【交通事故】休業損害の正しい計算方法|職業別・わかりやすい計算例付き

業損害の計算について

突然の事故にケガ。
ゆっくり静養したいけど仕事を休むと収入が…、と通院に躊躇してしまいませんか?事故によるケガの通院で仕事を休んだ場合、休業損害として保険会社へ請求することが出来るのはご存知でしょうか。

休業損害は被害者の立場や計算方法によって金額が大きく変わるので正確な知識が必要です。
生活費の補填に直結する休業損害。しっかり獲得して、治療に専念できるようにしておきましょう。

無職の休業損害・逸失利益等について争い、ご依頼から2か月足らずで800万円増額した事例

  • 症状:骨折
  • 等級:後遺障害等級併合10級

弁護士依頼前

1,300万円

弁護士介入

弁護士依頼後

2,100万円

800万円の増加

休業損害とは

休業損害は、事故で仕事を休むことになった場合に、収入を補填するために支払われる保険金です。

似た言葉として休業補償がありますが、これは労災保険が対応している保険金です。
交通事故がプライベートの時間に起こったのであれば自賠責保険ですが、仕事中や通勤途中で起こった事故であれば労災保険も関係してきます。

労災保険と自賠責保険の二重取りはできません
それぞれ保険内容が異なる為、どの保険から支払ってもらうべきかについては事案による為、専門家に相談した方が良いでしょう。

休業損害の計算方法

休業損害の計算には、自賠責基準任意保険基準弁護士基準のいずれかを使って行います。

最も高額になるのは弁護士基準です。
任意保険基準は計算式が公表されていませんが、最も低額になる自賠責基準と同じかもしくは多少高くなる程度というのがほとんどです。

また、手取り金額で計算すると思いがちですが、実際には税金等の控除前の給与金額を使う点にも注意が必要です。

自賠責基準での計算

自賠責基準の計算式は以下の通りです。

6100円×休業日数

一日当たりの収入の減少が6100円を超えることを証明できる場合には、1万9000円を上限として支払ってもらうことが出来ます。

しかし、休業し続ければずっとこの金額が貰えるかというと、そうではありません。自賠責保険には別途、治療費などを含む傷害に関する支払い総額の上限120万円という枠があるので、その範囲内で支払われることになります。

また、会社員であれば有給休暇の消化で通院することもあるのではないでしょうか。
この場合も、本来であれば自由に使う予定であった有給休暇を損失したことになるので、休業損害の休業日数にカウントして請求できます。

弁護士(裁判)基準での計算

弁護士基準で計算する場合には以下の計算式を使います。

一日当たりの基礎収入×休業日数

自賠責基準の場合と違い、計算に使うのは被害者の実収入です。直近の収入実態に基づき計算するので、収入の補填として適正額になります。また、上限金額の設定もありません。

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  • ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。

基礎収入について

弁護士基準で休業損害を計算するときに使う基礎収入の多くは、実際の収入です。
会社員であれば、勤務先に休業損害証明書を作成してもらい、実収入を証明します。

しかし、この証明書に記載された給与内容が間違っていれば、正しい休業損害を請求することが出来ません。

適切な休業損害を獲得する為には、基礎収入を正確に証明することが大切です。直近3か月の給与が全て記載されているか、社会保険料、所得税以外のものまで控除された金額が記載されていないかといった点に注意しましょう。

また、休業損害の基礎収入は、雇用形態や立場によって証明内容が変わります。具体例を見てみましょう。

給与所得者

給与所得者の一日当たりの基礎収入の計算式は自賠責基準や任意保険基準では、以下の通りとなります。

事故前3か月の給与÷90日 この給与とは手取りの金額ではなく、総支給額を用います。

例えば、被害者の事故前3か月の給与総支給額が75万円であれば、
75万円÷90日≒8,333円 となり、一日当たりの基礎収入額を8,333円として休業損害を請求することになります。

事故前3か月間の給与を平均することが殆どですが、給与の変動が特に大きい給与所得者の場合には、事故前1年間の給与から平均の日額を計算することもあります。

この計算方法は、労災の休業補償の計算方法に準じています。

自営業者

自営業者の一日当たりの基礎収入額は、事故前年の確定申告の所得額より計算します。つまり、
事故前年の確定申告所得額÷365日 が計算式です。

もし、前年所得額が500万円の自営業者であれば、
500万円÷365日≒13,699円 となり、13,699円を一日当たりの基礎収入として採用します。

自営業者の場合、確定申告が正しくされていることが必要になります。
もし、確定申告をしていなかったり、実態と乖離している等があれば、実態を証明する資料が必要になり、減収の証明が難しくなります。

専業主婦(夫)と兼業主婦

実収入が発生しなくても、家事労働は賃金に換算できる労働として認められています。

そこで、専業主婦(夫)の基礎収入は、下記の厚生労働省が発表している平均賃金(賃金センサス)を使用します。

一般的には全年齢女子平均年収を365日で割ることで一日当たりの基礎収入として採用することができます。

兼業主婦に関しては、賃金センサスより実収入が大きい場合は、実収入ベースで休業損害を計算します。

open_in_new学歴、性別の平均賃金:厚生労働省

会社役員

会社役員の基礎収入の計算は、給与所得者と同じく事故前3か月の報酬を90日で割り、算出します。
ただし、休業損害として請求できるのは、報酬のうち、労働の対価になっている部分についてのみとなります。

それ以外の労働に関連しない利益配当部分については、基礎収入を計算する際には除外することになります。

無職(失業中)

被害者の能力や就職活動の状況を考慮し、事故に遭わなければ働いていたと十分考えられる場合や、内定を既に得ていた場合などは休業損害の対象になり得ます

その際の基礎収入としては、失業する前の収入内容や賃金センサスの平均年収を根拠として、妥当性のある金額を算定することになります。

休業損害の計算時に用いる稼働日数とは?

稼働日数は実際に働く日数のことを指します。基礎収入の計算は自賠責基準や任意保険基準の場合には歴日数を使用します。

しかし、月給というのは1か月無休で働いた金額ではありません。
一日当たりの基礎収入を計算するには、「歴日数(3か月=90日)」で計算するよりも、実際に労働した「稼働日数(例えば3か月=60日)」で計算する方が高額になり、実態に即しています。
その為、弁護士基準では休業損害の計算に稼働日数を使います

また、通院に有給休暇を使うことがありますが、これも本来は労働日であったものに休暇を設定しただけなので、稼働日数に含めます。

また、通院で遅刻早退をした場合も、同じく労働日ですので稼働日数としてカウントし、労働できなかった時間分について休業損害として請求することになります。

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休業日数の算定

休業日数通院などで実際に会社を休んだ日数を指します。

治療期間中でも医師の診断が前提とされますので、自己判断の休業は該当しません。治療期間に休んだ日数=休業日数ではないのでご注意ください。

休業日数を証明するためには

給与所得者であれば勤務先に作成してもらう休業損害証明書に休んだ日付を記載してもらうことで、具体的な休業日とその日数を証明することができます。

自営業者のように雇用関係が無い場合には、休業損害証明書を提出することはないので、実治療日数を休業日数として扱われることがあります。

しかし、仕事の内容や就労環境によっては通院日以外でも休業が必要となります。
また、いずれの場合にも、休業の必要性が証明される必要があるので、その場合は、医師に就労できない期間などを記載した診断書や意見書の作成を依頼しましょう

土日に通院した場合

土日であっても元々出勤日だったならば休業日数に含まれますが、土日を休日としている会社であるなら、原則として土日に通院しても休業日数に含まれません
しかし、休業の初日から連続した入通院日数に土日が含まれている場合には、土日を休業日数としてカウントできる場合があります。

弁護士基準では、前述のとおり、実稼働日数を計算に採用しているので、上記のように、土日が連続休日に含まれていても、休業日数には含めません。

有給を使用した場合

治療のために休業する日について有給休暇を取得することはよくあることですが、この有給休暇についても休業日数として休業損害を請求することができます

なぜなら、有給休暇は本来であれば自由に自身のために使用できる休暇であるものを、事故による治療のために使うことになってしまい、財産的損害が発生していると考えることができるからです。

減収という観点からは、休業日数に含めることをためらわれるかもしれませんが、有給休暇を消費した損害が発生していると考えるようにしましょう。

ただし、労災保険を利用して、労災の休業補償の給付を受ける場合には有給休暇を休業日数と数えられません

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休業損害の計算例

これまでの解説を踏まえた休業損害の計算例をご紹介します。自賠責基準と弁護士基準の両方について解説しますので、どの程度の差が出るのか確認しましょう。
月ごとに日数の差がありますが、ここでは稼働日数は1か月=20日として計算します。

給与所得者

例①

  • 給料の変動がない場合
  • 事故前3か月間の給料総額120万円・休業日数30日
  • 自賠責基準
    • 休業損害:6100円×30日=18万3000円
  • 弁護士基準
    • 1日当たりの基礎収入額:120万円÷60日=2万円
    • 休業損害:2万円×30日=60万円

例②

  • 給料の変動がある場合
  • 1カ月前25万円、2カ月前20万円、3カ月前23万5000円・休業日数45日
  • 自賠責基準
    • 休業損害:6100円×45日=27万4500円
  • 弁護士基準
    • 1日当たりの基礎収入額:(25万円+20万円+23万5000円)÷60日≒1万1417円
    • 休業損害:1万1417円×45日=51万3765円

自営業者の休業損害の計算例

自営業者の基礎収入には前年度の確定申告所得を採用します。
家賃や人件費といった固定の経費については事業を営むのに必要不可欠であれば、所得額に合算し、基礎収入を算出します。

例①

  • 前年度所得400万円・固定費15万円・休業日数50日
  • 自賠責基準
    • 休業損害:6100円×50日=30万5000円
  • 弁護士基準
    • 1日当たりの基礎収入額:(400万+15万)÷365日≒1万1370円
    • 休業損害:1万1370円×50日=56万8500円

例②

  • 前年度所得(固定費込み)1500万・休業日数90日・税金対策のため1000万円で申告していた
  • 自賠責基準
    • 休業損害:6100円×90日=54万9000円
  • 弁護士基準
    • 1日当たりの基礎収入額:1500万÷365日≒4万1096円
    • 休業損害:4万1096円×90日=369万8640円

過少申告していた場合に、実収入を基礎収入として採用するには、帳簿や領収書、通帳の写しなどの資料を根拠に主張立証しなければいけません。

また、これらの資料があるからといって主張が必ず通る訳ではないので、専門家へ相談が必要な事案といえるでしょう。

主婦の休業損害の計算例

主婦の場合、家事労働に対する休業日数は通院日数を採用することが一般的です。

例①

  • 兼業主婦
  • パート収入月8万・週4日勤務・通院日数50日
  • 自賠責基準
    • 休業損害:6100円×50日=30万5000円
  • 弁護士基準
    • 1日当たりの基礎収入:388万円÷365日≒1万630円
    • (賃金センサスは、学歴計・全年齢平均・令和元年データを適用)
    • (8万円×12ケ月)÷365日≒2630円
    • 休業損害:1万630円×50日=53万1500円

弁護士基準の場合、基礎収入には家事労働による賃金センサスか、実収入のどちらか高い金額を用いて計算します。

例②

  • 専業主婦
  • 賃金センサス488万8100円(大学卒、年齢35歳、令和元年データを適用)・通院日数60日
  • 自賠責基準
    • 休業損害:6100円×60日=36万6000円
  • 弁護士基準
    • 1日当たりの基礎収入:488万8100円÷365日≒1万3392円
    • 休業損害:1万3392円×60日=80万3520円

アルバイトの休業損害の計算例

  • 事故前3か月分の収入36万円・休業日数20日
  • 自賠責基準
    • 休業損害:6100円×20日=12万2000円
  • 弁護士基準
    • 1日当たりの基礎収入:36万÷60日=6000円
    • 休業損害:6000円×20日=12万円

アルバイトの場合は特に、基礎収入の計算に歴日数と稼働日数のどちらを使うかで金額に大きな影響がでます。

また、アルバイトをしているのが主婦であれば、上記の兼業主婦の時と同様に、賃金センサスとの比較検討を行います。

また、上記のとおり、アルバイトの場合は、基礎収入が低額となることがあり、自賠責基準の方が高額となる場合があります。

休業損害の計算についてわからないことがあれば弁護士にご相談ください

休業損害は交通事故に遭った被害者の殆どが対象になる保険金です。日々の生活費に直結する収入の減収を補填し、生活の安定を守るものですので、しっかりと理解し適正額を受け取りたいところです。

しかし、その内容を正確に判断するのは容易ではありません。なぜなら、日々の収入をどのように得ているかはそれぞれの立場によって変わってくるからです。

弁護士に依頼すれば、被害者の立場に応じて適正な金額を計算してくれます。
また、一刻も早く生活を安定させるためにも、示談前に休業損害を支払うよう保険会社へ交渉してくれます。
不安を抱えず、まずは弁護士へ相談することから始めてみましょう。

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  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。