セックスレスで離婚できる?慰謝料請求から進め方まで詳しく解説
セックスレスは夫婦間でも非常にデリケートな問題で、証明が難しいため離婚理由として認められるか悩む方が多くいます。
「セックスレスだけで離婚できるのか」「慰謝料は請求できるのか」といった疑問やお悩みを解決するためには、正しい法的知識が必要です。
この記事では、セックスレスで離婚が認められるケースと認められないケースや慰謝料の請求などについて、詳しく解説します。
セックスレスとは?
セックスレスとは、夫婦間で長期間にわたり性交渉がない状態を指します。
法律上、明確な定義はありませんが、一般的には、特別な事情がないのに半年から1年以上性交渉がない場合にセックスレスとみなされるケースが多いです。
身体的な問題や健康上の理由がないにもかかわらず、性交渉を拒否し続けると、夫婦関係に深刻な影響を与える可能性があり、離婚の原因となるケースも少なくありません。
セックスレスが辛いという理由で離婚できる?
夫婦の合意があれば、どのような理由でも離婚できます。ただし、相手が離婚に応じない場合は、調停や裁判を通じて離婚成立を目指す必要があります。
セックスレスの離婚率はどのくらい?
裁判所の司法統計によると、令和6年度に申し立てられた離婚調停のうち、申立人が「性的不調和」を申立て理由の一つに挙げた件数は、全体の約7.6%でした。
この数字からも、セックスレスを原因とする離婚が珍しいものではないと分かります。
| 申立人 | 離婚調停の申立件数 | 性的不調和が申立ての動機として挙げられた件数(※) |
|---|---|---|
| 全体 | 5万8429件 | 4484件(約7.6%) |
| 夫 | 1万5396件 | 1622件(約10.5%) |
| 妻 | 4万3033件 | 2862件(約6.6%) |
(※)申立ての動機は、3つまで挙げる方式で調査重複集計されています
夫婦間の合意があれば離婚できる
夫婦が離婚に合意していれば、セックスレスが理由でも離婚可能です。協議離婚や離婚調停は基本的に話し合いで進めるため、どのような理由でも構いません。
特に協議離婚は、夫婦の話し合いのみで離婚や離婚条件を決められるため、裁判所の手続きを介する場合に比べて柔軟に対応できます。
相手が拒否する場合は裁判で離婚を目指すことになる
協議や調停でも相手が離婚に応じない場合は、最終的に裁判で離婚を目指します。
離婚裁判を成立させるには、民法第770条で定められた法定離婚事由のいずれかに該当する必要があります。
法定離婚事由(民法第770条)
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
※2026年4月施行の改正民法により削除が予定されています - 婚姻を継続し難い重大な事由
セックスレスは、婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。
特に、健康上の問題がないにもかかわらず、長期間性交渉を拒否し続けられるのは、夫婦関係が破綻していると判断される場合があります。
ただし、裁判では証拠が重要で、セックスレスの状況や拒否の経緯を示す客観的な証拠の準備が欠かせません。
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セックスレスで離婚が認められやすいケース
セックスレスが離婚理由として認められるかどうかは、状況によって大きく異なります。
ここでは、裁判で離婚が認められやすい具体的なケースを挙げ、どのような条件が判断材料になるのかを解説します。
- 健康上の支障がないのに拒否する
- 子作りを拒否し続ける
- 不貞行為がある
健康上の支障がないのに拒否する
夫婦ともに若く健康で性交渉に支障がないにもかかわらず、理由なく拒み続けられる場合、夫婦関係に深刻な不満や溝が生じやすくなります。
例えば、病気で性交渉が困難な場合や、高齢による性機能の低下で難しい場合は、性交渉を拒んでいても正当な理由があります。
しかし、特段の理由なく一方的に性交渉を拒み続けられるケースでは、婚姻関係の維持が困難と判断され、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
裁判では、正当な理由のない拒絶が継続しているかが重要な判断材料です。
子作りを拒否し続ける
夫婦の間で子供を持つかどうかは、人生設計に関わる重要なテーマです。
特に女性にとって妊娠・出産はタイムリミットがあり、遅れるほど高齢出産のリスクが高まる点が懸念されます。
そのため、結婚当初に「子供を作らない」と決めていた場合でない限り、妊娠を望む妻の希望を無視したセックスレスは、「婚姻を継続し難い重大な事由」とみなされ、離婚が認められやすい傾向にあります。
不貞行為がある
配偶者が不倫している場合、離婚理由としてはセックスレスそのものよりも、不貞行為が重視されます。
不貞は婚姻関係における重大な貞操義務違反であり、夫婦間の信頼関係を根本から破壊する行為です。
不倫相手との肉体関係が立証できれば、セックスレスは夫婦関係がすでに破綻していたことを示す事情として評価されやすくなります。
一方的な性交渉の拒否に加え、不貞行為が認められる状況では、夫婦の絆や将来への期待が失われ、深刻な精神的苦痛を受けたと判断されやすく、離婚が認められる可能性は高まるでしょう。
セックスレスで離婚が認められにくいケース
セックスレスが離婚理由として認められにくい場合もあります。ここでは、次の2つのケースについて、なぜ離婚が認められにくいのか詳しく解説します。
- 夫婦が互いにセックスを望んでいない
- セックスできない正当な理由がある
夫婦が互いにセックスを望んでいない
夫婦が互いに性交渉を望んでいない場合、セックスレスは直ちに離婚理由にはなりません。
生活時間や勤務形態が合わず、仕事の疲れから自然に性行為が減るケースもあります。
このような状況では、双方が同意しているため、婚姻関係の破綻とは判断されにくいのが一般的です。
ただし、すれ違いが長期間続くと、会話や感情の交流が減り、信頼関係が徐々に弱まる場合があります。その結果、夫婦関係が悪化し、最終的に離婚に至る可能性も否定できません。
セックスできない正当な理由がある
セックスレスであっても、次のような正当な理由がある場合は離婚理由として認められにくい傾向があります。
- 夫婦双方が性交渉を行わないと合意している
互いに納得している場合、婚姻関係の破綻とは判断されません。 - 年齢や体力の低下により性行為がなくても関係が良好
高齢や体調の変化によって性交渉が減っても、夫婦関係が円満なら問題視されません。 - 多忙な仕事や長期出張、単身赴任など物理的な事情で性交渉が難しい
生活環境による一時的なセックスレスは、離婚理由になりにくいです。 - EDや精神疾患など健康上の問題で性行為が困難
医学的な理由がある場合、性交渉の拒否は正当な理由とみなされます。
ただし、改善の努力を一切せず放置している場合は、裁判で「婚姻を継続し難い重大な事由」と判断してもらえる可能性があります。
セックスレスが原因の離婚で慰謝料は請求できる?
セックスレスによる離婚で慰謝料が認められるかは、状況によって異なります。
正当な理由なく一方的に性交渉を拒み続けられた場合や、不貞行為がある場合は、精神的苦痛や不貞による有責性が重視され、慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。
一方、夫婦双方が性交渉を望んでいない場合や、健康上の問題など正当な理由がある場合は、慰謝料請求は難しいのが一般的です。
セックスレスに対する慰謝料請求については、以下のページで詳しく解説しています。
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セックスレスで離婚する場合の慰謝料相場
セックスレスを理由に離婚する場合、慰謝料の相場は0~100万円程度とされています。ただし、以下のような事情がある場合は相場を超える金額が認められるケースもあります。
- 性交渉を拒否する配偶者が不貞行為をしていた
セックスレスに加え不貞行為がある場合、精神的苦痛が大きく、慰謝料が高額になる可能性があります。 - セックスレスの期間が長い
数年単位で性交渉がない場合、婚姻関係の破綻度合いが深刻と判断されやすくなります。 - 婚姻期間が長い
長期の結婚生活で信頼関係が失われた場合、精神的苦痛が大きいと評価されます。 - 夫婦の間に未成年の子供がいる
離婚による生活や養育への影響が大きいと判断され、慰謝料が増額される場合があります。
セックスレスによる離婚の進め方
セックスレスによる離婚をスムーズに進めるためには、正しい手順を理解しておくのが重要です。ここでは、セックスレスによる離婚の進め方を解説します。
- セックスレスの証拠を集める
- 話し合い(協議離婚)で離婚を切り出す
- 離婚調停を申し立てる
- 離婚裁判を起こす
セックスレスの証拠を集める
セックスレスを理由に離婚や慰謝料を請求する場合、客観的な証拠が必要です。証拠が不十分だと、主張が認められず、離婚や慰謝料請求が難しくなる可能性があります。
証拠の具体例
- 生活状況を示した表
起床時間や出勤時間、帰宅時間、就寝時間などを継続的に記録すると、相手が本来性交渉できる状態なのに応じていない証拠となります。 - 日記
性交渉を試みた日時や相手からの回答、対応などを具体的に記録しましょう。 - 今までの交渉経緯を示す資料
LINEやメールなどでセックスレスについて話し合った内容は、返信をスクリーンショットで保存しておくようにしましょう。 - その他の証拠
セックスレス以外の離婚原因(不貞行為や暴言など)がある場合、その証拠も併せて残しておきましょう。
話し合い(協議離婚)で離婚を切り出す
協議離婚とは、夫婦の話し合いによって離婚や離婚条件を決め、離婚を成立させる方法です。
裁判所を介さないため、費用や時間の負担が少なく、柔軟な取り決めができます。離婚理由を問わないため、セックスレスを理由とした離婚も認められます。
離婚の切り出し方のポイント
- 離婚の意思を明確に伝える
あいまいな表現は避け、「離婚を考えている」という気持ちを率直に伝えるのが大切です。 - セックスレスについてどう感じているか説明する
「長期間のセックスレスで精神的に辛い」「夫婦関係を修復できないと感じている」など、具体的な理由を伝えましょう。
協議離婚については、以下のページでも詳しく解説しています。
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離婚調停を申し立てる
話し合いがまとまらない場合、次のステップは離婚調停です。
離婚調停とは、家庭裁判所で調停委員を介して夫婦が話し合いを行い、合意を目指す手続きです。
裁判と異なり、調停はあくまで話し合いの場であり、双方の意見を調整しながら条件を決めていきます。
セックスレスの証拠や経緯を整理しておくと、調停をスムーズに進められるでしょう。
協議離婚より時間や費用はかかりますが、裁判に比べると負担は軽く、離婚成立の可能性を高める有効な手段です。
離婚調停については、以下のページでも詳しく解説しています。
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離婚裁判を起こす
調停でも離婚が成立しない場合、最終的な手段は離婚裁判です。
裁判では、民法第770条に定められた法定離婚事由のいずれかに該当する必要があり、相手の不法行為や婚姻関係の破綻があると判断されない限り、離婚は認められません。
セックスレスの場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するかどうかが判断のポイントです。なお、慰謝料は相手に有責性がない限り認められません。
裁判は時間や費用の負担が大きく、証拠の提出も不可欠なため、弁護士のサポートを受けながら進めるのが重要です。
離婚裁判については、以下のページでも詳しく解説しています。
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セックスレスで離婚を考えたら1人で悩まず弁護士にご相談ください
セックスレスは人に話しにくいデリケートな問題で、誰にも相談できず一人で悩みを抱え込む方が少なくありません。
しかし、離婚を進めるには法的な知識や証拠の準備が不可欠です。調停や裁判に発展すると時間や費用の負担も大きくなります。
弁護士法人ALGでは、離婚問題に詳しい弁護士が、証拠収集のアドバイスから慰謝料の適正額算定、相手方との交渉まで一貫したサポートが可能です。
調停や裁判に発展した場合でも、ご相談者様の味方となって尽力いたします。
セックスレスでお悩みの場合は、私たちにお話をお聞かせください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)
























