50代での離婚はやめたほうがいい?デメリットや準備すべきことを解説
50代は、子育てもひと段落してライフステージが大きく変わる世代です。
ご自身や配偶者の定年退職も見え始めて、これからの残りの人生を意識したときに、離婚の2文字が頭をよぎった方も少なくないと思います。
50代で離婚する場合、子供に関する問題は少ないものの、離婚後の生活費や年金への不安から、財産分与や年金分割といったお金に関する問題で揉めやすい傾向があります。
この記事では、50代で離婚した場合のデメリット・リスクのほか、離婚を後悔しないために準備すべきことをわかりやすく解説していきます。
50代が熟年離婚を考える理由や離婚率も紹介していきますので、離婚について検討されている方の参考になれば幸いです。
目次
50代の離婚率はどれくらい?
厚生労働省の人口動態統計によると、2022年の50代の離婚率は「9.31」でした。
他の世代と比較すると離婚率は低いものの、50代の離婚が決して珍しいことではないのがわかります。

50代で熟年離婚を考える理由
50代では、ライフステージの変化をきっかけに離婚を考える方が増えてきます。
以下、50代で熟年離婚を考える代表的な6つの理由を紹介していきます。
- 子供が独立した
- 新しい人生をスタートしたい
- 相手が定年退職する
- 介護が大きな負担になる
- DVやモラハラがあった
- 不倫や浮気をされた
子供が独立した
50代で離婚を考えるきっかけとなるのが、子供の独立です。
特に多いのは、子供が成人したり就職したりして、子育てがひと段落したタイミングで、「子供が巣立つまでは・・・」と我慢していた方が「もう子供に迷惑がかからないから」と、離婚に踏み切るケースです。
また、子供が独立したことがきっかけで夫婦だけの時間が増え、価値観の違いがより浮き彫りになったり、一緒にいる理由が見当たらなかったりして、離婚を考えるようになるケースもあります。
新しい人生をスタートしたい
50代は人生の折り返し地点を過ぎ、自分の人生を見つめ直すタイミングでもあるので、新しい人生をスタートしたいと考えて離婚に踏み切る方も少なくありません。
50代であれば、自分らしい人生をやり直すことも、仕事や趣味などに没頭する自分のための第2の人生をスタートさせることも十分可能です。
そのため、これまでの人生を振り返り「人生をやり直したい」と考えて、50代で離婚を決意するケースも多いのです。
相手が定年退職する
50代になると、相手が早期退職したり、定年退職が間近になり、ライフスタイルに変化が生じて、それがきっかけで離婚に発展することも珍しくありません。
退職後は夫婦で一緒に過ごす時間が増えますが、従来通り他方の配偶者に身の回りの世話や家事労働が偏ることで不満が生じ、離婚に至るケースが多いです。
ほかにも、これまでの結婚生活の不満から定年退職した配偶者と一緒にいたくないと感じ、離婚を選択するケースも見受けられます。
介護が大きな負担になる
50代になると親が高齢になって、同居や介護が必要になったことをきっかけに夫婦関係が悪化し、離婚に至るケースもあります。
とくに、相手が介護に理解を示さなかったり非協力的だったりする場合、他方の配偶者に負担が偏ることから、熟年離婚に繋がりやすくなります。
また、50代ともなると相手の介護についても意識するようになって、「相手がまだ元気なうちに」と離婚に踏み切るケースも少なくありません。
DVやモラハラがあった
50代に限ったことではありませんが、相手のDVやモラハラが原因で離婚するケースがあります。
我慢に耐えかねたり、子供が独立して我慢する必要がなくなったりして、離婚に至るというのが50代の特徴です。
相手の定年退職をきっかけにDVやモラハラがはじまって離婚に至るケースもあります。
DV・モラハラの被害に遭われている方は、子供のために長年我慢されていることが多いのですが、50代で子供が独立していると、子供への影響を考える必要がないため、離婚に踏み切りやすい傾向にあります。
不倫や浮気をされた
どの世代でも多い離婚理由ですが、不倫や浮気をされたことをきっかけに離婚する50代も多く見受けられます。
子供のために長年我慢していて、子供の独立をきっかけに離婚に至るケースが多いです。
それだけでなく、定年退職して自由に使える時間とお金が増えることや、出会いのきっかけが増えたことで不倫へと発展し、熟年離婚に至るケースも近年増えています。
50代で離婚した場合のデメリットやリスク
50代で離婚した場合、人生をやり直せるというメリットがある一方で、次のようなデメリットやリスクもあります。
離婚を後悔しないためにも、デメリットやリスクについて知っておきましょう。
孤独感を感じる
定年退職して社会との繋がりがなくなったり、健康面で不安を抱えていたりすると、孤独感を感じて離婚を後悔することがあります。
家族や友人とこまめに連絡を取る、地域の集まりに参加するなどの対策が必要です。
経済的な不安を抱える
離婚時に財産分与や年金分割を行っていても、離婚後や老後の経済的な不安は残ります。
離婚前に貯金をする、仕事を探して離婚後の収入を確保するなどして、離婚後に経済的に困窮しないよう準備を整えておきましょう。
生活面での不安が生じる
女性の場合は衣食住の質が下がったり、男性の場合は慣れない家事に戸惑ったりして、生活面での不安が生じることがあります。
あらかじめ離婚後の生活設計を見直しておくようにしましょう。
熟年離婚のデメリットについては以下ページでも詳しく解説していますので、参考になさってください。
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50代で離婚したら生活費はいくら必要?
50代で離婚する場合、離婚後の生活費として約16万円程度が必要とされています。
総務省統計局の家計調査によると、2023年の単身世帯の消費支出は16万7620円(1世帯あたりの1ヶ月間平均)でした。
厚生労働省の簡易生命表によると、2023年の日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳でした。 50代で離婚して、今後30年生きたと仮定して必要な生活費を計算してみると、次のようになりました。
【約16万円×12ヶ月×約30年=約5760万円】
※人によって必要な生活費は異なるため、この金額はあくまで目安になります。
これを踏まえ、財産分与や将来の年金を差し引いて、自己負担がどのくらいになるかを計算してみるとよいでしょう。
また、年齢を重ねると突発的な怪我や病気への備えも必要になるため、実質的に月々どのくらい収入があればよいのか、安定した老後を送るためにはどのくらいまで働けばよいのかも、見通しを立てておくと安心です。
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50代で離婚する場合に準備すべき5つのポイント
50代で離婚する場合、後悔しないために準備すべき5つのポイントがあります。
- 財産分与を適切に行う
- 年金分割の手続きをする
- 離婚後の生活費と老後資金を計算する
- 婚姻費用を請求する
- 弁護士に相談する
これらは、適正な条件で離婚するために確認すべきことでもあるので、次項で詳しくみていきましょう。
①財産分与を適切に行う
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚時に公平に分け合うことです。
50代で離婚する場合、結婚生活が長いために財産分与の対象となる夫婦の共有財産も多額になる傾向にあります。
持ち家などの不動産、現金や預貯金、自動車や家財道具などの動産のほか、支払われることが決定している退職金や保険金なども財産分与の対象となるため、抜け漏れのないようにリストアップして、どのように分け合うか慎重に検討しましょう。
離婚時の財産分与については以下ページでも詳しく解説していますので、参考になさってください。
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②年金分割の手続きをする
年金分割とは、夫婦が婚姻中に協力して納めた厚生年金部分を、離婚時に分け合うことです。
年金分割は、合意分割と3号分割があります。
| 合意分割 | 分割の割合を夫婦の話し合いによって決定する方法 |
|---|---|
| 3号分割 | 配偶者の扶養に入っていた第3号被保険者に適用される方法 |
2008年(平成20年)4月以降に配偶者の扶養に入っていた場合は、第3号被保険者であった方からの単独請求により年金分割することが可能ですが、これに該当しない方は相手の合意なしでは年金分割の手続きが進められないため注意が必要です。
年金分割は合意分割・3号分割いずれの方法も、離婚した翌日から2年が経過すると請求できなくなります。
専業主婦の方や相手より収入の少ない方は、年金分割を行うことで将来受け取れる年金に加算してもらえるため、老後の生活を安定させるためにも忘れずに手続きを行いましょう。
離婚時の年金分割については以下ページでも詳しく解説していますので、参考になさってください。
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③離婚後の生活費と老後資金を計算する
50代で離婚された方のなかには、離婚後に経済的に困窮して後悔される方も少なくありません。
そのため、離婚前にあらかじめ離婚後の生活費と老後資金を計算し、見通しを立てておくことが大切です。
離婚にあたっては、老後の資金はもちろん、離婚の手続きに必要な費用や引っ越し費用、離婚後の生活費といったものが必要になります。
総務省統計局の家計調査に基づくと、単身世帯の平均的な生活費は16万円前後といわれています。
これを踏まえ、離婚後にどれくらいの資金が必要になるのか計算してみましょう。
<離婚後・老後の資金を計算するうえで考えておくべきポイント>
- 貯金がどのくらいあるのか
- 財産分与や年金分割でどれくらい受け取れそうか
- 離婚後はどこに住むのか
- 収入はどれくらい必要か
④婚姻費用を請求する
婚姻費用とは、一般的な社会生活を送るうえで必要な夫婦や子供の生活費のことです。
法律上、夫婦は婚姻費用を分担する義務を負っているため、離婚が成立するまでは収入の少ない側から、収入の多い側へ婚姻費用を請求することができます。
50代の離婚は成立までに時間がかかることも多いので、別居期間を設ける方もいらっしゃるかと思います。
婚姻費用は過去へさかのぼって請求することが基本的にできないため、離婚前に別居する場合は速やかに婚姻費用を請求しましょう。
婚姻費用の金額を決めるにあたって、多くは裁判所で用いられる婚姻費用算定表が利用されます。
詳しくは以下ページをご参考ください。
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⑤弁護士に相談する
50代での離婚を後悔しないために、適正な条件で離婚できるように弁護士へ相談することをおすすめします。
離婚後の経済的な不安を減らすうえでポイントとなる財産分与や年金分割は、知識が乏しいと不利な条件で合意してしまい、後悔するケースもあります。
弁護士に相談することで、適正な条件で離婚できるようアドバイスが受けられるほか、相手の財産調査や相手との交渉も弁護士へ任せられることで早期解決も期待できます。
離婚の進め方や離婚条件に少しでも不安や疑問のある方は、離婚問題に詳しい弁護士へ相談してみましょう。
離婚問題について弁護士に相談・依頼するメリットについては以下ページで詳しく解説していますので、参考になさってください。
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50代で離婚した場合の慰謝料請求と相場
50代で離婚した場合の慰謝料相場は、100万~300万円程度といわれています。
相手の不貞行為や悪意の遺棄、DV・モラハラなどの、相手の有責行為が原因となって離婚に至った場合には、これらによる精神的苦痛に対する補償として、相手へ離婚慰謝料を請求することができます。
離婚の慰謝料はさまざまな要因によって金額が増減しますが、婚姻期間の長さも慰謝料額に影響するため、婚姻期間が短い夫婦と比べると50代で離婚した場合の方が、高額の慰謝料を請求できる可能性があります。
なお、離婚慰謝料は離婚原因となった有責行為によっても次のように相場が異なります。
| 離婚原因となった有責行為 | 慰謝料の相場 |
|---|---|
| 不貞行為(不倫・浮気) | 200万~300万円程度 |
| 悪意の遺棄 | 数十万~300万円程度 |
| DV・モラハラ | 数十万~300万円程度 |
離婚の慰謝料を請求するにあたっては、請求する側が相手の有責行為を裏付ける証拠を集める必要があります。
請求すれば必ず慰謝料を支払ってもらえるというわけではないので、離婚慰謝料の請求をお考えの方は一度弁護士へ相談してみることをおすすめします。
詳しくは以下ページもご参考ください。
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50代で離婚をお考えの方は弁護士にご相談ください
50代で離婚する場合、離婚後や老後の生活費や孤独感への不安が大きくなる傾向にあります。
離婚後の不安を少しでも軽くするためには、財産分与や年金分割が重要なポイントとなり、これらの条件を適切に定めることにより、有利に離婚を進めることができます。
弁護士法人ALGでは、これまでに数々の夫婦問題・離婚問題に携わってきました。
その経験と知識を活かして、離婚に向けたアドバイスのほか、相手の財産調査や相手との交渉もサポートすることができます
「50代で離婚したいけれど老後のことを考えるとやめるべき・・・?」とお悩みの方が、後悔のない選択ができるように弁護士が全力を尽くしますので、まずはお気軽にご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

























