交通事故の過失割合とは?決め方など示談前に知っておくべき基礎知識

交通事故の過失割合とは?決め方など示談前に知っておくべき基礎知識

過失割合とは、加害者と被害者、それぞれの事故の責任を数字で表したもので、被害者側の過失割合分に応じて損害賠償金が減額します。

過失割合は多くの場合で相手方保険会社からまず提示されますが、必ずしも提示された過失割合が正しいとは限りません。被害者自身でもどれぐらいの過失割合になるのか確認をする方が望ましいでしょう。

そこで、この記事では、適切な過失割合を主張するための基礎知識として、過失割合はどのように決めればいいのか、また、過失割合に納得できない場合の対処法などについて解説していきます。ぜひご参照ください。

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目次

交通事故の過失割合とは

交通事故の過失割合とは

過失割合とは、加害者と被害者の事故の責任を割合で表したものです。「9対1」「5対5」のように表示されます。数字の大きい方が過失の大きいことを表しています。

交通事故では、どちらか一方だけが悪いということは少なく、被害者にも過失が付くことが多くあります。被害者にも過失が認められる事故の場合、加害者だけにすべての損害を負担させるのは公平ではないという観点から、被害者の過失分が損害賠償金から減額されます。

そのため、適切な過失割合で示談交渉することが重要です。

過失割合の決め方は?誰が決める?

過失割合は事故の当事者の話し合いによって決まります。被害者と加害者の保険会社が交渉を行い、過失割合を決めるのが一般的です。

事故があると警察に届け出を行うため、警察が事故の状況から過失割合を決めると思われるかもしれませんが、警察に届け出を行うのは、事故があったことを証明する「交通事故証明書」を発行してもらうためで、過失割合とは関係ありません。

このように過失割合は当事者間の話し合いで決まりますが、その際に参考とされるのが、過去の判例に基づき作成された、事故様態ごとの基本過失割合です。

これは、別冊判例タイムズ38・民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準などの書籍に掲載されています。

この基本過失割合に基づき、個別の事情による修正を加え、過失割合が決まります。

過失割合はいつ決まる?

過失割合は示談交渉時に確定させます。事故後しばらくしてから、相手方保険会社から過失割合の提示をされるのが一般的です。

相手方保険会社から提示された過失割合に納得できる場合は、暫定的にその過失割合を前提として、損害賠償金額についての協議が進みます。

一方、納得できない場合は、示談が成立するまで協議を続けることになります。協議を重ねても過失割合について双方が合意できなければ、裁判などで決めることになります。

示談交渉において、当事者双方が過失割合に合意できたら、示談が成立し、被害者側の過失割合分を減額した損害賠償金が支払われることになります。

示談交渉の流れについては、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

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被害者に過失があると「過失相殺」で賠償金が減る?

(過失相殺)
加害者 被害者
過失割合 8割 2割
損害額 100万円 100万円
請求可能な賠償金額 100万円×(1-0.8
=20万円
100万円×(1-0.2
=80万円
相殺払いによる受取額 0円 60万円
クロス払いによる受取額 20万円
(対物・対人保険利用)
80万円

過失相殺とは、加害者、被害者それぞれの過失割合に応じて、損害賠償金を減額させることをいいます。

過失相殺(かしつそうさい)とは?

交通事故の責任(過失)が被害者にも認められる場合に、その過失割合を考慮して、被害者が受け取る損害賠償金を減額することです。
これは、被害者と加害者間で損害を公平に分担しようという観点から民法第722条によって定められています。

過失相殺には、以下の2つの方法があります。

  • 相殺払い…交通事故の当事者双方が相手方に対してもっている損害賠償請求権を対等額で相殺し、その残額を一方のみが支払うこと
  • クロス払い…交通事故の当事者がそれぞれ、相手の過失分に応じて減額された損害賠償金を相手方に支払うこと

表から具体例を見ていきましょう。

過失割合が「加害者:被害者=8:2」で、加害者・被害者の損害額が共に「100万円」のとき、相殺払いの場合には、被害者が最終的に加害者から受け取れる損害賠償金額は被害者が請求可能な賠償金額80万円から加害者が請求可能な賠償金額20万円を差し引いた60万円となります。

一方、クロス場合の場合には、それぞれ自分の過失分に応じて減額された損害賠償金(加害者は8割減額の20万、被害者は2割減額の80万円)を受け取ることになります。

過失相殺について、より詳しく知りたい方は、以下のリンクをご参照ください。

過失割合について揉めやすいケース

過失割合は損害賠償金に大きな影響を与えるため、示談交渉で揉める原因のひとつです。
以下では、過失割合で特に揉めやすいケースをご紹介します。

①損害額が大きい場合

損害額が大きい場合、1割過失が違えば、損害賠償金額に大きな影響を与えるため、揉めやすくなってしまいます。

②客観的な証拠が残っていない場合

ドライブレコーダー映像など客観的な証拠が残っていれば過失割合を決めやすいのですが、多くの事故では客観的な証拠がないことが多く、揉める原因となってしまいます。

③駐車場内の事故の場合

別冊判例タイムズ38などに掲載されている基本過失割合は道路上での事故が多く、駐車場内での事故の事例が不足しています。そのため、基本過失割合を特定できず揉めてしまうことがあります。

駐車場内の事故による過失割合については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

以上の理由から、過失割合については揉めてしまうことが多いです。

一般的に、過失割合は相手方保険会社から提示されることが多いですが、相手方保険会社の提示する過失割合は加害者の言い分のみに従って算定された、加害者有利のものである場合も多いです。

そのため、相手方保険会社から提示された過失割合を安易に鵜吞みにせず、納得ができない場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士であれば、過去の判例や事故状況から適切な過失割合を主張・立証していくことが可能です。

過失割合が揉める理由については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

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事故のパターン別で見る過失割合の例

具体的な事故状況ごとの基本過失割合を、以下にご紹介します。

ただし、以下の割合は基本過失割合であるため、修正要素がある場合は、過失割合が変動する場合がありますので、注意が必要です。

自動車同士の事故(10対0・9対1・8対2)

自動車同士の事故の過失割合

自動車同士の事故のケースです。

「10対0」は、被害者に全く責任のない事故の場合、「9対1」と「8対2」は加害者に大半の責任があるものの、被害者にも注意義務違反があるような場合となります。

以下すべて「加害者A 対 被害者B」の過失割合となります。

過失割合10対0の事故の例

  • Bが信号待ちのため道路上に停車、または路肩に停車していた際に、後ろからAに追突されたケース
  • Bが直進中、対向車線を走るAがセンターラインを越えてBに衝突したケース
  • 交差点内で、青信号で直進中のBに、赤信号で進入してきたAが衝突したケース

過失割合9対1の事故

  • 交差点で、優先道路を直進するBと、非優先道路から優先道路に進入したAが衝突したケース
  • 直進するBと、道路外に出ようと対向車線から右折したAが衝突したケース
  • 交差点で、赤信号で進入するAと、青信号で進入し、赤信号で右折したBが衝突したケース

過失割合8対2の事故

  • 交差点で、青信号で直進するBと、対向車線から青信号で右折したAが衝突したケース
  • 信号機のない交差点で、直進するBと、対向車線から右折したAが衝突したケース
  • 信号機のない交差点で、直進するBと、一方通行違反をして進入したAが衝突したケース

自動車とバイクの事故(10対0・9対1・8対2)

自動車とバイクの事故の過失割合

自動車とバイクの事故のケースです。

自動車とバイクのケースでは、自動車同士の事故に比べ、バイク側よりも自動車側に過失割合が厳しく認定される傾向にあります。

以下すべて「加害者A 対 被害者B」の過失割合となります。

過失割合10対0の事故

車同士の事故と同様に、追突した車、センターラインオーバーした車、信号無視した車の過失が10割となります。

過失割合9対1の事故

  • 交差点で、赤信号で進入したA車と、黄色信号で進入したバイクBが衝突
  • 信号機のない交差点で、非優先道路から優先道路に右折したA車と優先道路を直進するバイクBが衝突
  • 信号機のない交差点で、直進するバイクBと、Bを追い抜き、左折した車Aが衝突

過失割合8対2の事故

  • 信号機のない交差点で、広路を直進するバイクBと、狭路を同速度で直進する車Aが衝突したケース
  • 直進する車Aが進路変更をしたところ、後方から直進してきたバイクBと衝突したケース
  • 交差点で、赤信号で直進進入する車Aと、黄信号で進入し、赤信号で右折したバイクBが衝突したケース

自動車と自転車の事故のケース(10対0・9対1・8対2)

自動車と自転車の事故の過失割合

自動車と自転車の事故のケースです。

自転車は軽車両扱いされますが、一般的に自動車同士の事故に比べ、自転車側の過失が軽減される傾向にあります。

以下すべて「加害者A 対 被害者B」の過失割合となります。

過失割合10対0の事故

  • 自転車Bが直進中、対向車線を走る車Aがセンターラインを越えてBに衝突したケース
  • 交差点で、青信号で横断歩道を横断中の自転車Bと、赤信号で進入してきた車Aが衝突したケース
  • 信号機のない交差点で、直進する自転車Bに、後ろから追い越して左折した車Aが衝突したケース

過失割合9対1の事故

  • 交差点で、黄色信号で直進する自転車Bと赤信号で直進する車Aが衝突したケース
  • 信号機のない交差点で、一時停止規制のない道路を直進する自転車Bと、一時停止規制のある道路を直進する車Aが衝突したケース
  • 信号機のない交差点で、広路を直進する自転車Bと、狭路を直進する車Aが衝突したケース

過失割合8対2の事故

  • 交差点で、黄色信号で直進する自転車Bと、対向車線から黄色信号で進入し、右折した車Aが衝突したケース
  • 信号機のない交差点で、直進する自転車Bと、右折で進入する車Aが衝突したケース
  • 信号機のない交差点で、優先道路から非優先道路に右折する自転車Bと、非優先道路を直進する車Aが衝突したケース

自動車と歩行者の事故(10対0・9対1・8対2)

自動車と歩行者の事故の過失割合

自動車と歩行者の事故のケースです。

歩行者保護の観点から、自動車と歩行者の事故の場合、自動車側に重い過失が認められます。

以下すべて「加害者A 対 被害者B」の過失割合となります。

過失割合10対0の事故

  • 交差点で、青信号で横断歩道を渡る歩行者Bと、赤信号で進入する車Aが衝突したケース
  • 歩道を歩いていた歩行者Bと、歩道に突っ込んだ車Aが衝突したケース
  • 直進中の車Aと、車歩道の区別のない道路の右端を歩いていた歩行者Bが衝突したケース

過失割合9対1の事故

  • 交差点で、赤信号で直進する車Aと、黄信号で横断歩道を横断する歩行者Bが衝突したケース
  • 交差点で、赤信号で直進する車Aと、赤信号で横断歩道を横断開始し、青信号に変わった歩行者Bが衝突したケース

過失割合8対2の事故

  • 交差点で、赤信号で直進する車Aと、赤信号で横断歩道を渡る歩行者Bが衝突したケース
  • 横断歩道がない道路を直進する車Aと、道路を横断する歩行者Bが衝突したケース

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過失割合を調整する「修正要素」について

修正要素とは、基本過失割合を加算・減算する要素で、「夜間」や「視認不良」など実際の事故現場の状況や、「15キロ以上の速度違反」や「徐行なし」といった事故状況、「児童・高齢者」などの被害者の個別事情に応じて定められています。

また、修正要素ごとに「-5」「+10」と修正幅が定められ、基本過失割合から加算・減算します。

事故の状況によっては、基本過失割合をそのまま当てはめるべきではないケースがあります。

例えば、事故の原因が加害者の著しいスピード違反や酒気帯び運転などであった場合には、そのまま基本過失割合を当てはめてしまうと、被害者にとって公平ではありません。

そのため、適切な過失割合を算出するために、事案に応じて、基本過失割合から修正要素を適用して、過失割合を修正する必要があるのです。

修正要素の具体例

修正要素の具体例を見ていきましょう。
基本過失割合から実際の事故状況をもとに、細かく修正要素を加算・減算し適切な過失割合を決めていきます。

修正要素 具体例
時間
  • 事故発生時が夜間(日没から日の出までの時間)
場所
  • 幹線道路
    車道幅員がおおむね14m以上(片側2車線以上)の道路であって、車道と歩道の区別があり、通行量の多い国道や県道など
  • 歩車道の区別がない道路
    歩行者の通行帯と車の通行帯とが分離されていない道路
  • 左右の見とおしがきかない交差点
    交差点進入直前において、沿道の建物や駐車車両、看板その他道路の状況などにより、車両が進行する道路と左右に交差する道路の見通しがきかない交差点。
  • 住宅街や商店街
    人の横断や通行が激しい場所または頻繁に予測される場所
被害者の属性
  • 幼児(6歳未満の者)
  • 児童(6歳以上13歳未満の者)
  • 高齢者(おおむね65歳以上の者)
  • 身体障がい者(車いす利用者、視覚障がい者、聴覚障がい者など)
著しい過失
  • わき見運転など著しい前方不注意
  • 著しいハンドル・ブレーキ操作不適切
  • 携帯電話を使用しながらの運転
  • 酒気帯び運転
  • おおむね時速15Km以上30km未満の速度違反(高速道路を除く)
重過失
  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • おおむね時速30km以上の速度違反(高速道路を除く)
  • 過労、病気、薬物などの影響により、正常な運転ができないおそれがある場合
事故状況
  • 直前直後横断
    歩行者が車の直前・直後を横断した場合
  • 佇立・後退
    歩行者が特段の事情なく、立ち止まったり、後退したりした場合
  • 急な飛び出し、ふらふら歩き
    歩行者が車の前に急に飛び出したり、予想外に大きくふらついたりした場合
車種
  • 大型車
    大型特殊自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車及び小型特殊自動車以外の自動車、中型自動車のうち、一定の条件を満たす自動車

過失割合10対0を主張する場合の注意点

過失割合が10対0のように、被害者に過失がない事故の場合は、基本的に、自身の加入する任意保険会社の示談交渉サービスが使えないため、被害者自身で加害者側の保険会社と交渉する必要があります

これは、被害者に過失がない場合は、保険会社に保険金支払義務がないため、示談交渉を行えないからです。

しかし、自力で交渉のプロである保険会社と示談交渉することは容易なことではなく、保険会社に言いくるめられ、被害者に不利な条件で示談が成立してしまう可能性があります。

よって、過失のない事故、または無過失を主張したい事故の場合は、弁護士に依頼することをおすすめします

特に、過失割合については、自身で有利な過失割合の主張・立証することは相当な知識がなければ困難です。弁護士特約がある場合には、積極的に弁護士に相談することをお勧めします。

過失割合が9対0になるケースもある?

当事者同士の話し合いにより、過失割合を「9対0」とすることを「片側賠償」(片賠)といいます。

片側賠償とは、被害者にも1割の過失があるが、加害者が、被害者に対して持つ被害者過失1割分に相当する損害賠償請求権を放棄したため、被害者が賠償金を支払う必要がない状態のことをいいます。

例えば、加害者が9対1、被害者が10対0と主張し、折り合いがつかない場合に、早期に示談を成立させるための折衷案として、片側賠償が利用される場合があります。

具体例を以下の表を用いて確認してみましょう。

例えば、「加害者と被害者の過失割合9対0、加害者の損害額100万円、被害者の損害額500万円」の場合、加害者が被害者に対して請求できる損害賠償金は、500万円から被害者の過失分である1割を減額した450万円となります。

加害者から受け取れる賠償金は50万円減額されますが、被害者が加害者に支払う賠償金は0円で済みます。

加害者 被害者
過失割合 9 0
損害額 100万 500万
請求できる金額 0円 450万円

なお、9対0の片側賠償のメリットとデメリットを、以下で確認しておきましょう。

メリット

  • 加害者に賠償金を支払う必要がなくなる
  • 支払う賠償金がないため、保険の等級が下がらない
  • ご自身の加入する任意保険会社に示談交渉を任せることができる
  • 過失割合でもめた場合に、折衷案として利用すれば、加害者とスムーズに合意できる可能性が高まる

デメリット

  • 加害者から受け取れる賠償金額が減額される。

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過失割合に納得いかないときの対処法

保険会社が主張する過失割合が正しいとは限りません。保険会社は、賠償金の支払いを抑えるべく、被害者の過失割合を大きく見積もる可能性があります。

よって、提示案を鵜呑みにすると、適切な損害賠償金を受け取れないおそれがありますので、注意が必要です。

過失割合に納得がいかない場合は、保険会社に対し、適正な過失割合を主張・立証することが必要です。

具体的な交渉方法を以下に挙げますので、確認しておきましょう。

過失割合の証拠を集める

過失割合の交渉で重要なのは証拠です。事故状況を示す客観的な証拠があれば、有利に過失割合を主張することができます。

過失割合を証明する有効な証拠として、主に以下のようなものが挙げられます。

ドライブレコーダーの映像

事故当事者の車または目撃者の車に搭載されたドライブレコーダーに、事故前後の動画が記録されていれば、重要な証拠となります。
ドライブレコーダーには、SDカードの容量が満杯になると、古い映像から削除される機能があるため、データが上書きされないよう、事故後速やかに、CD-Rなどへの保存が必要です。

防犯カメラの映像

事故現場の周辺に防犯カメラが設置されていれば、事故当時の状況が録画されている可能性があります。
ただし、防犯カメラの映像は、警察にしか開示されないことが多いので、カメラの設置に気が付いた場合は、速やかに警察に連絡し、映像の開示を依頼しましょう。

事故直後に撮影した事故現場や事故車両の写真

事故直後に撮影した事故現場の写真は、路面の状況、車の衝突・停止位置など、また、事故車両の写真は、衝突の位置や角度、事故時の車のスピードなどを推測する証拠となります。
よって、事故直後に、携帯のカメラなどで事故現場と事故車両を撮影し、保存しておくことが必要です。

目撃者の証言

第三者の目撃証言も、重要な証拠となります。
事故現場に目撃者がいたならば、名前と連絡先を聞いておきましょう

実況見分調書

実況見分調書には、現場道路や運転車両の状況などが記載され、事故現場の写真も添付されるため、過失割合決定の重要な証拠となります。
まずは、事故証明書に記載された警察署に連絡し、指示された検察庁へ実況見分調書の謄写・閲覧の申請を行いましょう。

ADR・調停・裁判を利用する

過失割合について折り合いがつかず、示談交渉が難航する場合は、以下のような方法を検討するのが望ましいでしょう。

ADR機関

交通事故紛争処理センターなどのADR機関が仲介に入り、公平中立的な立場から、加害者と被害者の意見の調整を行います。ADR登録弁護士による法律相談、和解のあっせん、紛争解決のための審査などを、基本的に無料で受けることが可能です。
ただし、ADRはあくまで中立的であるため、被害者に有利になるような助言をしてくれるわけではないので、注意が必要です。

調停

簡易裁判所に調停の申し立てを行うと、調停委員が仲介に入り、当事者の主張を聞き、意見の調整を行い、公平な立場から解決案を提示します。当事者が調停案に合意すれば、紛争は決着します。
ただし、当事者が合意に至らなければ、調停は不成立となります。

裁判

調停でも解決できなかった場合の最終的な決着方法です。裁判所が当事者の主張、客観的証拠などに基づき、判決を下します。
当事者の合意がなくても解決可能ですが、他の方法と比べて、手間や時間がかかります

【ADR・調停・裁判の違い】

ADR 調停 裁判
費用 安い 多少安い 高い
期間 早い 多少長い 長い
効果
  • 話し合いが成立すれば和解できる
  • 強制執行力はない
  • 調停委員を介した話し合いで双方が合意できれば調停成立となる
  • 調停調書に基づき、強制執行が可能
  • 裁判官が判決を下し紛争の解決を図る手続き
  • 当事者の合意は必要ない
  • 判決正本に基づき、強制執行が可能

弁護士に相談する

過失割合に納得がいかない場合は弁護士にご相談ください

保険会社から提示された過失割合に納得できない場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。弁護士に相談すると、以下のようなメリットがあります。

提示された過失割合が適正なものか判断できる
弁護士は法律の専門家であり、事故類型ごとに過失割合に関する判例を熟知しています。そのため、相手方保険会社から提示された過失割合が適正なものかを判断することができます。

過失割合を裏付ける証拠の収集をサポートできる
交通事故に詳しくなければ、過失割合を修正するための証拠の収集は難しいでしょう。弁護士であれば、過失割合を裏付ける証拠の収集をサポートし、様々な修正要素を考慮したうえで、適切な過失割合を主張できるため、損害賠償金の増額の可能性も高まります。

なお、弁護士費用の負担については、保険に付帯する弁護士特約を利用すれば、基本的には被害者本人の負担はありません。 ご自身やご家族の保険に弁護士特約が付いているか、確認してみましょう。

過失割合に関する弁護士法人ALGの解決事例

ドラレコの詳細な分析の結果、過失割合を8対2→9対1に修正した事例

弁護士法人ALGの弁護士が介入し、ドライブレコーダーの詳細な分析の結果、過失割合を8対2から9対1に修正できた事例をご紹介します。

依頼者は、運転中に横から一時停止を無視した車に衝突され、頚椎捻挫のケガを負いました。
過失割合と相手方保険会社の対応に不安を感じ、弊所にご相談されました。

当初、相手方保険会社は、相手方と依頼者の過失割合を8対2と主張していました。

そこで、担当弁護士は、ドライブレコーダーの映像を詳細に分析し、依頼者の衝突の回避は困難であったと判断し、適切な過失割合は9対1であることを主張したところ、相手方は過失割合の修正に応じました

そのため、休業損害や慰謝料などの賠償金も増額し、依頼者に満足いただけた結果となりました。

過失割合を7対3→10対0にし、約455万円で和解成立した事例

弁護士法人ALGの弁護士が介入し、過失割合を7対3から10対0へと修正し、約455万円で和解が成立した事例をご紹介します。

右車線を走行していた相手方車両が車線変更を行い、乗用車にて走行中の依頼者車両に衝突した事故です。

後遺障害について、依頼者に認定された後遺障害等級は14級でしたが、依頼者自身はより重い等級が相当であると考えていました。

また、過失割合についても、相手方側主張の事故態様と事実に差異があり、双方見解に開きがありました。その他にも、治療期間について相当なのはいつからいつまでか、個別の損害額はいくらが相当かなどで双方の主張が折り合わず、交渉は決裂となりました。

その後、訴訟へと進行しましたが、最終的には裁判官より和解のあっせんがあり、後遺障害は14級、過失割合は10対0ベースでなど双方の歩み寄りができ、和解成立となりました。

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過失割合に関するQ&A

過失割合が8対2の物損事故の場合、加害者に車の修理代を請求できますか?

被害者に過失がある場合でも、加害者に車の修理代を請求することは可能です。

ただし、被害者自身の過失割合である2割分だけ、加害者に請求できる修理代が減額されることになります。

例えば、加害者と被害者の過失割合が8対2で、被害者の修理代が200万円の場合、被害者が加害者に対して請求できる修理代は200万円×0(1-0.2)=160万円となります。

被害者側にも過失がある場合、治療費の一部は自己負担となってしまうのでしょうか?

被害者にも過失がある場合は、治療費の一部は被害者の自己負担となります。

例えば、加害者と被害者の過失割合が9対1で、被害者の総治療費が100万円であった場合、被害者は100万円の1割である10万円の治療費を自己負担する必要があります。

もっとも、交通事故の怪我でも健康保険を使用することができます。病院の受付で「交通事故では健康保険は使えません」と言われた方もいらっしゃるかもしれませんが、健康保険機関に第三者行為による傷病届を提出することによって、健康保険を使用することができるようになります。

健康保険を使用すれば、窓口での自己負担額が1割~3割となりますので、被害者の方の自己負担額を軽減することができます。

駐車場内で交通事故に遭った場合、過失割合はどのように決まりますか?

駐車場内で自動車事故が発生した場合は、通常の道路の事故とは異なり、駐車スペースに入庫しようとしている車が優先され、その過失割合が低くなる傾向があります。
ただ、駐車場内では他の車の動静に注意しなければならないため、被害者・加害者ともに過失が認められるケースが多い印象です。

例えば、駐車場内の通路を直進する車と駐車スペースに入庫しようとしている車の過失割合は、原則8対2となります。

また、駐車場内の通路を直進する車と駐車スペースから出る退出車の事故は、一般道路と同様、直進車が優先され、原則3対7となります。

さらに、駐車場内の通路における出会い頭の事故は原則5対5、自動車と歩行者の事故は原則9対1となります。

【まとめ】過失割合の交渉を有利に進めるためには、弁護士にご相談ください

過失割合は当事者同士で決めるものであるため、示談交渉で争いやすくなってしまいます。

相手方保険会社が提示する過失割合に納得できない場合は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
私たちは交通事故に詳しい弁護士が多数在籍しており、交通事故の解決実績も豊富です。

弁護士が入ることにより、過失割合の修正を裏付ける証拠収集のアドバイスや、証拠をもとに法的な観点から適切な過失割合を主張・立証することができます。

その結果、被害者にとって適切な過失割合になる可能性が高くなり、適切な損害賠償金を受け取れることが期待できます。

過失割合の交渉を有利に進めたい方は、私たちに一度ご相談ください。

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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