追突事故の過失割合の決まり方は?ケース別の解説や納得いかない場合の対処法

追突事故の過失割合の決まり方は?ケース別の解説や納得いかない場合の対処法

赤信号で停車中に後ろから追突された典型的な「追突事故」のケースでは、基本的に過失割合は10(加害者)対0(被害者)となります。
しかし、事故の状況によっては被害者にも過失が付いてしまう場合があります。

この記事では、

  • 追突事故で過失割合が10対0とならないケース
  • 追突事故の過失割合に関する注意点

などについて解説していきます。

信号待ち中の追突事故で約1000万円の賠償金を回収した事例
  • 症状:頚椎捻挫、腰椎捻挫、耳鳴り等
  • 後遺障害等級:12級

弁護士依頼前

提示前

弁護士介入

弁護士依頼後

1000万円
(自賠責保険金を含む)

適正な賠償額を獲得


弁護士依頼前

認定前

弁護士介入

弁護士依頼後

12級

認定をサポート

追突事故の過失割合は10対0が基本

追突事故は、基本的に追突した側に10割の過失が付きます。これは、次のルールが定められているからです。

同じ方向を進行する車両の後ろを進行するときは、前を進行する車両が急停止しても、追突を避けられる距離を保って運転しなければならない(道路交通法第26条)

そのため、前方を走る自動車の運転や駐車方法に過失がない場合は、後方から追突した車両側に全過失があることになります。

過失割合10(加害者)対0(被害者)となる追突事故の例には、以下のようなケースがあります。

  • 赤信号待ちや高速道路の渋滞で停車中に後ろから追突されたケース
  • 危険を防止するためにやむを得ず急ブレーキをかけたところ、後方から追突されたケース
  • 駐車場や路肩に停車中に追突されたケース など

しかしながら、事故状況によっては、過失割合が10(加害者)対0(被害者)とならず、被害者にも何らかの過失が付いてしまうケースがあります。次項でくわしく見ていきましょう。

追突事故の過失割合が10対0にならないケース

では、どのような事故の場合に、被害者にも過失が付いてしまうのでしょうか。
ケース別に詳しく見ていきましょう。

不要な急ブレーキによる追突事故

追突事故であったとしても、被害者が理由もなく急ブレーキを踏んだことにより後方から追突された場合の過失割合は、7(加害者)対3(被害者)となります。

法律では、次のように定められています。

車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない(道路交通法第24条)

そのため、こうした規定があるにもかかわらず、急ブレーキをかけるのは違法行為となり、被害者側にも3割の過失が付く可能性が高まります。

ただし、以下のような状況下で急ブレーキをかけた場合はやむを得ないものと判断されるため、被害者側に過失が付かないか減算される可能性があります。

  • 目の前に急に飛び出してきた歩行者や自転車などを避けるための急ブレーキ
  • 道路の損傷や道路上の障害物を避けるための急ブレーキ

追い越し妨害による追突事故

次のような場合は、追い越し妨害と判断される可能性があります。

  • 後ろを走行する車が、自分を追い越そうとしていることを分かったうえで、速度を落とさなかった
  • 追い越そうとする後方車両に追い越されないようにあえて速度を上げた

追い越し時に追突されたとしても、追い越し妨害があったと判断される場合は、被害者側に20~40%過失が付く可能性があります。

駐停車禁止場所および誤った駐停車方法で駐停車中の追突事故

駐停車中の車両が、以下のような駐停車禁止場所に駐停車している場合や、以下のような正しい駐停車方法に従わずにほかの交通の妨害となるような方法で駐停車している際に追突事故に遭った場合は、被害者側に10~20%の過失が付く可能性があります。

以下のような場所は【駐停車禁止】と定められています。

  • 坂の頂上付近
  • トンネル内
  • 勾配の急な坂
  • 道路の曲がり角 

また、車両の正しい駐停車方法については、以下のように定められています。

  • 車両は駐停車するときは道路の左端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない

灯火義務を怠った駐停車中の追突事故

夜間に以下のようなランプを適切に灯火させなかった場合は灯火義務違反となり、これにより追突事故が起きると、被害者側に10~20%の過失が付く場合があります。

  • ヘッドライト(前照灯)
  • スモールライト(車幅灯)
  • テールランプ(尾灯)
  • ハザードランプ など

なお、ランプが故障していて灯火できなかったとしても、同じように過失が付く可能性があります。

玉突きの追突事故による過失割合はどうなる?

玉突き事故とは、後方車両が追突され、前に押し出されてさらに前の車両と追突するような、3台以上の車両が追突する事故です。基本的に最初に追突した車両に100%の過失が付きますが事故の状況によっても変わってきます。以下の例で見てみましょう。

前の車両が急ブレーキを踏んだ場合

  • 例えば、3台の玉突き事故で、先頭車両A車、真ん中がB車、最後尾がC車とします。真ん中のB車が必要のない急ブレーキを踏み、C車がB車に追突し、その衝撃でB車がA車に追突した場合、過失割合は、
    A車:0% B車:30% C車:70% となります。

前の車両が不適切なハンドル、ブレーキ操作をした場合

  • 例えば、3台の玉突き事故で、先頭車両A車、真ん中がB車、最後尾がC車とします。真ん中のB車が不適切なハンドル、ブレーキ操作をした場合、C車がB車に追突し、その衝撃でB車がA車に追突した場合、過失割合は、
    A車:0% B車:20% C車:80% となります。

追突事故の過失割合は誰が決める?

追突事故にかかわらず、過失割合は事故の状況から加害者と被害者の加入している保険会社が話し合って決めていきます。

話し合いでは、事故と類似した過去の判例をもとに、実際の事故状況や当事者の意向などを踏まえて過失割合を決定、修正していきます。過失割合については、双方が合意できず揉めてしまうことも多く、話し合いでは決められそうにない場合は、ADRの利用や、調停、裁判などに移行します。

しかし、ADRの利用や調停、裁判の手続きは怪我を負った被害者にとって身体的・精神的に負担が大きくなってしまうため、そうなる前に後ほど解説する対処法を検討しましょう。

過失割合の修正要素とは

修正要素とは、基本過失割合を加算・減算する要素で、実際の事故状況など事故の個別の事情に応じて定められています。
ここでは、著しい過失と重過失について見ていきましょう。

著しい過失

著しい過失とは、事故態様ごとに通常想定される程度を超える過失のことです。 具体的には、以下のようなケースが該当する可能性があります。

【著しい過失に該当するようなケース】

  • わき見運転などの著しい前方不注意
  • 著しいハンドル・ブレーキ操作の不適切
  • 携帯電話を通話のために使用したり画面を注視しながらの運転
  • おおむね時速15km以上30km未満の速度違反(高速道路を除く)
  • 酒気帯び運転

重過失

重過失とは、故意に比肩する重大な過失のことです。
具体的には、以下のようなケースが該当する可能性があります。

【重過失に該当するようなケース】

  • 酒酔い運転(酒気を帯びたうえ、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転)
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • おおむね時速30km以上の速度違反(高速道路を除く)
  • 過労、病気、薬物の影響などの理由により正常な運転ができないおそれがある状態での運転

追突事故の過失割合に関する注意点

追突事故の過失割合には、以下のような注意点があります。

  • ①追突事故の過失割合は示談金の相場に影響する
  • ②過失割合が0の場合、保険会社に示談交渉してもらえない

これらは、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

追突事故の過失割合は示談金の相場に影響する

被害者に過失が付くと、その過失割合分だけ、受け取れる損害賠償金が減額してしまいます。これを過失相殺といいます。例えば、損害賠償金が本来200万円でも、追突事故で被害者にも3割の過失が付けば、受け取れる損害賠償金は140万円になってしまいます。

さらに、被害者より加害者の損害額が大きかった場合、被害者の過失割合の程度によっては、被害者の方の支払い額の方が高額になる可能性があります。例えば、次のようなケースです。

  • 加害者が高級車に乗っていて修理代が高額になった場合
  • 加害者の方が怪我の程度が重く、治療費や慰謝料などが高額になった場合

過失割合が0の場合、保険会社に示談交渉をしてもらえない

被害者に過失が付かない事故の場合、被害者側任意保険会社の示談交渉サービスを利用することはできません。つまり、ご自身で加害者側保険会社と交渉していかなければならないのです。 しかし、加害者側保険会社は交通事故の示談交渉のプロです。そのため、被害者を「交通事故の素人」として示談交渉するため、不利な条件で交渉してくる可能性もあります。

被害者に過失が付かない事故の場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば、被害者の代理人として交渉していくことができますし、交通事故や法律の専門家として加害者側保険会社と交渉することができます。

また、弁護士に依頼するにあたって、弁護士費用が気になる方はご自身やご家族の保険に弁護士費用特約が付帯されていないか確認してみましょう。

追突事故の過失割合に納得いかない場合の対処法

多くの場合、過失割合は加害者側保険会社から提示されますが、その過失割合に納得できないのであれば、安易に合意せず交渉していくことが大切です。 示談交渉では事故に関する双方の主張が食い違ったり、過失割合が損害賠償金に大きな影響を与えることからもめやすくなってしまいます。

対処法には、以下のようなものが挙げられます。

  • 適切な過失割合を裏付ける証拠を提出し、交渉する
  • 交通事故に詳しい弁護士に依頼して過失割合について交渉してもらう

このような方法を取り交渉することで、適切な過失割合に修正できる可能性があります。

過失割合に納得いかない場合の対処法については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

弁護士へ相談・交渉を依頼してみる

加害者側保険会社から提示された過失割合に納得できない場合は、弁護士への相談・依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
交通事故に詳しい弁護士であれば、加害者側から提示された過失割合に対して、過去の判例や様々な資料を分析検討し、法的な観点から適切な過失割合を主張・立証していきます。

弁護士が代理人として交渉していくことで、加害者側保険会社の態度が軟化し、主張を聞き入れてもらいやすくなるでしょう。
また、適切な過失割合をふまえ、慰謝料弁護士基準で請求するため、受け取れる損害賠償金が増額する可能性が高まります。

追突事故の過失割合に納得いかないときは弁護士法人ALGにご相談ください

追突事故の過失割合は、「10(加害者)対0(被害者)」となるのが基本です。しかし、事故の状況によっては、被害者側にも過失が付いてしまう場合があります。

追突され事故に巻き込まれたにもかかわらず、ご自身にも過失が付くことに納得ができない場合は、私たち弁護士法人ALGにご相談ください。
弁護士であれば、事故の状況や過去の判例から、提示された過失割合が適切なものか精査し、加害者側保険会社と交渉していきます。

法的な観点から主張・立証していくため、適切な過失割合に修正される可能性が高まるでしょう。
また、弁護士は過失割合の交渉だけでなく、損害賠償金の交渉も代理人として行うことも可能です。 交通事故や過失割合にお悩みの方は、私たちに一度お話をお聞かせください。

増額しなければ成功報酬はいただきません

24時間予約受付・年中無休・通話無料

※法律相談は、受付予約後となりますので、直接弁護士にはお繋ぎできません。 ※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください
料金について、こちらもご確認ください。
  • ※諸経費20,000円( 税込22,000円 )がかかります。
  • ※死亡・後遺障害等級認定済みまたは認定が見込まれる場合
  • ※事案によっては対応できないこともあります。
  • ※弁護士費用特約を利用する場合、別途の料金体系となります。
弁護士法人ALG 福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治
監修 :福岡法律事務所 所長 弁護士 谷川 聖治 弁護士法人ALG&Associates

保有資格 弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:41560)

福岡県弁護士会所属。私たちは、弁護士名、スタッフ名を擁し()、東京、を構え、全国のお客様のリーガルニーズに迅速に応対することを可能としております。