責配偶者でも、親権取得や面会交流の問題には関係ありません。離婚後の親権変更はとても難しいですが、元配偶者に面会交流は申し出るべきです。
不倫していることを知り、感情的になり、すぐに別居をして離婚を切り出してしまった。不倫をしている証拠も十分に集めていなかったので、相手には「不倫はしていないと」否定され、慰謝料がもらえない。
配偶者が不倫をしていると疑った場合、すぐに配偶者に怒鳴りたくなる気持ちはわかりますが、人間の心理として、疑われていると知ったら、不倫していたことがばれるようなものは隠す方が多いでしょう。冷静になって、証拠を集めることが先決です。
相手方が不倫していることを知り、目の前が真っ白になり、相手方の言うがままに離婚してしまった。離婚条件も詰めておらず、離婚後に話し合いをしようと思ったが、悪びれることなく話し合いに応じてくれない。
有責配偶者が離婚をしたいと申し出があっても、離婚をすぐに決める必要はありません。冷静に考える時間が欲しい場合は、別居して婚姻費用の支払いを要求するのも一つの方法です。また、有責配偶者が離婚したいと申し出てきている場合は、慰謝料の請求を含め、離婚条件を有利にできる可能性があります。
上記はあくまでも例えになりますが、不倫が理由で離婚することになっても、自分が納得した内容(条件)で離婚しないとあとで後悔することになります。有利に離婚するための知識や方法をきちんと身につけておくことをお勧めします。
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不倫による離婚に関するよくある質問
ダブル不倫で離婚した場合も配偶者と不倫相手の双方に対し、慰謝料を請求することができますか?
ダブル不倫とは、既婚者男女の不倫をいいます。この場合、不倫された被害者はあなたと不倫相手の配偶者の二人になります。配偶者と不倫相手に慰謝料を請求することは可能ですが、不倫相手の配偶者もあなたの配偶者に慰謝料請求する可能性は十分にあります。
「ダブル不倫」について、下記ページに詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
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不倫をしている配偶者から離婚したいと言われたが離婚したくない場合はどうしたらいいですか?
- 相手が強硬手段に出るかもしれないことを想定して、役所に不受理届を提出しておく。
- 裁判になったとき、相手が有責配偶者だと認定してもらえるように不倫の証拠を集めておく。
不倫している配偶者(有責配偶者)からの離婚の申し出は、原則として離婚は認められません。
しかし、離婚したい相手がどんな方法に出てくるかわかりませんので、上記のとおり、不受理届の提出や裁判のための証拠集めなどしておくことをお勧めします。
不倫により離婚する場合は離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください
離婚は人生において、とても大きな決断になります。特に不倫がきっかけで離婚を考えている場合は感情的になって、相手を責めたり(責められたり)、言い争いになったりすることが多いですが、あなたの今後の生活に得することはありません。今一度、冷静になって、慰謝料のことや離婚に関する知識や方法を身につけて、しっかり考えるほうが得策です。
しかし、知識や方法を十分に備えてから相手と話し合いをはじめても、相手がどんな手段をとって、どんな要求してくるかわかりません。自分の思うとおりに、進まないこともあります。
自分ひとりで抱え込みきれないときは、ぜひ弁護士に相談してみてください。あなたにとって、納得のいく離婚ができるようにサポートします。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)