人身事故の慰謝料はいくら?相場と計算方法、増額のポイント

人身事故の慰謝料はいくらもらえる

「人身事故の被害にあってしまったが、自分はどのぐらいの慰謝料をもらえるの?」
「1日でも早く慰謝料が欲しいけど、いつごろ支払われるの?」
この記事を見ている方は、このような疑問をお持ちではないでしょうか?
まず、お伝えしたいのが、相手方の保険会社が提案してくる慰謝料は、相場よりも低額な傾向にあるという事実です。
正しい慰謝料の相場を知らないまま、示談案にサインしてしまうと、低額な慰謝料しかもらえなくなるおそれがあるため注意が必要です。

そこで、本記事では、人身事故の慰謝料の相場、慰謝料を増やす方法、慰謝料の支払い時期などについて解説していきます。本来もらえるはずの慰謝料を獲得できるよう、ぜひご一読ください。

なお、今すぐ慰謝料額を知りたい方は、以下のページにある自動計算機を使ってご確認ください。

目次

人身事故における慰謝料の基本

人身事故とは、交通事故により、被害者がケガをしたり、死亡したりした事故のことをいいます。
例えば、信号待ちで停車中に後ろから追突されてむちうちを負った、歩行者が車にはねられ死亡したようなケースが挙げられます。
人身事故の被害にあうと、ケガをして痛い思いをしたり、後遺症が残って今後の生活に不安を覚えたり、遺族が深い悲しみを負ったり、普段の生活では起こり得ない、大きな精神的ショックを受けます。この精神的苦痛をお金に換えて、加害者から被害者に支払われるものが「慰謝料」です。
なお、慰謝料は、人身事故の場合のみに支払われるのが通常です。

人身事故と物損事故の違い

人身事故と物損事故には、以下の違いがあります。

  • 人身事故 慰謝料を受けとることができる
  • 物損事故 基本的に、慰謝料はもらえない

物損事故は、壊れた物の賠償を受ければ、原状は回復され慰謝料を支払う必要はないと考えられているからです。
なお、物損事故でも、車両の損害費用や代車使用料、事故で破損した荷物の補償などは受けられます。

物損事故の損害賠償請求について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

人身事故で請求できる慰謝料の種類

人身事故の被害にあった場合に、加害者に対して請求できる慰謝料は、

  • ①入通院慰謝料
  • ②後遺障害慰謝料
  • ③死亡慰謝料

と3種類あります。それぞれの慰謝料の内容は、以下のとおりです。

入通院慰謝料 事故によりケガを負い、入院や通院を強いられた精神的苦痛に対し支払われる慰謝料。初診日~治療終了日または症状固定日までの通院期間、実際に入通院した日数、通院頻度、ケガの症状、治療内容などに基づき、金額が決められる。
後遺障害慰謝料 事故により後遺障害が残った場合の精神的苦痛に対し支払われる慰謝料。一般的に、自賠責保険を通じて後遺障害等級認定を受けた場合に請求可能となり、等級に応じた慰謝料が支払われる。
死亡慰謝料 事故により被害者が死亡した場合の、本人及び遺族の精神的苦痛に対し支払われる慰謝料。基本的に、遺族の人数や扶養者の有無、被害者の家族内での立場などに基づき、金額が決められる。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故によるケガで痛い思いをし、辛い治療や手術をうけた精神的苦痛に対する慰謝料です。
本来であれば、一人一人の苦しみの程度に応じて支払われるべきものですが、個別に判断しづらいため、入通院慰謝料額は、入通院期間(初診日~治療終了日または症状固定日)または実際に入通院した日数をベースに算定されます。
基本的に、通院期間が長く、実際に入通院した日数が多いほど、慰謝料も多くなります。
ただし、同じ通院期間でも、通院日数が極端に少ない場合は、慰謝料が減額されることがあるため、注意が必要です。
なお、打撲や自覚症状しかないむちうちなど軽傷のケースでは、通常のケガよりも慰謝料が少なくなる傾向にあります。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことで、今後も受け続ける精神的苦痛への慰謝料です。
後遺障害が残ると、仕事や日常生活で思うように動けなくなり辛い思いをするため、その償いとして慰謝料が支払われます。

治療終了後も残っている後遺症が、「後遺障害等級」に該当するとの認定を受けると、入通院慰謝料にプラスして、後遺障害慰謝料ももらえるようになります。
後遺障害の認定は自動的にスタートするわけではなく、認定希望者が、後遺障害診断書など必要書類を自賠責保険に提出することで、認定の審査が行われます。
後遺障害等級は、後遺障害の重さに応じて1級~14級に分けられ、1級が最も重く、14級が最も軽く、等級ごとに、慰謝料の一定の基準額が設けられています。等級が重くなるほど、慰謝料も多くなるのが通常です。

交通事故による後遺障害について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

死亡慰謝料

死亡慰謝料とは、死亡事故の被害者本人と遺族の精神的苦痛に対する慰謝料です。
突然の事故により、未来を失ったご本人の無念さ、大切な家族を亡くしたご遺族の悲しみは想像を絶するものです。お金をもらえば済む話ではありませんが、この苦しみへの償いとして、加害者から慰謝料が支払われます。ただし、被害者本人は亡くなられていますので、本人分の慰謝料は、相続人である遺族が受けとることになります。

死亡慰謝料の金額は、亡くなった被害者本人と遺族に対する固有の慰謝料を合計したものです。
遺族の人数や扶養の有り無し、死亡した方の家庭内での地位(一家の大黒柱であったのかなど)などをもとに、決められるのが通常です。

死亡事故の慰謝料について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

慰謝料は算定基準で金額が変わる

慰謝料を計算するための算定基準は、以下の3種類です。

  • ①自賠責基準
  • ②任意保険基準
  • ③弁護士基準

各基準の特徴を、以下表にまとめました。

自賠責基準 自賠責保険による支払基準で、最低補償の基準。被害者に過失がない事故の場合は最も低額となる。入通院慰謝料や治療費など傷害部分の賠償金について120万円の支払上限額あり。
任意保険基準 各任意保険会社が独自に設定する基準で、保険会社により金額が異なり、非公表。自賠責基準とほぼ同額か多少高い程度で、弁護士基準よりは低額となる傾向あり。
弁護士基準 過去の交通事故事件の裁判例をもとに作られた支払基準。弁護士が代理人となって示談交渉する場合や裁判などにおいて使われ、被害者に過失がない場合は、3つの基準の中で最も高額となる。(「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(赤本)に掲載)

どの基準で計算するかによって、慰謝料額が変わり、

  • 自賠責基準≦任意保険基準<弁護士基準

の順で金額が上がっていきます。基本的に、弁護士基準で計算される慰謝料が最も高額となります。

算定基準の金額の差

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人身事故の慰謝料相場と計算方法

それでは、自賠責基準と弁護士基準を用いて、人身事故の慰謝料を計算してみましょう。
(任意保険基準は保険会社ごとに違う基準で非公表であるため、ここでは省略します)

入通院慰謝料

【自賠責基準】

自賠責基準では、以下①と②の計算式を比べ、金額が少ない方を慰謝料の金額とします。

  • ①4300円×入通院期間(初診日~治療終了日または症状固定日)
  • ②4300円×実際に入通院した日数×2

※2020年3月31日以前に起きた事故については4200円で計算します。

計算式に以下例をあてはめて、慰謝料を計算してみましょう。

(例)他覚所見のないむちうち(痛みやしびれなどの症状が検査画像や神経学的検査でわからないむちうち)、入院なし、通院6ヶ月(180日)、実通院日数60日の相場

  • ①4300円×180日=77万4000円
  • ②4300円×60日×2=51万6000円

①より②の方が低額であるため、②を採用します。
よって、自賠責基準による入通院慰謝料は51万6000円となります。

【弁護士基準】

弁護士基準では、以下の「慰謝料算定表」を使い、入通院期間に応じた慰謝料を算定します。
表の通院期間と入院期間が交わる部分が、慰謝料の相場となります。
なお、算定表は2種類あり、以下のように使い分けます。

  • 骨折、脱臼、他覚所見ありのむちうちなど重症のケガ→「別表Ⅰ」
  • 軽いすり傷や打撲、他覚所見のないむちうちなど軽症のケガ→「別表Ⅱ」

では、具体例で慰謝料を算定してみましょう。

(例)他覚所見のないむちうち、入院なし、通院6ヶ月(180日)、実通院日数60日の相場

他覚所見のないむちうちは軽症とされ、別表Ⅱを使います。通院期間6ヶ月、入院期間0が交わる部分を見ると、弁護士基準の入通院慰謝料は89万円です。
同じ例の自賠責基準の慰謝料は51万6000円ですので、慰謝料は弁護士基準で請求するのが望ましいといえます。

■むちうち、入院なし、通院6ヶ月(180日)、実通院日数60日の相場

自賠責基準 弁護士基準
51万6000円 89万円

【重症の場合】(別表Ⅰ)

重症の場合 算定表
重症の場合 算定表

【軽症の場合】(別表Ⅱ)

軽症の場合 算定表
軽症の場合 算定表

交通事故の慰謝料の計算方法や相場についての詳細は、以下のページをご覧ください。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料には以下のような特徴があります。

  • 認定を受けた後遺障害等級に応じて、相場が決められている
  • 自賠責基準と弁護士基準の後遺障害慰謝料の相場は、同じ等級でも、弁護士基準自が賠責基準を大きく上回る金額となっている

例えば、事故でむちうちを負い、後遺症が残った場合、認定され得る後遺障害等級は、12級13号、または14級9号となります。
12級と14級では、自賠責基準と弁護士基準ともに、約3倍の慰謝料の金額差となります。

12級13号 「局部に頑固な神経症状を残すもの」
他覚的所見(MRI・CTの画像、レントゲン写真、神経学的検査等)により、後遺症の存在を医学的に証明できること
14級9号 「局部に神経症状を残すもの」
他覚的所見はないが、事故態様、治療の経過などにより、後遺症の存在を医学的に説明できること

【介護を要する後遺障害の場合】

等級 自賠責基準 弁護士基準
1級 1650万円(1600万円) 2800万円
2級 1203万円(1163万円) 2370万円

【介護を要さない後遺障害の場合】

等級 自賠責基準 弁護士基準
1級 1150万円(1100万円) 2800万円
2級 998万円(958万円) 2370万円
3級 861万円(829万円) 1990万円
4級 737万円(712万円) 1670万円
5級 618万円(599万円) 1400万円
6級 512万円(498万円) 1180万円
7級 419万円(409万円) 1000万円
8級 331万円(324万円) 830万円
9級 249万円(245万円) 690万円
10級 190万円(187万円) 550万円
11級 136万円(135万円) 420万円
12級 94万円(93万円) 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

※()は旧基準の金額であり、2020年3月31日以前の事故に適用

死亡慰謝料

【自賠責基準】
自賠責基準による死亡慰謝料は、死亡した本人への慰謝料と遺族への慰謝料を合計した金額です。具体的な計算方法は、以下のとおりです。

  • ①本人への死亡慰謝料:400万円(2020年3月31日以前の事故は350万円)
  • ②死亡慰謝料を請求できる遺族(被害者の父母、配偶者、子)の数に応じて、以下の金額をプラスする。
  • 遺族1人:550万円
  • 遺族2人:650万円
  • 遺族3人以上:750万円
  • ③被害者に扶養家族がいる場合は、扶養人数に関係なく、一律200万円をプラスする。

例えば、夫婦、子4人の6人家族で、一家の大黒柱である夫が死亡したときの死亡慰謝料は、400万円+750万円+200万円=1350万円になります。
つまり、自賠責基準による死亡慰謝料の最高額は1350万ということになります。

①本人の慰謝料 一律400万円
②遺族の慰謝料 遺族1人 550万円(被害者に被扶養者がいる場合750万円)
遺族2人 650万円(被害者に被扶養者がいる場合850万円)
遺族3人以上 750万円(被害者に被扶養者がいる場合950万円)

【弁護士基準】
弁護士基準による死亡慰謝料は、死亡した方の家庭内の地位に応じて、下表のとおり、一定の基準額が設けられています。これらは死亡した本人の慰謝料と遺族の慰謝料の合計額となります。
ただし、表の金額はあくまで基準額であり、実際に慰謝料を計算するときは、死亡した方の年令や収入、家族構成、遺族に与えた影響の大きさ、事故の悪質性などの事情を加味して、計算することになります。
弁護士基準による死亡慰謝料の最高額は2800万円となり、状況によってはさらに高額になる可能性もあるため、自賠責基準の最高額1350万円と比べると、かなり高額となることが分かります。

死亡した方の家庭内の地位 慰謝料額
一家の支柱 2800万円
配偶者・母親 2500万円
その他(子供・高齢者など) 2000~2500万円

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人身事故の慰謝料が増額・減額するケース

これまで説明してきた慰謝料はあくまで相場であり、個別の事情によって、慰謝料が相場より増額されたり、減額されたりする可能性があります。

慰謝料が増額するケース

以下のような事情がある場合は、慰謝料が相場より増額される可能性があります。

  • 事故態様が悪質
    加害者側にひき逃げ、飲酒運転、無免許運転、著しいスピード違反、赤信号無視などの事情があった場合
  • 加害者の態度が不誠実
    事故後すぐに救護を行わない、自分の非を認めず謝罪をしない、一度も見舞いに来ない、被害者を侮辱するような発言をするなど不誠実な態度があった場合
  • 被害者や親族に大きな精神的苦痛を伴う
    事故によるケガや後遺症によって失業したり、ケガの程度が重く治療が過酷であったり、事故により家族を失い、親族がうつ病などの精神疾患になったりしたような場合

慰謝料が減額するケース

一方、以下のような事情がある場合は、慰謝料が相場よりも減額される可能性があります。

  • 素因減額
    事故前から持病(既往症)があった場合、例えば、ヘルニア持ちの方が事故によりむちうちを負い、必要以上に治療が長引いたり、本来なら残らない後遺障害が残ったりした場合
  • 通院日数が少ない場合
    自賠責基準では、基本的には、通院日数が少ないと慰謝料が減ります。また、弁護士基準でも、通院期間が長期にわたるのに、通院日数が少ない場合、実通院日数の約3~3.5倍が慰謝料算定の期間として使われることがあり、その場合は減額されます。
  • 過失相殺
    前方不注意など被害者にも過失があった場合は、過失割合に応じ、慰謝料含む賠償額全体が減額されます。例えば、慰謝料が300万円で、過失割合が9対1の場合は、慰謝料が30万円減額されます。
  • 損益相殺
    自賠責保険から保険金の支払いを受けたなど、加害者からの賠償金以外に、事故を原因として何らかの利益を受けている場合

素因減額や損益相殺についての詳細は、以下のページをご覧ください。

慰謝料をできるだけ増額させる4つのポイント

慰謝料をできるだけ増額させるテクニックとして、以下の4つの方法が挙げられます。
納得のいく慰謝料を受け取るためにも、ぜひ実行してください。

  • ①継続して通院・治療する
  • ②正しい過失割合を主張する
  • ③後遺障害等級の認定を受ける
  • ④弁護士を立て「弁護士基準」で請求する

①継続して通院・治療する

医師の指示にしたがって、継続的に整形外科に通院し、治療を行いましょう。
入通院慰謝料は、基本的に、通院期間、通院日数、通院頻度をもとに計算されます。
そのため、仕事で忙しくて途中で通院をやめて通院期間が短くなったり、通院頻度が低すぎたりする場合は、慰謝料が減額される可能性があります。よって、医師の指示に従い、適切な頻度で通院することが必要です。

例えば、むちうちであれば、週2~3回、月10日程度通院することをお勧めします。
なお、整骨院に通うときは、医師の許可を得てから通うことが必要です。
医師の許可なく整骨院で受けた施術は、医学的に不必要な治療と判断され、慰謝料が減額される可能性があるからです。
また、整骨院や接骨院に通う場合でも、それと並行して定期的に整形外科を受診しましょう。
また、保険会社から症状固定・治療費の打切りを打診されても、安易に応じてはいけません。
まだ治療が必要なのに症状固定を早めると、通院期間が短くなり、慰謝料が減額されてしまいます。

適切な通院日数や、保険会社から治療の打切りを迫られたときの対処法について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

②正しい過失割合を主張する

過失割合とは、交通事故を起こした責任の割合のことです。「9対1」のように、加害者と被害者の過失を割合で表します。
被害者にも過失がある場合、被害者の過失分については、自分でけがをしたのと同じことなので、加害者に対して賠償金を請求できません。その分だけ、加害者から受け取れる慰謝料・損害賠償金が減額されることになります。
これを、「過失相殺」といいます。
加害者側の保険会社は、少しでも賠償金の支払いを減らしたいので、被害者側の過失割合を過大に主張してくることも少なくありません。

しかし、この主張に応じると、受け取れる金額はさらに減ってしまいます。保険会社の過失割合を鵜呑みにせず、提示された過失割合が本当に正しいのか検討する必要があります。被害者としては、実況見分調書やドライブレコーダーなどの証拠をもとに、正しい過失割合を主張していかなければなりません。

以下の記事で、正しい過失割合を主張するための方法について述べていますので、ご覧ください。

③後遺障害等級の認定を受ける

事故により後遺症が残った場合、自賠責保険から「後遺障害」として認定されると、入通院慰謝料にプラスして、後遺障害慰謝料や逸失利益も請求できるようになります。
後遺障害等級が上がるほど、慰謝料や逸失利益の金額も高くなるため、どの等級に認定されるかが重要となります。本来よりも低い等級に認定されてしまうと、慰謝料が低額になってしまうため、正しい後遺障害等級の認定を受けることが必要です。

なお、後遺障害等級認定の申請方法は、①事前認定、②被害者請求と2つあります。

事前認定 相手方保険会社が必要書類を集めて、後遺障害等級認定の申請を行う方法
被害者請求 被害者が必要書類を集めて、後遺障害等級認定の申請を行う方法

正しい等級認定を受けたいならば、被害者請求による申請をおすすめします。
事前認定の場合、相手方保険会社が手続きを行うため手間はかかりませんが、保険会社にお任せになるため、被害者にとって有利な医学的証拠や文書が提出されなかったり、不利な資料が提出されたりする可能性があります。
一方、被害者請求では、提出する資料を確実に把握できるため、症状に見合った正しい等級に認定される可能性が高くなります。

なお、後遺障害等級認定の申請方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

④弁護士に依頼し「弁護士基準」で請求する

相手方の保険会社が提案してくる慰謝料は、「自賠責基準」か「任意保険基準」で計算されたものであることがほとんどです。
被害者おひとりで「弁護士基準」の主張をすることも可能ですが、保険会社から「これは裁判で使う基準です」などと言われて、拒否される可能性が高いです。
一方、弁護士が示談交渉を行えば、裁判例などをもとに説得力のある主張ができるため、保険会社が弁護士基準による増額交渉に応じる可能性があります。
また、弁護士であれば、正しい過失割合を算定して、説得力のある主張をすることができ、後遺障害の知識も豊富であるため、後遺障害の認定率を上げることも可能です。結果として、慰謝料が増額する可能性が高まります

さらに、示談交渉も任せられるため、ストレスが軽減され、安心して治療に専念できるというメリットもあります。人身事故の慰謝料を増やしたいのであれば、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士基準に照らした結果、慰謝料を含む賠償金が約530万円増額した事例

弁護士基準で請求した結果、慰謝料を含む賠償金額が大幅にアップした、弁護士法人ALGの解決事例をご紹介します。

【事故の概要】
依頼者がバイクで直進中に脇道から出てきた車とぶつかり、右上腕の骨折を負った事故です。骨折は治ったものの、肩の関節の可動域制限と骨折した部分の痛みが残存しました。
しかし、保険会社の提示額は、被害者の後遺障害の重さからすると相当低いものでした。

【事件の進捗】
弁護士が依頼者からヒアリングした後遺症の症状、仕事への支障等に応じた賠償額を算定し、保険会社と交渉を続け、慰謝料を、任意保険基準から弁護士基準に引き直して計算することができました。その結果、当初の提示額より賠償金全体で約530万円増額しました。

人身事故に遭ったときの慰謝料請求の流れ

人身事故の発生から、慰謝料などの賠償金を受け取るまでの流れは、以下のとおりとなります。

交通事故の示談交渉の流れ 交通事故の示談交渉の流れ

【事故発生から示談金支払いまでの流れ】

  • ①事故発生
  • ②治療:ケガの治療を受けます。
  • ③完治・症状固定:ケガが完治または症状固定すると、治療終了となります。
  • ④後遺障害等級認定:治療終了後も、後遺症が残っている場合は、後遺障害等級認定の申請を行います。
  • ⑤示談交渉:治療が終了した時点、または後遺障害等級認定の結果が出た時点で、相手方との示談交渉がスタートします。
  • ⑥示談成立:当事者双方が示談内容に合意し、示談書に署名・捺印すると、示談が成立します。
  • ⑦示談不成立:当事者双方で合意に至らず、示談が不成立となった場合は、調停・ADR・裁判による解決を図ります。
  • ⑧示談金(賠償金)の支払い:被害者に慰謝料などの損害賠償金が支払われます。

示談交渉の流れについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

慰謝料はいつ支払われるのか?

慰謝料含めた損害賠償金は、示談が成立してから約1~2週間以内に支払われるのが通例です。
加害者側の保険会社から届いた示談書の内容を確認し、問題がなければ、書面・捺印して保険会社に返送します。保険会社に示談書が届いたら、そこで示談成立となります。その後、保険会社が事務手続きを行い、慰謝料などの損害賠償金が振り込まれることになります。

人身事故で慰謝料以外に受け取れるお金

慰謝料はあくまで損害賠償金の一部です。人身事故では、慰謝料以外にも、以下のような損害賠償金を請求することができます。

種類 内容
治療費・入院費 治療費、入院費、接骨院等の施術費など
入通院交通費 入院や通院の際に必要となった交通費
付添看護費 入院や通院の際に付き添い看護した人に対する日当
器具等購入費 車いす、松葉づえ、義足、メガネなどの購入費用
家具等改造費 後遺障害に対応した自宅のリフォーム費用
葬儀関係費 葬儀や法要、仏具購入などにかかった費用
休業損害 事故によるケガで仕事を休んだことにより生じた収入の減少分
逸失利益 事故により後遺障害が残ったり、死亡したりしたことにより失われた将来の収入分

交通事故の損害賠償金について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

よくある質問

人身事故の慰謝料について、よくある質問をご紹介します。

人身事故の慰謝料はいつまで請求できますか?時効はありますか?

加害者に対して、慰謝料など損害賠償金を請求できる期間には、以下のような時効があります。
被害者の状況によって、時効の起算日が変わってくるため、注意が必要です。

時効
人身事故(後遺障害なし) 交通事故発生日の翌日から5年
人身事故(後遺障害あり) 症状固定日の翌日から5年
死亡事故 死亡日の翌日から5年

物損事故から人身事故に切り替えることは可能ですか?

事故後に痛みが出たなど、後からケガが発覚した場合でも、人身事故に切り替えることは可能です。
物損事故のままでも慰謝料を請求できますが、人身事故に切り替えると、以下のようなメリットがあるため、切り替えをおすすめします。

  • 警察の実況見分調書が作成されるため、過失割合がより明確になる
  • 物損事故より人身事故の方が、治療期間が長く認められたり、後遺障害が認定されやすかったりする傾向にある
  • 加害者を刑事罰に問える

切り替える場合は、医師の診断書を警察署に提出して、申請を行います。
人身事故の切り替えに時効はありませんが、事故発生から1週間以内に切り替えるべきでしょう。事故から時間が経ちすぎると、ケガとの因果関係を疑われ、警察が受理しない場合があるからです。

過失割合10対0の人身事故の場合、示談金相場はいくらになりますか?

過失割合が10対0とは、被害者に全く過失がない「もらい事故」のことを指します。
例えば、停車中に後ろから追突されたり、センターラインオーバーで衝突されたりしたようなケースが挙げられます。

もらい事故にあった場合の慰謝料含めた示談金の相場は、過失割合、ケガの状況、算定基準等より金額が変わるため一概に言えませんが、おおよそ以下のとおりです。

  • 人身事故(軽症) 数十万円~100万円程度
  • 人身事故(後遺障害あり) 数百万円~1000万円程度
  • 死亡事故 数千万円~1億円程度

詳しい示談金相場を出すためには専門知識が必要となりますので、弁護士に相談して計算してもらうことをおすすめします。

もらい事故の示談金について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

むちうちで通院日数が少ないと慰謝料は減額されてしまいますか?

むちうちで通院日数が少ないと、慰謝料が減額されてしまう可能性があります。
むちうちは痛みやしびれなどの症状がMRI等の画像に写りにくいため、医学的証拠を得にくいケガです。それに追い打ちをかけるように、通院日数も少ないということになると、保険会社が軽いケガだと判断し、早期に治療費を打ち切ったり、低額な慰謝料を提示したりする可能性が高くなります。
慰謝料の減額を避けるには、適切な通院頻度を保つことが必要です。主治医の指示にしたがい、週2~3回、月10日程度、通院することが望ましいでしょう。

通院日数が少ない場合の慰謝料相場を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

人身事故の慰謝料請求は、交通事故を得意とする弁護士にご相談下さい

事故でケガをしてパニック状況にある中、知識不足が追い打ちをかけ、保険会社に適切な対応ができず、低額な慰謝料で泣き寝入りする被害者が多いのが実情です。
自分はそんな思いをしたくないと思われる方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
弁護士に任せれば、通院の仕方のアドバイス、後遺障害等級認定のサポート、弁護士基準による増額交渉等を行うことが可能ですので、慰謝料額アップが期待できます。

また、保険会社との連絡窓口を弁護士に一本化できるため、面倒なやり取りから解放され、治療に専念できるというメリットもあります。
弁護士法人ALGはこれまで数多くの交通事故問題を解決してきました。
被害者の方の一番の味方となり、知識や経験をフル活用し、適正な賠償が受けられるよう最大限サポートいたしますので、ぜひご相談ください。

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  • ※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。
弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

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