交通事故の症状固定とは?時期やその後の後遺障害認定などを解説

交通事故の症状固定とは?時期やその後の後遺障害認定などを解説

症状固定とは、交通事故によるケガについて、治療を続けても大きな回復が見込みにくいと医師が判断した段階を指します。

症状固定の判断が早すぎると十分な補償を受けにくくなり、反対に遅れると治療費の打ち切りを打診される場合もあるため、タイミングの見極めが大切です。

この記事では、症状固定の基本的な意味や重要性、ケガ別の症状固定時期の目安などについて、分かりやすく解説します。

症状固定後に後遺障害申請のサポートをした結果、併合9級を獲得した事例
  • 症状:腕や足指の骨折
  • 後遺障害等級:併合9級

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目次

症状固定とは

症状固定

症状固定とは、交通事故によるケガについて、一定期間の治療やリハビリを続けても、これ以上の回復が見込まれない状態を指します。

軽いケガであれば、痛みが消え、事故前と同じ状態まで回復する、いわゆる「完治」に至る場合もあります。

一方、交通事故では強い衝撃を受けやすく、痛みやしびれ、動かしづらさなどの症状が残るケースも少なくありません。

治療を重ねても、良くも悪くもならない段階に入ったと判断されると、「症状固定」とされます。

症状固定の重要性

症状固定の重要性

症状固定は、損害賠償の内容や金額に直結するため、交通事故では特に重要な判断となります。
症状固定の前後で請求できる損害賠償項目が変わるためです。

症状固定前は、治療費や入通院慰謝料、休業損害など、治療を前提とした補償が対象になります。

一方、症状固定は治療の一区切りと位置づけられるため、固定後は治療費や休業損害の請求が難しくなるケースがほとんどです。
後遺症が残った場合には後遺障害等級認定申請の手続きへ移行します。

入通院慰謝料は通院期間を基礎に算定されるため、症状固定の時期が早いほど金額は抑えられる傾向があります。

また、通院期間が短いと後遺障害と評価されにくい場合もあり、結果として示談金額全体に影響が及ぶ点には注意が必要です。

症状固定は誰が決める?

症状固定は誰が決める?

症状固定の判断を行うのは、治療を担当している医師です。
治療の経過や検査結果を踏まえ、保険会社や本人が一方的に決めるものではありません。

もっとも、医師は診察時の所見だけでなく、患者本人の訴えも重要な判断材料としています。

痛みやしびれ、動かしづらさなどの症状が残っている場合は、我慢せず具体的に医師に伝えましょう。その内容を踏まえ、医師と相談しながら症状固定の時期を検討する流れが一般的です。

症状固定の時期はいつ決まるのか?

症状固定の時期には、おおよその目安はあるものの、すべてのケースで一律に決まるわけではありません。

交通事故によるケガは内容や重さがさまざまで、回復までにかかる期間にも幅があります。
そのため、実際には症状ごとに判断の目安が異なります。

ここからは、交通事故で多く見られる代表的な症状について、症状固定とされる時期の一般的な目安を紹介します。

  • むちうちの場合:6ヶ月以上
  • 骨折の場合:6ヶ月~1年6ヶ月以上
  • 外貌醜状の場合:6ヶ月以上
  • 高次脳機能障害の場合:1年以上
  • 複数の症状がある場合:症状によって異なる

①むちうちの場合:6ヶ月以上

むちうちの場合、6ヶ月前後が症状固定の目安となります。

むちうちとは、事故の衝撃で首に負担がかかり、いわゆるねんざの状態になるケガのことです。
首の痛みだけでなく、手足のしびれなどの神経症状が後遺症として残る場合もあります。

一方、症状が軽いケースでは、後遺症が残らず3ヶ月程度で完治することもあります。

そのため、保険会社から事故後3ヶ月ほどで、症状固定を理由に治療費の打ち切りを打診されることも少なくありません。

むちうちによる後遺症について、後遺障害等級認定申請を目指す場合、基本的に6ヶ月以上の治療期間が求められます。

症状が続いているときは、保険会社から症状固定の話を出されても、焦って治療を中止せず、医師が症状固定と診断するまでは、必要な治療を継続することが重要です。

交通事故によるむちうちについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。

②骨折の場合:6ヶ月~1年6ヶ月以上

骨折の場合、6ヶ月〜1年6ヶ月以上が症状固定の目安です。

ただし、骨折の部位や程度によって回復スピードは異なり、実際には、骨のくっつき具合や関節の可動域、痛みの残り方などを踏まえて主治医が判断します。

ギブスなどの保存治療ではなく、手術によって骨を固定し、その後プレートやネジを取り除くケースでは、症状固定までの期間が目安よりも長くなる傾向があります。

また、骨が癒合した後も関節の可動域が制限され、動かしづらい場合には、リハビリも求められるため、症状固定までに時間を要することもあります。

交通事故で骨折した場合の慰謝料額について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

③外貌醜状の場合:6ヶ月以上

外貌醜状の場合は、6ヶ月以上が症状固定の目安となります。

外貌醜状(がいぼうしゅうじょう)とは、頭や顔、首など、日常生活で人目に触れやすい部分に、事故による傷跡が残った状態のことです。

具体的には、切り傷の痕や組織の陥没、手術痕、やけどによる色素沈着、鼻の変形、顔面神経麻痺による口のゆがみなどが挙げられます。

レーザー治療などで痕跡を改善する場合は、長期の治療が必要なこともあるため、2年以上経ってから症状固定と診断されるケースもあります。

外貌醜状について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

④高次脳機能障害の場合:1年以上

高次脳機能障害の場合、1年以上が症状固定の目安です。

脳の損傷による影響は時間の経過とともに現れる場合があり、治療やリハビリによる変化も踏まえて、慎重に症状固定時期を判断する必要があります。

そのため、症状固定までに長期間を要することが多いです。

高次脳機能障害とは、事故などで脳がダメージを受けた結果、記憶力や注意力、言語能力、感情のコントロールなどがうまく働かなくなる障害を指します。

被害者が子供の場合、成長に伴う影響を見極める必要があるため、症状固定まで5~8年かかるケースも珍しくありません。脳の成長や精神機能の成長が、将来の障害の程度に関わるためです。

高次脳機能障害について詳細に知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

⑤複数の症状がある場合:症状によって異なる

足の骨折とむちうちなど、複数の症状がある場合、それぞれ治療内容や回復の経過が異なるため、症状固定の時期も一律には決まりません。

例えば、首のむちうちが事故から3ヶ月で症状固定と判断されたとしても、足の骨折の治療やリハビリが続いている場合には、骨折の症状が落ち着くまで治療を続ける必要があります。

症状固定時期は、医師でなければ適切に判断できません。
保険会社からの症状固定の提案には、安易に応じないよう、注意しましょう。

交通事故で症状固定するとどうなる?

症状固定後も通院・治療は続けられる

医師から症状固定と判断されても、治療の継続そのものが禁止されるわけではありません。
痛みの緩和や症状の維持を目的として、主治医と相談しながら通院を続ける選択も可能です。

ただし、症状固定後にかかった治療費は、基本的に保険会社に請求できず、自己負担となります。
そのため、健康保険を利用し、負担を抑えながら通院を続けるとよいでしょう。

もっとも、症状の悪化防止のための治療や手術など、医学的な必要性が認められる場合には、例外的に症状固定後の治療費についても損害として請求できる可能性があります。

治療費の支払い方法や相場について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

損害賠償請求の時効がスタートする

時効の期間や起算点は損害の内容ごとに異なりますが、後遺症が残った場合の後遺障害慰謝料や逸失利益については、症状固定日の翌日から5年が時効の起算点です。

交通事故の損害賠償請求には時効があり、一定の期間を過ぎると、基本的に賠償金を受け取れなくなる可能性があります。

症状固定は、時効が動き出す重要な節目でもあるため、手続きは放置せずに早めに進めるようにしましょう。

保険会社から症状固定と言われた場合の対処法

交通事故から一定期間が経過すると、相手方の保険会社から「症状固定ではないか」「治療費を打ち切りたい」といった打診を受けることがあります。

ただし、症状固定はあくまで医師が医学的に判断するものであり、保険会社が決めるものではありません。

そのため、提案を受けてもすぐに同意せず、主治医に現在の症状や今後の治療の必要性を確認しましょう。

治療の継続が妥当と判断される場合には、医師の意見書をもとに保険会社と交渉する方法もあります。納得できないまま話を進めると、不利な結果につながるおそれもあるため、注意が必要です。

治療費打ち切りと言われた場合の対処法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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症状固定後の手続きの流れ

交通事故によるケガについて、治療を続けても大きな改善が期待できなくなると、医師から症状固定と診断されるのが一般的です。

症状固定後も、痛みやしびれなどの後遺症が残っている場合には、後遺障害等級認定申請を行い、その結果を踏まえて加害者側と示談交渉を行う流れになります。

具体的には、以下の手順で進めていきます。

  1. 医師に後遺障害診断書を作成してもらう
  2. 後遺障害等級認定申請を行う
  3. 示談交渉を行う

①医師に後遺障害診断書を作成してもらう

症状固定後も後遺症が残っている場合は、主治医に相談のうえで、後遺障害診断書の作成を依頼します。

後遺障害診断書とは、後遺症の内容や検査結果、これまでの治療経過などを医師が記載する書面です。

後遺障害等級認定申請を行い、等級が認定されると、等級に応じた後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できるようになります。

後遺障害診断書がなければ、後遺障害等級認定申請は行えない点に注意が必要です。

記載内容は結果に影響するため、医師に自覚症状や検査結果を正確に記載してもらいましょう。
後遺障害診断書に不安がある場合は、弁護士にご相談ください。

後遺障害診断書について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。

②後遺障害等級認定申請を行う

後遺障害等級認定申請の方法には、事前認定被害者請求の2つがあります。

事前認定は、加害者側の保険会社が被害者に代わって必要書類をそろえ、自賠責保険へ申請する方法です。

手続きの負担が少ない点はメリットですが、提出資料は保険会社の判断に委ねられるため、等級認定に有利な資料を提出してくれるとは限りません。

一方、被害者請求は、被害者自身が書類を準備して申請する方法です。診断書や画像資料など、等級認定に有利な資料を提出できるため、適切な後遺障害等級に認定される可能性が高まります。

ただし、準備には時間と労力が求められ、画像資料の入手などは一時自己負担となる点には注意が必要です。

後遺障害や後遺障害等級認定申請の方法について詳しく知りたい方は、以下の各記事もご覧ください。

③示談交渉を行う

後遺障害等級認定の結果に納得できたら、加害者側の保険会社と示談交渉を開始します。
示談交渉では慰謝料などの損害賠償額を決めることになります。

もっとも、保険会社から最初に提示される金額は、自賠責基準や任意保険基準によるものが多く、被害者が本来受けとるべき金額より低く抑えられているケースが少なくありません。

示談交渉によって保険会社の提案額を適正額まで引き上げなければ、十分な補償を受けられない可能性があります。

ただし、加害者側の保険会社は、専門知識のない被害者相手だと増額に応じないことも見られます。弁護士に交渉を任せ、過去の裁判例をもとにした弁護士基準で補償を求めるとよいでしょう。

示談交渉を弁護士に依頼すべき理由について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

症状固定について弁護士に相談するメリット

症状固定は、治療の区切りであると同時に、その後の補償内容を大きく左右する重要な要素です。

しかし、症状固定の時期が適切か、保険会社の説明に問題はないか、ご自身だけで判断するのは簡単ではありません。

判断を誤ると、治療費の打ち切りや慰謝料の減額などにつながるおそれもあります。
ここからは、弁護士に相談する具体的なメリットを順に解説します。

  • 症状固定の妥当性の判断や治療費打ち切りの対応ができる
  • 後遺障害等級認定申請のサポートが受けられる
  • 損害賠償金の増額が期待できる

交通事故を弁護士に相談するメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

症状固定の妥当性や治療費打ち切りの対応ができる

症状固定の時期が適切かどうかは、治療経過や通院状況、残っている症状の内容によって変わります。

弁護士に相談すれば、医師の診断内容や診療録をもとに、症状固定と判断する段階に達しているかを客観的に確認することが可能です。

また、保険会社は費用負担の観点から、一定期間が経過すると治療費打ち切りを打診してくる傾向があります。

このような場合でも、弁護士が間に入ることで、主治医の意見を整理し、治療の必要性を根拠づけたうえで延長交渉を行えます。

後遺障害等級認定申請のサポートが受けられる

後遺障害等級認定申請を弁護士に相談すれば、医師に依頼する前の段階から、記載してもらいたいポイントや不足しやすい点についてアドバイスを受けられます。

完成後の診断書についても、審査で重視されるポイントを踏まえて内容を確認し、必要に応じて修正や補足の検討も可能です。

また、被害者請求による画像資料の収集や医師への意見書依頼などの代理もできます。
等級認定に有利な証拠をそろえつつ、認定率を高められるでしょう。

後遺障害を弁護士に依頼するメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

損害賠償金の増額が期待できる

交通事故の慰謝料や損害賠償金は、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準のどの基準を適用するかによって、大幅に変わります。

この中で、最も高額になりやすいのが弁護士基準です。

弁護士基準は、弁護士が代理人として交渉する場面で用いられる基準です。
被害者本人が単独で交渉しても、弁護士基準が採用される可能性は高くありません。

弁護士に依頼することで、慰謝料や逸失利益などを弁護士基準で主張でき、結果として損害賠償金全体の増額が期待できます。

慰謝料の算定基準について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

症状固定に関する弁護士法人ALGの解決事例

弁護士の介入により、症状固定時までの入通院慰謝料を獲得した事例

事案の概要

二車線から三車線に合流する地点で、車線変更しようとした相手方車両が直進中の依頼者車両に側方から衝突した事故です。
依頼者は、今後の対応を任せたいと、弁護士法人ALGに依頼されました。

担当弁護士の活動

相手方保険会社は、入通院慰謝料について、「一括対応の期間のみが必要な治療期間」であると主張してきました。

そのため、担当弁護士は、後遺障害が認められたのであるから、症状固定時までを対象として、入通院慰謝料を計算すべきと反論しました。

結果

担当弁護士の交渉の結果、症状固定時までを対象として入通院慰謝料が認められ、示談金の増額につなげることができました。

症状固定後に後遺障害申請のサポートをした結果、併合9級を獲得した事例

事案の概要

依頼者の車が相手方車両に衝突され、腕や足指を骨折した事故です。
症状固定と診断された後も、症状が安定しないため自費で治療を続け、医師が作成した後遺障害診断書の内容が適切か不安を抱き、弁護士法人ALGに依頼されました。

担当弁護士の活動

弁護士は通院先から依頼者の検査資料を取得し、後遺障害診断書の内容を確認しました。

依頼者は症状固定後も手術を受けるなど治療が必要な状況が続いていたため、主治医に症状固定時期に関して問い合わせ、後遺障害診断書の傷病名、自覚症状、検査結果の修正を依頼しました。

結果

後遺障害等級認定申請の結果、肘関節の可動域制限、足指の機能障害等を合わせて併合9級との認定を受けました。これを踏まえて弁護士基準による賠償金を請求した結果、自賠責分を除く2500万円の賠償金を獲得できました。

症状固定に関するよくある質問

交通事故で症状固定から示談成立までの期間はどれくらいですか?

後遺障害が残らず、後遺障害等級認定申請が不要な場合には、症状固定から示談成立までの目安は2〜3ヶ月程度とされています。

一方、後遺症が残り、後遺障害等級認定申請の手続きを行う場合には、認定結果が出るまでに時間がかかるため、症状固定から示談成立まで半年から1年程度かかるケースも少なくありません。

示談の時期は、手続き内容や交渉状況によって前後します。

症状固定の時期によって慰謝料は変わりますか?

一般的に、症状固定が遅くなるほど入通院期間が長くなるため、治療費や入通院慰謝料は増える傾向です。

一方、症状固定時期が早すぎると、治療期間が短いと評価され、後遺障害等級認定申請が行えない場合もあります。

後遺障害が認定されなければ、後遺障害慰謝料や逸失利益は請求できません。

もっとも、必要以上に症状固定を遅らせると、治療の妥当性を保険会社から疑問視される場合もあります。

後遺障害等級が認められにくくなったり、治療費の扱いを巡って争いになるリスクもあるため、注意が必要です。

症状固定時期について納得できない・不安がある場合は弁護士にご相談ください

症状固定の時期は、その後に請求できる慰謝料や損害賠償金を大きく左右する重要な要素です。
保険会社は今後の賠償額を見据え、早期の症状固定を促してくる場面も見受けられます。

弁護士法人ALGは、交通事故に詳しい弁護士が多数在籍し、症状固定や後遺障害が争点となる多くの案件を扱ってきました。

これまでの経験を活かしながら、医師の診断内容を踏まえつつ、保険会社との交渉や将来の手続きを見据えたアドバイスが可能です。

また、代理人として後遺障害等級認定申請の手続きを任せることもでき、ご相談者様の負担を軽減できます。

症状固定の時期に迷いや不安を感じた場合は、まずは一度私たちにご相談ください。

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監修 :福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

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