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親権者の変更方法|親権を取り戻したい、子供が望んでいる場合など

離婚後でも親権者を変更することはできるのか?

離婚時に未成年の子供がいる場合は、離婚後に子供を監護養育する「親権者」を決めなければなりません。
しかし、離婚後何らかの事情により親権者を変更したいと考える場合もあるでしょう。
親権者は子供の両親の話し合いだけでは変更することができず、必ず家庭裁判所の手続きを経なければなりません。

この記事では離婚後の親権者変更に着目し、離婚後の親権者変更手続きや離婚後に親権を取り戻すポイントなどについて解説していきます。

離婚後の親権者変更手続き

離婚後の親権者変更は、子供の現在の生活環境や、今後の人生に対して大きな影響を及ぼす重大な事柄です。

そのような重大な事柄を親の話し合いのみで簡単に決めることは妥当ではないと考えられているため、簡易的な方法では変更することはできません。

例えば、離婚協議書に「小学生になったら親権者を変更する」と約束していたとしても、何の手続きもなしに、この通りに親権が変更されることはありません。

親権者を変更する際の流れは以下のとおりです。

①親権者変更調停の申し立て
②調停が不成立の場合は親権者変更審判

次項では親権者変更手続きについて詳しく解説していきます。

親権者変更調停の申し立て

親権者を変更したい場合は、家庭裁判所に「親権者変更調停」を申し立てる必要があります。
申立先の家庭裁判所は、相手方の住所を管轄する家庭裁判所となります。

しかし、当事者が離れている場合などは、双方の合意した別の家庭裁判所に申し立てることもできます。

必要書類と費用は以下のとおりです。

必要書類 ・申立書:親権者変更調停の申立内容を記載する書面
・当事者目録:父母や子供など、関係する当事者を記載した目録
・申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
・相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)
・未成年の子供の戸籍謄本(全部事項証明書)
費用 ・子供1人につき1200円の収入印紙
・連絡用の郵便切手

親権者変更調停が成立した場合

調停が成立し、親権者が変更された場合は、戸籍法による届け出義務があります。
そのため、調停が成立してから10日以内に以下の書類を役所に届け出る必要があります。

  • 調停調書謄本
  • 父母それぞれの戸籍謄本

調停が不成立の場合は親権者変更審判

調停で折り合いがつかず、調停不成立となった場合は、自動的に審判手続きに移行します。

審判になると、裁判官があらゆる状況を調査して親権者変更をするべきかどうかを検討し、決定を下します。

審判になると裁判官は調査官により作成された「調査報告書」を参考に審判をします。
裁判官は調査官の調査を重視しますので、調査官の調査への対応は親権者変更審判の当事者にとって大事なポイントです。

親権者変更の例外

例外的に親権者変更調停や審判を行わなくても親権者を変更できるケースがあります。
認知した父親を親権者に指定したり、離婚後に産まれた子供について、父親を親権者に指定したりする場合は、父母が合意して届け出ができ、家庭裁判所の手続きは不要です。

親権の獲得をしたい方は弁護士へご相談ください

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親権者の変更が可能なケース

親権者変更調停を申し立てても必ず親権者変更が認められるわけではありません。

親権者変更を認めてもらうには、現在の環境を変えてでも、親権者の変更をするべき理由が必要でしょう。

次項では、どのようなケースで親権者変更が認められるか解説していきます。

親権者による子供への虐待・育児放棄しているケース

現在の親権者が子供に虐待・育児放棄をしている場合は、親権者の継続が子供の健やかな成長を妨げることは明らかです。
このケースは、非親権者や祖父母などの親族が家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てれば、親権者変更が認められる可能性は高いでしょう。

親権者が行方不明・重大な病気・死亡したケース

親権者が行方不明になったり、重大な病気になったり、死亡したりしたケースでは、親権者の変更が認められやすくなります。
重大な病気とは、精神的な病気や長期で入院をする場合が含まれます。
ただし、親権者が死亡した場合、「未成年後見人」という手続きが始まり、「未成年後見人」が子供の法的代理人となります。
親権者が死亡したからといって、何の手続きもなしに他方の親が親権者となるわけではありません。
親権者を変更するためには、他方の親が未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、親権者変更の審判を申し立てる必要があります。

15歳以上の子供が親権者の変更を望んでいるケース

親権者変更の申し立てがされたとき、子供が15歳以上の場合、裁判所は必ず子供の意思を確認します。

これは、15歳以上の子供は物事の分別が付く年齢で、親権者の判断ができると考えられているためです。

※2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられたため、18歳から親権者の変更は不要となりました

養育状況が大幅に変化するケース

子供の養育状況が大きく変わった場合も親権者の変更が認められやすくなります。
具体例としては以下になります。

  • 親権者が海外転勤になった場合
  • 転職して多忙となり子供の世話が十分にできなくなった場合

ただ、環境の変化によって必ずしも親権者を変更するべきと判断される訳ではありません。
環境の変化により、子供に悪影響を及ぼすような場合に限って親権者変更が認められます。

監護者の変更も可能

親権者は子供と一緒に生活をしないものの、子供の財産管理や法律行為に対する同意権を持ち、子供は親権者の戸籍に入ります。
一方で、監護権者は子供と一緒に生活し、監護・養育
します。
なお、監護権者の変更は、夫婦の話し合いのみで決めることができます。

親権者の変更が難しいケース

親権者の変更が難しいケースとして、以下のようなケースが挙げられます。

①再婚のために子供の親権者を変更するケース
②面会交流が守られないため親権者を変更するケース

次項でそれぞれについて詳しく解説していきます。

再婚のために子供の親権者を変更するケース

離婚時に取得した親でも、再婚により子供の存在が疎ましくなってしまうケースや、再婚相手が難色を示すケースもあるかもしれません。

このような理由で家庭裁判所に親権者変更を申立てても、親の都合であり親権者変更が認められる可能性は少ないでしょう。

面会交流が守られないため親権者を変更するケース

離婚の際に、面会交流で子供と定期的に会うと約束をして子供の親権を譲った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実際離婚してみると面会交流がされず、子供に会えないから親権者変更の申し立てをしたいと考えるかもしれません。しかし、その場合親権者変更ができる可能性は低いものとなります。
なぜなら、親権者は面会をさせないこと以外は子供をしっかりと養育しているからです。
このような場合には、まず「面会交流調停」を起こし、子供と面会できるようにしましょう。

子供のための面会交流を実現したい方へ

離婚後に親権を取り戻すためのポイント

離婚後に親権を取り戻したいと考える場合、以下の3つのポイントがあります。

①調停委員に事実を伝える
②家庭裁判所調査官の調査
③弁護士への依頼を検討する

次項でそれぞれについて詳しく解説していきます。

①調停委員に事実を伝える

親権者変更は「親権者変更調停」からスタートします。調停とは、調停委員を間に介入し、相手方と話し合うことです。ここでポイントとなるのが調停委員に親権者変更の必要性を理解してもらうことです。
親権者変更調停では、以下のような点が重視されます。

  • 子供に十分な愛情を注いでいるか
  • 健全な養育環境であるといえるか(現在の養育環境に問題がないか)
  • 親が心身ともに健康であるか

②家庭裁判所調査官の調査

親権者変更を行うに当たって、家庭裁判所の調査官が家庭訪問や学校訪問を行って養育環境や子どもが健全に成長しているかを調査し、また、子供の意見に耳を傾けることもあります。

子供の養育環境に問題がある、健全な発達が阻害されている、十分な愛情が注がれていないなどの状況が判明すれば、親権者変更調停・審判を優位に進めることができるでしょう。

③弁護士への依頼を検討する

家庭裁判所に対する親権者変更の申立ては、必ず弁護士に依頼しなければならないという決まりはありません。
しかし、弁護士に相談することで、知識や経験に踏まえたアドバイスをしてもらえます。

また、弁護士に相談するほど親権者変更に対し真剣であるという印象を調停委員に与えることもできるでしょう。
親権を獲得するためには、親権者変更が認められるためのポイントを端的に主張立証することが必要ですので、弁護士に依頼するのも良いでしょう。

親権の獲得をしたい方は弁護士へご相談ください

離婚後に親権者の変更ができた裁判例

【未成年者の母である相手方を親権者として協議上の離婚がされたが、その後、監護状況に変化が生じたなどとして、未成年の親権者を相手方から申立人に変更した裁判例】

【事案の概要】
母親である相手方と未成年者は離婚後実家に帰りましたが、実家には、相手方の両親や姉弟が同居しており、次第に家族と不仲になっていきました。
相手方は未成年者の監護意欲が希薄となり、監護がおろそかになっていったため、次第に姉を中心とする相手方の家族が未成年者の監護を担うようになりました。

相手方は賃貸物件へ転居するも、未成年の子はこれを拒否し、相手方実家にとどまりました。
審判における未成年者に対する調査でも、未成年者は母親である相手方とは生活したくない、現在の生活を続けたい、また将来的には父親である申立人と生活したい旨を述べていました。

【裁判所の判断】
離婚後、相手方の未成年者への関わり方が変化し、しかも、相手方と未成年者が生活拠点を異にするなど、未成年者をめぐる監護状況に変更が生じているため、その状況に応じて未成年者の親権者を相手方から申立人に変更する必要があると認めました。
(平成26年2月12日 東京家庭裁判所審判)

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離婚後の親権者変更に関する質問

離婚後の親権者変更に関する質問にお答えしていきます。

父親から母親へ親権者を変更する際の有利になるポイントはありますか?

現在は、「母親」だからといって親権者変更に有利だとは限りません。
「父親」でも「母親」でも大事なのは子供が健やかに成長していけるかという点です。
子供に愛情を注ぎ、子供が安心して暮らせる環境があることを調停委員にしっかりと伝えることが大切です。

離婚後に親権者の変更を行った場合、戸籍はどうなりますか?

離婚後に親権者の変更が認められた場合、子供の戸籍を「親権者」の戸籍に移すために、親権者変更届を提出した後、子供の住所を管轄する家庭裁判所に「子の氏の変更許可の申立て」を行い、許可が下りたら、母(父)の氏を称する「入籍届」を役所に提出します。

離婚後の親権者を変更したい場合は弁護士にご相談ください

離婚後に親権を獲得したいと思うことは子供に愛情を注いでいるからこそ当然の気持ちでしょう。

離婚後の親権者を変更したい場合は私たちにご相談ください。
弁護士法人ALGは離婚や夫婦問題に詳しい弁護士が多数在籍しています。あなたの気持ちを丁寧にヒアリングし、分からないこと、知りたいことなどに真摯に回答していきます。
親権者変更について弁護士に相談することで、知識や経験を踏まえたアドバイスをもらえることや、弁護士に相談しているという「真剣さ」が調停委員に伝わる可能性もあります。

親権者変更でお悩みの方は私たちにご相談ください。

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。