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離婚後に妊娠が発覚|子供の親権や戸籍、養育費はどうなる?

離婚後に妊娠が発覚|子供の親権や戸籍、養育費はどうなる?

離婚した後に妊娠していることが判明したら、戸籍のことだけでなく、親権や養育費はどうなるのか不安な気持ちで一杯の方もいらっしゃるでしょう。

日本の法律では、離婚した後であっても離婚後300日以内に産まれた子供は、実際の父親が誰であるかに関わらず元夫の子供として扱われます。

この記事では、離婚後に妊娠が判明した方に向けて、子供の戸籍はどうなるのか、養育費は請求できるのか、など気になる点について解説していきます。

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離婚後に妊娠が発覚した場合の3つの問題点

離婚後に妊娠が発覚し、動揺する気持ちもあると思いますが、まずは問題点について考えていきましょう。
離婚後の妊娠で問題となるのは、以下の3つです。

  • 産まれた子供の戸籍はどうなるのか
  • 親権者は誰か
  • 養育費は請求できるのか

では、次項からそれぞれの問題点について解説していきます。

離婚後300日以内に生まれた子は前夫の戸籍に入るケースがある

子供は母親から産まれてくるため、母親が誰であるかは明白です。しかし、父親については、子供が生まれた時期や状況によっては、誰であるか分からないこともあります。

そこで、民法では以下のように、妊娠についての規定を設けています。

  • 妻が婚姻中に懐胎(※妊娠)した子供は夫の子と推定する(民法第772条第1項)
  • 婚姻の成立の日から200日を経過した後または婚姻の解消(※離婚)もしくは取消の日から300日以内に産まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する(民法第772条第2項)

これは子供の身分関係を早期に安定させるために設けられた規定です。

たとえ離婚していても離婚後300日以内に産まれた子供は、元夫の子供だと推定され、元夫の戸籍に入ります。

一方、子供が離婚から300日以降に産まれた場合は非嫡出子(※婚姻関係にない男女から生まれた子供)となり、認知されていなければ戸籍の父親の欄は空欄となり、母親の戸籍に入ります。

また、離婚後300日以内に産まれた子供は、離婚の際における父母の氏を称することになります(民法第790条第1項)。

例えば、婚姻の際に夫の姓を選んだ夫婦であれば、出産の時点で妻が旧姓に戻っていたとしても、子供は元夫の姓になります。

なお、民法改正により、2024年4月1日以降に生まれる子供については、離婚後300日以内に生まれた場合でも、出生の時点で母親が再婚していれば、新しい夫の子供であると推定されることとなりました。
そのため、新しい夫の戸籍に入ることができるようになりました。

一方、母親が再婚していなければ、従前どおり、元夫の子供と推定され、元夫の戸籍に入ることになります。
これに伴い、女性の再婚禁止期間も廃止されます。

今までは、離婚後すぐに再婚した場合、離婚後から200日経った後に子供が産まれると元夫と現夫で推定が重なってしまうことから、今までは女性には、離婚後100日間の再婚期間が設けられていました。

しかし、母親が再婚していれば、離婚後300日以内に生まれた子供については新しい夫の子供と推定されることになったため、再婚禁止規定が不要となったからです。

離婚から再婚までの期間については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。


次項からは、離婚後300日以内に生まれた子供で、かつ、母親が再婚していない場合について解説していきます。

親権者は母親になる

離婚後に出産した子供については、母親が親権を持ちます。(民法第819条第3項)
しかしながら、出産後父母が協議し、親権者を元夫と定めることも可能です。(民法第819条第3項ただし書)

ここで問題となるのは、親権者は母親であるが、子供は父親の戸籍(※元夫が戸籍筆頭者であった場合)に入るため、母親が旧姓に戻した場合には子供と姓が異なるということです。

このような場合には、子の氏の変更についての許可の審判(民法第791条第1項)の手続きをします。

この手続きによって子供の性を母親と同じ姓に変更した上で、母親の戸籍への入籍届を提出することによって、母親と子供の戸籍や姓が同じになります。

養育費は戸籍上の父親に請求できる

離婚後300日以内に産まれた子供は、元夫の子供として推定されます。つまり、法律上子供の父親は元夫となるため、監護権を持つ母親は父親である元夫に対し、養育費を請求することができます。

そもそも養育費とは、子供を監護・養育するために必要な費用のことです。

父母は未成年の子供に対し扶養義務があります。これは離婚などにより子供と離れて生活していたとしても、親子の縁が切れることはないことから、この扶養義務がなくなることはありません。

一方、離婚後300日以降に産まれた子供については、元夫の子供とは推定されず、非嫡出子となります。そのため、法律上の父子関係は成立せず、元夫には養育費を請求することはできません。

元夫に養育費を支払ってもらうためには認知の手続きが必要となります。

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離婚後の妊娠の注意点|必ず出生の届出をする

離婚後300日以内に産まれた子供は元夫の子供と推定され、元夫の戸籍に入ります。

そのため、一時的であっても離婚した元夫の戸籍に子供を入れるなんて考えられないという思いから、出生届を出すべきか悩んでしまう方もいらっしゃるでしょう。

しかし、出生届を提出しないと子供は無戸籍児童となってしまいます。
無戸籍のまま放置してしまうと、子供は、誰でも簡単に受けられる行政サービスを受けられなくなります。例えば、健康保険で病院に行くことや学校に通うことができなくなってしまいます。

離婚後に妊娠が発覚した場合は、その旨を証明する懐胎期間に関する証明書を医師に発行してもらい、その証明書添付して出生届を提出する方法があります。

この方法を取ることによって、離婚後300日以内に子供が産まれたとしても、元夫以外を父とする出生届を受理してもらうことができるため、子供は元夫の戸籍には入りません。

無戸籍児童となる

子供が産まれたとき、日本では出産から14日以内に出生届を出すことが戸籍法で定められています。

無戸籍児童とは、何らかの理由で出生届が出されておらず、親などいずれの戸籍にも記載されていない子供のことです。2019年の法務省の調査では、無戸籍児童は全国に675人いるとされ、把握できない人を考えると、さらに多いと考えられます。

無戸籍の児童は、以下のような戸籍のある人ならだれでも受けられる行政サービスが受けられなくなります。

  • 保険証がない→医療費全額負担
  • 義務教育が受けられず、就学が困難
  • 銀行口座が作れない
  • 選挙権がない
  • 運転免許を取得することができない
  • 年金を受け取れない

産まれてきた子供がこのように不自由な生活を送らないためにも、嫌な思いをするかもしれませんが、まずは元夫の戸籍に入り、その後自分の戸籍に移す手続きをしましょう。

参政権の行使ができない

参政権とは、国民が国の政策形成に参加する権利で、具体的には、選挙権・被選挙権・公務員になる権利・公務員を罷免する権利などがあります。

これらは、公職選挙法と地方自治法に規定があり、無戸籍の方は参政権を行使することができません。

離婚後に生まれた子の戸籍を変更する方法

離婚後300日以内に産まれた子供は、元夫が戸籍筆頭者であった場合は自動的に父親の戸籍に入ります。母親が旧姓に戻していた場合、子供と母親の姓が異なってしまいます。

そこで、姓が異なる状態にある子供については、家庭裁判所に「子の氏の変更」の許可を申し立てることで、母親の姓に変更することができます。

この手続きの後に母親の戸籍への入籍届を提出することで母親と子供が同じ姓、同じ戸籍になります。

しかし、この手続きをしたからといって、元夫と子供の親子関係が否定されるわけではありません。
父親を現在のパートナーに変更したい場合は、以下で詳しく解説していきます。

離婚後に妊娠した子と前夫の法律上の親子関係を否定する方法

離婚後に妊娠した子供の父親が元夫ではなく、現在のパートナーの子供だと認めてもらうためには、どうしたら良いのでしょうか。

ここでは、産まれてきた子供と元夫の親子関係を解消し、現在のパートナーを父親だと認めてもらうための方法を解説していきます。

嫡出否認調停

離婚後に妊娠して産まれた子供が元夫の子供ではないのであれば、元夫に家庭裁判所へ嫡出否認調停を申し立ててもらう必要があります。

現行民法では、この調停の申立ては母親側からすることはできず、戸籍上の父親である元夫側が申し立てなければなりません。

そのため、元夫が一度でも、産まれた子供が自分の子供だと認めていた場合、この調停を申し立てることはできないので注意しましょう。

また、この調停は子供の出生から1年以内に行わなければなりません。戸籍法では、子供が産まれてから14日以内に出生届を提出することが定められているため、この調停の結果を待っていると期限に間に合わない可能性が高くなってしまいます。

しかし、嫡出否認調停を行っている最中だと役所に相談しておけば、出生届が出されていなくても産まれてきた子供の住民票を作成してもらうことが可能です。

なお、2024年4月1日施行の改正民法により、子や母親からも嫡出否認調停の申立てができるようになります。また、申立期限も出生後1年以内から3年以内に延長されます。

親子関係不存在確認調停

親子関係不存在確認調停は、母親が申し立てることができ、期限もないため、父親が嫡出否認に協力しない場合でも手続きしやすくなっています。

離婚後300日以内に産まれた子供であっても、元夫との長期の別居、長期海外出張、刑務所への収監などにより元夫の子供を妊娠することは不可能であることが客観的に明らかである場合は、嫡出推定は及びません。

このように、嫡出推定をするまでもない場合は、親子関係不存在確認調停を申し立てることができます。

前夫へ離婚後に養育費を請求する方法

元夫へ離婚後に養育費を請求するためには、子供が300日以内に産まれた場合と300日後に産まれた場合で対応が異なります。

子供が離婚後300日以内に産まれた場合
離婚してから300日以内に産まれた子供は、法律上元夫の子供と推定されるため、母親は元夫に対し養育費を請求できます。
基本的には、本人たちの話し合いで養育費について決めていきますが、相手が話し合いに応じなかったり、金額に納得できなかったりする場合は、家庭裁判所の「養育費請求調停」を申し立てる必要があります。

子供が離婚後300日以降に産まれた場合
離婚から300日より後に産まれた子供については、元夫の子供と推定されず、法律上の父子関係は成立しないため、このままでは養育費を請求することはできません。
そのため、元夫に養育費を請求するために必要となるのが「認知」の手続きです。元夫に子供を認知してもらえば、法律上の父子関係が成立し、養育費を請求することができます。

養育費の請求は弁護士にお任せください

妊娠が発覚したがすでに離婚されていた場合など不安なことがあれば弁護士にご相談ください

お腹に新しい命が宿ることはとても素晴らしいことですが離婚後300日問題によって、不安な思いをされている方もいらっしゃるでしょう。

貴重なマタニティライフを楽しむためにも、子供に不自由な思いをさせないためにも、離婚後の妊娠についてお悩みの方は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。

私たちは夫婦問題や離婚問題に詳しい弁護士が多数在籍しております。

法律の専門家である弁護士であれば、離婚後300日以内に産まれた子供に対し、ご依頼者様の希望を聞きながらどのように対応していけば良いか判断することができます。

離婚後の妊娠については、戸籍や養育費、親権などどのように対応するべきかよくわからないことも多く、元夫の戸籍には入れたくないとお考えの方も多いのではないでしょうか。

私たちは、ご依頼者様の希望を第一に考えて尽力いたします。おひとりで悩まず、一度私たちにご相談ください。

 

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。