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交通事故で後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定を受けるには後遺障害診断書が重要です。この診断書は、医師が症状の内容や程度を医学的に記載する書類で、認定結果に大きく関わります。
ただし、内容に不足があったり、作成してもらえなかったりすると、適切な認定につながらないケースも少なくありません。
この記事では、後遺障害診断書の基礎知識から、入手方法、作成時の注意点などについて、わかりやすく解説します。
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後遺障害診断書とは、交通事故で負った怪我が完治せず、痛みやしびれなどの症状が残った場合に、後遺障害等級認定申請の手続きに必要な書類です。
正式には自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書といいます。
後遺障害等級認定申請の手続きは、基本的に書面審査で行われます。そのため、後遺障害診断書にどのような内容が記載されているかによって、等級が認定されるかどうかが大きく左右されます。
適切な等級認定を受けるためにも、後遺障害診断書の役割や、何を記載すればいいのかをあらかじめ知っておくことが大切です。
交通事故の後遺障害については、以下の記事で解説していますので、併せてご確認ください。
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後遺障害診断書は、医師が作成する書類です。
基本的には、交通事故後に継続して診察している主治医が記入します。
ただし、整形外科や神経内科など、複数の診療科に通っている場合には、それぞれの科で診断書の作成を依頼する必要があります。
後遺障害診断書は、後遺障害等級の判断に大きな影響を与える資料となるため、症状や治療経過を正確に記載してもらうことが大切です。
後遺障害診断書は、担当医から症状固定と診断されたタイミングで作成を依頼します。
症状固定とは、痛みやしびれなどの症状が残っているものの、これ以上治療を続けても大きな改善が見込めない状態を指します。
例えば、むちうちの場合は、自覚症状が中心で客観的な判断が難しく、事故後3〜6ヶ月程度の治療を経て症状固定とされるのが一般的です。
医師から症状固定の診断を受け、後遺障害等級認定申請を希望する場合は、その段階で医師に後遺障害診断書の作成を依頼するとよいでしょう。
症状固定の判断や時期については、以下の記事で解説していますので、併せてご確認ください。
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後遺障害診断書の書式は、主に次の2つの方法で入手できます。
書式を用意したら、通院している医師に渡し、必要事項の記入を依頼しましょう。
後遺障害診断書の作成費用は、病院ごとに異なり、あらかじめ決まった金額はありません。
一般的には1通あたり5000円〜1万円程度が多いですが、医療機関によっては2万円を超えるケースもあります。
また、後遺障害等級が認定されなかった場合、この費用は自己負担となる可能性があります。想定外の出費を防ぐためにも、事前に医療機関へ費用を確認しておくと安心です。
作成にかかる期間は、早ければ即日〜1週間程度で受け取れる場合がありますが、病院の混雑状況や事務手続きの進み具合によっては、1ヶ月ほどかかるケースもあります。後の手続きに影響しないよう、余裕を持って依頼しましょう。
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後遺障害等級の認定を受けるには、後遺障害診断書の内容が非常に重要です。
診断書に不備や記載漏れがあると、適切な等級が認定されない可能性があるため、作成後は内容をしっかり確認しましょう。
後遺障害診断書の記載内容
特に「自覚症状」「後遺障害の内容」「今後の見通し」は、等級認定に大きく影響するため、慎重に確認する必要があります。
自覚症状は、診察時に医師へ伝えてきた内容をもとに後遺障害診断書へ記載されます。
そのため、次のような点が具体的に記載されているか確認しましょう。
もし記載内容に不足や認識の違いがあれば、改めて医師に自覚症状を伝え、内容を修正してもらう必要があります。
自覚症状は、被害者の訴えがそのまま反映される重要な項目です。内容があいまいなままだと、後遺障害等級の判断に影響が及ぶ可能性もあります。納得できる内容になっているか、丁寧に確認しておくと安心です。
他覚症状および検査結果は、適切な後遺障害等級認定を受けるうえで、特に重要なポイントといえます。
他覚症状とは、医師が診察や検査によって客観的に確認できる異常を指します。例えば、患部に刺激を与えて反応を調べる「神経学的検査」や、レントゲン・CT・MRIなどの画像検査により異常所見が確認できる状態のことです。
そのため、症状が残っている部位ごとに適切な検査が行われているか、検査結果に基づいた内容が正確に記載されているかを確認する必要があります。
もっとも、診断書の記載内容が適切かどうかを一般の方が判断するのは簡単ではありません。不安がある場合には、交通事故や後遺障害等級認定申請に詳しい弁護士に相談し、内容を確認してもらいましょう。
この項目では、残っている症状が今後どのように変化する見込みなのか、つまり増悪(症状の悪化)や緩解(症状の軽快)の可能性について記載します。
記載内容によっては、後遺障害等級認定申請に影響が及ぶため、表現には注意が必要です。
良い記入例
悪い記入例
見通しの記述があいまいな場合、「後遺症が残ったと言い切れないのでは」「もう少し治療をすれば完治するのでは」と判断され、後遺障害として認定されにくくなる可能性があります。
後遺障害診断書を書いてもらうときには、以下の点に注意しましょう。
後遺障害診断書には、自覚症状を記載する欄があります。
この内容は後遺障害等級の判断に大きく影響するため、日頃から医師へ正確に伝える姿勢が重要です。
口頭で説明しづらい場合は、症状をメモにまとめて診察時に見ながら話したり、医師に直接渡したりする方法も役立ちます。
伝える際のポイントは大きく次の2点です。
自覚症状による仕事や生活への影響を具体的に伝える
単に「痛い」と伝えるだけでなく、「長時間のデスクワークが難しい」「家事に支障が出ている」など、日常への影響まで説明しましょう。
自覚症状が一貫して続いていることを伝える
受傷時から現在まで症状が継続している事実を示すことで、交通事故との関連性が疑われにくくなります。
後遺障害診断書を作成できるのは、医師のみです。
整骨院や接骨院に通っている方も多いかもしれませんが、整骨院や接骨院には柔道整復師が在籍しており、医師ではないため後遺障害診断書を作成することはできません。
交通事故で怪我を負った場合は、まずは整形外科を受診し、担当医の許可を得てから整骨院や接骨院に通うようにしましょう。
また、整骨院や接骨院に通う際も、月に1回程度は整形外科へ通院し、症状の経過を医師に確認してもらうようにしましょう。
交通事故の怪我で整骨院に通院する際の注意点は、以下の記事で解説していますので、併せてご確認ください。
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後遺障害診断書は医師しか作成できないものですが、担当医に依頼しても断られてしまうケースがあります。
ここからは、担当医が後遺障害診断書を書いてくれないときの対処法を解説します。
医師から症状固定の診断を受けていない段階では、治療によって症状が改善する可能性があると考えられます。そのため、この時点で後遺障害の有無を判断することはできません。
まずは医師の指示に従い、症状固定と診断されるまで治療を続けることが大切です。
また、神経障害や機能障害の場合、初診からおおむね6ヶ月以上経過していないと診断書の作成に至らないケースも少なくありません。焦らず、治療経過をしっかり積み重ねていくことが重要です。
途中で転院した場合や、整骨院のみ通っていた場合は、医師から「治療の経過が把握できない」と後遺障害診断書の作成を拒否されることがあります。
転院している場合は、初診時に通っていた病院の医師へ作成を依頼する方法があります。また、初診病院で診療記録を取り寄せ、現在の転院先に提出したうえで後遺障害診断書の作成依頼をする方法も有効です。
整骨院のみ通っていた場合は、柔道整復師が作成する「施術証明書」を取り寄せ、整形外科で改めて診断や検査を受けましょう。
なお、転院先の医師が後遺障害診断書を作成する場合、症状の経過を確認するために、1~2ヶ月程度の通院を求められることもあります。
ご自身では痛みやしびれが続いていると感じているにもかかわらず、医師から「後遺症はない」と言われ、後遺障害診断書の作成を断られるケースもあります。このような場合、症状の伝え方や認識の違いにより、医師との意思疎通が十分にできていない可能性が考えられます。
後遺症は、必ずしも重い障害に限られるものではありません。比較的軽い痛みやしびれであっても、後遺障害等級に認定される場合があります。
そのため、「今の状態をそのまま書いてもらえませんか?」といった形で、改めて医師に作成を依頼してみるとよいでしょう。
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後遺障害診断書を作成した後は、以下のような流れで進みます。
後遺障害診断書が完成したら、後遺障害等級認定申請の手続きを行います。
申請方法には事前認定と被害者請求の2種類があります。
事前認定
加害者側の任意保険会社が手続きを代行する方法です。手続きの負担が少ない点はメリットですが、どの資料が提出されているか把握しにくく、内容が見えにくい面もあります。
被害者請求
被害者自身が、加害者側の自賠責保険会社に直接申請する方法です。書類準備に手間はかかるものの、提出書類を自分で確認・管理できるため、納得感を持って進めやすい特徴があります。
なお、申請結果が「非該当」や希望より低い等級となった場合でも、異議申立て(再審査)を行うことができます。
後遺障害等級認定申請や異議申立てについては、以下の各記事で解説していますので、併せてご確認ください。
後遺障害等級が認定されると、その等級をもとに保険会社との示談交渉が始まります。
示談交渉では、治療費や慰謝料、休業損害など、さまざまな損害項目について賠償額が話し合われます。
もっとも、保険会社は任意保険基準と呼ばれる独自の基準で賠償額を算定するケースが多く、一般的な相場より低い金額が提示されることも少なくありません。
適正な賠償を受けるためには、弁護士に示談交渉を依頼するのが有効です。
弁護士は、過去の判例などを基準とした弁護士基準をもとに交渉を進めるため、より妥当な賠償金となる可能性が高まります。
示談交渉を弁護士に依頼すべき理由については、以下の記事で解説していますので、併せてご参照ください。
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弁護士に相談すると、後遺障害等級の適切な認定に向けたサポートが受けられます。
主なメリットは次のとおりです。
後遺障害診断書の段階から弁護士にサポートしてもらうことで、示談交渉を見据えた準備が進められ、結果として適切な賠償につながる可能性が高まるでしょう。
事案の概要
依頼者は、原付バイクで交差点を直進していたところ、右折車と衝突する事故に遭い、骨折等の怪我を負いました。約11ヶ月にわたり通院を続けたものの、痛みや感覚異常等の症状が残存しており、後遺障害等級認定申請について、当事務所に依頼されました。
担当弁護士の活動
担当弁護士は、依頼者に対して、後遺障害診断書作成時の注意点を説明し、担当医に伝えてもらうようにしました。万全の準備を整えたうえで後遺障害等級認定申請を行った結果、胸部痛や右肩部の感覚異常等の症状につき併合14級が認定されました。
結果
相手方保険会社との示談交渉では、弁護士基準での賠償金を主張し、請求を行いました。その結果、約290万円(自賠責保険金を含む)で示談が成立しました。
事案の概要
依頼者は、本件事故の怪我で耳鳴りの症状が残存し、事前認定を受けた結果、後遺障害等級14級が認定されました。
相手方から約95万円の賠償案が提示されたものの、依頼者は後遺障害等級が適切なのか疑問に感じ、当事務所に依頼されました。
担当弁護士の活動
担当弁護士が後遺障害診断書等の資料を精査したところ、耳鳴りに係る検査の記載がなく、依頼者も検査を受けたか不明の状態でした。
そこで、まずは検査を受けていただくよう助言しました。難聴域に耳鳴りが存在するとの検査結果が得られたため、この結果を添付して異議申立てを行ったところ、後遺障害等級12級が認定されました。認定結果を踏まえ、弁護士基準に照らし、賠償額を算出し交渉に臨みました。
結果
通院日数や逸失利益が争点となりましたが、粘り強い交渉の結果、当初から約630万円増額した725万円の賠償金を支払ってもらう内容の示談が成立しました。
後遺障害診断書を作成してもらったとしても、必ず後遺障害等級が認定されるわけではありません。
認定の可否は診断書の有無だけで決まるものではなく、その内容が重要です。例えば、症状の記載が抽象的であったり、検査結果による他覚的所見が不足していたりすると、後遺障害等級が認定されないことが少なくありません。
さらに、等級認定では診断書の内容に加え、通院状況や治療経過なども含めて総合的に判断されます。
適切な認定を目指すには、診断書の内容を充実させるとともに、日頃の通院や症状の伝え方にも注意することが大切です。
後遺障害診断書の内容は、誤りや不足がある場合には修正を依頼できる可能性があります。そのため、気になる点があれば早めに医師へ相談することが大切です。
もっとも、記載が適切かどうかは、一般の方には判断が難しいでしょう。
判断に迷う際は、交通事故に詳しい弁護士へ相談する方法も有効です。診断書の内容確認に加え、必要に応じて修正依頼のサポートを受けられるため、より適切な後遺障害等級の認定につながる可能性があります。
弁護士への相談はできるだけ早い段階、特に症状固定の見込みが出てきた時点で行うのが望ましいです。
後遺障害診断書の作成前に相談すれば、必要な検査や、どのような点を診断書へ記載すべきかについて助言を受けられます。その結果、認定に向けた準備をより適切に進めやすくなります。
もっとも、すでに診断書を作成した後でも相談は有効です。記載内容に不備がないか、後遺障害等級の見込みがあるかを確認でき、必要に応じて修正や異議申立ての対応を依頼できます。
むちうちの場合は自覚症状と検査結果の記載内容が特に重要となるため、診断書の内容を丁寧に確認することが大切です。
痛みやしびれ、頭痛などの自覚症状については、事故直後から現在まで一貫して続いていることを具体的に記載してもらう必要があります。
また、MRIやレントゲン、神経学的検査の結果が正しく反映されているかも確認しましょう。客観的な所見があるかどうかは、認定判断に影響する可能性があります。
さらに、症状の程度や、日常生活・仕事にどのような支障が出ているかを具体的に示す点も重要です。
むちうちの後遺障害等級認定申請は、以下の記事で解説していますので、併せてご確認ください。
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後遺障害診断書の作成や後遺障害等級認定申請を行うこと自体に、大きなデメリットはありません。
もっとも、診断書の作成に費用がかかるほか、必要書類の準備や申請手続きに一定の手間や時間を要する点は、負担に感じられる場合があります。
ただし、後遺障害等級認定申請は、適切な補償を受けるためには欠かせない手続きです。十分な資料を整えたうえで申請した方が、より適正な評価につながる可能性が高まります。負担を軽減したい場合は、弁護士への相談も検討するとよいでしょう。
後遺障害等級認定申請の手続きでは、診断書の記載内容が適切でなければ、十分な評価につながらない可能性があります。
もっとも、すべての医師が申請のポイントを熟知しているとは限りません。そのため、治療が終盤に近づき、症状固定の見込みが出てきた段階で、早めに弁護士へ相談しておくと安心です。
弁護士法人ALGでは、交通事故と後遺障害等級認定申請に詳しい弁護士が、診断書の内容確認をはじめ、必要な検査のアドバイス、申請手続きの代理、異議申立てまで一貫してサポートいたします。
専門的な視点で内容を確認することで、より適切な等級認定と賠償につながる可能性が高まります。
まずは一度、お気軽にご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)