交通事故で歩行者が悪いケースの過失割合|飛び出しや信号無視

交通事故で歩行者が悪いケースの過失割合|飛び出しや信号無視

歩行者は、車やバイクに比べて事故に遭った際に大きな怪我になりやすく、「交通弱者」となります。

そのため、歩行者よりも車やバイク側の過失が大きくなりやすいのです。しかし、信号無視や飛び出しなど明らかに歩行者が悪いと思える場合の過失割合はどうなるのでしょうか。歩行者にも過失が認められるケースもあるのでしょうか?

この記事では「交通事故の歩行者が悪い場合」について解説していきます。

過失割合を7:3→10:0にし、約455万円で和解成立した事例
  • 症状:全身の痛み、不快感
  • 後遺障害等級:14級

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通弱者である歩行者の過失割合

自動車やバイクと歩行者が衝突した場合、車やバイクは乗っている物が凹んだり、傷がついたりするくらいですが、それに比べて歩行者は、身体をむき出しで歩いているため保護するものがなく、大きな怪我や最悪の場合死亡に至る場合もあります。

このような点が考慮され、自動車やバイクと歩行者の交通事故の場合、歩行者の過失割合が低くなります。

損害倍償金への過失割合の影響

歩行者と車の事故における過失割合とは、車側の事故の責任と歩行者側の事故の責任を割合で表したものです。 「8:2」「3:7」などと表します。

歩行者と車の交通事故では、車と歩行者の双方に事故の責任(過失)が付くケースがほとんどです。

そのため、歩行者にも過失が付きますが、過失が付くとどのような影響があるのでしょうか。

過失割合は損害賠償金に影響をもたらします。

例えば、過失割合が10(車):0(歩行者)で損害賠償金が100万円だとします。歩行者には全く過失がない事故では、車のドライバーは損害賠償金の100万円全額を歩行者に支払うことになります。

しかし、過失割合が9(車):1(歩行者)の場合には、歩行者の過失分だけ損害賠償金が減額されます。そのため、車のドライバーが支払う損害賠償金は、損害賠償金100万円から、被害者の過失分(1割)に相当する10万円を差し引いた、90万円となるのです。

このように、過失割合と損害賠償金には密接な関係があります。

交通事故の過失割合については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。


通弱者である歩行者の過失割合

歩行者であっても、道路を歩行するにあたっては、守らなければならない以下の交通ルールがあります。

  • 歩道がある場合は歩道を通行する(道交法10条2項)
  • 歩道がない道路では右側通行をする(道交法10条1項)
  • 信号に従う(道交法7条)
  • 横断歩道の付近では横断歩道を横断する(道交法12条1項)
  • 斜め横断禁止(道交法12条2項)
  • 自動車の直前直後での横断禁止(道交法13条1項)
  • 横断禁止場所での横断禁止(道交法13条2項)

これらのルールを守らないと、歩行者にも過失割合が付きます。
また、過去には歩行者側に10割の過失が付いた判例もあります。
以下でご紹介します。

女性が、夜間、片側3車線で道路幅が30メートルある国道の中央分離帯から、道路の反対側へ渡ろうと、右から左に道路を横断していました。
その横断中に、直進をしてきた自動車と衝突しました。

歩行者の女性は約2年間の治療を要する大けがを負いました。

その後、保険会社から損害賠償金の提示がありましたが、金額に納得がいかなかった歩行者の女性とその家族は裁判を提起しました。

しかし、裁判所は以下のように述べ、ドライバーの責任をすべて否定しました。

  • 事故現場付近の中央分離帯には高さが1.5ないし3.8メートルの樹木が経っており、樹木と樹木の間に人が立っていても、夜間であるため、人を認識するのは相当困難であったといえる。
  • 衝突場所付近には照明等がなく、対向車線の道路側のガソリンスタンドの明かりが逆光となり、見通しは非常に悪かった。
  • そもそも片側3車線の広い幹線道路の中央分離帯に横断しようとする歩行者がいると予測することは困難である。

【新潟地方裁判所長岡支部 平成29年12月27日 判決】

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【歩行者の原因別】基本の過失割合と修正要素

過失割合は警察が決めるものと思われるかもしれませんが、実際に過失割合を決めるのは事故を起こした当事者です。

加害者と被害者が任意保険に加入している場合は、双方の任意保険会社が交渉を行い、過失割合を決めることが一般的です。

過失割合は、事故類型ごとに基本的な過失割合が決められていますが、具体的な事故状況は、事故ごとに様々であるため、場合によっては、基本的な過失割合を修正する必要があります。

修正要素とは、基本過失割合を加算修正したり、減算修正したりする要素のことをいいます。

事故が起きた時間や場所、被害者の年齢や横断方法などによって「-5%」「+10%」などと修正幅が定められ、過失割合が修正されます。

次項では歩行者の飛び出しが原因の事故の過失割合、歩行者の信号無視が原因の事故の過失割合、また修正要素について解説していきます。

歩行者の飛び出しが原因

歩行者の飛び出し事故でも、自動車やバイク側の過失割合が大きくなる傾向にあります。

歩行者が飛び出してくる可能性のある場所においては、自動車やバイクのドライバーは周辺の状況に注意を払い、すぐに減速や停止をすべき注意義務が課せられているからです。

【飛び出した歩行者と車の基本過失割合】

歩行者と車の事故状況 基本の過失割合 (歩行者 :車)
信号機の設置されていない横断歩道上の事故 0:100
信号機の設置されてない横断歩道付近における事故 30:70
横断歩道外で、横断歩道や交差点の近くでもない事故 20:80

【修正要素】
 修正要素の例を挙げると以下の通りです。

●歩行者側の過失を加算する要素
・車の直前・直後横断:歩行者側に+5~15%

●歩行者側の過失を減算する要素
・歩行者が児童(6歳以上13歳未満)・高齢者(65歳以上):歩行者側に-5~10%
・歩行者が幼児(6歳未満)・身体障害者:歩行者に-10~20%

歩行者の信号無視が原因

交通事故の当事者のどちらかが信号無視をした場合は、一般的に信号無視をした側の過失が大きくなります。

しかし、歩行者は、道路内で交通弱者であるのため、歩行者が信号無視をしても、車やバイクの過失が大きくなります。

【信号無視をした歩行者と車の基本過失割合】

歩行者と車の事故状況 基本の過失割合 (歩行者 :車)
直進車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が青) 70:30
直進車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が黄色) 50:50
直進車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が赤) 20:80
歩行者が赤で横断開始して途中で青になる。自動車は赤 10:90
右折車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が青) 50:50
右折車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が黄色) 30:70
右折車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が赤) 20:80

【修正要素】
  修正要素の例を挙げると、以下の通りです。

●歩行者に加算される修正要素
夜間:歩行者側に+5%
幹線道路:歩行者側に+5%
直前直後横断、佇立、後退:歩行者側に+5%

●歩行者に減算される修正要素
住宅街・商店街等:歩行者側に-5~10%
児童・高齢者:歩行者側に-5~10%
幼児・身体障害者等:歩行者側に-10~20%
集団横断:歩行者側に-5~10%
車の著しい過失・重過失:歩行者側に-10~20%
歩車道の区別なし:歩行者側に-5~10%

適正な過失割合を主張するためのポイント

歩行者の急な飛び出しや信号無視など、歩行者の方が悪いように思える事故でも、一般的には、自動車やバイク側の方に大きな過失割合が加わってしまうのが現実です。

それでも、歩行者の過失もしっかりと考慮した、適正な過失割合が認定されるためには、どれだけ歩行者の行動の予測や、事故の回避が困難であったかを主張することが重要なポイントです。

ただやみくもに自分の言い分を主張するだけでは、相手方保険会社は納得してくれず、過失割合は変わらないでしょう。

しかし、自分の主張を客観的に裏付ける証拠があれば、保険会社も納得してくれるかもしれません。

証拠として有効なのは、

  • ドライブレコーダーの映像
  • 防犯カメラの映像
  • 目撃者の証言 
  • 実況見分調書
  • 事故直後の事故現場・事故車両の写真などです。

しかし、相手は交渉のプロであるため、難しい専門用語を使って、主張を聞き入れてくれない可能性もあります。

そこで、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士であれば交渉のプロとして相手方保険会社に引けを取らず、交渉していくことができ、また過去の判例から正しい過失割合を導くことができます。

歩行者側が原因の事故で弁護士に交渉を依頼するメリット

歩行者側が原因の事故で弁護士に交渉を依頼するメリットは以下のとおりです。

●適切な過失割合を主張できる 過失割合は、相手方保険会社と事故態様を踏まえて交渉で決めます。
しかし、相手が「歩行者」だからという理由で、車両側に大きな過失割合を付けられるおそれもあります。
弁護士であれば、過去の判例をもとに、正しい過失割合を主張していくことができます。


●示談交渉を任せられる 相手方保険会社とのやり取りは、専門用語を使って言いくるめられたり、連絡が遅かったりと精神的負担がかかります。
弁護士に依頼することで、示談交渉を任せられ、ストレスが軽減し、仕事や怪我の治療に専念することができます。

交通事故の解決を弁護士に依頼するメリットについては以下のリンクをご参考ください。


【まとめ】歩行者と車の事故では車側が悪くなりがちです。お早めに弁護士にご相談ください

歩行者と車やバイクの事故では、歩行者は交通弱者となるため、車の方が悪くなるケースが多くあります。

例えば、歩行者の飛び出しや信号無視といった歩行者の方が悪いと思える場合であっても、車の過失の方が大きいと判断されれば、理不尽な思いをされることでしょう。

交通事故でお困りの方は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。

早めに弁護士に相談することで、弁護士が、事故状況を客観的に証明する証拠を収集し、適当な過失割合を判断したうえで、早い段階から相手方保険会社と交渉を開始することができるため、早期解決できる可能性が高まります。

弁護士に相談することはお金がかかることだとためらっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

弁護士費用はご自身やご家族の保険に弁護士費用特約が付帯していれば、相談料10万円まで、弁護士費用300万円までを保険会社が負担してくれます。

弁護士費用特約があれば安心して弁護士に相談できるのではないでしょうか。一度ご自身やご家族に弁護士費用特約が付帯していないか確認してみましょう。

私たちは交通事故に詳しい弁護士が多数在籍しています。
ご相談内容を丁寧にヒアリングし、解決に導いていきます。ぜひ一度ご相談ください。

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。