親権とは?何歳まで有効?決め方や親権者になるための条件を解説
親権(しんけん)とは、簡単にいうと親として振る舞う権利と義務のことです。
現在のルールでは、離婚するときに、父母のどちらが親権を取得するか決めなければなりません。親権の取り合いで、争いが激しくなる場合もあります。
2024年に改正された民法が2026年に施行されます。
この改正民法により、共同親権を選択することが可能となりますが、親権に関するすべての争いが解決するわけではありません。
この記事では、親権について、裁判所が決めるときの判断基準や、争いを有利に進めるポイントなどを解説していきます。
目次
親権とは

親権とは、未成年者の監護・養育を行ったり、子供の財産を管理したりする権利・義務のことです。
婚姻期間中は、父母の両方が親権者です。
しかし、離婚するときには、父母どちらかを親権者として定めなければなりません。
そして、子供の親権者となった親は、上記のような権利・義務を持つことになります。
もっとも、現在の日本の法律では単独親権制度をとっていますが、2026年4月1日に施行される民法改正により共同親権を選択することが可能となります。
共同親権が導入されると、離婚した後でも父母双方が親権を持てるようになる予定です。なお、今までと同じように、単独親権とすることもできます。
財産管理権
財産管理権とは、文字どおり、子供の財産を管理する権利・義務です。
また、未成年の子供は単独では契約などの法律行為を行えないため、子供に代わって財産に関する法律行為をしたり同意を与えたりする権利・義務も、これに該当します。
例えば、以下のような行為が当てはまります。
- 子供がもらったお年玉や、子供名義の預貯金を管理する
- 子供がアパートの賃貸借契約を締結することに同意する
身上監護権
身上監護権は、子供に衣・食・住を与えて保護・世話をしたり、適切な教育を受けさせたりなど、社会的に未熟な子供を成人まで育て上げるために親が負う権利・義務です。
ここでいう教育には、学校教育を受けさせることはもちろん、身体面・精神面の健全な発達を図ることも含まれると解されています。
身上監護権は、細かく分類すると、以下の4つの権利で成り立っています。
| 権利 | 解説 |
|---|---|
| 身分行為の代理権 | 子供が婚姻・離婚・養子縁組などの身分行為をすることに同意し、代理する権利。未成年の子供は親権者の同意がないと婚姻することができない。 |
| 居所指定権 | 子供が住む場所を決める権利。 |
| 懲戒権 | 子供を叱る、子供にしつけをする権利。子供への体罰や虐待を正当化する口実に使われることが多く、近年では懲戒権の在り方や必要性自体が疑問視されている。 |
| 職業許可権 | 子供が働くことを許可したり、反対に仕事を辞めさせたりする権利。 |
親権と監護権の違い
親権は財産管理権と身上監護権を含むのに対して、監護権とは身上監護権のみを有します。
監護権だけの場合には、子供と一緒に住んで監護・養育を行うことはできますが、子供名義の預貯金の管理など財産管理は行えません。
一般的には、親権者と監護権者は同じ者がなりますが、法律上「親権」と「監護権」を父親と母親でわけることも可能です。
親権者が海外に転勤する場合などでは、親権者と監護権者を別々にすれば、子供の生活環境を変えずに監護・養育ができます。
移住することによる子供の負担もかからなくなるため、子供の意見も聞きながら決めるようにしましょう。
監護権と親権にお知りになりたい方は、以下のリンク先で詳しく解説していますので、ぜひご参考になさってください。
合わせて読みたい関連記事
親権は子供が何歳まで有効?
親権を行使できるのは、子供が18歳になるまでです。
以前は成人年齢が20歳とされていましたが、現行法では18歳に引き下げられましたので、子供が18歳になると親権は消滅します。
共同親権でも、子供が18歳になれば父母の共同親権者としての関係もなくなります。
親権がないと子供との関係はどうなる?
親権がないと、主に以下のようなデメリットが生じてしまいます。
- 子供の生活や教育に関する決定権がない
- 日常的なしつけや住む場所、進学への同意などに直接関与できなくなる
- 子供の財産を管理・処分する権利がない
- 子供の代わりに契約を行う権利がない
- 子供が受ける診察や治療、手術などに同意する権利がない
- 子供の公的な手続きを行う権利がない
また、親権がない親は、親権者である元配偶者に対して養育費を支払う義務が生じます。
養育費は、子供が20歳になるまで、あるいは大学を卒業するまでなどの期間に、毎月支払う必要があります。
離婚時の親権の決め方
離婚時には、一般的に以下のような順番で親権者を決めていきます。
- 夫婦での話し合い
- 話し合いで決まらない場合は離婚調停
- 調停が不成立の場合は離婚裁判

①夫婦での話し合い
夫婦で親権について話し合いましょう。
親権者を決める際は、自分が子供と一緒に暮らしたいという気持ちを優先するのではなく、子供の利益(しあわせ)を第一に決めることが大切です。
具体的には、これまでの主たる監護者はどちらであったか、今後の生活環境や養育環境が整っているか、子供の意思などを考慮して慎重に考える必要があります。
②話し合いで決まらない場合は離婚調停
夫婦の協議がまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員らを交えて引き続き親権について話し合うことになります。
親権を争っている事案は通常、裁判所から指名された「家庭裁判所調査官」が、様々な調査を行い、その調査結果は裁判所が親権者を判断するにあたり、重視されます。
離婚調停の詳しい内容については、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
③調停が不成立の場合は離婚裁判
離婚調停が不成立で終了した場合は、最終的に裁判で親権を争うことになります。
裁判では、父母双方が「いかに自分が親権者として相応しいか」について主張・立証をしていくことになります。
そして、裁判官が両者の主張内容や、いずれを親権者とした方が子の幸福につながるかなど、子供の利益・福祉を総合的に考慮して最終的な判決を下します。
家庭裁判所の裁判官が下した判決の内容に納得がいかない場合は、高等裁判所に控訴し、さらなる審理を求めることができます。
離婚裁判についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
裁判所が親権者を決める際の判断基準
父母の話し合いによって親権者を決める場合は、お互いの合意があれば特に必要な条件はありません。
しかし、調停や裁判の手続きでは、裁判所は主に5つの要素をもとに、どちらが親権者として相応しいかを判断します。
- 子供への愛情
子供への愛情深さや子供との関係性、精神的な結びつきの強さは、親権者を決める際に最も重要視されます。
具体的には、これまでの監護実績や保育園や学校行事への参加、休日の過ごし方などを考慮して総合的に判断されます。 - 子供の年齢と意思
子供が15歳以上の場合は、裁判所で子供の意思が聞き取られ、重要な判断要素となります。
子供が10歳前後であれば十分な判断能力を有していると考えられ、子供の意思が聴取されるでしょう。
ただし、子供の意思のみをもって親権者が指定されることはありません。 - 親の健康状態
持病があると絶対に親権者になれないというわけではありませんが、子供の福祉(しあわせ)のため、親権者には子供の日常的な世話ができる程度に「身体的」「精神的」に健康であることが求められます。 - 離婚後の生活環境
離婚後も子供と関わる時間を長く確保できる方が子供の福祉に適っていると考えられます。
そのほかにも、親権者の代わりに子供の面倒を見てくれたり、生活をサポートしてもらえたりする親族が近くにいるかどうかも判断要素となります。 - 離婚後の経済状況
離婚後、親権者に経済的に子供の衣食住や教育に支障が出ないか判断しますが、必ずしも収入が高い方が親権者に選ばれるわけではありません。
ただ、借金を繰り返している、浪費癖がある等の事実があれば、親権者として相応しくないと判断される可能性があります。
親権は母親が獲得しやすい?どっちが有利?
法律で母親が親権を獲得すると決められているわけではありませんが、実態としては、母親が親権を獲得するケースが多いです。
これは、働き方などの影響により、母親の方が、子供と一緒にいる時間が長い場合が多いからです。
母親が親権者になれば、離婚による子供の生活の変化や、精神的負担を最小限にできると考えられる場合が多くなっています。
しかし、親権を決めるときに最も重視されるのは、どちらの親と暮らしたほうが子供の利益になるかです。
子供の幸せを考えたときに、父親と暮らす方が子供は幸せだと判断されれば、父親が親権を獲得できます。
母親が親権争いで負ける場合はある?
母親が親権を獲得できない場合もあります。主に以下のようなケースが挙げられます。
母親が虐待やネグレクト(育児放棄)をしている 母親が子供を虐待したり、ネグレクト(育児放棄)をしたりしている場合は、母親に親権は認められないでしょう。
| 子供に対する ネグレクトや虐待 |
解説 |
|---|---|
| ネグレクト(育児放棄) | 食事を与えない、不潔にする、病院に連れて行かない、子供を家においたまま何日も家を空ける、学校に行かせない など |
| 身体的虐待 | 殴る、蹴る、叩く、火傷を負わせる、冷水を浴びせる、溺れさせる、戸外に閉め出す、縄やケージなどで身体を拘束する など |
| 精神的虐待 | 暴言を吐く、脅す、兄弟間で差別的に扱う、無視する など |
母親が精神疾患を患っていて育児ができない 母親が強度の精神病で動けない、幻聴・幻覚の症状があり子供の面倒を見られないなどの場合は、育児に耐えうる状態ではないと判断され、親権を獲得することが難しくなります。
子供が父親と暮らすことを望んでいる 子供に十分な判断能力があり、子供自身が父親と暮らすことを望んでいる場合は、その意思が尊重される可能性が高いでしょう。
父親が主たる監護者だった 保育園の送迎や食事の準備など、子供のことをすべて父親に任せきりにしていた場合は、父親が有利となり、母親に親権が認められない場合もあります。
父親は親権者になれないのか?
最近では父親が親権者となるケースも増えてきています。
しかし、共働き家庭が増えたといっても、父親が仕事に励み母親が家事育児を担っている家庭もあるでしょう。
父親が親権を獲得するためには、次のようなポイントを押さえておくことが大切です。
- 積極的な監護実績を作る
- 離婚後に子供と過ごす時間を確保する
親権を獲得するためには、子供の監護養育に携わってきた実績が必要です。これは、どれだけ子供に接し、世話をしてきたかという点が大切です。
例えば、仕事の時間を調節できるようにしたり、父親の両親など周囲の協力が得られるような体制を整えたり、子供を養育する環境を整えておくことが大切です。
父親が親権を勝ち取るためのポイントについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
合わせて読みたい関連記事
離婚のご相談受付
来所法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
離婚後に親権を変更することはできる?
離婚後に親権者を変更することは可能です。ただし、親権は子供の人生にかかわる重要な権利なので、親が話し合っただけでは変更できません。
親権者を変更するためには、家庭裁判所に親権者変更調停を申し立てて、夫婦間の合意を得ます。
そして、裁判所にも親権者を変更して問題ないと認めてもらわなければなりません。
なお、2026年4月1日に施行される民法改正後は、単独親権から共同親権への移行が可能です。共同親権への移行でも、裁判所で同様の手続きを行います。
親権者の変更方法についてお知りになりたい方は、以下のリンク先で詳しく解説していますので、ぜひご参考になさってください。
合わせて読みたい関連記事
親権争いを有利に進めるポイント
親権についての話し合いや、家庭裁判所の手続きで争いになったときに、有利に進めるためには以下のような点がポイントになります。
- 主たる監護者であったことを主張する
- 面会交流(親子交流)を充実させる
- 調停委員を味方につける
- 親権に強い弁護士に相談する
主たる監護者であったことを主張する
親権を獲得するために、これまで主に子供を監護・養育してきたことを主張しましょう。
子供と過ごす時間を十分に確保できる生活環境があることなどを、丁寧に説明すると効果的です。
また、周りに子供のサポートをしてくれる親戚がいて、必要なときに協力してもらえる体制が整っていることも、安心材料として強調できます。
子供にとって、より良い環境を提供できる親であることをアピールしましょう。
面会交流を充実させる
自分が親権者になった場合には、充実した面会交流を行うと約束しましょう。
面会交流は子供にとって重要な機会なので、許容する姿勢でいると親権獲得には有利に働きます。
親権を獲得できなかった親でも、定期的に子供と会うなどの交流をする権利があります(面会交流権)。
親権者の感情や判断によって、親子の面会交流を拒絶することは、基本的にはできません。
ただし、面会交流をすることが、かえって子供にとって不利益になると判断されるようなケース(暴力を振るう、連れ去りのおそれがあるなど)では、面会交流の制限が認められます。
面会交流の制度についてお知りになりたい方は、以下のリンク先で詳しく解説していますので、ぜひご参考になさってください。
合わせて読みたい関連記事
調停委員を味方につける
調停委員が味方になってくれるような言動を心がけましょう。
そのために、なるべく冷静に振る舞う必要があります。相手方の悪口などを過剰に話すと、悪い印象を持たれてしまうおそれがあります。
譲歩を求められる場合もあるので、妥協できる点とできない点を事前に整理しておかなければなりません。
調停委員からの質問には正直に回答しましょう。
嘘をついてはいけませんし、曖昧な答えもしないように注意しましょう。
親権に強い弁護士に相談する
弁護士に相談するときには、離婚で親権問題を扱った経験の多い事務所を選びましょう。
依頼をすれば、弁護士が代理人として相手方と交渉できます。
家庭裁判所の手続きでも、手続きを任せられるだけでなく、代理人として主張・立証してもらうことが可能です。
調停委員や裁判官は、一方の味方をするわけではありません。
弁護士は依頼者の味方であり、過去の経験や法的な観点から交渉や調停の有利な進め方を熟知しているため、親権を獲得できる可能性が高まります。
離婚時の親権に関するよくある質問
親権者と保護者の違いは何ですか?
親権者と保護者の違いは以下のとおりです。
- 親権者:法律上の権限者
- 保護者:日常的な世話をする人の総称
親権者とは、民法で定められた身上監護権や、財産管理権を持つ者です。
保護者とは、子供を保護・世話する者であり、親権者よりも幅広い存在だと考えられています。
親権者は法律上の存在であり、どれだけ子供と仲良くしていても、親権者でなければできないこともあります。
保護者は、子供の面倒を見る人であり、両親以外に祖父母などが該当するケースもあります。
母親が親権者になった場合、子供の戸籍はどうなりますか?
親権者になったからといって、自動的に子供の姓と戸籍が変更されるわけでないため、注意が必要です。
離婚前の戸籍の筆頭者が父親であったケースでは、離婚後の親権者が母親がとなった場合でも、そのまま何もしなければ子供は父親の戸籍に入ったまま、姓も父親と同じ姓のままです。
この状態を解消したければ、母親は以下の3つの手続きを経なければなりません。
- 自分が筆頭者となる新たな戸籍を作る
- 家庭裁判所に対し、子供の姓を自分の旧姓に変更する手続きを申し立て、許可を得る(子の氏の変更許可手続)
- 役所で子供の戸籍を自分の戸籍に移す手続きをする(入籍)
これらの手順を踏まないと、子供と自分の姓を揃え、子供と自分の戸籍を同じにすることはできません。
不倫・浮気をした側でも親権者になることは可能ですか?
基本的には、「親権者としての適格性」と「離婚原因」は別問題として考えられるため、不倫や浮気をした側でも親権者になれる可能性は十分にあります。
確かに、不倫や浮気をする人は「配偶者」として相応しくないかもしれません。
しかし、「親」としても相応しくないかと言えば、必ずしもそうとは言い切れません。
不倫や浮気をしていても、子供にはきちんと愛情を注ぎ、育児を行っているケースでは、親権者としての適格性まで否定されることはないでしょう。
ただし、不倫や浮気にのめり込み、育児放棄や虐待を行っていたような場合では、当然ながら親権は認められません。
専業主婦でも親権を獲得することはできますか?
たとえ離婚時に無職の専業主婦であっても、親権を獲得することは十分可能です。
実際に、約9割の母親が親権争いで親権を勝ち取っているという統計データもあり、その中には多くの専業主婦が含まれています。
特に、子供の年齢が幼ければ幼いほど(特に乳幼児)、母親の職業や収入状況にかかわらず、母親に親権が認められる可能性が高いです。
また、専業主婦として無職であり、離婚時の経済力が乏しくても、離婚後は父親から養育費を受け取ることが可能です。
さらに、母子家庭に対する公的な助成制度・扶助制度も受けることができます。
そのため、離婚時の夫婦の経済力の差は、親権者の適格性の判断に際し、実際はあまり重視されません。
離婚時に親権でもめそうな場合は弁護士法人ALGにご相談ください
離婚する際には、父母のどちらが親権者となるのか決めておかなければ、役所で離婚届は受理されません。
父母のどちらも「子供を引き取りたい」、「親権は譲りたくない」などと思う気持ちが強く、なかなか離婚が成立しないケースも少なくありません。
親権問題について、お悩みのある方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
親権を獲得するためには抑えておくべき条件があります。
それぞれの個別の事情を伺ったうえで、どのようにすれば親権を獲得できる可能性が高まるかアドバイスいたします。
また、弁護士に依頼すれば相手と直接交渉も可能ですし、調停や裁判などの裁判所の手続きも代わりに行います。まずは、弁護士法人ALGにお気軽にお問合せください。
離婚のご相談受付
来所法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

























