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離婚と別居|離婚前に別居するメリットやデメリットや別居時の注意点

離婚する前の「別居」が重要!その理由とは
別居に関するお悩みは弁護士にご相談ください

夫婦の関係に深い溝が生じると、離婚について考えるようになるかと思います。
しかし、様々な事情から、実際に行動に移すのはハードルが高いとためらわれている方も多いのではないでしょうか。

そのような場合、“別居”をすることも選択肢のひとつです。
いきなり離婚に踏み切る前に、今後について冷静に考える期間を設けるために、別居をする夫婦は少なくありません。

過去の厚労省の統計では、別居をした夫婦のうち、82.5%は1年未満で離婚に至っています。

ただし、別居をするにあたっては、いくつか注意すべきことや事前に準備しなければならないことがあります

本記事で解説していきますので、別居を検討中の方はぜひご覧ください。

目次

離婚をするために「別居」が重要な理由

別居は、関係が悪化した夫婦が冷却期間を設ける目的で行うことも多いですが、離婚することを目的として行う方も一定数いることをご存知でしょうか。

なぜなら、別居をすると裁判において離婚が認められる可能性が高まるためです

そもそも離婚は、夫婦が話し合って合意に至れば成立します。
協議離婚には、特に法的な離婚理由は求められません。
しかし、話し合いがこじれて離婚裁判に発展した場合、離婚事由という民法で決められた離婚理由が必要になります。

離婚事由のひとつに、“その他婚姻を継続し難い重大な事由”というものがあるのですが、別居の有無・期間はここで重要になってきます。
別居が長期間に及んで夫婦関係が破綻していると裁判官に判断されると、これに該当するとして離婚請求が通る可能性が出てくるのです。

以下の記事では、離婚理由に着目した解説を行っていますので、併せてご一読ください。

離婚が成立するために必要な別居期間は?

それでは、どのくらいの期間別居を続けていれば、裁判で離婚を認めてもらうことができるのでしょうか。
これは、夫婦の年齢や同居期間といった個別の事情も影響してくるため、一概に何年と言うことはできません。

ただ、一般的には3年~5年程度別居をしていれば、離婚請求が認められることが多いようです。
3年未満の別居であっても、相手が浮気やDVを行っていたといった複合的な事情があれば、夫婦関係が破綻していると認められる可能性は高くなります。

別居から離婚までの期間が長くなるケースも

これといった決定的な理由がなく、単に相手と性格が合わないために離婚を希望する場合、離婚が認められる別居期間は長くなる傾向にあります。

また、離婚を求めている側が有責配偶者にあたる場合は、5年以上の別居期間が必要になることが多いです。
有責配偶者とは、夫婦の関係悪化に責任がある方の配偶者のことをいい、具体的には浮気やDV等を行っていた側の配偶者を指します。

夫婦の関係を壊しておきながら離婚を求めるのは、道徳的に許されないと判断されるため、通常は有責配偶者からの離婚請求は認められません。
ただし、長期間の別居に加えて、「未成熟の子がいない」「離婚により他方の配偶者が苛酷な状況に置かれることがない」といった事情があれば、離婚が認められる可能性があります。

以下のそれぞれの記事も参考になりますので、ぜひご覧ください。

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離婚前に別居すべきなのはどんなとき?

別居の事実は、離婚裁判において夫婦の状況を判断する材料のひとつとなることはおわかりいただけたかと思います。
とはいえ、離婚はともかく、別居自体も現状を大きく変化させる行動には違いないので、決断しかねるという方もいらっしゃるでしょう。

離婚前に特に別居をすべきなのは、配偶者からDVやモラハラを受けているケースです。
DVやモラハラをしてくる配偶者に対して離婚を切り出すには、別居をして身の安全を確保してからでないと、被害がエスカレートしてしまうおそれがあります。

また、配偶者が子供に虐待を加えている場合も、重大な被害になる前に早急に別居をしてください。
大切な子供の命を守れるのはあなただけです。

これらのような暴力的な被害がないケースであっても、相手が離婚に全く応じようとしないのであれば、別居をするのは有効な手段になり得ます。

別居期間を積み上げれば裁判で認められる離婚事由に該当する可能性がありますし、何よりこちらは本気で離婚を望んでいるという意思を示すことができます。

DVやモラハラにお悩みに着目した記事もありますので、ぜひご一読ください。

別居するメリット・デメリット

それではここで、別居をするメリットとデメリットについて整理したので、確認しておきましょう。

メリット

  • 別居期間が長期に及べば、裁判で離婚請求が認められる可能性が高くなる。
  • こちらの離婚の意思が固いことを示せるので、相手が真剣に受け止めるようになる。
  • 相手が別居中の婚姻費用の支払いを減らすために、早期の離婚に応じる可能性がある。
  • 同居によるストレスから解放される。
  • DVやモラハラ等から逃れることができる。
  • 落ち着いて離婚の準備を進められる。

デメリット

  • 離婚を考え直したときに復縁が難しくなる
  • 相手の有責行為の証拠集めが難しくなる
  • 家を出た行為が“悪意の遺棄”にあたるとして、相手から逆に離婚請求や慰謝料請求をされるおそれがある。
  • 相手が財産隠しをする可能性がある。
  • 新しい仕事や住居を探す労力が必要になる。
  • 同居時よりも経済的に苦しくなる

「家庭内別居」や「単身赴任」は別居になるのか?

家庭内別居とは、婚姻関係は解消しておらず同じ家で暮らしているけれど、夫婦関係は冷え切っており、互いに干渉せずに暮らしている状態をいいます。

家庭内別居でたとえ夫婦の会話が全くなかったとしても、同居していることに変わりないため、裁判において夫婦関係が破綻していると判断される可能性は高いとはいえず、離婚が認められるのは難しいといえます。

ただし、家庭内別居に至った原因が相手の浮気やDV等である場合や、家計が別々で家事分担もしていないようなケースであれば、離婚請求が通ることもあります。

また、単身赴任は仕事の都合による別居なので、基本的に離婚原因に該当する“別居”とみなされることはありません。
ただし、単身赴任中に浮気をして、赴任期間が終わっても自宅に帰らなかったようなケースでは、離婚原因として考慮されることになるでしょう。

家庭内別居については、以下の記事でも取り上げていますので併せてご覧ください。

離婚前に別居をするにあたって注意すべきこと

事前に何も調べずに慌てて別居をしてしまうと、思わぬ失敗を招いてしまうおそれがあります。

以下で、別居の際に注意すべきことについて解説していきます。

一方的に別居すると不利になるおそれがある

別居をするには、必ず理由をはっきりさせておく必要があります。
夫婦には、同居・協力・扶助の義務があると民法で定められています。

そのため、正当な理由もなく一方的に別居を強行してしまうと、同居義務違反とみなされるおそれがあります。

同居義務に違反すると、離婚事由のひとつである“悪意の遺棄”に該当すると判断される可能性もあります。
悪意の遺棄とは、夫婦の3つの義務を放棄して配偶者を見捨てるような行為を指し、該当した方は相手から慰謝料を請求されてしまいます。

DVやモラハラ等を受けているわけでなければ、勝手に別居をするのは避け、前もって相手と別居について話し合うようにしましょう。

別居中の浮気・不倫は慰謝料を請求される

たとえ別居中であっても、婚姻関係が続いている以上は貞操義務を守らなければなりません

貞操義務は具体的に法律で定められているわけではありませんが、婚姻中に配偶者以外の第三者と性的関係を結ぶと、離婚事由のひとつである“不貞行為”に該当します。

不貞行為はいわゆる浮気や不倫のことであり、こういった行為をすると配偶者のみならず浮気相手も、他方の配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。

ただし、別居によりすでに夫婦関係が破綻している状態と認められれば、不倫をしたとしても法律上の不貞行為に至らず慰謝料が発生しません。

不倫に関する慰謝料については、以下の記事で解説していますので、ぜひご一読ください。

別居中の生活費はどうする?

現在自身の稼ぎや貯金がほとんどないような方は、経済面での不安から別居をためらってしまっているのではないでしょうか。別居はいつまで続くのか想定がしづらいものですが、この間の生活費をまかなうにはどうすればよいのか、以下で解説します。

婚姻費用の請求が可能

配偶者よりも収入が低いという条件にあてはまれば、別居中の生活費として配偶者に婚姻費用を請求することができます

婚姻費用とは、その夫婦が収入・資産・社会的地位等に見合った生活をするために必要となる金銭のことをいいます。

夫婦には互いに協力して扶養し合う義務があることから、家庭内での役割に応じて婚姻費用を分担しなければなりません。
これは、別居中であっても婚姻関係が続いている限り守る必要があります。そのため、収入の低い配偶者は、高い配偶者に婚姻費用を請求することができるのです。

ただし、婚姻費用は別居をすれば、その時点から自動的に受け取る権利が発生するというわけではありません。
相手に請求した時の分からしか受け取ることができないため、別居を開始したらすぐに請求しましょう。

婚姻費用について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

婚姻費用の請求は弁護士へお任せください

別居中に利用できる手当や助成金

子供と共に別居した場合は、児童手当や児童扶養手当を利用できる可能性があります。

児童手当は、中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している人に対して支給されます。
児童手当は原則として所得の高い方の配偶者が受け取ることになっていますが、離婚を前提に別居している場合、離婚協議中であることがわかる書類を役所に提出すれば、子供と同居している方の配偶者を受給者とする変更手続きをとることができます。

一方、児童扶養手当は、ひとり親家庭で、18歳の誕生日後の最初の3月31日までの間にある児童を養育している人を対象に支給されます。
親が離婚している児童だけでなく、「父または母から1年以上遺棄されている児童」「父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた児童」等も対象となるので、別居中であっても受け取れる可能性があります。

なお、婚姻費用を受け取ったり、これらの公的な支援を利用したりしても生活が立ち行かない場合は、生活保護を受給することも検討しましょう。

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別居する前にしておくべき準備とは

別居をするということは、これまでの暮らしから新たな生活に切り替えることになるので、事前にしっかりと準備をしないと、様々な不都合が出てきてしまうおそれがあります。
特に離婚を視野に入れている方は、生活面を整えるための準備以外にも、離婚に向けた諸々の準備も平行して行う必要があります。

ここからは、別居の前にしておくべき準備について詳しく説明していきます。

住まいを確保する

別居を決心したら、まずは新しく住む場所について検討しましょう。自身の職場や子供の学校等も考慮したうえで住みたいエリアを絞り込み、その地域における賃貸物件の家賃相場や空き物件の情報をこまめに確認しておくとよいでしょう。

また、一時的な別居を予定しているのであれば、ホテルに宿泊するよりも、ウィークリーマンション等を利用した方が割安なことが多いです。

もし実家を頼ることができるのであれば、住み慣れた環境で安らげるでしょうから、親に相談していったん実家に帰らせてもらうのも良い選択かと思います。

専業主婦(夫)は仕事を探す

専業主婦(夫)の方や、パートタイマー・アルバイトとして働いている方は、別居前に職探しも行っておきましょう。

別居中は婚姻費用を請求することができるとはいえ、相手がすぐに振り込んでくれるとは限りません。
生活の基盤を整えるためにも、自分で安定した収入を得られる術を確保しておきましょう。

いまはインターネットで簡単に求人情報を確認することができますし、ハローワークに行けば担当者に相談しながら自身に合った仕事を探すことができるので、積極的に利用しましょう。

別居中の生活費を確保する

別居をするには何かとお金が必要になります。
当面の生活費だけでなく、引っ越し代や新居での生活必需品をそろえるための費用も馬鹿になりません。
安心して別居生活を始めるためには、同居中にある程度の貯金をしておくことが理想的ではあります。

しかし、それが難しい場合は、別居開始時の分からの婚姻費用を受け取れるように、請求の手続きを進めておきましょう。
婚姻費用の請求は内容証明郵便で行ってもよいですが、より確実なのは家庭裁判所に婚姻費用の分担請求調停を申し立てる方法です。

なお、受け取れる婚姻費用の相場は、裁判所のウェブサイトで公表されている算定表を用いれば自分で算出できるので、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

夫婦の財産を把握しておく

離婚を前提に別居をする予定の方は、同居中に夫婦の共有財産も把握しておきましょう

離婚時に夫婦で取り決めるべきことのひとつに、財産分与があります。
財産分与とは、夫婦が婚姻関係にある間に協力して築き上げた財産を、離婚の際に分け合う制度です。

財産分与の割合は、夫婦のどちらの稼ぎが多いかという点にかかわらず、原則として半分ずつとなります。
しかし、相手の稼ぎの方が多いと、共有財産を半分に分けることに不満を抱いて、相手が財産隠しをしてくる可能性があります。

別居してからだと、共有財産や相手の財産について詳しく調べるのが難しくなってしまうので、以下の書類等を探し出して控えを取っておくようにしましょう。

  • 配偶者の直近の源泉徴収票
  • 配偶者の直近3ヶ月程度の給与明細書
  • 配偶者の直近の確定申告書
  • 夫婦の共有口座や配偶者の口座の預貯金通帳

財産分与に関しては、以下の記事も参考になりますので、ぜひお目通しください。

財産分与の交渉・早期解決は弁護士にお任せください

浮気やDVなどの証拠を集める

配偶者が浮気やDVといった有責行為をしていた場合は、必ず別居をする前にその証拠を確保しておきましょう

別居をしてしまうと相手の行動が把握しづらくなることから、証拠収集の難易度が上がってしまいます。
また、別居や離婚を切り出すと、相手も警戒して証拠を残さないよう行動するようになるおそれがあります。

有責行為の証拠が集まれば、離婚や慰謝料の請求が認められやすくなります。

下表で有効な証拠の例を代表的な離婚理由別にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

離婚理由 慰謝料請求に必要な証拠
不貞行為(浮気・不倫)
  • 二人がラブホテルに出入りする場面を撮った写真や動画
  • 二人のメール等のやり取りで、浮気が推測できるもの
  • ラブホテルの領収書やクレジットカードの明細
DV・モラハラ
  • DVやモラハラの様子を記録した動画や音声
  • DVによる怪我やモラハラで発症したうつ病等の診断書
悪意の遺棄
  • 相手が生活費を負担していないことがわかる家計簿
  • 相手の収入がわかる書類
その他(セックスレスなど)
  • 最後にセックスをした日の記録や夫婦で話し合った内容のメモ
DVが原因で離婚をしたい方は弁護士へご相談ください

住民票を移す

引っ越しをしたら、その日から14日以内に住民票の異動手続きを行うようにしましょう。

正当な理由なく住民票の異動手続きを怠ったままにしておくと、最大で5万円の過料が科されるおそれがあります。

また、住民票を移さないと役所からの重要な郵便物が届いても受け取れなくなってしまいます。
子供がいる場合は、保育園や幼稚園、小中学校の転園・転校手続きや、児童手当の受給者変更手続きもする必要が出てくるかと思いますが、これらの手続きも住民票を移してからの方がスムーズに行えます。

なお、配偶者の課税証明書については、住民票を移す前でなければ取得することができないので、事前に取得してから住民票の異動手続きを行いましょう。

また、DVやストーカー被害などの事情により相手方にどうしても住所地を知られたくないといった方もいらっしゃると思います。
この場合には、住民票の閲覧制限を申請する方法があるので、住民票の異動手続き時に市区町村の窓口に相談されるとよいでしょう。

別居時に持ち出すべきもの

別居時に持ち出すべきものの例を以下に挙げましたので、参考にしてください。

なお、相手名義のものや共有財産を勝手に持ち出すとトラブルになるおそれがあるので、十分に気を付けましょう。

  • 現金
  • 預貯金通帳やキャッシュカード
  • クレジットカード
  • スマートフォン
  • 印鑑
  • マイナンバーカード
  • 身分証(運転免許証やパスポート)
  • 健康保険証
  • 年金手帳
  • 保険証券
  • 貴金属
  • 常備薬
  • 当面の衣類

子供を連れて別居する場合の注意点

離婚時に子供の親権を獲得したい場合は、子供と一緒に別居をして子供を監護していた実績を積み上げた方が、親権争いで有利になる可能性があります。

なぜなら、親権者を決める裁判では、「これまでどちらの親が主に子供を監護していたか」という点や、「どちらの親と暮らした方が、子供にとって離婚後の環境変化が小さいか」という点などが重視されるためです。

しかし、だからといって無理矢理に子供を連れ出せばよいというわけではありません。
以下で子連れ別居をする際の注意点をご説明します。

違法な子連れ別居は親権獲得で不利になる

配偶者に何も告げることなく勝手に子供を連れて別居してしまうと、配偶者の怒りを買って、違法な子供の連れ去りだと主張されてしまうおそれがあります。

例えば、別居を開始して一定期間経過し、客観的にみても相手方が監護養育しているにもかかわらず、子供を学校帰りに待ち伏せして、そのまま自分の暮らしている家に住まわせたようなケースなどでは、連れ去りが違法とみなされ、監護者や親権者を決める裁判の中で不利に働く可能性が高いです。
さらに、強硬な手段や経緯で子供を連れ去ると、たとえ親であっても「未成年者略取罪」や「未成年者誘拐罪」といった罪に問われることもあります。

配偶者がDVや虐待を行っているといった事情がないのであれば、基本的にはきちんと夫婦で話し合いをするようにしましょう。

親権に関しては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

別居が子供に悪影響を与えるおそれがある

別居をするとこれまでとは環境が変わるため、子供にとっても大きなストレスとなり得ます
親が不仲で離婚するかもしれない事態であることは、ある程度の年齢に達した子供であれば、少なからず察していることでしょう。子供によっては別居の原因が自分にあると思い込み、精神的に不安定となってしまうおそれもあるため、子供の心のケアをすることは非常に重要です。

別居の際には、子供のせいで別居に至ったわけではないことや、たとえ別居をしても離れて暮らす親からの愛情が変わるわけではないことを十分に伝えてください。
小学生程度の子供であれば、別居に至った理由も隠さずに説明してあげた方がよいこともありますが、その際に配偶者を非難することばかり言わないように気を付けましょう。

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子供連れ別居をする際にしておくべき準備

子供を連れて別居する場合は、先に説明した以外にも準備しておくべきことや、考えておくべきことがたくさんあるので、以下で解説していきます。

子供の養育環境を整える

新しい住まいを決めるときは、子供の世話を十分にできる環境であるかという点にも注目しましょう。
可能であれば、子供が転園や転校によって友達と離れ離れになってしまわないように配慮してあげると、子供に無用なストレスを与えずに済むかと思います。

また、別居後あなたが働いている間は、誰に面倒を見ていてもらうかということも考慮する必要があります。
保育園に入りやすい地域や、実家の助けを借りやすい場所を探すとよいでしょう。

子供の養育費を確保する

別居中は子供の養育費がかかるため、その分のお金が必要になります。
経済的に不安を感じている方もいらっしゃるでしょうが、養育費は子供を監護している方の親だけでなく、離れて暮らす親にも分担する義務があります。

別居中、収入の低い方の配偶者は、もう一方の配偶者に婚姻費用を請求することができますが、収入の低い方の配偶者が子供と暮らしている場合、子供の養育費にあたる分も婚姻費用に上乗せされます。

くわえて、児童手当の受給者変更をすることができますし、別居中でも児童扶養手当を受け取れる可能性はあります。
自治体によってはその他にも助成が受けられるかもしれないので、一度役所で相談してみるとよいでしょう。

養育費についての詳しい解説は以下の記事で取り上げていますので、ぜひお目通しください。

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面会交流について決めておく

面会交流とは、離れて暮らしている親と子供の精神的なつながりが途切れないよう、定期的に会う機会を設けたり、電話やメール・手紙などで交流したり、贈り物をしたりすることをいいます。

面会交流は離婚後に行うものという認識を持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、別居期間中も離れて暮らす親と子供には面会交流をする権利があります。

面会交流をする際は、子供の利益を最優先に考えなければなりません。
しかし、離婚前であれば双方の親が共同で親権を行使できることから、面会交流をしている親が「自分にも親権がある」と主張して、そのまま子供を連れ去るトラブルが発生するケースもあります。

このような事態に陥らないよう、話し合いができるのであれば、事前もしくは別居後速やかに面会交流のルールについて話し合っておくようにするとよいでしょう。

以下の記事では、面会交流について詳しい解説をしていますので、ぜひご覧ください。

子供のための面会交流を実現したい方へ

子連れ別居時に持ち出すべきもの

子供を連れて別居する際に、持ち出すべきものの例をリストアップしました。
子連れの別居だとどうしても荷物が増えてしまいますので、忘れることのないようしっかりとチェックしましょう。

  • 子供名義の預貯金通帳やキャッシュカード
  • 子供のマイナンバーカード
  • 子供のパスポート
  • 子供の健康保険証
  • 子供の医療証
  • 母子手帳
  • 学生証
  • 育児用品
  • 子供の衣類
  • 子供の常備薬
  • 子供の学習用品
  • 子供の思い出の品
  • 子供のお気に入りのおもちゃ

別居したら相手に連絡先を伝えるべきか?

特段の理由がなければ、別居後の最低限の連絡先については配偶者に伝えておいた方がよいでしょう

離婚をすることになれば、慰謝料や財産分与などの条件について話し合う機会が生じますし、子供がいれば面会交流でやり取りをする必要も出てきます。

また、連絡先を伝えておくことで、相手から一方的に別居したなどと主張されることを防げます。

もし相手とこれ以上連絡を取りたくないのであれば、弁護士に依頼をすれば、一切のやり取りを任せることもできます。

DVやモラハラ被害がある場合

ただし、自身がDVやモラハラの被害にあっていたり、子供が虐待を受けていたりする場合は、身の安全を守るため、相手に連絡先を教えることは控えるべきでしょう

連絡先が知られると、帰ってくるよう執拗に迫られたり、居場所を特定されて連れ戻されたりするおそれがあります。

特にDVや虐待といった暴力行為があるケースでは、警察にも相談しておくとよいでしょう。
すぐに別居できる場所がない場合、一時的な避難先としてDVシェルターを紹介してくれます。

また、別居して住民票を異動させたのであれば、役所に相談して配偶者による閲覧や交付に制限をかけてもらいましょう。

DV加害者との離婚交渉をする際は、直接話し合うことは避けて慎重に行う必要があるため、必ず専門の支援センターや弁護士に相談してください。

別居に関するQ&A

別居を切り出すタイミングはいつがベストですか?

相手に別居を切り出すのは、別居の準備がひととおり整った後にしましょう

また、相手にも心の準備は必要でしょうから、落ち着いて話し合えるタイミングを見計らうことも重要です。
別居を切り出してすぐに回答がもらえない可能性も十分にあるので、余裕があれば、回答までにある程度の期限を設けても良いかと思います。

なお、DVやモラハラ、子供への虐待がある場合は、準備の有無にかかわらずできる限り早急に対処するようにしてください。

妊娠中に別居する場合、どのような準備が必要でしょうか?

妊娠中は体調の変化も大きく、精神的に不安定になりがちなので、親や友人といった周囲のサポートを受けながら別居の準備を進めましょう。

基本的にやるべきことは通常の場合と変わりませんが、別居先を決める際は、現在妊婦健診を受けている病院に通いやすいかといった点も考慮しましょう。
病院を変えるのであれば、その手続きも必要になります。

また、出産に要する費用は婚姻費用として相手に分担してもらうことができますが、すぐに受け取れるとは限らないので、ある程度は自分でも確保しておくと安心です。

別居と離婚はどっちが得ですか?離婚しないで別居し続けることも可能ですか?

別居と離婚を経済的な損得で比較するのは難しいですが、たしかに受け取れるお金は変わってきます。

別居した場合、自身の収入が相手より低ければ婚姻費用を受け取れます。婚姻費用には自分の生活費と、一緒に別居している子供の養育費が含まれています。
また、相手が不貞行為等をしたケースでは、別居中であっても不貞慰謝料を請求することができます。

一方、離婚した場合、自分の生活費は受け取れません。
ただし親権者となれば、子供の養育費は受け取ることができます。
そして、相手の不貞行為等が原因で離婚に至れば、離婚慰謝料も請求できます。また、財産分与で夫婦の共有財産の半分を受け取れますし、年金分割により婚姻期間中の厚生年金の納付記録を半分に分けることもできます。

一見、離婚した方が色々と受け取れるようにも思えますが、中には離婚せずに別居を続けて婚姻費用を受け取り続ける方が都合が良いと考える人もいます。
ただし、この場合、別居が長期に及ぶと相手から離婚を請求される可能性があることも覚えておきましょう。

別居中に相手の連絡を無視すると、離婚で不利になりますか?

別居中に相手からの連絡を無視したからといって、法的にただちに不利になることはありません。

しかし、婚姻費用や子供の面会交流でやり取りが必要になることはありますし、離婚を考えているのであれば、離婚条件を決める話し合いを進めなければなりません。

このような重要な連絡をすべて無視してしまうと、離婚調停や裁判の場で相手から不誠実な人間だと非難されることが考えられますし、調停委員や裁判官に悪い心証を与えるおそれはあります

離婚前の別居でお悩みなら一度弁護士にご相談ください

別居は離婚を考えている人にとって、最初の重要なステップとなります。
もし法定離婚事由に該当する離婚理由が特になかったとしても、別居を長期間続けていれば、裁判で離婚を認めてもらえる可能性が出てきます。

ただし、別居をするには準備や注意すべきことがありますし、特に子供を連れていく場合は慎重に行動しなければなりません。

別居や離婚についてわからないことやお悩みがある方は、ぜひ弁護士にご相談ください
弁護士はあなたの立場が不利にならないよう、法的観点から状況に応じたアドバイスをすることが可能です。

弁護士法人ALGでは、離婚事件の経験が豊富な弁護士が、蓄積したノウハウをもとにあなたの抱えている問題を解決に導きます。別居に関するご相談もこれまでに多くいただいてきましたので、ひとりで悩む前にお気軽に状況をお聴かせください。

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。