偽装離婚とは?発覚するきっかけやバレたらどうなるかを解説
偽装離婚と呼ばれる離婚があります。これは、形式上は離婚していても、実際には夫婦として暮らし続けているケースのことです。
近年は、生活保護や保育園の入園、税金の問題、借金の問題などへの対応を目的として偽装離婚が増えているといわれています。
この記事では、偽装離婚が行われる目的や、発覚する理由、バレたときのリスクなどについて、わかりやすく解説します。
目次
偽装離婚とは?
偽装離婚とは、実際には夫婦としての生活を続けているにもかかわらず、特定の目的を達成するために形式的な離婚をすることです。
同居しながら離婚すること自体は法律上禁止されてはいません。
しかし、戸籍上は他人になっているのに同居が継続していると、生活実態は変わらないケースが多く見られます。
夫婦同然に暮らしている実態と、離婚したという形式の不一致があると、不正受給や財産隠しを疑われる原因となり、後になって大きなトラブルに発展することもあります。
偽装離婚であっても離婚は成立する
偽装離婚であっても、提出された離婚届に形式的な不備がなければ、法律上は有効な離婚として扱われるため、戸籍も問題なく書き換えられます。
日本では離婚の多くが協議離婚であり、夫婦双方に離婚の意思があれば、その背景や目的まで役所が確認することはありません。
最高裁も、不正な目的があったとしても、離婚の意思が合致していれば離婚自体は無効にならないと判断しています。
ただし、離婚の目的が不正なものであると、何らかのペナルティを受けるおそれがあります。形式的に離婚が成立しても、偽装離婚が許容されるわけではないことに注意しましょう。
偽装離婚をする人の目的
偽装離婚が行われる背景として、主に以下のようなものが挙げられます。
- 子供を優先的に保育園に入れるため
- 生活保護や児童扶養手当を不正受給するため
- 自己破産をする際の財産隠しのため
- 財産分与や慰謝料を装い税金を免れるため
子供を優先的に保育園に入れるため
近年になっても待機児童の問題が続いており、保育園入園を目的とした偽装離婚が行われているといわれています。
認可保育所では、ひとり親家庭は優先されやすくなっているからです。
認可保育所では、家庭状況に応じて入園の優先度が点数化され、ひとり親世帯は加点対象となる場合があります。
本来の基準より有利に入園させたいと考えて、書類上だけ離婚し、ひとり親を装うケースが見られます。
しかし、入園後に実態と異なる生活が発覚すれば、不正と判断されるおそれがあるため、非常にリスクの高い行為だといえます。
生活保護や児童扶養手当を不正受給するため
書類上だけ離婚して世帯を分け、母子家庭であるかのように装って公的支援を受けようとする偽装離婚が問題となっています。
夫婦として同居している場合、世帯として収入があると判断されるため、生活保護や児童扶養手当は基本的に受給できません。
生活保護と児童扶養手当を合わせると、婚姻中より手取りが増えるケースもあるため、経済的な魅力からこの手段を選んでしまう例もあります。
しかし、不正受給が発覚すれば返還請求や処罰の対象となり、将来本当に困ったときに支援を受けにくくなる重大な結果を招くため、非常に危険な行為です。
自己破産をする際の財産隠しのため
自己破産や差し押さえを避ける目的で、偽装離婚が行われるケースが少なくありません。
典型的なのは、破産や強制執行の前に形式的に離婚して、財産分与や慰謝料の名目で配偶者へ財産を移す方法です。
名義が元配偶者に変わると、債権者や裁判所の調査が及びにくくなるため、財産隠しの手段として悪用されることがあります。
しかし、実際には離婚後も同居したり、破産後に再婚したりするなど、生活実態が変わらないケースも多く、破産手続きの中で不自然な財産移転として発覚する可能性は非常に高いといえます。
こうした行為は重大な法的リスクを伴うため、絶対に避けるべきです。
財産分与や慰謝料を装い税金を免れるため
贈与税の負担を回避することを目的として、偽装離婚が用いられるケースがあります。
夫婦間であっても生活費以外の財産移転は基本的に贈与税の課税対象となり、基礎控除は年間110万円までに限られます。
しかし、離婚時の財産分与や慰謝料であれば、不相当に多額でない限り非課税扱いとなるため、これを利用して財産を移す手口が見られます。
形式的に離婚して、財産分与などを装って高額な財産を移転する方法により税負担を逃れようとするものですが、実態が伴わない場合は脱税と判断されるリスクが高くなります。
偽装離婚が疑われやすいケースとは?
書類上は離婚していても、実際の生活実態と矛盾があると、偽装離婚が疑われやすくなります。主に以下のようなケースが当てはまります。
- 元配偶者と同居したまま生活保護や手当を受給している
生活保護や児童扶養手当の支給対象は世帯単位で判断されるため、離婚後も同居しており経済的な援助があると不正受給を疑われやすくなります。 - 離婚後すぐに自己破産を申立てた
財産隠しを目的とした離婚ではないかを疑われやすく、離婚時の財産分与や慰謝料の内容が厳しく調査されるケースが多いです。 - 離婚に伴い夫婦間で多額の財産移転が行われた
移転した財産の金額が財産分与などの相場を大きく超える場合には、脱税や財産隠しと判断されるおそれがあります。
偽装離婚がバレる理由やきっかけとは?
偽装離婚は書類上だけの離婚なので、生活実態と矛盾していることが、思わぬきっかけで発覚する場合があります。
主に以下のようなことがきっかけとなるケースが多いです。
- 身近な人からの通報による発覚
- 子供が他人に話してしまって発覚
- ケースワーカーが訪問した際に発覚
- 破産手続き中に破産管財人によって発覚
- 税務調査を受けた際に発覚
身近な人からの通報による発覚
偽装離婚が発覚するきっかけとして最も多いのが、近隣住民や知人、親族など身近な人からの通報だといわれています。
離婚後も頻繁に元配偶者が出入りしており、同居同然の生活を続けていると、不正受給を疑われやすくなります。
特に、保育園での送迎や行事参加など家庭の状況が見えやすい場面では、保育士や他の保護者を通じて役所に情報が伝わるケースも少なくありません。
不正行為に対する周囲の目は厳しいものです。
トラブルなどがきっかけとなり、感情的な理由で通報されるケースもあります。
偽装離婚を続けると、常に発覚のリスクと隣り合わせになるため、隠し続けられるものではありません。
子供が他人に話してしまって発覚
偽装離婚は、子供の何気ない一言がきっかけで発覚するケースもあります。
大人がどれだけ口裏を合わせても、子供に嘘の生活状況を継続して話させることは難しく、日常会話の中で離婚したはずの親が両方いる実態をそのまま話してしまうことがあります。
保育園や学校では、家庭の様子を絵に描いたり、作文で表現したりする機会が多いため、同居の実態が明らかになる場合もあります。
こうした場面は周囲の大人の目に触れるため、不自然な点があれば役所への通報につながり、偽装離婚が発覚するきっかけとなります。
ケースワーカーが訪問した際に発覚
生活保護を受給している場合には、ケースワーカーや民生委員による家庭訪問が定期的に行われるため、偽装離婚は発覚しやすくなります。
訪問は年2回以上とされており、生活状況や収入の確認だけでなく、同居の有無や生活実態が細かくチェックされます。
靴や衣類、髭剃りなどの男性用の持ち物が置かれている、洗濯物が複数人分あるなど、同居者がいることを示す痕跡はすぐに把握されます。
こうした状況が確認されると、不正受給や偽装離婚の疑いが強まって調査対象となるため、発覚のリスクは非常に高くなります。
破産手続き中に破産管財人によって発覚
自己破産の手続きが始まると、破産管財人が選任されて、申立人の財産状況や過去の取引について詳細な調査が行われます。
この過程で、偽装離婚による財産隠しは非常に発覚しやすいです。
離婚直前に元配偶者へ多額の財産分与をしているケースや、不自然な名義変更があるケース、説明のつかない送金が繰り返されているケースなどでは、破産管財人はその目的を厳しく追及します。
破産前の離婚や財産分与は裁判所への申告義務があるため、金額によっては偽装離婚と判断されるリスクが高いです。
結果として、免責が不許可となるおそれがあります。
悪質だと判断されれば、詐欺破産罪に該当するとして処罰されるおそれもあります。
税務調査を受けた際に発覚
離婚に伴って高額な財産を移転すると、後日の税務調査によって偽装離婚として発覚しやすいです。
不動産の名義変更をした場合には、登記情報が税務署にも共有されるため、不自然な財産移転として把握されます。
離婚を理由とした財産分与であっても、実態が伴わなければ贈与だと判断されて、税務署が詳細な調査に入るおそれがあります。
一度疑われると、資料の提出や事情聴取を求められるため、追徴課税につながるリスクも高くなります。
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偽装離婚がバレたらどうなる?6つのリスク
偽装離婚をすると、様々なきっかけにより発覚するリスクが高いです。
発覚すれば、主に以下のような影響が生じるおそれがあるため、決しておすすめできません。
- 子供が保育所から退園させられる
- 不正受給の返還請求を受ける
- 自己破産の免責が認められなくなる
- 追徴課税を受ける
- 逮捕されて刑事罰を受ける
- 社会的信用を失う
子供が保育所から退園させられる
偽装離婚が発覚すると、認可保育所から子供が退園させられるおそれがあります。
市区町村で入園資格の再審査が行われて、ひとり親世帯としての優先度が取り消され、本来の優先順位が適用されるからです。
子供を預けられなくなったら、仕事を続けにくくなるかもしれません。
また、保育所や周囲の保護者などからの信頼を失って、親だけでなく子供も肩身の狭い思いをすると考えられます。
親の行為によって子供にまで不利益が及んでしまうのは、深刻な影響だといえるでしょう。
不正受給の返還請求を受ける
偽装離婚によって児童扶養手当や生活保護などを不正に受給していた場合、発覚後は受け取った金額の全額返還を求められます。
返還が遅れれば延滞金が加算されて、状況によっては財産の差し押さえに発展するおそれもあります。
不正受給者として記録が残ると、将来、本当に生活に困ったときであっても行政からの支援を受けにくくなるおそれがあります。
確実に生じる経済的な負担だけでなく、再起のチャンスを失うおそれがある点でも、偽装離婚による不正受給は非常に深刻なリスクを伴う行為です。
自己破産の免責が認められなくなる
偽装離婚によって財産を意図的に隠していた場合には、自己破産の免責が認められないリスクが高くなります。
故意に財産がない状態を装うと、財産隠しだと判断されるからです。
裁判所や破産管財人は、離婚時の財産分与や送金の経緯を厳しく調査するため、不自然な財産移転はすぐに疑われます。
免責不許可となれば借金は帳消しにならず、そのまま返済義務が残ってしまいます。
債務を清算して再出発するのが困難になるため、偽装離婚を利用した財産隠しは極めて危険で、重い代償を伴う行為だといえます。
追徴課税を受ける
偽装離婚をしたことが税務調査で発覚した場合には、贈与税の修正申告を求められて追徴課税を受けるおそれがあります。
離婚時の財産分与は非課税とされていますが、贈与税を免れるために形式だけの離婚をしたと疑われると、税務署は厳しく調査します。
偽装と認定されれば、実質的な贈与として課税対象とされます。
特に、不動産などの名義変更があった場合には、登記情報などによって取引内容を把握されやすいです。追徴課税されると、重加算税や延滞税を含めた高額な税金を支払わなければなりません。
たとえ自己破産しても、税金は免責されないため、将来に渡って非常に大きなダメージが続くことになってしまいます。
逮捕されて刑事罰を受ける
偽装離婚は、発覚した場合に刑事罰を受けるリスクを伴います。
虚偽の内容で離婚届を提出した場合には公正証書原本不実記載罪に問われるおそれがあります。
また、贈与税逃れを目的とした偽装離婚は、税務署から脱税として扱われ、重加算税などの行政処分に加えて、悪質と判断されれば刑事罰の対象にもなります。
さらに、児童扶養手当や生活保護などを不正に受給していた場合には詐欺罪に該当し、逮捕や起訴に至る例も少なくありません。
自己破産手続きに関連して財産隠しが認められたときは詐欺破産罪として10年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金刑が科されるおそれもあり、非常に重い罪だといえます。
刑事事件となれば、実名報道されてしまうリスクや前科が付くリスクがあり、社会生活にも深刻な影響を残します。
社会的信用を失う
偽装離婚が発覚すると、社会的な信用を失ってしまうため、日常生活にも深刻な支障が出るおそれがあります。
近隣住民や職場に噂が広がれば、人間関係が悪化し、これまでの生活を続けることが難しくなります。SNSで情報が拡散されると、不正受給の疑いが一気に広まり、引っ越しを余儀なくされる場合もあります。
子供にも、偏見やいじめといった二次的な影響が及ぶリスクがあり、家庭全体の精神的負担は大きくなります。
社会的信用の失墜は、偽装離婚の中でも特に深刻なリスクだといえます。
偽装離婚を選択する前に検討すべきこと
偽装離婚を行うことを考える前に、リスクや子供への影響を考える必要があります。
一見すると問題の解決策に思えるかもしれませんが、発覚した場合のリスクは非常に大きく、長期的には家族全体に深刻な影響を及ぼします。
特に、子供の生活環境や将来の信頼関係を損なうことによる影響は無視できません。
まずは行政支援を活用し、無認可の保育所についても検討してみると良いでしょう。
親族への相談など、他に取れる手段がないかを慎重に検討することが大切です。
問題の背景には法律的な解決策が存在する場合も多いため、早い段階で弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることが望ましいといえます。
偽装離婚に関するよくある質問
偽装離婚とペーパー離婚の違いは何ですか?
偽装離婚とペーパー離婚の違いは、離婚する目的が不正なことであるか否かです。
偽装離婚は、生活保護の不正受給や税金逃れなど、不正な目的を達成するために形式的な離婚を行う行為であり、違法となるリスクが高いものです。
ペーパー離婚は、苗字を戻すことなどを目的とした離婚であり、不正な目的ではないため違法となるリスクは低いです。
ただし、ペーパー離婚であっても、不自然な財産の移転などをしてしまうと、結果的に偽装離婚と判断されることがあります。
元配偶者と同居すると離婚を疑われてしまいますか?
元配偶者と同居しているだけであれば、ただちに違法行為とはならず、偽装離婚と判断されるリスクは高くありません。
ただし、生活費を共同で負担している場合や、家計が一体となっている場合などでは、離婚の実態が疑われやすくなります。
保育所の利用や公的扶助の申請などの状況によっては、役所や税務署から調査の対象となるケースもあります。
同居を続けながら公的なサービスなどを受けるときには、不正行為にならないように、慎重に対応する必要があります。
偽装離婚を検討する前に、まずは一度弁護士法人ALGにご相談ください
偽装離婚が発覚すれば、受け取った利益の返還や刑事罰、社会的信用の失墜など、取り返しのつかない深刻な結果を招くおそれがあります。
離婚後も同居したいと考えている事情があるなら、法的な問題を抱えないように注意しなければなりません。
借金の問題などがある場合には、債務整理を検討する必要があります。
偽装離婚によって解決しようとすれば、事態を悪化させてしまうでしょう。
弁護士法人ALGでは、債務整理の案件を取り扱っているためサポートできる可能性があります。
また、離婚後に同居を考えているケースについては、事実婚の夫婦などが抱えることの多い法的な問題などについてアドバイスできます。
問題を夫婦だけで抱え込まず、ぜひ私たちにご相談ください。
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保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)





















