外貌醜状とは

外貌醜状とは、頭部や顔、首といった普段から人目につくような部分に目立つ傷痕が残ることを指します。
これは、交通事故で直接生じたもの以外に、事故による手術や治療によって生じたものも含まれます。

もう少し詳しく見ていきましょう。

顔や頭部のような最も人目につく部分に目立つ傷跡が残ってしまった場合、被害者本人の精神的苦痛が大きくなることが十分に考えられ、今後の生活面に大きな影響を及ぼす可能性があります。

交通事故で外貌醜状となった場合の後遺障害等級

外貌醜状で認定される可能性のある後遺障害等級を見ていきましょう。外貌醜状は、「著しい醜状」「相当程度の醜状」「単なる醜状」の3つに分けられます。

著しい醜状

著しい醜状とは、原則として以下のいずれかに該当するもので、人目につく程度以上のものをいいます。

相当程度の醜状

相当程度の醜状とは、以下のいずれかに該当するもので、人目につく程度以上のものをいいます。

単なる醜状

単なる醜状とは、以下のいずれかに該当するもので、人目につく程度以上のものをいいます。

次項より、さらに詳しく解説していきます。

後遺障害の申請については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

顔面神経麻痺の場合

交通事故により顔面神経麻痺が起こり、その結果として外貌醜状が生じた場合は、後遺障害等級が認定される可能性があります。

顔面神経麻痺は、神経系統の機能障害ではありますが、麻痺により口にゆがみが生じた場合は、単なる醜状として、後遺障害等級12級14号に認定される可能性があります。

なお、顔面神経麻痺によりまぶたが閉じられなくなった場合は、外貌醜状ではなく目の障害として扱われます。

欠損の場合

外貌醜状の症状が欠損の場合は、以下のように判断されます。

2つ以上の瘢痕や線状痕がある場合

2つ以上の瘢痕または線状痕が相隣接し、または相まって1つの瘢痕または線状痕と同程度以上の醜状を呈する場合は、それらの面積、長さ等を合算して等級を認定します。

この具体的な判断基準は、遠目から見て1個の醜状といえるかで判断されています。

外貌醜状の後遺障害等級認定において男女差はある？

以前は、外貌醜状の後遺障害等級認定には男女で別の基準が設けられており、同程度の醜状痕でも女性の方が男性よりも重い後遺障害等級が認定されるようになっていました。

しかし、2010年にこのような男女格差は違憲であるとした裁判所の判決※が出された結果、後遺障害等級表が2011年2月から5月にかけて改正されました。

そのため、現在は外貌醜状の後遺障害等級認定申請で男女差はなくなりました。

※平成22年5月27日　京都地方裁判所　判決

外貌(頭や顔)以外にも醜状障害が残った場合の後遺障害

交通事故では、顔や頭、首などの外貌以外にも、手足や日常で露出しない背中などに傷痕が残る場合もあるでしょう。

このように、外貌以外に醜状障害が残った場合の後遺障害等級は、部位によって以下に分類されます。

それぞれについて詳しくみていきましょう。

露出面

露出面とは、上肢と下肢で以下のように考えられます。

また、以下表のようにそれぞれ等級が決められています。

なお、上肢・下肢の露出面の醜状障害が以下に当たるような重いものである場合は、後遺障害等級12級相当として扱われます（準用）

露出面以外

露出面以外に該当する部位には、胸部・腹部・背部・臀部が該当します。
この部位に傷痕が残った場合、以下のように面積によって後遺障害等級が決定されます。

外貌醜状で後遺障害等級認定を受けるポイント

外貌醜状で後遺障害等級認定を受けるポイントには、以下のようなものがあります。

交通事故による外貌醜状で請求できる損害賠償金

外貌醜状により、請求できる主な損害賠償金には以下のようなものがあります。

以下では、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益について、詳しく解説していきます。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償です。
慰謝料の算出には、以下の3つの基準があります。

これらの基準は、①≦②＜③の順に金額が高額になります。

以下の表は後遺障害等級別の後遺障害慰謝料を各基準で比べたものです。

※任意保険基準は算定表が非公開のため、割愛しています

後遺障害逸失利益

外貌醜状が後遺障害等級に認定された場合、後遺障害逸失利益を相手方に請求できますが、非常にもめやすい傾向にあります。

まずは、後遺障害逸失利益を算出する式を見ていきましょう。

式）基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

外貌醜状では、「労働能力への影響」の有無をめぐって争われることが多くあります。

例えば、オフィスワークの事務員では、外貌醜状が残ったとしても、具体的に労働に影響が生じているとは判断しにくく、相手方保険会社から外貌醜状による労働能力の喪失は認められないとして逸失利益の発生が否定される傾向にあります。

外貌醜状で逸失利益を認めてもらうためには、具体的に就労に与える影響を示すことが大切です。また、被害者が子供の場合は将来に与える影響を主張して逸失利益を認めてもらうケースもあります。

交通事故で外貌醜状が残ったら弁護士に相談を

交通事故により、外貌醜状障害が残った場合は、弁護士への相談をおすすめしています。

弁護士であれば、外貌醜状の程度に応じた後遺障害等級認定申請のサポートをしていき、認定率を高めることができます。

また、後遺障害等級認定申請のサポートだけでなく、その後の示談交渉も最も高額になる弁護士基準で算出した金額で交渉していきますので、相手方保険会社が当初提示した金額より高額になることが期待できます。

また、外貌醜状では、逸失利益について揉めてしまうことが多くありますが、弁護士であれば相手方保険会社に怯まず交渉していくことが可能です。

交通事故の後遺障害に強い弁護士については、以下のリンクで詳しく解説しています。ご参考ください。

交通事故の外貌醜状に関する弁護士法人ALGの解決事例

交通事故の外貌醜状に関するお悩みは弁護士法人ALGにご相談ください

外貌醜状は、顔や首など人目につく場所に傷痕が残ることから、「人に会うのが怖い」など精神的苦痛が大きくなってしまいます。そのため、適切な損害賠償金を受け取るべきでしょう。

しかし、外貌醜状は後遺障害等級が認定されにくかったり、逸失利益で揉めてしまったり、一般の方では満足いく結果にならないケースもあります。

そこで、外貌醜状でお悩みの方は私たち弁護士法人ALGにご相談ください。

私たちは、交通事故に精通した弁護士が多数在籍しております。個別事情に応じた後遺障害等級認定申請のアドバイスや、その後の交渉など、ご相談者様の負担が軽くなるよう尽力いたします。

少しでもお悩みやご不安がある方は、まずは一度私たちにお聞かせください。