性の不一致を理由に離婚できる?慰謝料請求や離婚率などを解説
配偶者から性交渉を拒まれる、身体的な問題でうまくいかないなど、性の不一致は離婚を考える大きな要因になり得ます。とはいえ、性の不一致を理由に離婚が認められるのか、慰謝料を請求できるのか悩む方も少なくありません。
また、離婚を求められた側が拒否したい場合、どのような対応が可能でしょうか。
この記事では、性の不一致で離婚ができるのか、慰謝料の相場、離婚を避けたいときの対応策などについて、詳しく解説します。
目次
性の不一致とは
「性の不一致」とは、夫婦間で性的な価値観や欲求が合わない状態を指します。
法律上の明確な定義があるわけではありませんが、性交渉の頻度や性的嗜好の違い、身体的・精神的な問題によって夫婦間の性生活全般がうまくいかない状態を意味します。
性の不一致は単なる生活習慣の違いではなく、精神的な負担や不満を長期的に生じさせるため、離婚原因となるケースも少なくありません。
性の不一致の具体例
性の不一致は、夫婦間においてさまざまな形で現れます。
具体的な例を挙げると、以下のようなケースが代表的です。
- セックスレス:長期間にわたり性交渉がない状態
- 性的欲求の差:求める頻度やタイミングが合わない
- 性的嗜好の不一致:好みや方法が異なる、または一方が受け入れがたい嗜好を持つ
- 性機能の問題:EDや膣部の疼痛・狭窄など、医学的理由で性交が困難
- 価値観の相違:妊娠や出産に関する考え方が異なる
性生活は夫婦関係の重要な要素であり、長期化すると精神的な負担や不満が蓄積して、離婚問題に発展する場合もあります。
性の不一致による離婚率はどれくらい?
令和6年度の裁判所の司法統計によると、離婚調停を申し立てた側が「性的不調和」を申立て理由のひとつに挙げた割合は、夫が約10.5%、妻が約6.6%でした。
| 申立人 | 離婚調停の申立件数 | 性的不調和が申立ての動機として挙げられた件数(※) | 割合 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 5万8429件 | 4484件 | 約7.6% |
| 夫 | 1万5396件 | 1622件 | 約10.5% |
| 妻 | 4万3033件 | 2862件 | 約6.6% |
「性的不調和」には、単にセックスレスだけでなく、身体的・精神的な問題による性交不能や、性交渉の要求の差、性的嗜好の不一致や異常性癖など、幅広い要因が含まれています。
10%前後という数字は一見少なく感じるかもしれませんが、決して珍しいことではありません。
上記の統計は離婚調停に至った場合であり、実際には夫婦間の話し合いで離婚が成立するケースも多く存在します。
こうした背景から、性の不一致は離婚を検討する大きな要因の一つといえるでしょう。
性の不一致を理由に離婚はできる?
性の不一致は、夫婦が話し合いで合意すれば協議離婚や離婚調停で離婚できます。
協議離婚は最も簡単な方法で、双方が条件に納得すれば成立します。
離婚調停は、家庭裁判所で第三者を交えて話し合う手続きです。
一方、どちらかが離婚を拒否して合意できない場合は、離婚裁判に進みます。
裁判では、裁判所が民法で定める法定離婚事由に該当するかどうかを判断するため、性の不一致だけでは離婚が認められにくいケースもあります。
協議・調停|話し合いで合意すれば離婚できる
協議や調停は、夫婦の話し合いが基本であり、夫婦双方が離婚や離婚条件に合意できれば離婚理由は問われません。
性の不一致を理由に離婚したい場合は、夫婦間の話し合いによる合意を目指しましょう。
協議離婚
夫婦の話し合いにより離婚や離婚条件を取り決める方法です。さまざまな離婚条件を話し合い、合意したうえで離婚届を役所に提出すると離婚が成立します。
離婚調停
家庭裁判所で調停委員を間に挟み、話し合いによる解決を目指す手続きです。性の不一致はプライベートな問題であるため、直接話し合うことに抵抗を感じる方も多いですが、調停なら心理的負担を軽減できます。
協議離婚や離婚調停については、以下の各ページで詳しく解説しています。
裁判|離婚が認められるには法定離婚事由が必要
夫婦間で話し合いや調停を行っても合意に至らない場合、最終的には離婚裁判で争います。
裁判で離婚を認めてもらうには、民法第770条で定められた法定離婚事由に該当する必要があります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 強度の精神病で回復の見込みがない
※2026年4月施行予定の改正民法により削除が予定されています - その他婚姻を継続し難い重大な事由
法定離婚事由(民法第770条)
性の不一致を理由に裁判で離婚を求める場合、⑤「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかがポイントです。
単なる性生活の不満だけでは離婚理由として認められにくいのが実情です。
長期間にわたる性交拒否や合理的理由のない拒否によって精神的苦痛が大きい場合など、婚姻関係が実質的に破綻していると見られるケースで、裁判所が離婚を認める可能性があります。
離婚裁判については、以下のページで詳しく解説しています。
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性の不一致で離婚が認められやすいケース
性の不一致を理由に離婚裁判で認めてもらうには、婚姻関係の破綻が明らかである点が重要です。
性の不一致で婚姻関係が破綻していると判断されやすいケース
- 合理的な理由がないにもかかわらず長期間にわたり性交渉を拒否し、相手に強い精神的ストレスを与えている場合
- 配偶者に性的異常があり、相手が精神的負担を強いられているケース
- EDなどによる性交不能が長期化し、夫婦関係の修復が困難と判断される場合
性の不一致のみで離婚を成立させるのは難しいものの、深刻な影響で婚姻関係が破綻していると証明できれば、裁判で離婚が認められる可能性があります。
性の不一致で離婚が認められにくいケース
性の不一致を理由に離婚を求めても、すべてのケースで認められるわけではありません。
特に、加齢による性的能力の低下や体調不良など、自然な変化に伴う性交困難は、裁判で「婚姻を継続し難い重大な事由」と判断されにくい傾向があります。
また、性交渉が行われなくなった期間が短い場合も、夫婦関係が破綻しているとまでは認められません。
裁判所は、婚姻関係の修復可能性や、拒否の理由が合理的かどうかを重視します。例えば、病気や精神的負担による一時的な拒否は、離婚理由としては弱いとされます。
性の不一致のみで離婚を成立させるには、長期間にわたる拒否や精神的苦痛の証明が必要です。
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性の不一致による離婚で慰謝料は請求できる?
性の不一致が原因で離婚する場合、慰謝料を請求できるかどうかは「有責性」の有無で判断されます。
例えば、合理的な理由もなく一方的に性交渉を拒否し続ける、セックスレス解消に協力しないなど、相手の行為が婚姻関係の破綻に大きく影響している場合は、慰謝料請求が認められる可能性があります。
ここからは、性の不一致で慰謝料を請求できる具体的なケースや、慰謝料の相場と高額になりやすいケースを解説します。
セックスレスによる慰謝料請求については、以下のページで詳しく解説しています。
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性の不一致で慰謝料を請求できるケース
性の不一致が原因で離婚する場合でも、慰謝料が認められるのは相手に有責性がある場合です。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 不妊治療を望んでいるのに、正当な理由なく性交渉を拒否し続ける
- セックスレス解消に向けた話し合いや努力に協力せず、無関心を貫く
- 一方的な性交拒否が長期間続き、精神的苦痛を与えている
- 性的異常や異常な嗜好を押し付け、相手に強い負担をかけている など
これらの事情は、婚姻関係が破綻した主な原因と評価されやすく、慰謝料請求が認められる法的根拠となり得ます。
ただし、慰謝料の請求を検討する際は、性交拒否の事実や精神的苦痛を示す証拠を集めるのが重要です。
性の不一致による慰謝料の相場と高額化しやすいケース
性の不一致を理由に離婚する場合の慰謝料の相場は、0~100万円程度とされています。
ただし、性の不一致のみを理由に高額な慰謝料が認められるケースは少なく、精神的苦痛の程度や婚姻関係の破綻に至った経緯が重視されます。
慰謝料が高額になりやすいケース
性の不一致を理由に離婚する際のポイント
性の不一致を理由に離婚を進める場合、証拠や手続きの準備は欠かせません。
さらに、離婚後の生活やトラブル防止のためにも、事前に押さえておくべき重要なポイントがあります。
以下で、具体的な注意点を整理しました。
- 性の不一致の深刻さが分かる証拠を集める
- 夫婦で性の不一致があっても不貞行為をしない
- 離婚に詳しい弁護士に相談する
性の不一致の深刻さが分かる証拠を集める
裁判で性の不一致による離婚を認めてもらうには、婚姻関係が修復困難であることを示す証拠が重要です。
裁判所は、単なる性生活の不満ではなく、長期的な性の不一致や精神的苦痛の程度を重視するため、客観的な証拠を集めることが重要です。
証拠の具体例
- 性交渉拒否の事実
合理的な理由がないにもかかわらず、長期間にわたり性交渉を拒否していることを示す記録が必要です。 - メールのやり取りや録音データ、日記
性交拒否や話し合いの経過を示すメールやLINE、会話の記録、日記などは有力な証拠になります。 - 精神的苦痛の証拠(診断書など)
拒否によるストレスやうつ症状などが医師により診断されている場合、その診断書は強い証拠となります。
これらの証拠があることで、性の不一致が「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当すると裁判所に判断してもらいやすくなります。
どの証拠が有効か、どのように確保すべきかについては専門的な判断が必要なため、弁護士への相談をおすすめします。
夫婦で性の不一致があっても不貞行為をしない
性の不一致が原因で夫婦関係に不満を抱えていても、不貞行為をするのは避けるべきです。
離婚が成立する前に不貞行為を行うと、裁判で不利になるだけでなく、配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
性の不一致は離婚理由として認められる場合がありますが、不貞行為は明確な「有責行為」とされ、離婚条件や慰謝料額に大きく影響します。
さらに、離婚を有利に進めたいと考えていても、不貞行為が発覚すれば逆に立場が悪化し、交渉が難しくなる場合もあります。
離婚に詳しい弁護士に相談する
性の不一致を理由に慰謝料を獲得して離婚したい、できるだけ有利な条件で離婚したいと考えるなら、弁護士への相談がおすすめです。
性の不一致はプライベートな問題であり、証拠の収集や交渉は難易度が高くなります。
弁護士に相談すれば、性交拒否や精神的苦痛を示す証拠の収集方法、どの証拠が有効かといった具体的なアドバイスを受けられます。また、離婚条件の交渉、調停や裁判の手続きも任せられるため、精神的負担を大きく軽減できます。
特に裁判では「婚姻を継続し難い重大な事由」を立証する必要があり、専門的な知識と戦略が非常に重要です。
性の不一致で離婚したくない場合の解決策
性の不一致による離婚を避けたい場合、関係修復を目指すのが大切です。
具体的には、以下のような対策を検討しましょう。
- 夫婦カウンセリングや心理専門家へ相談する
- 裁判所の「円満調停(夫婦関係調整調停)」を利用して関係修復を目指す話し合いを行う
- コミュニケーションを深めて互いの価値観や希望を理解し、妥協点を探る努力をする
- 一時的な別居で冷却期間を設ける
離婚を回避したい場合は、早めに専門家へ相談し、最適な方法を選ぶのが大切です。
円満調停と別居については、以下のページで詳しく解説しています。
性の不一致での離婚にお悩みの場合は弁護士にご相談ください
性の不一致は、夫婦関係に深刻な影響を与える問題であり、離婚原因となるケースもあります。しかし、裁判で離婚や慰謝料請求を認めてもらうには証拠や手続きの準備が必要です。
こうした複雑な問題を一人で解決するのは非常に難しいため、弁護士への相談をおすすめします。
私たち弁護士法人ALGは、性の不一致に関する証拠の収集方法や相手方との交渉、調停・裁判の対応までトータルサポートが可能です。
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性の不一致によって離婚を検討している方も、関係修復を望む方も、まずはお気軽にご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

























