婚姻費用と養育費の違いは?どちらをもらう方が良いの?
離婚についてお考えの方のなかには、婚姻費用と養育費について、「これって何が違うの?」「どっちをもらう方が得なの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。
この2つは似た言葉ではありますが、意味はまったく異なります。
離婚を検討している場合には、婚姻費用と養育費の違いを理解しておくことが重要でしょう。
この記事では、婚姻費用と養育費の違いや金額の計算方法、請求方法などについて詳しく解説していきます。
目次
婚姻費用と養育費の違いは何?
まずは、婚姻費用と養育費の違いについて見ていきましょう。
このように、婚姻費用と養育費は、請求できる期間や費用の内訳が異なります。
では、実際にどの程度違いがあるのか見ていきましょう。
請求できる期間
婚姻費用と養育費の請求できる期間の大きな違いは以下の表のとおり、離婚前か離婚後かとなります。
| 婚姻費用 | 養育費 | |
|---|---|---|
| 請求できる期間 | 婚姻開始時~離婚前まで | 離婚後~取り決めた終期まで |
婚姻期間中(離婚前)であれば同居の有無にかかわらず、夫婦は婚姻費用を分担する義務を負うため、離婚するまでは婚姻費用を請求できます。
一方、養育費は、離婚後の未成熟子の監護や教育に要する費用であるため、離婚後に請求できるようになります。
費用の内訳
婚姻費用と養育費は以下の表のように、内訳が異なります。
| 婚姻費用 | 養育費 | |
|---|---|---|
| 費用の内訳 |
|
|
大きな違いとして、婚姻費用は、婚姻関係にある夫婦とその子供が生活を維持するために必要な費用ですので、同居または別居開始時から離婚するまでの配偶者の生活費と子供の養育費が含まれます。
一方、養育費は、離婚後に子供を養育する元配偶者に支払われる子供の監護および教育に要する費用です。
離婚後は、夫婦は他人同士に戻るため、離婚後に元配偶者への生活費の支払い義務はなくなります。
しかし、子供は離れて暮らしていても親子の縁は切れませんので、当然に扶養義務があります。そのため、離婚後はこれまで支払っていた子供の生活費を「養育費」として支払っていくことになります。
婚姻費用と養育費はどちらをもらう方が良いのか
婚姻費用と養育費はどちらをもらう方が得なのか、ということは気になるところでしょう。
まず、婚姻費用と養育費はどちらも生活費ではありますが、以下のような違いがあります。
婚姻費用=配偶者の生活費+子供の養育費
養育費=子供の養育費
このことから、婚姻費用をもらう方が金額面では有利といえるでしょう。
しかし、婚姻費用は離婚してしまえば受け取ることはできません。そのため、離婚後に生活費に不安がある場合は、ひとり親への助成金など、さまざまな公的支援制度を検討してみましょう。
婚姻費用や養育費の金額の決め方
婚姻費用や養育費の金額については、まずは夫婦の話し合いで決めていきます。夫婦が合意すれば金額はいくらになっても構いません。
しかし、金額で揉めてしまう場合は、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」を用いて相場を確認して話し合うことも良いでしょう。
この算定表は、調停や審判でも用いられるものであるため、相場として適正であることが分かります。
例えば、子供1人(6歳)、夫の年収:500万円、妻(子供の親権者):年収0円(専業主婦)の場合では、以下のように算出できます。
婚姻費用:月額10万~12万円
養育費:月額6万~8万円
養育費の計算については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。
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婚姻費用や養育費をもらえない場合の対処法
夫婦で話し合っても婚姻費用や養育費の金額に合意できない、または、合意した金額を支払ってもらえない場合は、家庭裁判所に調停の申立てができます。
婚姻費用の調停は「婚姻費用の分担請求調停」、養育費の調停は「養育費請求調停」と呼びます。
調停では、調停委員が間に入り双方の主張を聞いていくため、配偶者と顔を合わせず話し合うことができます。
調停をしても双方が合意できない場合は、調停不成立となり、審判に移行します。審判では、当事者の話し合いではなく裁判所が判断を下します。
婚姻費用の分担請求調停については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。
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婚姻費用は認められないケースもある
以下のようなケースでは、例外的に婚姻費用の請求が認められない可能性があります。
- 有責配偶者から婚姻費用を請求する場合
- すでに離婚が成立している場合
- 正当な理由なく一方的に別居をした場合
- 同居して生活費を分担している場合
このように、すでに離婚していたり、生活費を分担している場合は、当然ながら婚姻費用の請求はできません。
また、請求する側が不貞行為や悪意の遺棄をした有責配偶者であれば、権利濫用と考えられ婚姻費用が減額または制限される可能性があります。
離婚のご相談受付
来所法律相談30分無料
※事案により無料法律相談に対応できない場合がございます。※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。
婚姻費用や養育費について弁護士に依頼するメリット
婚姻費用や養育費について、弁護士に相談・依頼するメリットは以下のとおりです。
-
婚姻費用や養育費についての法的なアドバイスがもらえる
配偶者から提示された金額や夫婦で話し合った金額が、法的に適切であるかを精査し、アドバイスします。 -
婚姻費用や養育費に関する交渉を任せられる
弁護士はあなたの代理人として配偶者と交渉していきます。その結果、法的に適切な金額を受け取れる可能性が高まります。 -
調停や審判になった場合のサポートを受けられる
話し合いでは折り合いが付かず、調停や審判となった場合にも、弁護士がお力になります。慣れない家庭裁判所の手続きについてサポートしていきます。
支払能力が低い夫から、弁護士依頼により婚姻費用満額と養育費を獲得した事例
事案の概要
依頼者は相手方の不貞行為を知り、早期に離婚したいが、相手方の資力が乏しく慰謝料や養育費を支払ってもらえる可能性が低い中で、どのように交渉していけば良いか不安に思われ、当事務所にご依頼いただきました。
担当弁護士の活動
弁護士は調停を申し立て、調停委員を通じて相手方に毎月いくらまでの支払いであれば確実に支払うことができるか問いかけました。
また、車内に搭載したGPSの移動履歴など不貞行為の証拠から不貞行為をした事実を調停の場で言い逃れ出来ない状況を作りました。
結果
調停結果として、以下の内容で合意に至りました。
- 慰謝料150万円を支払うこと
- 養育費の毎月の支払いに約1万円程度上乗せして、未払い婚姻費用を約3年程度支払い続けること
など
婚姻費用と養育費に関するよくある質問
婚姻費用や養育費はどっちが払うのでしょうか?
婚姻費用と養育費の義務者(支払う側)と権利者(受け取る側)について解説していきます。
婚姻費用
義務者:収入の多い方
権利者:収入の少ない方
例)夫:収入600万円、妻:収入300万円(子5歳養育)の場合
⇒ 夫(義務者)から妻(権利者)に月額8万~10万円を支払う
養育費
義務者:子供と離れて暮らす方の親(非親権者、非監護権者)
権利者:子供と一緒に暮らし養育する親(親権者、監護権者)
例)夫:収入600万円、妻:収入300万円(子5歳養育)の場合
⇒ 夫(義務者)から妻(権利者)に月額4万~6万円を支払う
婚姻費用をもらい続ける方法はありますか?
婚姻費用をもらい続けるためには、以下のような方法があります。
- 別居を続ける
- 離婚に応じない
- 協議離婚を長引かせる
しかし、別居が続いているのにも関わらず、離婚に応じないとなれば配偶者が弁護士を入れたり、調停や裁判の手続きを進める可能性もあります。
婚姻費用はできるならもらい続けたいという気持ちも分かりますが、配偶者とやり直す気が無いのなら、経済的に自立できるよう行動することも大切です。
別居中に婚姻費用と養育費は両方請求できますか?
婚姻費用と養育費を同時に両方請求することはできません。
婚姻費用は、婚姻関係にある期間にかぎって請求できるものであり、養育費は離婚後に子供の養育の費用として請求できるものです。
子供を連れて別居した場合には、婚姻費用のなかに子供の養育費も含まれています。
婚姻関係にあるうち(離婚前)は、婚姻費用を請求し、離婚に至った場合に養育費を請求することになります。
婚姻費用と養育費についてお悩みの方は弁護士法人ALGへご相談ください!
婚姻費用や養育費は、あなたやお子様が生活をしていくうえで大事な費用です。
少しでも婚姻費用や養育費についてお悩みがある場合は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
私たちは、ご相談者様の個別事情に合わせ、法的に適切な金額を配偶者に交渉していきます。また、配偶者が応じない場合も、弁護士はあなたの味方です。
調停や審判の手続きも、しっかりとサポートしていき、あなたの代理人となって主張・立証していきます。
少しでもお悩みの方は、まずは一度、私たちにお話をお聞かせください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)




















