正面衝突した事故の過失割合は?例外ケースと注意すべき点

正面衝突した事故の過失割合

交通事故には様々な事故形態がありますが、その中でも少なくないのが「正面衝突」です。
対向車がセンターラインを越えて正面衝突した場合、原則として対向車に100%の過失が付きます。しかし、正面衝突の事故形態の中では例外的に被害者にも過失が付くケースもあります。

被害者にも過失が付くことで、受け取れる損害賠償額が被害者の過失分だけ減額されてしまいます。
この記事では、「正面衝突」に着目し、正面衝突事故の過失割合、示談交渉時の注意点などを解説していきます。

正面衝突事故の基本的な過失割合は?

センターラインのある道路で、ラインを超えてきた対向車(加害者)と正面衝突した場合の過失割合は、
【加害者:被害者=10:0】となります。

道路交通法17条4項では、車両はセンターラインのある道路では、ラインの左側を左寄りに走行しなければならないと定められています。
そのため、加害者側はこの規則を破って事故を起こしたことになるので、基本的に過失割合はすべて加害者側につくことになります。

逆走車との正面衝突の過失割合

逆走とは、決められた進行方向とは逆の方向に走行することをいいます。
車は道路の左側を通行しなければならないと決められています。
そのため、逆走車は交通ルールを破って事故を起こしたことになるため、
【逆走車:非逆走車=10:0】となります。

逆走事故の過失割合については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

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正面衝突の過失割合には例外ケースもある

これまで、「被害者:加害者=10:0」になる事故の解説をしてきましたが、例外的に被害者にも過失が付くケースもあります。
例外的なケースは以下のとおりです。

  • ①センターラインなしの道路での事故の場合
  • ②左側通行ができない状況での事故の場合
  • ③被害者側に過失がある事故の場合

次項でそれぞれについて詳しく解説していきます。

センターラインなしの道路での事故の場合

センターラインがない道路で対向車が道路の中央を超えて衝突した場合、過失割合は、
【加害者:被害者=8:2】となります。
センターラインがない道路では車道の幅が狭い場合が多いため、被害者側も対向車に相当な注意を払っておくべきだったとされます。そのため、被害者にも2割の過失が付くのです。

ただし、対向車が速度違反をしていた場合などには過失割合が変わります。
過失割合は双方の車両の走行状況に照らして個別に判断されます。

左側通行ができない状況での事故の場合

以下のような場合には、道路中央から右側にはみ出して通行することが法律で認められています。(道路交通法17条5項各号)

  • 一方通行路や道路左側の幅が十分にないとき
  • 道路の損傷・工事などのために左側が通行できない場合
  • センターライン左側の幅が6メートル未満の道路において、ほかの車両を追い越す場合
  • 勾配の急な曲がり角付近など

これらのケースでは、【加害者:被害者=10:0】という原則は適用されず、双方の速度や道路状況などの具体的な事情に基づいて、個別的に過失割合が判断されます。
このような道路の場合は、対向車がセンターラインを超えて走行してくる可能性を考えて、十分に注意する必要があります。

被害者側に過失がある事故の場合

被害者にも過失があると認められた場合は、1割~2割程度の過失割合が付くことがあります。

【被害者にも過失があると認められるケース】

  • 前方不注意
    対向車のセンターラインオーバーを発見した後、すぐに回避措置を取っていれば衝突を避けられたのに、すぐに自分の車線内に戻るだろうと考えて、何も回避措置を取らなった場合には、被害者にも過失が認められる可能性があります。
  • 携帯電話の使用、画面を見ながらの運転
  • 速度違反
    15キロ以上、30キロ未満の速度違反の場合は1割、30キロ以上の速度違反がある場合には2割の過失が認められる可能性があります。
  • 飲酒運転
  • 居眠り運転
  • 見通しの悪いカーブで徐行しなかった場合
    カーブでは対向車がセンターラインをオーバーして走行してくる可能性があるため、特に見通しの悪いカーブで徐行して走行しなかった場合には、被害者にも過失が付く可能性があります。

センターラインオーバーの事故で被害者に過失が認められた判例

被害車が自動車を運転中、対向車線からセンターラインオーバーしてきたトラックと衝突した事故です。
裁判所は、トラックのような大型車がセンターラインオーバーすることが予想できる道路において、被害車は事故直前、センターライン寄りに平行して、減速することもなく、左にハンドルを切って回避措置をとることもなく進行したと認定しました。

そして、「前方を注意してできるだけ左端に寄って進行し、交通の状況に応じてできるだけ安全な速度と方法で進行すべき注意義務があるのに、これを懈怠した過失があるといわなければならない」として、【加害車:被害車】=75:35と認定しました。
(東京地方裁判所 昭和57年3月18日判決)

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バイクや自転車と正面衝突した場合の過失割合

ここまで自動車と自動車の正面衝突事故について解説してきましたが、バイクや自転車と正面衝突した場合はどのような過失割合になるのでしょうか。次項で見ていきましょう。

対向車とバイクが正面衝突した場合

①センターラインオーバーした車とバイクが正面衝突した事故
【車:バイク=10:0】
車には「道路の左側を左寄りに走行する」という決まりがあります。そのため、センターラインをオーバーした車は規則を破って事故を起こしたことから車の過失が10割となります。

②車とセンターラインをオーバーしたバイクが正面衝突した事故
【車:バイク=0:10】
バイクであっても車と同じく「道路の左側を左寄りに走行する」という決まりがあります。そのため、バイクがセンターラインをオーバーして走行した場合も規則を破って事故を起こしたことからバイクの過失が10割となります。

対向車と自転車が正面衝突した場合

①センターラインオーバーした車と自転車が正面衝突した事故
【車:自転車=10:0】
車には「左側を左寄りに走行する」という決まりがあります。そのため、センターラインをオーバーした車は規則を破って事故を起こしたとして車の過失が10割となります。

②センターラインをオーバーした自転車と車が正面衝突した事故
【車:自転車=5:5】
自転車も道路交通法17条4項により、左側通行が義務付けられています。そのため、センターラインをオーバーすることは重大な交通違反です。
しかし、車は自転車と比べ他者に与える危険が大きく、より注意して運転すべきといえます。そのため基本の過失割合は「車:自転車=5:5」となります。

対向車との正面衝突を避けようとして事故になったら

対向車と正面衝突を避けようとした結果、対向車にはぶつからなかったものの別の車やガードレールに衝突してしまうこともあります。
また、周りの人を巻き込んでしまい怪我をさせてしまうケースもあるでしょう。

こうした非接触事故は過失割合を正しく算定することが難しくなります。
多くの事故は事故類型ごとに基本の過失割合が決められていることに対し、非接触事故の場合は基本の過失割合がありません。事故状況や過去の判例を参考にしつつ過失割合を決めていく必要があります。

●過失割合を決めるうえで役立つもの

  • 目撃者の証言
  • ドライブレコーダーの映像
  • 周囲の防犯カメラの情報

対向車を避けたことで物を壊したり周りの人を怪我させてしまったりした場合は、たとえ非接触であったとしても、その原因は対向車のセンターラインオーバーにあるので、その修理費や治療費も原則として対向車側が負担することとなります。

正面衝突事故で示談交渉する際の注意点

正面衝突事故で示談交渉する際の注意点は以下のとおりです。

  • ①過失割合10:0だと「示談代行サービス」が使えない
  • ②保険会社が提示する示談金は適正額ではない

次項でそれぞれについて解説していきます。

過失割合10:0だと「示談代行サービス」が使えない

正面衝突事故の基本過失割合は「被害者:加害者=10:0」です。
被害者に全く過失がない場合、被害者の加入する任意保険の「示談代行サービス」を利用することができません。これは弁護士法により定められています。

そのため、被害者に全く過失がない場合は、相手方任意保険会社と被害者本人とで示談交渉をしなければなりません。相手側保険会社は示談交渉のプロであることから専門用語を使ったりして加害者に有利な主張をしてくる可能性もあります。

そのため、被害者に全く過失がない場合は弁護士に示談交渉を代行してもらう事をおすすめします。弁護士ならば被害者の弁護をしながら相手側任意保険に怯まず示談交渉していくことが可能です。

過失割合に納得いかない事故については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

保険会社が提示する示談金は適正額ではない

損害賠償を算出するには自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準があります。この3つの基準の金額は、自賠責基準≦任意保険基準<弁護士基準の順に金額が大きくなります。
しかし、加害者側保険会社が用いるのは基本的に任意保険基準のため、その基準を使って算定された損害賠償金は自賠責基準かそれよりも少し高額になる程度でしょう。

より高額な示談金を得るには「弁護士基準」で請求することが大切です。
弁護士基準は裁判で使用されることから裁判基準とも呼ばれ、「被害者が本来受け取るべき金額」といえます。

しかし、弁護士基準は誰でも使えるわけではありません。示談交渉では、弁護士基準は基本的に弁護士に依頼した場合に使える基準であるため、交通事故に遭った際には弁護士に相談することをおすすめします。

下記に3つに基準の概要をまとめます。

自賠責基準 ・自賠責保険が慰謝料の金額を算定する際に用いる基準
・被害者救済を目的とした最低限の補償
任意保険基準 ・加害者の任意保険会社が慰謝料を算定するために用いる基準
・各任意保険が独自で設定しており、非公開
弁護士基準 ・過去の裁判例に基づき作られた基準で、裁判において慰謝料を算出する際に用いられる
・3つの基準の中で最も高額で法的に適正な金額
・示談交渉では弁護士を介した場合のみ使用することができる

示談交渉を弁護士に依頼するメリット

示談交渉を弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。

  • ①損害賠償金の増額が見込める
    弁護士に依頼することで慰謝料などの損害賠償金を「弁護士基準」で算出することができます。
  • ②示談代行サービスが使えなくても、弁護士に保険会社とのやり取りを任せられる
    被害者に過失が全くない場合、被害者の加入する任意保険会社の示談代行サービスを利用することはできません。
    しかし、被害者が自分で加害者側任意保険会社と交渉するのは大変です。弁護士に依頼すれば、保険会社とのやり取りを任せることができます。
  • ③保険会社に主張を受け入れてもらいやすくなる
    弁護士が交渉することで、加害者側任意保険の態度が軟化し、主張を受け入れてもらいやすくなります。
  • ④正しい過失割合を主張できる
    交通事故では、被害者にも過失のつくことがあります。加害者側が提示する過失割合は常に正しいわけではなく、被害者の過失が大きくなると、その分受け取れる示談金が少なくなります。弁護士であれば、正しい過失割合を法的に主張・立証することできます。
  • ⑤弁護士費用特約があれば費用負担も軽減できる
    弁護士費用特約があれば、弁護士費用について、一般的には法律相談の場合10万円、示談交渉を依頼した場合300万円を上限として、保険会社に負担してもらえます。ご自身の自動車保険に弁護士費用特約がついているならば、積極的に利用することをおすすめします。

対向車に正面衝突された事故で、弁護士基準満額の約325万円を獲得した事例

【事案の概要】
ご依頼者様は40代男性で、センターラインのない道路でわき見運転をしていた対向車に正面衝突される事故に遭い、頚椎捻挫等の傷病を負いました。
約3ヶ月通院され、その後の対応を弁護士法人ALGにご依頼いただきました。

【担当弁護士の活動】
後遺障害診断書の内容を確認し、記載の訂正箇所について、弁護士は医師とのやり取りも行いました。
後遺障害申請を行った結果、頚部痛などにつき後遺障害14級9号が認められ、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を弁護士基準で計算し、示談交渉を行いました。

【解決結果】
交渉の結果、弁護士基準の満額の休業損害及び逸失利益が認められたほか、慰謝料も弁護士基準のほぼ満額が認められ、自賠責保険金を含む約352万円での示談となりました。

よくある質問

よくある質問に回答していきます。

見通しの悪いカーブで対向車と正面衝突しました。被害者側にも過失が付きますか?

カーブでは対向車がセンターラインまたは道路中央を越えて走行してくる場合があるため、特に見通しの悪いカーブでは前方を十分注意し、徐行して走行する必要があります。
そのため、被害者が徐行しなかった場合には、10%~20%程度の過失割合が被害者側にもついてしまうことがあります。

センターラインのない道路で対向車が突っ込んできました。過失割合が10対0になる可能性はありますか?

センターラインのない道路では、過失割合は【被害者:加害者=2:8】となります。
しかし、対向車が速度違反をしていたり、被害車が道路左端を走行していたのに対向車が道路中央を走行してきたなど、著しい過失や重大な過失がある場合には過失修正され、過失割合が【被害者:加害者=0:10】となることもあります。

過失割合に納得いかない場合は、交通事故に強い弁護士にご相談下さい。

正面衝突の基本的な過失割合は【被害者:加害者=0:10】ですが、事故形態によって過失修正され、被害者にも過失が付く可能性もあります。
被害者に過失が付くとその分示談金の金額が減ってしまうので注意が必要です。
また、被害者の過失が全くない場合には、被害者の方が加害者側保険会社と示談交渉しなければなりません。

加害者側任意保険は営利団体のため、少しでも自社の損失を減らしたいために不当な過失割合や示談金を提示してくる可能性もあります。
加害者側保険会社が提示する過失割合や示談金に納得がいかない場合は弁護士にご相談ください。
弁護士であればあなたの代理人として過去の判例や法的な観点から正しい過失割合や示談金を主張していきます。
正面衝突事故でお困りの際は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。

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  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。