離婚届は郵送で提出できる?投函前に知っておくべき5つのこと
離婚届は郵送で提出することができます(戸籍法47条参照)。
例えば、「直接役所へ行って提出する時間がない」、「離婚届を提出しているところを誰かに見られたくない」といった場合にはとても有効な手段でしょう。
ただ、“郵送の場合ちゃんと受理されるのか”、“どこの役所に郵送すればいいのか”など、不安なことも多くあると思います。
この記事では、離婚届を郵送で提出するメリットやデメリット・提出方法などについて解説していきます。
目次
離婚届は郵送でも提出できる命令とは
離婚届は郵送での提出が認められています。
郵送された離婚届は営業日に役所で確認が行われ、不備がなければ受理され、当事者双方に対して受理通知が送付されます。
例外的に、夫婦のどちらかが離婚届不受理申出をしている場合は、郵送で離婚届を提出しても受理されません。
離婚届不受理申出は、夫婦のどちらか一方が勝手に離婚届を提出してしまうことを防ぐものであり、申出人が取り下げ手続きをするか、自ら窓口に離婚届を提出しないと受理されないことになっています。
離婚届を郵送するメリット・デメリット
離婚届を郵送で提出することは、平日に仕事を休まなくていいなどのメリットがあり、便利な手段です。
しかし、こうしたメリットだけでなくデメリットもあります。
郵送で提出するかどうかは、メリット・デメリットを比較して検討しましょう。
離婚届を郵送するメリット
離婚届を郵送で提出するメリットは以下のとおりです。
-
役所に出向く必要がない
離婚届を役所の窓口で提出しようとすると、仕事や家事・育児が忙しく、役所に行く時間が取れない場合もあります。
郵送なら仕事を休んだり、遠くの役所で手続きを行ったりする必要がなく、手間や時間がかかりません。 -
人目が気にならない
役所で提出するとなると、どうしても気になるのが人目です。
万が一知り合いに会ってしまうことは避けたいものでしょう。郵送であれば、誰とも顔を合わせず離婚届を提出できます。 -
本籍地の役所に郵送すれば戸籍謄本が不要となる
夫婦の住所地と本籍地が異なり、住所地に離婚届を提出する場合は夫婦の戸籍謄本が必要です。郵送で戸籍謄本を取得するとなると手間と時間がかかってしまいます。
本籍地へ郵送で離婚届を提出する場合は戸籍謄本を添付する必要がないため、手間が省けます。
離婚届を郵送するデメリット
郵送した離婚届に不備があった場合、訂正処理をしなければならなりません。
訂正は必ず記入者本人が行わなければなりません。
役所が開庁している平日の昼間に役所に訂正者本人が出向き、ご自身で訂正する必要があります。
また、郵送した離婚届が何らかの理由により、紛失してしまうことも考えられます。
役所に届かなかった場合は、当然ながら離婚届を受理することはできないため、受理通知が届かない場合は役所に確認しましょう。
離婚届を郵送で提出する方法
離婚届を郵送で提出する場合は、必要書類を揃え封筒へ入れ市区町村役場に郵送します。
その際、どこの役所に提出すればいいのでしょうか。また、どのような書類を準備すればいいのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
離婚届の郵送先
離婚届は夫婦の本籍地または所在地を管轄する役所に提出します。
別居をしていて夫婦の住所地が異なる場合は、どちらかの住所地を管轄する役所に提出することも可能です。
ただし、本籍地以外の住所地に提出する際は、戸籍謄本が必要です。
そのため、このような手間を省くためにも、本籍地があるところの役所に郵送すると良いでしょう。
離婚届を郵送する場合の必要書類
離婚届を郵送で提出する場合は、以下の書類を準備しましょう。
- 離婚届1通(当時者、証人欄記入済)
- 戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)
- 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなどのコピー)
もっとも、これらは協議離婚(夫婦の話し合い)の場合に必要な書類です。
調停や裁判を経て離婚届を提出する場合は、これらに加えて下表の書類が必要です。
| 調停離婚 | 調停調書の謄本 |
|---|---|
| 審判離婚 | 審判書の謄本、確定証明書 |
| 裁判離婚 | 判決書の謄本、確定証明書 |
| 和解離婚 | 和解調書の謄本 |
また離婚届を提出するだけでなく、
- 婚姻中の姓を名乗り続ける
- 旧姓に戻るが子供も旧姓にする
- 婚姻中の姓で新しい戸籍を作る
- 子供を自分の戸籍に入れる
など、姓や戸籍について手続きをする場合は、別途書類が必要であり、このケースは役所に出向いた方が早いかもしれません。
離婚の種類については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。
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離婚届を郵送で提出する場合の注意点
離婚届は郵送で提出でき、受理されますが注意しておくべきことがあります。
提出した後に後悔しないためにも、事前に確認しておきましょう。
離婚成立日は離婚届を郵送した日ではない
郵送で離婚届を提出した場合、離婚成立日はいつになるのか、気になる方も多いでしょう。
正式な離婚成立日は、離婚届を郵送した日ではありません。
郵送された離婚届が役所の営業日に不備がないか確認され、受理された日が離婚成立日となります。
離婚届に不備がないよう書き方に注意する
郵送した離婚届に不備がある場合は受理されません。
提出した役所で訂正が必要となり、必ず訂正する本人が出向かなければなりません。
このような手間がないように、離婚届を郵送する前には不備・不足がないか確認しましょう。
【書き方で気を付けるポイント】
-
修正液や修正テープは使わない
誤った内容を記入してしまった場合は、修正液や修正テープ使用せず、訂正した部分に二重線を引いて欄外に正しい記入をしましょう。 訂正印は任意となっています。 -
鉛筆や消えるボールペンは使わない
離婚届は鉛筆や消えるボールペンは使えません。 通常のボールペンかサインペンで記入するようにしましょう。
また、2021年9月1日から離婚届への押印は任意となりました。
協議離婚の場合、届出人および証人の署名のみで届出が可能です。
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離婚届を郵送・提出前に決めておくべきこと
離婚届に記入できたら、なるべく早く郵送して離婚を成立させたいと思うかもしれません。しかし、お金に関することは離婚前に決めておくべきでしょう。
離婚後では、相手方が話し合いに応じてくれない場合もあり、調停を申し立てるなど大きな負担になってしまう可能性もあります。
離婚の際に発生するお金について確認しておきましょう。
-
慰謝料
相手の不貞行為やモラハラ・DVなどが原因で離婚することになった場合は慰謝料を請求できます。
慰謝料の金額や支払い日などしっかりと決着がついているか確認しましょう。 -
財産分与
財産分与の内容や金額に納得できていますか?少しでも不安や不満が残っている場合は、離婚届を出す前に解決するようにしましょう。 -
養育費
養育費は子供を監護・養育するために必要な費用です。
離婚が決まる前に毎月の金額・支払い方法・支払い終期などをきちんと決めて書面に残しましょう。
お金に関する条件は特にしっかりと決めておきたいものですが、話し合いにくいと感じる部分でもあると思います。
相手方との離婚条件についての交渉は、弁護士にご相談ください。
弁護士は代理人として不利にならないよう相手方と交渉していきます。
離婚準備については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。
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弁護士の主張により、350万円の慰謝料と養育費を獲得した事例
【事案の概要】
相手方は不貞行為を繰り返し、それを認めていました。
しかし、相手方は不貞行為は依頼者のせいであると開き直ったため、依頼者は離婚を決意しました。
離婚に際し、慰謝料を適正額請求したいとのご希望から当事務所にご依頼いただきました。
【弁護士活動】
弁護士は離婚調停を申立て、調停委員に対し不貞の証拠を見せ、不貞が繰り返し行われ、かつ悪質であることを主張しました。しかし、相手方は依頼者が悪いとの主張を繰り返し、なるべく低額の慰謝料で済ませようとしました。
担当弁護士は、不貞行為が悪質で裁判になれば高額な慰謝料になることを繰り返し主張し、また、依頼者の心痛を調停委員に訴えかけ、調停委員を介して相手方を説得しました。
【結果】
最終的には相手方と、慰謝料350万円、養育費は双方の収入から算出される適正額で合意し、離婚調停が成立しました。
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離婚届の郵送に関するQ&A
離婚届は郵送で取り寄せることはできますか?
離婚届の入手方法は以下の通りです。
-
役所へ取りに行く
役所の市民課や戸籍課で用紙をもらえます。
また、基本的に役所は平日の昼間しか開庁していませんが、なかには、土日や夜間に開庁している役所もあるので、ご自身の都合に合わせて訪ねてみましょう。 -
ダウンロードする
多くの役所のホームページでは、離婚届がダウンロードできます。A3用紙に印刷して使用しましょう。
その際、モノクロ印刷で構いません。ただし、なかには印刷した離婚届を受け付けてくれない役所もあるので事前に確認しましょう。
なお、郵送で離婚届を送ってほしい場合は、まずは送ってほしい役所にそのようなサービスを行っているか確認しましょう。
その際、往復の切手や封筒など必要なものについても漏れなく聞いておきましょう。
離婚届は書留で郵送した方が良いですか?
離婚届は必ずしも「書留」で郵送しなければならないという決まりはありません。「定形郵便物」として普通郵便で郵送できます。
しかし、普通郵便は追跡サービスや万が一の場合の損害賠償制度がありません。
そのため、有料のオプションを付けると良いでしょう。追跡サービスのみで良い場合は「特定記録」というオプションに申し込みましょう。
追跡サービスも損害賠償も両方つけたい方は書留を利用しましょう。書留には「簡易書留」と「一般書留」の2種類があります。
簡易書留の方が安価ですが、一般書留にすると配送状況を詳しく追跡できたり、損害賠償額が簡易書留より高額であったりといったメリットがあります。
離婚届を先に書いて相手に郵送で送り付けてもいいですか?
離婚を決意した方の中には、既に別居をしていて相手と会いたくないと思う方もいらっしゃるでしょう。
相手に郵送で記入済みの離婚届を送ることは可能ですが、おすすめはできません。
相手に離婚意思がなければ離婚届を送付しても、提出してくれる可能性は低いでしょう。
また、親権者を話し合って決めた場合でも、親権者を勝手に書き換えられてしまう可能性も無いとは言い切れません。
離婚届は目の前で記入してもらい、不備・不足がないことを確認してから提出しましょう。
相手と2人で会うことが難しい場合は、親族など第三者に入ってもらうと良いでしょう。
離婚届を郵送する前に一度弁護士に相談することをおすすめします。
離婚届を郵送で提出する前には、メリット・デメリットを検討し、郵送するかどうか判断することをおすすめします。
郵送する際は事前に不備や不足がないか入念にチェックしましょう。
また、郵送前には、離婚条件についてしっかり取り決めておきましょう。離婚後だと相手方が話し合いに応じてくれず、後悔してしまうおそれもあります。
離婚についてお悩みの場合は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
離婚に詳しい弁護士であれば、郵送前の離婚届について不備・不足がないかチェックすることができますし、離婚条件についても相談者様に不利にならないよう、相手方と交渉していきます。
私たちは離婚に関する全般をサポートし、相談者様の離婚後の生活が明るいものになるよう尽力いたします。
離婚のご相談受付
来所法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)






















