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歩行者は、車やバイクに比べて事故に遭った際に大きな怪我になりやすく、「交通弱者」となります。
そのため、歩行者よりも車やバイク側の過失が大きくなりやすいのです。しかし、信号無視や飛び出しなど明らかに歩行者が悪いと思える場合の過失割合はどうなるのでしょうか。歩行者にも過失が認められるケースもあるのでしょうか?
この記事では「交通事故の歩行者が悪い場合」について解説していきます。
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目次
自動車やバイクと歩行者が衝突した場合、車やバイクは乗っている物が凹んだり、傷がついたりするくらいですが、それに比べて歩行者は、身体をむき出しで歩いているため保護するものがなく、大きな怪我や最悪の場合死亡に至る場合もあります。
このような点が考慮され、自動車やバイクと歩行者の交通事故の場合、歩行者の過失割合が低くなります。
歩行者と車の事故における過失割合とは、車側の事故の責任と歩行者側の事故の責任を割合で表したものです。 「8:2」「3:7」などと表します。
歩行者と車の交通事故では、車と歩行者の双方に事故の責任(過失)が付くケースがほとんどです。
そのため、歩行者にも過失が付きますが、過失が付くとどのような影響があるのでしょうか。
過失割合は損害賠償金に影響をもたらします。
例えば、過失割合が10(車):0(歩行者)で損害賠償金が100万円だとします。歩行者には全く過失がない事故では、車のドライバーは損害賠償金の100万円全額を歩行者に支払うことになります。
しかし、過失割合が9(車):1(歩行者)の場合には、歩行者の過失分だけ損害賠償金が減額されます。そのため、車のドライバーが支払う損害賠償金は、損害賠償金100万円から、被害者の過失分(1割)に相当する10万円を差し引いた、90万円となるのです。
このように、過失割合と損害賠償金には密接な関係があります。
交通事故の過失割合については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。
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歩行者であっても、道路を歩行するにあたっては、守らなければならない以下の交通ルールがあります。
これらのルールを守らないと、歩行者にも過失割合が付きます。
また、過去には歩行者側に10割の過失が付いた判例もあります。
以下でご紹介します。
女性が、夜間、片側3車線で道路幅が30メートルある国道の中央分離帯から、道路の反対側へ渡ろうと、右から左に道路を横断していました。
その横断中に、直進をしてきた自動車と衝突しました。
歩行者の女性は約2年間の治療を要する大けがを負いました。
その後、保険会社から損害賠償金の提示がありましたが、金額に納得がいかなかった歩行者の女性とその家族は裁判を提起しました。
しかし、裁判所は以下のように述べ、ドライバーの責任をすべて否定しました。
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過失割合は警察が決めるものと思われるかもしれませんが、実際に過失割合を決めるのは事故を起こした当事者です。
加害者と被害者が任意保険に加入している場合は、双方の任意保険会社が交渉を行い、過失割合を決めることが一般的です。
過失割合は、事故類型ごとに基本的な過失割合が決められていますが、具体的な事故状況は、事故ごとに様々であるため、場合によっては、基本的な過失割合を修正する必要があります。
修正要素とは、基本過失割合を加算修正したり、減算修正したりする要素のことをいいます。
事故が起きた時間や場所、被害者の年齢や横断方法などによって「-5%」「+10%」などと修正幅が定められ、過失割合が修正されます。
次項では歩行者の飛び出しが原因の事故の過失割合、歩行者の信号無視が原因の事故の過失割合、また修正要素について解説していきます。
歩行者の飛び出し事故でも、自動車やバイク側の過失割合が大きくなる傾向にあります。
歩行者が飛び出してくる可能性のある場所においては、自動車やバイクのドライバーは周辺の状況に注意を払い、すぐに減速や停止をすべき注意義務が課せられているからです。
【飛び出した歩行者と車の基本過失割合】
歩行者と車の事故状況 | 基本の過失割合 (歩行者 :車) |
---|---|
信号機の設置されていない横断歩道上の事故 | 0:100 |
信号機の設置されてない横断歩道付近における事故 | 30:70 |
横断歩道外で、横断歩道や交差点の近くでもない事故 | 20:80 |
【修正要素】
修正要素の例を挙げると以下の通りです。
●歩行者側の過失を加算する要素
・車の直前・直後横断:歩行者側に+5~15%
交通事故の当事者のどちらかが信号無視をした場合は、一般的に信号無視をした側の過失が大きくなります。
しかし、歩行者は、道路内で交通弱者であるのため、歩行者が信号無視をしても、車やバイクの過失が大きくなります。
【信号無視をした歩行者と車の基本過失割合】
歩行者と車の事故状況 | 基本の過失割合 (歩行者 :車) |
---|---|
直進車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が青) | 70:30 |
直進車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が黄色) | 50:50 |
直進車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が赤) | 20:80 |
歩行者が赤で横断開始して途中で青になる。自動車は赤 | 10:90 |
右折車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が青) | 50:50 |
右折車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が黄色) | 30:70 |
右折車との事故 (歩行者が赤、車側の信号が赤) | 20:80 |
【修正要素】
修正要素の例を挙げると、以下の通りです。
●歩行者に加算される修正要素
夜間:歩行者側に+5%
幹線道路:歩行者側に+5%
直前直後横断、佇立、後退:歩行者側に+5%
歩行者の急な飛び出しや信号無視など、歩行者の方が悪いように思える事故でも、一般的には、自動車やバイク側の方に大きな過失割合が加わってしまうのが現実です。
それでも、歩行者の過失もしっかりと考慮した、適正な過失割合が認定されるためには、どれだけ歩行者の行動の予測や、事故の回避が困難であったかを主張することが重要なポイントです。
ただやみくもに自分の言い分を主張するだけでは、相手方保険会社は納得してくれず、過失割合は変わらないでしょう。
しかし、自分の主張を客観的に裏付ける証拠があれば、保険会社も納得してくれるかもしれません。
証拠として有効なのは、
しかし、相手は交渉のプロであるため、難しい専門用語を使って、主張を聞き入れてくれない可能性もあります。
そこで、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば交渉のプロとして相手方保険会社に引けを取らず、交渉していくことができ、また過去の判例から正しい過失割合を導くことができます。
歩行者側が原因の事故で弁護士に交渉を依頼するメリットは以下のとおりです。
交通事故の解決を弁護士に依頼するメリットについては以下のリンクをご参考ください。
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歩行者と車やバイクの事故では、歩行者は交通弱者となるため、車の方が悪くなるケースが多くあります。
例えば、歩行者の飛び出しや信号無視といった歩行者の方が悪いと思える場合であっても、車の過失の方が大きいと判断されれば、理不尽な思いをされることでしょう。
交通事故でお困りの方は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
早めに弁護士に相談することで、弁護士が、事故状況を客観的に証明する証拠を収集し、適当な過失割合を判断したうえで、早い段階から相手方保険会社と交渉を開始することができるため、早期解決できる可能性が高まります。
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