車や自転車の逆走事故での過失割合は?事故のケース別に解説

車や自転車の逆走事故

交通事故の事故形態の中に逆走事故があります。
逆走事故は高齢者に多く見られる危険な行為です。

2018年の高速道路での逆走事案は200件となっており、そのうち事故に発展したのは32件でした。

逆走は明らかな道路交通法違反であるため、加害者に高い過失割合が付きますが、状況によっては被害者にも過失が付いてしまうケースもゼロではありません。

この記事では逆走事故に着目し、逆走事故とは何か、様々な逆走事故のケースごとに過失割合を解説していきます。

目次

逆走事故とは?

逆走事故とは、道路や駐車場内で、定められた進行方向とは逆方向に進行してしまったことによって起こる事故のことです。
特に高速道路では、死傷者の発生する大きな事故となる場合も多く深刻な問題となっています。

日本では、道路交通法により、一般道・高速道路ともに左側通行と定められています。
逆走とは右側通行をしてしまい、対向車と衝突してしまう危険な運転です。

逆走は道路交通法違反の違反行為です
また、自転車の逆走も道路交通法違反となり得ますので注意しましょう。

逆走事故が起こりやすいケース

逆走事故が起こりやすいケースにはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

【高速道路】

  • 目的の出口を過ぎてしまい、本線やインターチェンジでUターンしてしまう
  • 行き先を間違えて本線の合流部でUターンしてしまう
  • サービスエリアやパーキングエリアで出口を間違えて逆走してしまう
  • 料金所に入って出口道路に入り逆走してしまう

【ドライバーの年齢・状態】

  • 高齢者は判断能力が低下、注意力が散漫してしまいがち
  • 認知機能の衰えから逆走の認識がないまま走行してしまう
  • 身体能力の衰えに無自覚なまま運転してしまう

逆走事故の過失割合

過失割合とは「事故の責任(加害者)」と「事故の責任(被害者)」の割合を数字で表したものです。
過失割合「8:2」「1:9」など聞いたことがあるのではないでしょうか。

では、逆走事故の過失割合はどうなるのでしょうか。
自動車同士の交通事故の場合、逆走車と非逆走車の過失割合は逆走車が10割となります。
バイクと自動車の場合、バイクが逆走した場合にはバイクの過失割合が10割となります。
なお、自転車と自動車の場合、自転車が逆走した場合の基本過失割合は8(自動車):2(自転車)となります。

逆走した側の過失割合が100%になるとは限らない

事故状況によっては逆走した自動車やバイクの過失割合が100%になるとは限りません。被害者側にも過失が付く場合もあります。
例えば、被害者にも前方不注意や、ながら運転、スピード違反がある場合などが挙げられます。

以降では逆走事故の過失割合を様々なパターン別に解説していきます。

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車同士の逆走事故の過失割合

逆走してきた自動車と対向車が事故に遭った場合の過失割合はどうなるのでしょうか。
基本の過失割合は逆走車に10割の過失が付きますが、被害者にも過失が付く場合もあるのでしょうか。
次項で解説していきます。

一般道の交差点で一方通行を逆走したケース

一般道を走行していて、交差道路が一方通行なので車は出てこないと思っていたのに、一方通行違反の逆走者が交差点に侵入し、衝突してしまうケースがあります。
このようなケースの過失割合は一般的に、逆走車:非逆走車=8:2となります。

逆走事故と聞くと高速道路上での事故を思い浮かべるかもしれませんが、一般道での逆走事故も多く発生しています。

道路には数多くの標識があり、一方通行の道路にも当然、標識があります。
しかし、運転に集中していたり、慣れない道を走っていたりすると標識を見落としてしまうこともあり、一方通行規制などを自覚せず逆走してしまい、事故になってしまう場合もあります。

ただ、逆走をしていたのだから、逆走者が一方的に悪く過失割合が必ず100:0となるわけではありません。
交差点で、一方通行規制を信頼し、交差道路の状況を確認しないまま交差点に進入した結果、逆走者と衝突してしまったケースでは、非逆走車にも交差点を通行する際の徐行や安全確認の義務があるとの理由で、被逆走者の過失が認められています。

一般道の交差点で一方通行を逆走したケース

センターラインオーバーした車と衝突したケース

センターラインオーバーした車と衝突したケースでは逆走車:非逆走車=10:0が基本となります。
この事故の事故形態は、対向車線からセンターラインを越えて相手の車が衝突してきたケースです。

道路交通法では、車両はセンターラインの左側を左寄りに走行しなければならないと定められており、センターラインオーバーをして走行してくる車があることまで予期すべき義務が無いと考えられているためです。
そのため、道路交通法を守っている非逆走車には過失がなく、逆走車に10割の過失とすることが原則とされています。

センターラインオーバーした車と衝突したケース

逆走自転車と車の事故の過失割合

自転車にも左側通行が義務付けられていることを知っていましたか?
自転車が右側車線を通行して事故になった場合は、自転車側にも一定の過失が認められます。
もっとも、自転車が道路右側を通行することはよくあることなので、それだけでセンターオーバーの自動車のように100:0となるものではありません。

以降では、逆走自転車と自動車の事故の過失割合について見ていきましょう。

道路の右側を走行する自転車と対向車が衝突したケース

道路の右側を走行する自転車と対向車が衝突したケースでは、逆走自転車:自動車=2:8となります。
この事故の事故形態は、自転車が道路の右側を逆走し、反対方向から走行してきた自動車と衝突したケースです。

このケースでは、道路交通法を違反した自転車よりも道路交通法を守っていた自動車に多くの過失割合が付きます。
自動車の過失割合が高く付く理由として以下が挙げられます。

  • 自動車と比べて自転車は交通弱者である
  • 自動車も逆走自転車を確認することは容易で衝突を回避できる

道路の右側を走行する自転車と対向車が衝突したケース

信号機のない交差点で自転車が一方通行を逆走したケース

信号機のない交差点で自転車が一方通行を逆走したケースの過失割合はどうなるのでしょう。
このケースでの過失割合は逆走自転車:自動車=5:5となります。

この事故の事故形態は一方通行を逆走して信号機のない交差点に進入してきた自転車が、一方通行の道路と交差する道路から入ってきた自動車と衝突したケースが考えられるでしょう。

一方通行を逆走する自転車が来ることを自動車が予想することが難しいため、自転車にも重い過失が付きます。

ただし、一方通行規制は、自転車が除外されていることも多いので、その場合には、通常の交差点での事故の過失割合が適用されます。

信号機のない交差点で自転車が一方通行を逆走したケース

自転車がセンターオーバーしてきたケース

自転車がセンターラインオーバーして衝突したケースでは逆走自転車:自動車=5:5となります。
自転車がずっと右側を走行していて衝突したケースはこの事故態様に含まれません。

この事故の事故形態は、自転車が道路の右側にあるお店に入るために道路の左側から右側に移動(センターラインオーバー)した際に事故が起こることが考えられます。

自転車がずっと右側を走行していたケースに比べ、自動車側の回避は難しく、自転車側の非も大きいため過失割合も大きくなります。

自転車がセンターオーバーしてきたケース

逆走車と自転車の事故の過失割合

逆走車と自転車の事故では逆走車:自転車=9:1となります。
この事故形態は信号機のない交差点に進入した自転車と四輪車の事故で、四輪車が一方通行の道路を逆走していたケースが考えられます。

自動車が逆走をしている事故のため大きな過失が付きます。

逆走車と自転車の事故の過失割合

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過失割合が修正される要素

修正要素とは、基本過失割合を加算・減算する要素で、被害者の年齢、事故の時間、道路状況などの事故状況に応じて定められています。

修正要素がある場合は被害者でも5~20%過失割合が加算する場合もあります。

【自動車の修正要素】

著しい過失

  • わき見運転などの前方不注意
  • 酒気帯び運転
  • 時速15キロ以上30キロ未満の速度違反(一般道)
  • 著しいハンドルまたはブレーキの操作ミス

重過失

  • 居眠り運転
  • 酒酔い運転
  • 無免許運転
  • 時速30キロ以上の速度違反(一般道)

過失割合の修正要素については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

自転車の修正要素

自転車が逆走した場合でも修正要素が適用され5~20%ほど修正される可能性もあります。

【自転車側の加算要素】

自転車の著しい過失

  • 酒気帯び運転
  • 2人乗り
  • 無灯火
  • 並進
  • 傘差しなどの片手運転

自転車の重過失

  • 酒気帯び運転
  • 装置不良

【自転車側の減算要素】

  • 自転車が自転車横断帯や横断歩道を走行中
  • 自転車の運転者が児童・高齢者

逆走事故で請求できる慰謝料の相場は?

入通院慰謝料 事故によって怪我を負ったことによる精神的苦痛に対する補償
後遺障害慰謝料 事故により後遺障害がのこったことによる精神的苦痛に対する補償
死亡慰謝料 事故により死亡したことによる精神的苦痛に対する補償

交通事故の慰謝料は怪我の大きさに応じて算出されます。そのため、相手の過失が100%だからといって必ずしも高額となるわけではありません。

損害賠償額の算出には過失割合が大きく関わってきます。
被害者にも過失が認められると受け取れる慰謝料が減額されてしまうのです。

例えば、過失割合「8(加害者):2(被害者)」損害賠償額100万円の場合を見てみましょう。

相手に100%の過失がある場合は100万円の全額を受け取ることができます。
しかし、被害者にも2割の過失がある場合は2割分が減額対象となり、受け取れる損害賠償額は80万円となります。

交通事故の慰謝料相場は以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

逆走事故の被害で弁護士に依頼した方が良い理由

逆走事故の被害に遭った場合は弁護士に相談することをおすすめしています。
弁護士に依頼することで、以下のメリットがあります。

  • ①正しい過失割合を主張できる
  • ②示談交渉をすべて任せられる
  • ③慰謝料などの示談金の増額が期待できる

以降では、逆走事故の被害を弁護士に依頼した方がいい理由について解説していきます。

正しい過失割合を主張できる

過失割合は損害賠償額と密接な関係があります。被害者に過失があるとその分損害賠償額が減額されてしまうので、過失割合を決めることは損害賠償金を決めるうえで最も重要なポイントといえるでしょう。

過失割合は相手方保険会社から提示されることとなりますが、相手方保険会社の提示する過失割合は必ずしも正しいとは限りません
過失割合は損害賠償金に関わるため、自社の損失を少なくしようと被害者に多くの過失をつけている可能性もあります。
弁護士であれば、過去の裁判例を用いて法的な観点から正しい過失割合を主張・立証していくことが可能です

過失割合に納得いかない場合は以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

示談交渉をすべて任せられる

損害賠償金にとって大事な過失割合ですが、示談交渉の話し合いで決定されます。
被害者の過失が0の場合、弁護士法により保険会社の示談代行サービスは利用することができず、被害者の方が1人で交渉するか、弁護士に依頼するかの選択となります。

示談交渉の相手である相手方保険会社は交通事故に関する経験も豊富なので、専門的知識についてどうしても差が生じてしまいます。
そのため、被害者の方が1人で対応すると不利になってしまうおそれもあります。

弁護士に示談交渉を代理してもらうことで、相手方保険会社との示談交渉のストレスから解放され、怪我の治療や仕事に専念することができます
また、示談交渉がスムーズに進み早めに損害賠償金を受け取ることができる可能性も高まるでしょう

慰謝料などの示談金の増額が期待できる

3つの基準

損害賠償額を決めるのは、過失割合だけではありません。算定基準も大きく関わってきます。
交通事故の損害賠償を算出する算定基準には以下の3種類があります。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

このうち最も高額となるのが弁護士基準です。
しかし、弁護士基準は弁護士を介した場合のみ使用することができるため、注意が必要です。

弁護士基準は過去の判例に基づいた基準で、裁判の際にも使用されます。
そのため、「被害者が受け取るべき適正な金額」といえるでしょう。

また、事故による怪我で後遺症が残り、後遺障害等級認定を申請する場合にも、弁護士は認定されやすくなるためにサポートしていきます。
後遺障害申請が認められれば、損害賠償金の増額につながります。

交通事故の慰謝料、後遺障害については以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

逆走自転車との事故で過失割合9:1を主張し、約900万円の賠償金を獲得した事例

被害者は自転車で幹線道路の左側を走行していたところ、対向から逆走してきた自転車と衝突し、橈骨遠位端骨折等の傷病を負いました。
その後被害者は相手方保険会社から12級13号に基づいた賠償案を提示されましたが、その賠償案が妥当なものか分からず弁護士法人ALGにご相談いただきました。

弁護士法人ALGにご相談される前、相手方保険会社は書面にてご依頼者様にも2割の過失があるとの主張をしていましたが、口頭では9:1まで譲歩できると伝えてきました。
そこで当方弁護士は、弁護士が介入した場合にこの割合を撤回される可能性があると考え、弁護士法人ALG介入前に9:1まで譲歩できる旨を書面で送るよう、お願いしました。

その後、相手方保険会社との示談交渉では、弁護士法人ALGが介入する前の書面や事故調査結果に基づき交渉した結果、ご依頼者様の過失は1割として、最終支払額900万円にて示談することができました。

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逆走事故に関するQ&A

逆走事故のよくある質問にお答えしていきます。

逆走自転車が避けなかった場合、自転車側の過失割合は加算されますか?

逆走自転車:自動車の基本過失割合は8:2となります。
自転車とすれ違う場合には、自動車が余裕をもって避けるべきですので、自転車が避ける挙動をしなかったからといって、必ずしも、自転車側の過失が大きくなるというものではありません。

しかし、自転車側が道路の右端ではなく、車線の中央付近をふらふら走行している場合等、自動車が安全に避けることが難しいような状況であれば、過失割合が修正され自転車側の過失が10%~30%ほど重くなる場合があります。

自転車同士の逆走事故の過失割合はどうなりますか?

道路の右側を走行する自転車と自転車が衝突した事故の基本過失割合は5:5となります。
これは、事故現場が車道上でも歩道上でも過失割合5:5となります。

ただし、一方が明らかに危険運転をしていた場合は過失割合が加算されることがあります。

逆走してきたバイクと車が衝突した場合、車側にも過失が付きますか?

直進道路を逆走してきたバイクと衝突してしまった場合、基本的には逆走車の過失割合が100%となり、車側に過失が付くことはありません

しかし、センターラインのない道路でバイクが右側を事故していた場合には、8(逆走したバイク):2(車)という過失割合になります。

基本過失割合は事故によって異なるため、自分の事故がどのような過失割合に当てはまるか弁護士に相談することをおすすめします。

逆走事故の被害に遭ったら、交通事故に強い弁護士にご相談下さい。

逆走事故まで想定した運転はなかなかできることではありません。いざ逆走車や自転車に遭遇してしまったときは、とっさの判断ができず大きな事故になってしまう可能性もあります。

逆走事故では、必ずしも被害者の過失割合が0になるとは限らず、場合によっては被害者にも過失が付いてしまうことがあります。

示談交渉の際に相手方保険会社が提示する過失割合に少しでも納得ができない場合は弁護士にご相談ください。

弁護士であれば、過去の判例に基づいた正しい過失割合を主張することができます
また、弁護士に依頼することで、損害賠償の算出はすべて弁護士基準で行うことから、損害賠償額の増額が見込めます

示談交渉は相手方保険会社と行いますが、弁護士に示談交渉を任せることもでき、弁護士に任せることで、被害者の方の精神的負担を減らすことができます

交通事故に遭った場合は私たち弁護士法人ALGにお任せください。

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弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 谷川 聖治
監修 :弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates執行役員

保有資格 弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:41560)

東京弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名(司法書士1名を含む)を擁し()、東京、宇都宮、埼玉、千葉、横浜、名古屋、神戸、姫路、大阪、福岡、バンコクの11拠点を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。